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市議団の実績

せと議員の吉村市長に対する一般質問と答弁(要旨)

せと一正市会議員

2016年1月15日

※1月15日の大阪市会本会議、一般質問でのせと一正議員の質疑と、吉村洋文市長の答弁を掲載します。この記録は、日本共産党大阪市会議員団事務局で作成したもので、正式な記録ではありませんのでご了承下さい。


せと議員がおこなった一般質問の主な質問項目

 (1)大阪都構想は断念すべきではないか

 (2)「二重行政」には具体的にどんな弊害があると考えているのか

 (3)副首都大阪でツインエンジン化すると言うがどんな絵を描いているのか

 (4)カジノは大阪経済にマイナスになるのではないか

 (5)統合型リゾートへのアクセス鉄道やなにわ筋線の建設などは、失敗した大型開発の政治ではないか

 (6)経済対策として大阪市は、国に正社員を増やすことや最賃引上げ等を求めるとともに、大阪市みずからは市民負担の軽減に努めるべきではないか

 (7)負担を増やし大阪経済も暮らしも悪くした橋下市政を改革と言えるのか

 (8)議会が二度否決した地下鉄・市バスの民営化は白紙に戻すべきではないか

 (9)民営化ではなく、バスの路線・本数、8号線延伸、可動式ホーム柵全駅設置、南海トラフ対策など市民の懸念を解決することが先決ではないか

 10職員アンケート調査事件への大阪高裁判決を受け、最高裁への上告を断念したことについて、吉村市長の認識を問う

@アンケート 22 問のうちの 5 問は憲法に違反するものであったと認めるか。

A憲法 99 条に立って、このような過ちを二度と繰り返さないと言明するか。


○せと一正議員 

 私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、吉村市長に市政運営の基本方針等について質問をいたします。

 まず「都構想」についてお聞きをいたします。

昨年12月の施政方針の中で「『都構想』の修正を訴えて、今回の選挙結果を得た。今後3年以内に設計図案を完成させ、任期中に住民投票を実施する」こう考えているという事を明らかにされました。

 しかしながら、朝日新聞12月24日付けの世論調査の「吉村大阪市長には、何に一番力を入れてほしいと思いますか」とこういう問いに対しての回答で1番多かったのは、景気・雇用対策の32%、次いで財政再建の20%であり、「大阪都構想」の実現は18%に過ぎないのであります。

 つまり、今度の選挙で示された民意というのは、閉塞した大阪の経済を建て直して欲しい、こういう事だったのではないでしょうか。

 しかも、「都構想」は昨年5月17日の住民投票で決着がついた事ではありませんか。市長は住民投票の結果を重く受け止めるとこう言われております。であるならば、潔く「都構想」は断念すべきではありませんか。

 

◆吉村洋文市長

 まず景気、雇用対策、それから財政再建、これまで一般質疑でもございましたがそういった所に積極的に取り組んでまいります。

 加えまして昨年の選挙の話がありましたが、私以外の候補者はこの「都構想」、完全に終了させるという訴えをされておられました。私は修正する議論を続けさせて欲しいと、3年かけてこの案を修正する案をつくらせて欲しいという事を訴えておりました。今回の選挙結果を得たと思っております。

 確かに前回の住民投票の結果、これを重く受け止めていますけれども、この選挙結果も踏まえてですね、市民のみなさん、それから各会派のみなさんと充分な議論をいたしまして、都構想の案をよりよいものにバージョンアップして、今後3年以内に新たな設計図案を完成させたいというふうに考えております。

そして私の任期中には修正された「都構想」の設計図案について住民投票を実施しまして、市民のみなさんに是非を問うてまいりたいと思っております。

 

○せと一正議員 

 吉村市長は前の選挙結果を受けて前に進めると答弁をされました。

しかし、府市両議会で否決されたものを強引な手法で住民投票に持ち込んだ上、膨大な税金をつぎ込んで作成した「都構想」の設計図が否決をされたわけであります。

 橋下前市長は、住民投票の前にどう言っていたのか。「ラストチャンスだ」「住民投票は法定の投票であり最高の民主主義だ。だから敗れたら絶対に二度と持ち出さない」このように言って、また投票の結果を受けまして、「間違っていた」と言われました。

