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市議団の実績

2014年度一般会計予算案等に対する組み替え動議に賛成し

原案に反対する討論

小川陽太市会議員

2014年3月14日

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2014年度大阪市一般会計予算案等に対する組み替え動議に賛成し、原案に反対する討論を行います。

 今、市民のくらしと経済は、極めて厳しい状況にあり、将来に対する不安が大きく広がっています。

 そうした中、本市は住民の福祉の増進に努め、くらしを守り地域経済活性化につながる施策を展開し、市民が安心と希望をもてるよう自治体本来の役割を発揮することが求められているのです。

 ところが市長不在のもとで、人件費や義務的経費などを中心に編成された「骨格予算」といいながら、市民のくらしや教育に悪影響を与える内容が多々含まれているのです。加えて、本予算案には、これまで失敗を重ねてきた大規模開発・呼び込み型の経済戦略に基づく「公金のムダ遣い事業」推進の予算も、依然として含まれています。

 我が党議員団は、このような予算案を認める訳にはいきません。

以下、具体に指摘いたします。

 第一は、市民のくらしや教育に悪影響を与える予算となっているという事です。

 まず、国民健康保険料、2年連続での2%の値上げについてです。

なぜ国保料を2%引き上げるのか、その理由は「所得200万円の世帯の負担感で、府内の市町村の平均に合わせるという考え方にもとづく」とのことでありましたが、これは実態に合いません。なぜなら、大阪市と府内の他の自治体では、地価や家賃などの生活経費の水準に大きな差があり、所得は同じでも生活困窮度には大きな違いがあるからです。

あえて比較すると言うなら、むしろ地域の実情が比較的近い政令指定都市と比較すべきです。2013年度の比較でみれば、所得200万円の4人世帯の大阪市の国保料は、政令指定都市の平均よりも8,428円も高くなっており、平均に合わせるなら、大阪市の国保料は引き下げなければならないのです。やることがまったく逆です。

さらに、本市の国保加入世帯の平均所得は約96万5,000円で、全国平均約141万6,000円、大阪市を除く府内平均およそ125万円よりも大幅に低い所得となっています。この間の、敬老パス有料化、上下水道料金福祉措置の廃止、保育料引き上げなど、数々の市民いじめに加え、さらに4月からは消費税増税ものしかかります。そんな中での国保料の引き上げは、いっそう市民を苦しめるものになります。

ましてや、後期高齢者医療制度実施の2008年度から、直近の決算2012年度までの5年間の本市国保会計は、合計で231億3,000万円もの黒字を計上しています。2年連続の国保料2%の引き上げは、到底許されません。

次に、敬老パスについてです。

本予算案では、すでに実施されている「年3,000円」の徴収に加えて、今年8月から市営交通利用1回につき50円を徴収するとされています。そんなことを実施すれば、ますます高齢者の地下鉄・市バスの利用が減り、街に出かける機会が減ってしまいます。それは、高齢者の健康を害し、街のにぎわいの減退にもつながります。「50円の運賃負担」はきっぱりとやめ、「3,000円負担」も「無料」に戻すべきです。

昨年7月から「年3,000円の負担」を条件に敬老パスを交付しておりますが、その結果、昨年7月時点の敬老パス交付人数は前年7月に比べ82.5%へと、2割近くも減っています。これは、おもに「利用が年3,000円分以内」という比較的利用頻度の低い高齢者に対して、敬老パスの交付・利用を「切り捨てた」ということであり、許しがたいものです。

そして今回、これに加えての「50円運賃負担」は、敬老パスの交付数のいっそうの減少のみならず、利用者数や利用頻度の減少にも直結するということは誰にでもわかる話です。多くの高齢者の実態と声を無視した、こんな予算は到底認められません。

続いて、子育て世代への支援や教育についてです。

 まず、就学援助費についてです。

 保護者の収入は低迷し、以前として厳しい中、就学援助費を今年度当初予算と比べて1億2,200万円も減らしているのです。この間、大阪市は就学援助の認定基準を厳しくし続けており、就学援助認定率が2008年度36.8%から2013年度29.8%へと大幅に下がっています。

また、来年度から中学校給食の全員喫食が実施されます。政令指定都市では、就学援助費での中学校給食実費分は100%支給がほとんどなのに、本市では2分の1支給などとんでもありません。

本予算案は、苦しい子育て層の実態を全く反映しておらず、本市での子育てをいっそう困難にするものです。

次に、公募校長の問題についてです。

 今年度、採用した公募校長は11名で、そのうち教職経験者はわずか1名でした。今年度採用のうち6名がなんらかの問題を起こし、そのうち2名がすでに退職しています。ある公募校長が赴任した学校では前任校長がボランティアでサポートして何とか学校運営をしています。

