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市議団の実績

「2013年度大阪市市民病院事業会計決算報告」に対する

小川議員の不認定討論

小川陽太市会議員

2014年10月1日

私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、報告第40号「平成25年度 大阪市市民病院事業会計決算報告について」に対して、これを不認定とする討論を行います。

本決算報告を不認定とする主な理由を、2点に絞って申し上げます。

第一は、住吉市民病院の廃止を前提にし、早々と住吉市民病院の医療機能を大幅に削減しているということであります。

わが党議員団は、住吉市民病院が果たしてきた役割は非常に大きなものがあり、現地での建て替えを行ない公立病院として存続させるべきとの立場を表明してきました。しかし、2013年3月議会で、住吉市民病院の産科・小児科の医療機能の存続と南部医療圏における小児・周産期医療の充実を目的とした民間病院の誘致を求める附帯決議を付して、残念ながら廃止条例が可決されました。

同時に、この廃止条例では「施行期日は、市長が定める」とされ、具体的な廃止時期は明示されていません。その後、附帯決議に基づき民間病院の公募が行われ、住吉市民病院の廃止時期を2016年3月末との計画が示されていますが、いったん決定した民間病院が辞退し、この計画も1年もの遅れをきたしています。

そんな状況の中で、2013年9月末をもって、住吉市民病院の内科・外科・整形外科・精神科・泌尿器科の診療を、入院はもとより、外来までもすべて閉じてしまい、事実上小児科と産婦人科の診療のみという状況をつくってしまっています。仮に、病院の廃止時期が2016年3月末としても、それまでにはまだ相当の期間があります。この地域の高齢者比率は非常に高く、「どうしてこんなに早く多くの診療科を閉めてしまうのか」との批判の声が上がっています。こんな市民の願いに反するやり方は認められません。 

第二には、市民病院事業を、本市直営の事業から地方独立行政法人による事業へと変更させる取り組みが含まれているということであります。

民間医療機関では困難な採算性の低い政策医療が、独法化によって経営の効率化が追及され、これらの医療分野が後退させられてしまう可能性が高まることは否めません。また、災害時への備えや災害時の対応での判断を誤り、適切な役割が十分果たせなくなる可能性も指摘しなければなりません。

また、独法化による経営の効率化の追及によって、支出の抑制、特に固定費の多くを占める人件費の抑制に焦点が当てられ、労働条件の悪化、職員の非常勤化、外部委託化を進めることにもなります。成績主義賃金の導入などは医師どうしの信頼関係を損ね、様々なスタッフによる良好なチーム医療に悪影響を及ぼすことになりかねません。医療は、人と人の信頼関係によって成り立つ事業であり、したがってこういう方向は医療内容の質と患者サービスを低下させ、医療の安全性確保を後退させる恐れがあることも極めて重大であります。

さらに、独法化すれば、大阪市会での市民病院の予算の議決や決算の承認などが不要となりますし、市民病院事業に対する市民の声を踏まえた議会での議論が希薄になります。結局、議会は、主に数年単位の「中期目標」「中期計画」の策定に関わるだけになってしまうことになりかねません。267万市民の中で日々活動し、市民を代表する市会議員によって構成される議会の関与の後退は、市民病院としての役割を維持・向上させていく上で極めて重大であります。さらには、住民監査請求の対象から除外されてしまうなど、地方自治法に定められた住民参加の形態が弱体化されるなどの点も見過ごすことができません。

このように、多くの重大な問題点をもつ市民病院の独立行政法人化の取り組みの推進は、到底認められないのであります。 

以上をもって、市民病院事業決算報告の不認定の討論といたします。

 (2014101日)