 住民投票の結果を重く受け止めると言うのであれば、大阪市を廃止するという制度いじりはやめるべきだと申し上げておきます。

 また今市長は、市長選挙の結果民意を得たとこうおっしゃいました。けれども市長選挙は、「都構想」の是非に絞って争われたものではありません。

その一方で住民投票は、「都構想」を進めるか否か、賛成か反対かに絞って市民に民意を問うたものでありますから、民意の結果に従うのが民主主義だと、こう言うのであれば、「都構想」については住民投票の結果にこそ従うべきであります。これも申し添えておきます。

 

 次の質問に移ります。

 維新のみなさんは、府と市には二重行政がある。だから「都構想」が必要だと市民に宣伝をしました。こうした宣伝の影響で府と市の間にムダな二重行政があるかのように、言わば錯覚をしておられる市民のみなさんが少なからずおられることもこれは事実であります。また市長自身も所信表明の中で、長年にわたる府市の二重行政や二元行政の弊害、これが大阪の地盤沈下の一因であったとこう言っておられます。

我々は、ムダな二重行政はないとの立場でありますけれども、市長は、では具体的にどんな弊害があると考えているのか、改めてお聞きをいたします。

 

◆吉村洋文市長

 まず、大阪は東京とある意味2つのエンジンで日本経済を牽引できる高いポテンシャルを有しているというふうに思っております。

しかしながらですね、これまで広域機能を持つ大阪府と大阪市がこの狭い府域の中で、産業振興や施設の整備などの面で、大阪トータルのこの視点が十分でないまま、役割分担を明確にすることもなくそれぞれに施策を行ってきたため二元行政に陥り、二重行政を乱して、これが大阪の地盤沈下と東京への一極集中を招く一つの要因になってきたと私は考えております。

 二重行政にどんな弊害があるのかという事ですけれども、今この政令市と都道府県においてはですね、この二重行政をどうやって解消しようかというその知恵を絞っている、そんな時代にきております。

先日も静岡県ですね、静岡県版「都構想」というのを知事が出されたみたいですけれども、それに限らずですね、横浜もそうです。手法は違うにしてもこの二重行政をどのように解消していこうかというのは、これは現在の課題です。ですので、これにどんな弊害がありますかというのは、私はもう既に時代が違っている、まさにその指摘自体が、認識が大きく異なるのではないのかなというふうにおもっております。それをしっかり解消して、この大阪がこの西日本のもう一つの大きな軸になるような、そんな大阪を目指していきたいというふうに思っております。

 

○せと一正議員 

 他都市でもそんな動きがあるとか、あるいはそのそういうことを持ち出すこと自体認識が違うと、それは市長との認識は違います。

 しかし、今私が質問した所の、具体的にどんな弊害があるのか、全くお答えになっておられないではありませんか。

 病院であれ、図書館であれ、工業研究所であれ、その多くは大阪府が後から補完的に設置したものがほとんどであります。それらの利便施設は広く市民に利用されていて、市民の便益を大きくしているのでありまして、二重行政のそしりを受けるようなものではありません。ましてや、これらが大阪の地盤沈下と東京の一極集中を招いた要因の一つだなどとするのは、それこそまったく的はずれな議論だと申し上げなければなりません。

 また今市長は、主に二元行政の話をされたと思います。しかし大阪市と大阪府がWTCとりんくうタワービルの高さを競い合った結果、あんな無駄なビルが建ち大失敗して負の遺産となったと、これこそ二重行政の弊害だと維新のみなさんはよくおっしゃいます。

 しかしこれは、大阪府も大阪市も両方とも、当時の国の民間活力論という誤った政策の言いなりになって巨大開発を競った結果であります。府と市が二つあったせいではありません。二元行政をなくして大阪都に権限を一本化すると言うけれども、もしその司令塔が、政策を過つならば、もっと大規模な失敗に落ち込み、もっと大きな負担を抱え込むことになると、こう申し上げておきます。

 また今市長は、府と市の体制では、大阪全体を見渡した意思決定ができない等とも言われました。けれどもこれは、府と市で利害が相反するものは話し合いが付かない、付くはずがない、スピーディーな決定ができるはずがないというものでありまして、結局、理性的な話し合いで解決する事を否定する考え方だ、このように申し上げておきます。