大阪市は今年4月からさらに、民間の公募校長を35名採用する予定でしたが、合格者は20名にとどまり、そこから辞退が相次ぎ、最終的に12名まで減っています。もともと「優秀な外部人材で、学校活性化をはかる」としていたはずなのに、やってみると満足な学校運営が出来ないばかりか、問題が続出しています。にもかかわらず、そのまま校長公募は続けるうえ、予算までつけてフォローしなければいけない事態になっています。一体何のための「公募」なのでしょうか。そもそも学校長とは、「公募」などでつとまるものではなく、教育の専門家であると共に、現場での豊かな経験が求められているのです。

深刻なのは小中学校において、現場の要である教頭先生が「激務のうえ校長になれない。」となり手が激減しています。教頭試験の受験者数は2001年度574名から、今年度50名へと10分の1以下に激減し異常な事態を招いています。

 来年度から強行される「学校選択制」と合わせて、大阪市の学校教育を破壊するものであり、到底認める訳にはいきません。

 第二は、本予算案には「大阪都構想」「大阪市解体」に向けて、様々な事業や施設の府市統合・廃止・民営化などの計画が含まれているという事です。

 まず、市営交通の民営化についてです。交通局は、地下鉄が持っている資産等について、民間企業ベースで評価する作業を、監査法人に委託しています。2013年度1億6,000万円、2014年度2億500万円、合計すると、3億6,500万円にもなります。まだ決まってもいない民営化のための準備経費は、予算に組み込むべきではありません。

 また、民営化方針のもと、昨年4月にバス車両の相次ぐ減車で路線系統数も132から103に減らしました。そして便数も昨年4月から大きく減らされ、地域サービス系路線の多くで10時から15時の間は1時間に1本となりました。また2つの系統を1つに統合した系統もあり、その結果、混雑がひどくなったり、定時性が確保出来なくなっている路線もあり、苦情が絶えない状況となっています。それにもかかわらず、この4月からは更に系統数を事業性のある59路線と地域サービス系30路線の89路線にしようとしており、言語道断だと言わなければなりません。また路線や営業所の統廃合によって、長距離回送や、ドライバーに適度な休憩を保障する事が出来なくなる等、安全運行上のリスクも懸念されています。 

さらに、給与カットや昇給停止、休暇数の減など、度重なる労働条件の見直しも、市民の安全輸送を第一義とすべき交通局の対応として全く道理がなく、市民の安全・安心を度外視した暴走としか言いようがありません。民営化ありきではなく、バス路線を充実させる予算にすべきです。到底認められません。

 次に、信用保証協会の府市統合についてです。

市及び府の信用保証協会は、地域の中小事業者にとって、共に貴重な融資窓口としてそれぞれに重要な役割を果たしているにもかかわらず、本予算では、府市統合を前提に市の信用保証協会に対する、代位弁済補助を今年度予算175億円から、来年度17億円へと激減させています。これは融資姿勢を消極的にしてしまう恐れがあり、統合により制度融資のメニューが減れば、廃業や倒産の引き金にもなりかねません。二重でも無いものを二重と決めつけ、乱暴に統廃合するやり方は、断じて認められません。

 第三は、本予算案には、不要不急の大規模開発・呼び込み型の間違った経済戦略に基づく計画が含まれているという事です。

 まず、10億9400万円が計上されている高速道路淀川左岸線二期事業についてです。この二期事業は本市の将来的な交通需要を鑑みれば不要不急であり、また淀川の堤防を開削しトンネルを設置するという、全国でも未だかつて行ったことのない危険なものであり、南海トラフ巨大地震対策にも逆行するものです。

さらに国際コンテナ戦略港湾事業についてです。

大阪港は昨年過去最高のコンテナ取扱個数を記録しましたが、北米向けの大型コンテナ船の為にと巨費をかけ整備したC12岸壁には5万トンを超える大型コンテナ船は、昨年たったの2隻しか入港しておらず、北米向けコンテナ貨物と伴にどんどん減少しています。こうして、まさしく見込みの甘いムダな大型開発に、31億7300万円計上されているのであります。認められません。

 第四は、人間らしい生活を送るために欠かせない文化や自然環境についてです。

 この間、大阪市は大阪フィルハーモニー交響楽団や文楽などへの補助金を削減し、今年度は90年の歴史を誇る大阪市音楽団も廃止するなど、文化に関する予算をとことん削減してきました。文化は生活の潤いです。文化への予算削減はきっぱりやめるべきです。

 加えて、「都構想」にムダな予算と労力を費やすのではなく、温暖化対策やヒートアイランド対策、PM2.5対策などの強化を図るとともに、南海トラフ巨大地震への対策にも総力を挙げて取り組むべきだと申し上げておきます。

以上、予算組み替え動議に賛成し、原案に反対する討論といたします。