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市議団の実績

大阪戦略調整会議の設置条例に対する

せと議員の反対討論

せと一正市会議員

2015年6月10日

写真私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、議員提出議案第11号、大阪戦略調整会議の設置に関する条例案に、反対する討論を行います。

反対理由の第一は、条例の第2条で、「大阪会議は関西州実現への一助となることを目指すものとする」と明記しているからです。

関西州、すなわち道州制は、国の仕事を、外交、軍事、通商、司法などに限定し、社会保障や教育など国民の基本的な権利を守るという、憲法にうたわれた国の責任を投げ捨てることを目指すものです。国と地方の形については、都道府県をなくして全国を十程度に区分けして「道」「州」をおき、今約1700ある市町村を300程度の基礎自治体にしようというものです。

道州制が導入されれば、自治体は住民から遠くなり、国から地方への財政支出は削減され、福祉、教育など住民施策の水準の確保が危ぶまれます。さらに見過ごせないのは、道州制を主導してきた日本経団連など財界が、広域行政を担う道州にインフラ整備の大型開発へ財源を集中することを求めていることです。

道州制になったら、自治体が住民からますます遠くなる、住民施策の水準下がる、大型開発へ財源が集中されてしまう、これが道州制の「地方の形・仕組み」であり、これを目指すことを盛り込んだ条例には賛成できません。 

反対する第二の理由は、条例の第8条4項で、「会議の議事は、出席委員のうち本市に属する委員、大阪府に属する委員及び堺市に属する委員のそれぞれ過半数で決することを基本に会議において決める」としているからです。

 大阪戦略調整会議、大阪会議で協議される事項は、条例の第4条にあるとおり、二重行政の解消が行政課題となる事項の他に、成長戦略、産業振興、交通政策、環境政策、都市魅力、街づくり(拠点開発)などであります。これらは言うまでもなく第一義的には大阪府・大阪市・堺市の夫々の自治体において自主的・主体的に決めるべき重要施策です。その重要施策について、大阪会議という言わば各自治体の上にある会議体で決する、このこと自体、憲法でうたわれた地方自治の理念にもとるものだと言わなければなりません。

ちなみに、自民党・公明党のみなさんが国に働きかけて改正されたと承知している、地方自治法で設置が義務付けられた調整会議、この調整会議でも、いわゆる狭い意味での二重行政だけでなく、市と府の同一の施策、産業政策とか中小企業支援策なども協議の対象とすることができるとされています。しかし改正地方自治法の調整会議は、あくまで協議を調整するのであって、多数決で決めるとか、決定するなどということは全くありません。

従って戦略調整会議と地方自治法の調整会議は似て非なるものです。戦略調整会議は、戦略を調整するという名前で、戦略を決定し、次の第10条の規定と合わせて、戦略を自治体に押し付ける会議だということになりかねません。 

反対理由の第三は、第10条、「市長は、大阪会議で合意又は決定された事項については市会に必要な議案を提出し、その議決を求めるよう努めなければならない」とされている点です。

提案者は、これは義務規定ではなく努力規定だと説明しています。しかし、第8条4項の規定がある以上、この第10条は、大阪会議で決めたことの、緩やかではあれ、履行を求めていることになります。従って、これも地方自治の原則をないがしろにする恐れがあると言わなければなりません。 

以上、三つの反対理由を述べましたが、五月に行われた住民投票では、大阪市廃止・分割構想に反対した市民も、賛成した市民も、どうすれば、市民の意見が届く自治体ができるのか、どうしたら二度と大型開発の税金の無駄遣いをなくすことができるのか、福祉や暮らしをよくできるのか、こうしたことを基準にして「都構想」に賛成や反対をされたと私たちは考えます。

今回の大阪戦略調整会議の設置は、その市民の期待に答えるものになるのか疑問だと言うことも申し上げて反対討論といたします。