 そしてこの二重行政の解消を掲げて、これから3年かけて「都構想」の修正案をつくるとか、バージョンアップするなどと言っておられますけれども、特別区の区割りや数、区名を変えることはあっても、「都構想」である以上、大阪市を廃止して特別区に分割する、大阪市の政令市としての権限と財源を大阪府に取り上げる。この根幹部分は、変えようがありません。もう一度、膨大な予算と労力を費やして、修正設計図案をつくるなどという愚はやめるよう改めて申し上げてこの質問は終わります。

 

 さて次に、副首都大阪についてお聞きをいたします。

 市長は、東京一極集中を排してツインエンジンたる副首都大阪の推進に力を尽くす旨表明をして、年末に第一回の副首都推進本部の会合を開きました。しかしながら、副首都とはいったいどういうものなのか。いくつかの中央省庁をもってくることで事足りるのか、これによる経済効果はどの程度なのか。何一つ、12月の本部の会合では示されなかったと言われております。

 そこでお聞きをしますけれども、市長自身は、副首都大阪によってツインエンジン化するという点で、いったい市長はどんな絵を描いておられるのでしょうか。

 

◆吉村洋文市長

  まず、前提の問題意識としてですね、この都市間競争というのが今これから都市に求められ、そしてそれに勝ち抜く必要があると思います。

 都市が豊かになっていく上でですね、この都市間競争にどうやって勝ち残っていくのか、それはその日本国内だけの話ではなくてですね、これは海を越えていくと思います。情報もすべて海をこえている状況の中で、そして教育についてもアジア、東南アジアでもレベルが上がってきている中で、この大阪という都市がどうやって成長していくのかというのをしっかり考えていく必要があると思っています。

 国にいつまでも頼るんじゃなくてですね、この都市として国をしっかりと引っ張っていくというような、そういった大阪の将来像を目指さなければならないというふうに思っております。その中でこの大阪というのは、この現時点で非常に大きなポテンシャルがあって、この日本においてももう一つのツインエンジンになるような、そんな都市になるというように考えております。

 でこの、そういった意味で、その大阪のポテンシャルを高めるためにこの副首都大阪というものについてですね、しっかりと有識者を交えて議論しようという事であります。これは今まで試みがなかった話です。そういった副首都大阪の中長期的なビジョンにとりくむ、そのために昨年の12月28日、府と共に副首都大阪推進本部これを設置しまして第一回目の会議を行いました。

 この大阪のポテンシャルを生かしてですね、このわが国の経済をしっかりと引っ張っていく。そして、非常時には首都機能のバックアップをはかっていく、広域的な大都市のインフラ整備、それから大規模災害に備えた防災力の強化、観光、モノ作り、様々な視点においてですね、この大阪が副首都にふさわしいあるべき姿、これ議論を始めたところであります。

 今後ですね、この副首都推進会議において、今年の秋を目途にですね、この一定程度のとりまとめをしたいというふうに思っております。

 

○せと一正議員 

 市長の都市を成長させたいという気持ちはわかるという答弁でしたけれども、しかし、副首都についてはほとんどなにも説明が無かったのではないでしょうか。全くはっきりいたしません。

 ポテンシャルがあると言われますけれども、そもそも東京と並ぶ二つのエンジン。しかし、人口も経済機能も比較にできないほど規模が違うのに、まるで東京と並ぶことができるかのように言うことは、一面、市民の皆さんに幻想を抱かすものとだと言わなければなりません。

 副首都構想について市民はどう見ているのでしょうか。1月11日のある新聞の投書欄に載った声を紹介しておきます。「府知事が副首都大阪の確立を訴えている。府民としてはそんなものいらん、もっと大事なことがあるはずと言いたい。今の大阪にはそんな力はない。残念だけれど」中略致しますけれども、「全国で人口が増加しているのは東京を中心とした首都圏が多い。大阪は減少だ。だから副首都なんて考える暇があったら、知事は人を育てる、出て行った産業に代わる新しい仕事をつくる、東京とは違う新しい暮らしを創造することに専念して欲しい」こう言っておられます。ずいぶん「まっとうな」ご意見ではないでしょうか。

