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2013年度一般決算に対する井上議員の反対討論 |
井上ひろし市会議員 2014年11月21日 |
これまで橋下市長は、市政改革プランによって、上下水道料金福祉措置や新婚世帯向け家賃補助の廃止をはじめ、市民に激しい痛みを押しつけると同時に、無法を重ねて「都構想」を強引に推し進めようとしてきました。 その結果市民は、消費税の増税や連続する社会保障改悪ともあいまって一層苦境に立たされるとともに、「都構想」をめぐってははかり知れないほどのムダな労力と膨大な税金を費やすことになってしまったのです。 本決算にあらわれているのは、市民のことなど全く顧みず地方自治の本旨を投げ捨て市民生活に追い打ちをかけてきた姿であり、到底認められません。 以下、具体に指摘いたします。 まず、国民健康保険についてであります。 くらし向きが厳しくなる一方の市民にとって、国民健康保険料は大きな負担となっています。 本市の国民健康保険会計は、2010年度決算から4年連続で黒字を出し、4年間の黒字の総額は237億円にも達し好転しています。 その結果、累積赤字も2009年度末、366億円であったのが、2013年度、129億円へと、大幅に改善しているのであり、2年連続で2%の値上げを強行した事には全く道理がありません。 地方自治体が国民健康保険料を引き下げる事は、市民のくらしへの直接的な応援につながることは言うまでもありませんが、市長は「国保料は下げられない」という答弁に終始し、市民生活を守ろうという姿勢が全く示されませんでした。到底認められません。 次に、敬老パスについてであります。 敬老パスへの3000円の負担が始まった昨年4月の時点で、72.2%であった交付率が、本年7月の時点では54.8%へと、18ポイントも激減しており、これまで敬老パスを利用してこられた方々の足に重大な影響を及ぼしていることがはっきりと現れています。 今年8月には、乗車毎に50円の負担が荷せられるようになり、利用者の方々からは「これはあまりにひどい」と、50円負担の撤回を求める声が澎湃として起こっています。 我が党は、元の制度を文字通り「維持」する事を一貫して求めていますが、一気にそこまで戻れなくても50円負担については至急にやめるべきだと主張しました。 ところが市長は、冷たくこれを拒否し「高齢者の皆さんにご負担を頂く分、子どもや教育に回す」とごまかしの答弁に終始したのです。 敬老パスは制度の本来の主旨に基づいて、市長自身の選挙公約通り無料制度として「維持」するべきであると改めて申し上げておきます。 続いて、現役世代への重点投資についてです。 私は決算委員会において、2011年度から2014年度の歳出総額に占めるこども青少年費と教育費はほぼ横ばいであるにも関わらず、「現役世代への重点投資」とされる事業費が右肩上がりに増えているように説明している点を問い質しましたが、結局、市政改革プラン等によってありとあらゆる施策・事業を切り捨て、塾代バウチャーやICTなど、市長の肝いり施策につぎ込んだ結果に過ぎないことが明らかになったのです。 これは、自らの実績としてアピールするためなら、地道に市民生活を支えている施策・事業をいくら犠牲にしても全くいとわないという乱暴な手法なのであり、市民生活の全般にわたって責任を果たす役割を担う地方自治体として、言語道断だと言わなければなりません。 又、今度の決算質疑を通じて、カジノを含む統合型リゾート、IRの夢洲誘致に市長を先頭として、いよいよ本格的に取り組もうとしていることがはっきりした事です。とんでもない事だと言わなくてはなりません。 この10月末に「夢洲まちづくり構想検討会」が府、市、経済界合同で発足した事に加え、大阪府市IR立地準備会議の方も、既に数回会議を重ねて、夢洲へのアクセスの検討も進められている状況です。北ルート2案と南ルート1案の3案です。 北ルートの1つは、JRゆめ咲線の延伸で1700億円、もう一つが京阪中之島線の延伸で3500億円、南ルートの地下鉄4号線の延伸が540億円で、この内、南北2ルートが望ましいなどと言われていますが、いずれにしても、膨大な費用を要する訳です。 たかだか1日数千人足らずと予測されるIRの利用者で、採算がとれるはずがありません。 またぞろ、ムダな大型開発になるではありませんか。しかもギャンブル依存症による社会問題が一層深刻さを増す事になるのです。 2013年度の厚労省の調査では、日本はギャンブル依存症の有病者は成人全体の4.8%、536万人と推計され、アメリカ1.58%、フランス1.24%、カナダ0.9%などと比較してもダントツです。
シンガポールや韓国でも、既に深刻な社会問題として様々な対策がとられています。IRの立地によって得られる経済効果よりも、はるかに大きな損失がもたらされることは必至です。 最後に市長の政治姿勢について指摘させて頂きます。 市長は就任以来、大阪市を解体し、特別区に分解する、いわゆる大阪「都構想」が民意を得たとして、法定協を立ち上げ、シャニムニ進めてまいりました。 ところが、法定協では議論すればする程、矛盾が次々出てきて、一歩も前に進める事が出来なかったのです。これに業を煮やした市長は、今年1月31日の法定協で、区割案が否決されると、これを一方的に閉鎖して、出直し選挙に打って出ました。そして再選されると、強引に委員を差し替えて、維新のみの委員で協定書なるものを言わばデッチあげ、10月1日、議会に上程するに及んだのであります。 手続的にも無効なら中身もあまりにズサンだとして、議論の上10月27日議会が否決した事は、当然の結果です。 議会の承認が得られなかった以上は、いさぎよく断念するか、正常な法定協で議論を再開するしかありませんが、市長は、一方的に議会を非難して、ここまでくれば住民投票で直接市民の判断を仰ぐべきだとして、議会の承認など、不要であるかのような主張をタウンミーティング等で、今だに繰り返している始末です。 市長は、自分の考えが唯一正しくて、それに異を唱える議会は、自分の身分保持に、汲々とするだけの存在と決めつけ、およそ民主主義のルールなど、どこ吹く風、二元代表制など全くわきまえない、言わば独裁者のように振る舞ってきたのではないでしょうか。 そして同時に、大阪市長と維新の会の代表とを常に混同して来たと思います。 元私設秘書を市長の特別秘書に選任し、市民の税金で給与を支払うようにした事は、その最たるものです。 2012年の総選挙、2013年の参院選挙、同じく堺市長選挙、2014年の出直し市長選挙と、それぞれ1ヶ月休職や退職をさせて、維新の会の選挙活動に集中せしめています。特別職という位置づけであれ、地方公務員の服務として考えられない事です。 市長としては、大阪市内は大きすぎて回りきれないと言いながら、政党の代表としては事あれば全国を飛び回り、維新の支持の拡大に努めておられる事は申し上げるまでもない事で、地方自治体の長としては、常軌を逸していると言わなくてはなりません。 その上、思想調査問題、従軍慰安婦問題での発言、ヘイトスピーチの団体代表との口を極めた応酬等に、これが大阪市長の立ち振る舞いかと、大阪市民としてまことに恥ずかしい限りだと、嘆きとも怒りともつかない多くの市民の声が寄せられたのであります。 市長はつい最近、市長として「すべてやれる範囲でやってきて、積み残しているものは無い」と言われました。総選挙に打って出られるつもりなのかと推察いたしますが、この際二足のわらじはお脱ぎになって、政党の代表としての職務に専念されるのが賢明かと申し上げて、以上、反対討論といたします。 |