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「大阪市立病院の独立行政法人化」 に反対する小川議員の討論 |
小川陽太市会議員 2013年12月13日 |
市長の提案は、大阪市立病院の経営形態を今の「地方公営企業(全部適用)」から「地方独立行政法人(非公務員型)」に変更し、その定款を定め、法にもとづく評価委員会を設置する条例を制定しようとするものであります。 そもそも、大阪 市立病院の独立行政法人化は、経営の効率化が優先され、公的医療機関の果たすべき役割を後退させ、職員体制の弱体化や良好なチーム医療に悪影響を与える可能性があります。また、労働条件の悪化と医療の安全性確保の後退を招く恐れがあり、議会の関与を大幅に弱め、運営への市民参加の幅を狭めるなど、多くの重大な問題をはらんでおり、よって我が党 議員団は、両議案に反対するものであります。 以下、具体的に独立行政法人化の問題点を指摘します。
まず第1に、公立病院でこそなしえる医療の役割を後退させてしまう可能性があるということであります。 民間医療機関では困難な、小児周産期医療などの採算性の薄い政策医療が、どっぽう化によって経営の効率化が追及され、これらの医療分野が後退させられてしまう可能性が高まることはいなめません。また、災害時への備えや災害時の対応に、経済面からの躊躇し、判断を誤り、適切な役割が十分果たせなくなる可能性も指摘しなければなりません。
第2に、市民サービスや医療の安全性確保の低下を招く恐れがあるということです。 この間の議論では、「独法化よって、経営の独立性と自由度が高まり、職員の雇用形態の柔軟化、成績主義賃金の導入などがはかられる」などと答弁されました。これは、独法化による経営の効率化の追及によって、支出の抑制、特に固定費の多くを占める人件費の抑制に焦点が当てられ、労働条件の悪化、職員の非常勤化、外部委託化を進めることを認めたものであります。また、成績主義賃金の導入などは医師どうしの信頼関係を損ね、様々なスタッフによる良好なチーム医療に悪影響を及ぼすことになりかねません。医療は、人と人との信頼関係によって成り立つ事業であり、したがってこういう方向は医療内容の質と患者サービスを低下させ、医療の安全性確保を後退させる恐れがあることも極めて重大であります。
第3は、独法化によって議会の関与や市民参加の仕組みが大幅に後退するということであります。 独法化されれば、大阪市会での市民病院の予算の議決や 決算の承認などが不要となります。議会は、主には数年単位の「中期目標」「中期計画」の策定に関わるだけになってしまいます。267万市民の中で日々活動し、市民を代表する市会議員によって構成される議会の関与の後退は、市民病院としての役割を維持・向上させていく上で極めて重大であります。さらには、住民監査請求の対象から除外されてしまうなど、地方自治法に定められた住民参加の形態が弱体化されるなどの点も見過ごすことができません。 一方で、条例によって「評価委員会」が設置されますが、その構成はたった7人の有識者によるもので、その役割は、主には経営効率の側面からチェックされるというものであり、決して十分なものではありません。 以上をもって、大阪市立病院の独立行政法人化に関する議案への反対討論といたします。 |