 さらにもう一つ申し上げておけば、副首都推進本部のもう一つの狙いは、副首都というものに期待を抱かせつつ、「都構想」の議論を前に進めたい。そして、一連の施設の統合や民営化を進めたい、「都構想」を完成させたい、こういう事ではないのか。この点も指摘をしておきます。

 

 次の質問に移ります。

 大阪経済をいかにして立て直すかについてであります。

 吉村市長が施政方針で述べた成長戦略において、少し具体的なのは、インバウンドと言いますか外国人観光客を今以上に増やすために、統合型リゾート・IRをもってくるとか、なにわ筋線建設をするなどであります。特にカジノを核とするIRが観光客誘致の決め手であるかのように言っておられます。

 しかしながら、シンガポールとマカオに加え、去年韓国済州島にも大きなカジノがオープンし、果たしてアジア諸国から夢洲に来るのかどうか甚だ疑問であります。

 日本にカジノを建設する狙いは何かと言えば結局、1600兆円と言われる日本国内の家計資産・貯蓄であります。実はこれが大方の識者の見方であります。

 現に、大阪商業大学にアミューズメント研究会というのがあります。この研究会は、大阪のカジノのターゲットにつきまして、夢洲周辺60q圏内の日本人成人1550万人がいるけれども、その内で年間91万人がカジノに来て1人4万円つぎ込む、スッテしまうわけですね。こういう試算を明らかにしています。これは約4百億円程であります。

 これでは大阪周辺の住民にギャンブル依存症をまき散らすということだけでなくて、消費者が持っておられる資産がカジノに消えてなくなることになって、結果、大阪経済にプラスどころかマイナスになるのではありませんか。ご答弁下さい。

 

◆吉村洋文市長

 統合型リゾート、IRについて少し誤解をされていようでございます。シンガポール型のですねIRについても一度検討いただきたいというふうに思っております。この民間主導、まさに民間主導による統合型リゾートの大阪への立地、これについては大阪、それから関西経済、それの起爆剤になるというように思っております。

 単にですね、カジノという施設に賛成か反対かというような議論で片付ける話ではないと思っておりまして、その統合型リゾート、まさにですね、その大阪のこの経済といかにこの融合させていくのかという事、それからその統合型リゾートですから、MICEなどのビジネス客や国際的なエンターテイメント施設などの観光客も含めてですね、新たな需要の掘り起こし、そして大きな経済効果、雇用創出効果、これも期待できるものであります。

 昨年7月に発表されました、オックスフォード・エコノミクスのレポートによっても、大阪にIRが開設された場合の経済効果は年間で8000億円、それから直接・間接の雇用の創出は、77500人、また例えばですね、食料品、清掃、施設メンテナンスなどの物品、サービスに関しての地元企業への発注は、年間1500億円というふうに試算されておりまして、このIRの大阪への立地によって中小企業を含めた大阪経済の活性化にも資するというふうに考えております。

 その一方でですね、カジノ開設に伴って、ギャンブル依存症が増えるといった懸念事項については、これはしっかりとセーフティネットの構築が重要な課題であるというように認識しておりまして、本市としても情報収集に努めて国や府との連携しながらこれを検討進めていきたいというふうに考えております。

 

○せと一正議員 

 IRがカジノだけではなくて、周りに商業施設、会議室、国際会議室など様々なものを備えている、これは私も実は承知をしております、市長。しかし、どこのIRでもですね、カジノなしのIRなんてあり得ないんです。そして周りの施設というのはカジノの利用者が利用するとそういうことが想定されております。今、市長は、その他の集客施設に人が集まる。あるいは、雇用を生む、雇用効果がある。周辺の地域の中小企業への発注もあるとかいろいろお答えになりました。しかし、私が質問をした、カジノに消えるお金、それが消費に回らないのではないかと、これに対するまともな答弁にはなっておらなかったのではないでしょうか。私が言いたいのは、日本人消費者がカジノのターゲットにされるということであります。

