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市議団の実績

カジノ(統合型リゾートIR)

うめきた2期開発関連補正予算に対する

小川議員の反対討論(2015年6月10日)

小川陽太市会議員

2015年6月10日

写真 私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第178号、大阪市一般会計補正予算案に反対の討論を行います。 

 今回の補正予算は、カジノを含む統合型リゾートIRの夢洲誘致を目的とした調査検討費と、うめきた2期開発の債務負担行為の額を定めています。いずれの内容も市民の願いとは程遠く、見直すべきものだと考えます。

以下、具体に申し上げます。

カジノを含む統合型リゾートIR誘致のための調査検討費7600万円についてです。 

今回の補正予算は、今年3月の議会で修正削除したものと同じものです。提案の理由として、国会での法案の上程をいいますが、4月の時事通信の世論調査でもカジノ解禁に反対が62%と多数を占めており、国会でIR法案成立の見通しは、まったくたっていません。ましてや、IR誘致を目玉としていた、いわゆる「都構想」が住民投票で否決された、その直後の5月議会にIR誘致予算を再提案するなど市民の理解を到底得られるものではなく、また、予算修正した議会の判断をあまりにも軽んじる姿勢だといわなければなりません。

カジノを含むIR誘致に向け、府、市、経済界合同で「夢洲まちづくり構想 ()」の中間取りまとめを行い、その中で、夢洲へのアクセスの検討が進められています。鉄道アクセス、北ルート2案と南ルート1案の3案で、北ルートの1つは、JRゆめ咲線の延伸で1700億円、もう一つが京阪中之島線の延伸で3500億円、南ルートの地下鉄4号線の延伸が540億円のほか、夢洲・舞洲にあらたな橋をかけるなど道路アクセス、関空などからの海上シャトル便の海上アクセスなど、大規模なインフラ整備のメニューが並んでいます。法案では民間投資を基本とするといっていますが、「夢洲まちづくり構想()」中間取りまとめの中では、整備内容、整備時期や費用負担については関係者との協議のうえとなっており、民間事業者がどれくらい負担するかなどはまったく決まっておらず、建設費7000億円から1兆円といわれるうち、大半を占めるインフラ整備などは、公による多額の税金投入となることはさけられないと思います。

また、先日新聞で「アメリカはすでに施設過剰で飽和状態、カジノ閉鎖が相次いでいる。世界最大のカジノ市場であるマカオも中国の経済成長の減速などが原因で衰退している」と報じられているように、カジノ誘致が経済的にバラ色のものではなくなっているのです。私が都市経済委員会で、大阪市の過去のベイエリア開発の失敗についてたずねた際、「事業計画全般にわたる見通しの甘さから厳しい事業状況に陥ったもの」と答弁したにもかかわらず、何が何でもカジノ誘致を進めていくというのは、希望的観測によるまったく甘い見通しであり、またぞろ無駄な大型開発を繰り返すことになります。

そもそもカジノは賭博であり、賭博で経済成長など市民は求めていません。なにより、ギャンブル依存症による社会問題が一層深刻さを増す事になるのです。2013年度の厚労省の調査では、日本はギャンブル依存症の有病者は成人全体の4.8%、536万人と推計され、アメリカ1.58%、フランス1.24%、カナダ0.9%などと比較してもダントツです。

 シンガポールや韓国でも、いくら対策を講じてもギャンブル依存症は増え続け、深刻な社会問題となっているのです。IRの立地によって得られる経済効果よりも、はるかに大きな損失がもたらされることは必至です。IR誘致はきっぱり断念すべきだと申し上げます。

なお、修正案につきましても、指摘した問題の本質が変わるものではなく反対であると申し上げます。 

 続いて、うめきた二期区域開発の債務負担行為について申し上げます。

 うめきた2期区域まちづくり方針では、開発区域16ヘクタール中、8ヘクタールを緑の空間として開発していくとされています。今回、その8ヘクタールのうち、4.4ヘクタールのみを、大阪市が都市公園として整備し、残りの空間は、民間開発事業者に任せる計画で、屋上緑化など建物と一体の緑を想定しており、地上の都市公園にはならないとのことです。うめきた2期区域まちづくりの目標として、「世界水準の都市空間を持つ国際都市に引き上げる」などのうたい文句にくらべ、実際のスケールが小さく、結局、開発事業者、土地所有者の利益を優先させたと案だといわざるを得ません。

 また、防災の観点からも、大震災を想定すれば、これまでうめきたは広域避難場所として避難可能人数20万人を想定していたものが、平成26年度大阪市地域防災計画では、避難可能人数が4万4千人となっています。昼間人口38万人の梅田界隈でできるだけ大規模な避難場所を整備することは、災害に強く命を守る町作りにつながります。府市の連携を発揮して、大阪市が都市公園を思い切って整備することこそ、市民の理解を得られるものではないでしょうか。

50年、100年先を見据え、8ヘクタールすべてを地上の公園にすべきだと申し上げます。

以上、補正予算に反対する討論といたします。