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市議団の実績

井上議員が行った

2015年予算組み替え動議賛成

原案反対する討論

井上ひろし市会議員

2015年3月13日

 
写真 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2015年度大阪市一般会計予算案等に対する組み替え動議に賛成し、原案に反対する討論を行います。

 市民のくらしと経済は、依然厳しい状況にあり、将来に対する不安が大きく広がっています。

 そうした中、本市は住民の福祉の増進に努め、くらしを守り地域経済の活性化につながる施策を展開し、市民が安心と希望をもてるよう自治体本来の役割を発揮することが求められているのです。

 ところが、市長が提案した予算案は、市民のくらしや教育などへの切実な願いには背を向けていると共に、これまで失敗を重ねてきた大規模開発・呼び込み型の成長戦略に基づく「公金のムダ遣い」も含まれています。我が党議員団はこうした予算案を認めるわけにはいきません。

 以下、具体的に指摘いたします。

 第一は、市民のくらしや教育などに悪影響を与える予算となっているという事です。

 まず、介護保険についてであります。

 新年度からは第6期の事業計画に移行しますが、今回提案されている高齢者の介護保険料基準月額は6,758円となっており、14.6%も引き上げられるものになっています。3年前の改定の時も23.4%も値上げしており、橋下市長就任前に比べ、合計41.4%もの大幅な引き上げになります。その結果、全国の20政令都市の中で最高額、大阪府内の全市町村の中でも最高額になるのであります。

 大阪市における高齢者の介護保険加入者の特徴は、全国平均24.8%となっている一人暮らし世帯が、本市では41.1%と断トツに多く、介護給付を受ける率が高くなっていること。もう一つは、住民税非課税者が69.1%となっており低所得者が非常に多いということであります。これらが原因で介護保険料の水準が異常に高くなっているのであります。

 常々、橋下市長が言う「ニアイズベター」の立場からして、こういう地域の実情、高齢者の実態に即して、自治体としての裁量権を行使して、一般会計からの繰り入れを行なってでも高すぎる介護保険料を引き下げるべきであります。委員会の質疑でわが党議員がそのことを強く求めましたが、市長は冷たく拒否をしたのであります。到底認められません。

 次に、国民健康保険についてであります。

 本市の国保会計は、後期高齢者医療制度が実施に移された2008年度から、ほぼ毎年単年度黒字を計上しています。2013年度までの直近6年間の決算での黒字額の合計は、なんと256億5000万円にのぼるにもかかわらず、2013年度・2014年度と2年連続で国民健康保険料を値上げしました。

 加えて、この間の国保会計の大きな黒字基調の中で、新年度には国の施策による新たな追加財源が46億円も入ってくることになっております。これを被保険者数75万7100人で割れば、この新たな追加財源分だけで1人平均6,076円の国保料の引き下げが実施できます。世帯数47万3800世帯で割れば、1世帯平均9,709円の引き下げができます。

 ところが市長の提案は、2年連続値上げをして高くした今の国保料を、そのまま据え置くというものになっています。断じて認められません。

 続いて、子育て世代への支援や教育についてであります。

 まず、保育士及び幼稚園教諭の給与についてです。「現役世代への重点投資」などと言いながら、保育士、幼稚園教諭の給与を引き下げる事は、その専門性をあまりに軽んじていると言わなければなりません。

 財政総務委員会で我が党議員が「民間保育園の給与の改善こそ求められている時に、民間に合わせる削減など本末転倒だ」と指摘したのに対し、理事者は「民間保育園の給与をより重視した。公立保育所民営化を進めるため、2013年度から正規職員の採用を凍結している」と答弁したのであります。

 こうした対応の影響で、保育士不足が深刻化し、保育所への子どもの受け入れ定員を大幅に減員せざるを得ない状況に陥り、待機児解消が進まない要因ともなっています。

 保育士は劇症型アレルギーや発達障害をはじめ、支援を要する子ども達はもとより、人命を守る重責を担っており、保育士の待遇改善と正規職員の採用こそ求められているのであります。

 また、幼稚園教諭の給与について、私が教育こども委員会で「幼児教育の重要性をどのように認識しているのか」と質問したのに対し、理事者は「幼児教育の充実に努めて参りたい」と答弁しました。「『充実に努める』と言いながら教員の給与を下げるのでは、人材の流出にもつながり全くの逆行ではないか」と問い質しましたが、理事者はまともに答弁できなかったのであります。

 公的保育と公教育の解体である公立保育所・公立幼稚園の民営化の予算と共に、保育士及び幼稚園教諭の給与引き下げは到底認められません。

 次に、中学校給食についてであります。

 教育委員会は「全員喫食の実施」という方向性を打ち出しながら、本予算案では自校調理方式での実施は小中一貫校のみ、小中親子方式のモデル事業も一校のみにとどまっています。

