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市議団の実績

環境科学研究所・工業研究所・地下鉄・市バス関連議案に対する

小川議員の反対討論

小川陽太市会議員

2015年2月24日

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表し、議案第26号および27号、大阪市立環境科学研究所に関する条例案、議案第29号および30号、大阪市立工業研究所に関する協議議案、ならびに議案第44号および45号、地下鉄・市バス廃止条例案に反対する討論を行います。 

写真まず、大阪市立環境科学研究所の府立公衆衛生研究所との統合・独立行政法人化についてであります。

橋下市長らが両研究所の統合を進めようとした理由として「二重行政のムダ」という点をあげていますが、これはまったく間違った認識であります。 

両研究所の調査・研究内容においては、環境監視・薬事など重複していない分野が大きく存在しています。また、管轄エリアも大阪市内と市外とに分かれています。これらの現状は、市民の立場からみれば「二重行政によるムダ」どころか、それぞれに重要な役割を担っているということは明らかであります。 

次に指摘したいのは、国の衛生研究機関も全国に79ヶ所ある地方衛生研究機関も、どこも「独立行政法人化」していないということであります。

これは、たまたまそうなっているのではありません。1997年の国立独立行政法人の法制化の際に、「重大な危機管理に直結する業務である」として国の衛生研究機関を「独立行政法人」の対象から除外したのであります。また、2003年の地方独立行政法人の法制化の際も、この考え方が踏襲されているのであります。また、これらの衛生研究所の業務結果をもとに、保健所等が、事業者への営業停止や商品の回収命令などの行政処分をおこなうなど、公権力の行使の根拠となる業務を担っているのも衛生研究所であります。

したがって、地方衛生研究所である市立環境科学研究所が担う「重大な危機管理に直結する業務」「公権力の行使の根拠を与える業務」においては、予見的な研究や、日常的・基礎的調査の蓄積、突発的事態に備えた体制の整備などが必要であり、経済性・効率性を追求する「独立行政法人化」にはなじまないだけでなく、やってはならないことなのであります 

つぎに、大阪市立工業研究所と大阪府立産業技術総合研究所の統合についてであります。

そもそも大阪市立工業研究所は、大阪府に先駆けて、地域でのモノづくりに関わる中小企業支援を行うべく、1916年(大正5年)に設立され、その13年後、1929年(昭和4年)に大阪府立産業技術総合研究所が設立されたのであります。そして現在、市工研は森の宮にあり、電子材料や高分子・ナノ材料等の化学分野において、素材や要素技術の開発を特徴としています。一方、産技研は和泉市にあり、金属・機械・加工技術の分野における製品・製造開発支援を特徴としております。また、2013年度の業務実績も、受託研究は市工研、665件に対し、産技研が152件となっています、一方、依頼試験分析では、市工研が1万1,972件に対して、産技研は18,980件となっており、分野や技術支援機能など役割分担がされているのです。

よって、両研究所は「二重行政のムダ」どころか、それぞれの特徴を生かしてさらに発展させるべきものであり、統合すべきではありません。 

続いて、地下鉄・市バス廃止・民営化についてであります。

今日の大阪市の地下鉄事業は、都市機能の大動脈の役割を果たし、すでに累積赤字を解消するとともに、2013年度決算では333億円もの黒字を計上している超優良事業であります。地下鉄事業に対する市民の願いは、8号線の延伸など未着手の条例路線の建設をはじめ、南海トラフの巨大地震・津波対策、可動式ホーム柵設置の抜本的推進、エレベーターやエスカレーターの増設、トイレの美装化やサービス改善、地下鉄と市バスのネットワークの拡充やバス事業支援、地方公営企業法18条2項に基づく一般会計への納付の実施などを推進することであり、まさに公営企業として運営されてこそ成し得るものであります。

また、市バスは、市民の移動を毛細血管のようにきめ細かく保障する役割を担っています。市バス事業に対して市民が強く求めているのは、廃止された路線の復活であり、便数の拡充であります。そして、高齢者や障害者、妊婦さんなどの日常の身近なくらしを支えるコミュニティバスの復活・拡充であります。これらは、公営事業として、地下鉄との一体的運営でこそ実現可能となります。

地下鉄・市バスの民営化は、市民の願いに大きく逆行するものであり、到底認められません。 

最後に、環境科学研究所に関する議案も、工業研究所に関する議案も、さらに地下鉄・市バスに関する議案も、1月30日に閉会した前定例議会でいずれも否決されたものであります。その後の状況は何も変わっていないのに、わずか2週間後の2月13日に橋下市長によって同じ内容で再提案されたという点であります。 

 こんなやり方は、地方自治における市長と議会の二元代表制を否定し、議会での議決を冒涜するものと言わなければなりません。地方自治は、「二元代表制」によって、つまり、大きな執行権をもつ市長と議決権をもつ議会が、チェックアンドバランスの関係で成り立たせていくというものであります。市長が「議会は抵抗勢力だ」といって議会の議決を無視するやり方は、市長による独裁政治となり、決して許されるものではないと申し上げ、反対の討論といたします。