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2014年度大阪市一般会計等補正予算(案)に対する こはら議員の反対討論 |
こはら孝志市会議員 2014年5月27日 |
私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、2014年度大阪市一般会計等補正予算(案)に反対の討論を行います。 なぜ反対なのか、それは、相も変わらずムダな大型開発や大阪都構想、ならびに本市の公的役割を放棄する、保育所、幼稚園、水道等の民営化などに関わる予算が追加されているからです。以下具体に指摘いたします。 はじめに、今回なにわ筋線地下鉄道の検討調査費用の予算が計上されています。建設費は、概ね2500億円と膨大なものです。 ただただ、梅田・関空間の時間短縮が目的ですが、東海道線支線の梅田新駅が出来ることで、17分の時間短縮が可能となる為、このなにわ筋線地下鉄道による効果は、梅田・関空間、たったの5分であります。 つまり、1分短縮するのに、500億円もの巨費を要する事になる訳で、これ程のムダ遣いはないと言わなくてはなりません。 統合型リゾート(IR)、つまりカジノ誘致のための調査費計上も同様です。言うまでもなく、我が国のギャンブル依存症の有病率は世界的に最も高いもので、この上カジノが合法化されるなら、いったいどうなるのかと多くの識者、関係者から指摘されているところです。その上、立地場所として目されている、夢洲への鉄道等のアクセス整備が必要となるなど、またぞろ破綻済みのムダな開発の繰り返しとならざるをえません。 又、同時に府市統合、大阪都構想ありきで、成り立ちも違えば、取り扱い貨物も、その規模も異なる府の堺泉北港、阪南港と大阪港を無理矢理統合しようとしていることです。 港湾局は、府市統合本部の意向に沿って、新港務局による府市港湾の統合を目指してきたものの、国の理解が得られにくく、実現性に乏しいとみると、今度は全国に2例しかない行政委員会なるものをつくるとして、その取り組みの予算を計上しています。とんでもない事だと言わなくてはなりません。 大阪港は、プロダクトオイルタンカーによる原油や、LNG、LPGなどを主な取扱とする、工業港である堺泉北港とは異なり、中国はじめアジア諸国との衣服、身の回り品や、電気、産業機械等の外貿コンテナ貨物の増大によって、発展してきた商業港であります。今後ともこういう基調に沿った港湾づくりに努めるべきものであって、堺泉北港との統合はもとより、北米等の基幹航路の維持強化をめざす、国際コンテナ戦略港湾づくりも全くそぐわないものである、と申し上げておきます。 又、市立工業研究所と府立産業技術総合研究所の統合準備のための5100万円もの予算が盛り込まれていますが、大阪都構想、府市統合ありきのもので、到底認めることはできません。 市立工業研究所は、プラスティック等の研究で高い評価を受けているところであり、一方、府立産業技術総合研究所は、金属や機械などが主なもので、一定住み分けがされているのであります。 それに、工業研究所は1916年、大正5年の設立に対し、府の研究所は1929年、昭和4年であると同時に、何より所在地も城東区森之宮と和泉市にと離れているものであり、二重行政でもなんでもないのであって、統合すべき何らの理由もないのであります。 さて、今回不祥事の相次ぐ公募校長の実施予算や幼稚園の民営化に関する条例が提案されています。いずれも一度修正、否決され、さして日時も経ていない上に、再提案に値するような新しい要素など何一つもないにも関わらずであります。 特に公募校長にいたっては、トラブルが後を絶たず、地域ぐるみで更迭を求める動きが強まっているケースさえある程で、いずれにしてもおよそ学校長たるもの、教員資格も持たず、教育現場の何たるかもわきまえない人に勤まるものではないという事であります。 又、今回、水道事業の民営化の基本方針が出されると共に、それに伴う準備経費等が補正計上されています。 申し上げるまでもなく、水道は市民生活にとって欠くことのできないライフラインです。それ故に、水道法で市町村が事業を担う事を原則としており、全国1429の事業体の内、1420が公営で営まれているのであります。 しかるに、この19、20日の委員会質疑を通じてみても、今、何故民営化なのか、明確な答えがなされなかったばかりか、肝心の管路等の耐震化が進められる何らの保障もない上に、府下2番目の低廉な料金の、将来にわたる維持が全く担保されないことがはっきりしたのであります。 ちなみに80年代に民営化したパリの水道は、265%もの料金増となって、再び公営化すると共に、ドイツ・ベルリンの水道も、再公営化せざるをえなくなって、日本円にして1800億円もの損害を出すなど、ヨーロッパの水道民営化は押し並べて破綻しているのであります。 尚、特別養護老人ホームの建設助成、寡婦控除等のみなし適用や天王寺動植物公園の魅力向上事業等の予算、交通事業会計に係わる予算は賛同するものである事を申し添えて、以上、反対討論といたします。 |