 現在のデリバリー方式への評価を考えても、着実に自校調理方式を進めていくことが求められています。今こそ、自校調理方式を全中学校に拡大するという方針を明確にした上で、予算を組むべきであります。

 第二は、「大阪市廃止・分割」に向けて様々な事業や施設の府市統合、廃止、民営化などの計画が含まれているという事です。

 とりわけ、住吉市民病院の廃止と府立急性期総合医療センターへの統合についてであります。

 市長が議会に提案し、昨年10月に認可された「市民病院機構中期計画」では、住吉市民病院は2015年度末で閉鎖されるという内容になっています。つまり、来年3月末で閉鎖されるというものです。

 この間、橋下市長は、民間病院の誘致が2度も失敗し、住吉市民病院の医療が府立に統合してつくるという府市共同母子医療センターにも、跡地に誘致する民間病院にも、どこにも引き継がれることなく途切れ、空白期間を生む見通しになっているにもかかわらず、「来年3月末で住吉市民病院を閉鎖する」という態度を表明してきました。そして、「空白期間を生む原因は、議会が府立への統合関連予算を通さなかったからだ」と主張してきました。

 しかし、民生保健委員会でのわが党議員の質疑で、「府市共同母子医療センター建設の遅れは、予算が通されなかったからではなく、民間病院の誘致に失敗して病床移譲再編計画の認可の見通しが立っていないことにある」ということが明らかになりました。市長はその点を認めながら、「民間病院の誘致ということになって、再編計画の認可をややこしくしている」と、居直る答弁をしたのであります。

 今の時点で、最も優先して考えるべきことは、住吉市民病院にかかっている患者や、南部地域の小児・周産期医療をこれからも必要とする市民に対して、絶対に迷惑や被害を与えてはならないということであります。

 そして、1日たりとも「空白期間」をつくってはならないし、住吉市民病院が60年以上にもわたって営々と築いてきた誇りある公的医療内容を、絶対に途絶えさせてはならないということであります。

 そのためには、1日も早く「住吉市民病院の閉鎖時期を見直す」という明確なメッセージを発信し、病院職員の勤続意欲を喚起し、「来年3月末で閉鎖する」という方針を白紙に戻すことであります。この点をあいまいにしたまま、府立への統合だけを前に進めていくようなやり方は認められないのであります。

 第三は、不要不急の大規模開発、呼び込み型の間違った成長戦略に基づくものが含まれているということです。

 まず、なにわ筋線についてであります。

 総額2500億円にものぼる巨大開発の事業化に向けた調査検討予算が組み込まれています。

 目的は、梅田―関空間の時間短縮でありますが、東海道線支線の地下化がすでに進められており、これで現在よりも17分の時間短縮が可能となるため、新たになにわ筋線が出来ても短縮できる時間はわずか5分であります。1分短縮に500億円もの巨費を要する計算になるわけで、これほどの税金のムダ使いはありません。

 また、国際コンテナ戦略港湾推進のため主航路浚渫に19億4200万円、水深16mのC12岸壁延伸に11億4100万円が含まれています。

 北米向け超大型コンテナ船の航路維持拡大を目的にこれまでも巨額の税金が投入されてきました。

 しかし、肝心の大阪港の北米向けコンテナ取扱量は年々減少し、当初の3割以下、取り扱いシェアも1%にまで落ち込んでいます。また、昨年C12の岸壁に入港した5万トンを超える大型コンテナ船は皆無であったことからも、不要な事業であることは誰の目にも明らかであります。きっぱり中止すべきです。

 また、阪神高速道路淀川左岸線期事業の予算が10億9300万円計上されております。淀川の堤防を開削するなど、南海トラフ巨大地震対策にも逆行した事業であり断じて認められません。

 さらに、カジノをふくむ統合型リゾートIR関連予算についても誘致のための調査検討費が組み込まれています。

 わが国において、ギャンブル依存症の有病率は世界で最も高く、カジノ誘致が拍車をかけることは火を見るより明らかです。

 カジノ推進派の経済効果の試算では、大阪の60キロ圏内1550万人のうち、91万人がカジノに来て、一回4万円擦ることをあてこんでおり、健全な経済成長戦略とは到底言えません。

 IRを拠点に、夢洲への鉄道などのインフラ整備に巨費を要することにつながるのであり、破たん済みの無駄な開発の復活であると断じざるを得ません。国会でも昨年、カジノ法案は廃案となり、現在議論すらされておらず、このようなものに市税を投入する道理はまったく無いのであります。

 以上、予算組み替え動議に賛成し、原案に反対する討論と致します。