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市議団の実績

「憲法改正の早期実現を求める意見書案」に対する

山中議員の反対討論

山中智子市会議員

2014年5月27日

私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、ただいま上程されました議員提出議案第16号「憲法改正の早期実現を求める意見書案」に対する、反対の討論を行います。

本意見書案は、我が国憲法が67年間改正されていないとして、いかにも時代遅れであるかのような印象をふりまき、新たな時代に対応できる憲法が求められると結論付けていますが、笑止千万、まったくの噴飯ものと言わなくてはなりません。

わが国の憲法は、67年を経た今、ますますその輝きを増し、国内はもとより、世界中の学者や専門家の間で、世界で最も先進的、先端的なものとの評価が高まっているのが実相ではありませんか。

その学者の一人、ワシントン大学のデービッド・ロー教授は、年前に、成文化された188カ国の憲法を分析し、日本国憲法は、信教の自由、報道・表現の自由、平等の保障、プライバシー権、女性の権利、移動の自由などなど、世界でいま主流になった人権の上位19項目までをすべて満たす先進ぶりであり、「65年も前に画期的な人権の先取りをした、とてもユニークな憲法」だとしています。そして、「日本の憲法が変わらずにきた最大の理由は、国民の自主的な支持が強固だったから。経済発展と平和の維持に貢献してきた成功モデル。それをあえて変更する道を選ばなかったのは、日本人の賢明さではないでしょうか」と言っておられます。

平和主義、国民主権、基本的人権の尊重という点において世界最先端のこの憲法を、どうして変えなければならないのでしょうか。

本意見書案では、東アジア情勢、外交・安全保障上の問題、大規模災害時の緊急事態対応、環境権、等々への対応の必要性が羅列的に言われていますが、その狙いとするところは、もっぱら憲法条にあることは疑いありません。

いま、安倍内閣は、戦後レジュームからの脱却と称して、集団的自衛権の行使容認という「海外で戦争する国」にかえるための、いわゆる解釈改憲をねらっています。と同時に、条の条文をかえる明文改憲の動きも、引き続き、強めているのが実状であり、本意見書案の提出はまさにその一環なのです。

ところが、こういうなかで、国民の間では、逆に9条をはじめ、憲法を守り生かそうという動きが強まっています。世論調査でも、憲法条を「変えない方がいい」という意見は、朝日新聞で昨年の52%から今年は64%に、東京新聞でも58%から62%に増えています。

このように、多数の市民が望んでいないにも関わらず、「憲法の早期改正」を求める声を上げるなどと言うことは、市民の負託を受けた市会として、決して許されるものではありません。

今こそ、憲法9条を生かした平和外交に徹するよう国に求めるとともに、憲法にうたわれた国民主権、基本的人権が踏みにじられている現状に鑑み、市民のくらし、福祉、幸せに生きる権利の擁護と拡充につとめることこそ、私たちの責務であると申し上げ、討論といたします。