 もう一つ、アメリカの投資銀行CLSのレポートを紹介します。これは、ちょっと人を食ったような表題ですけれど「天から円が降ってくる」というこういう表題でありまして、日本のカジノ合法化で年間400億ドルのカジノ市場が日本で生まれると、こうしているその根拠でありますけど、もっぱら日本のGDPの大きさであり、GDP比でギャンブル支出や遊興費の支出を計算し、あるいは現に巨大な規模を誇っているパチンコ市場の存在をあげております。

 つまり、いくらカジノ以外の経済効果があると言っても、大局的に見ればそれ以上に失われるものが大きくて、大阪経済にとってはむしろマイナスになる、再度この点ではこう申し上げておきます。

 

 さて、IRを夢洲に建設するには、鉄道アクセスとして、北ルートで言えば、JR桜島線延伸に1700億円。南ルート・地下鉄4号線の延伸で言えば540億円。この二つのルートだけでも都合2240億円であります。これはカジノのための膨大な投資であります。

 また吉村市長は、なにわ筋線にも、梅田から関空までたったの5分だけ短縮するために2000億円を超す巨費を投じる、これも着実に進めると施政方針で言われました。市長は今度の選挙で「過去に戻すのか、それとも前に進めるのか」とこう問うたと言われましたけれども、これらこそ、大型公共投資を積み上げれば経済がよくなる式の過去の失敗した政治そのものではありませんでしょうか。

 

◆吉村洋文市長

  大阪がこの東西二局の一つとしてですね、我が国の発展を牽引すると。世界の都市間競争に打ち勝つという為には、民間主導で国内外から人材だったり投資だったり、これを積極的に呼び込む都市をめざしていくことが大切と思っております。

 うめきた、であったり、中之島などの都心部の再生、夢洲を始めとする臨海部の開発、民間の投資やノウハウを引き出して大阪の成長に資する開発の誘導に取り組んでいかなければならないと思っています。

 そのためには、都心部と関西国際空港や国土軸、臨海部とのアクセス強化など、都市の骨格形成に資する交通基盤が必要であると考えております。 

 統合型リゾートへの鉄道アクセスについては、今後関連する国の制度設計の状況を見据える必要がありますが、基本的にはIR事業者に負担を求めるべきものであるというふうに考えております。

 また、なにわ筋線は都心部の民間開発プロジェクトの促進につながるだけじゃなくて、急増するインバウンドのさらなる拡大が見込まれる中で、関西国際空港との時間短縮や定時性の確保、都市鉄道ネットワークの充実にも寄与するものでもありまして、早期整備を目指して取り組んで行きたいと思っております。

 こうした交通基盤整備、これを着実に進めて民間投資を促進して、大阪の経済を活性化させる事によって、豊かな大阪の実現に努めていきたいというふうに思っております。

 

○せと一正議員 

 選挙で過去に戻すなとあれほど言っていたのに、過去への反省がまったく見られない答弁だったとこう言わなければなりません。

 私は、これからは人口減少の時代、真の豊かさが求められる時代でありまして、大型開発一辺倒ではなくて、福祉や教育、暮らしの向上、それらに資する街づくりこそ、21世紀の大阪市に求められているのではないか、こう申し上げておきます。

 

 さて、大型公共投資をいくら繰り返しても経済はよくなりません。大阪の経済をよくするには、第一に市民各層のフトコロをあたためて冷え込んだ個人消費の拡大をはかることが肝要であります。

今や非正規雇用の割合は4割、そして大阪市としては、正社員があたりまえの社会にするための労働法制の改正、最低賃金の大幅な引き上げ等、国に求めると共に、一方、大阪市自らとしては市民負担の軽減に努め、そして子どもからお年寄りまで誰もが安心して住み続けられる街をつくる、このことが今求められているのではありませんか。

 

◆吉村洋文市長

 まず国においてですね、昨年6月に閣議決定されました、日本再興戦略において、非正規雇用労働者の正社員転換等をすすめる事というようにされておりまして、また経済財政諮問会議では、一億総活躍社会の実現を目指して最低賃金等の引き上げを通じた消費の喚起を行うといった方向性が示されておりまして、こうした国の動向を注視しながらですね、適時国への働きかけも行っていきたいと思っております。

 また本市としても、この大阪経済が持続的な成長を遂げるためには、その担い手となるこの若い世代の生活基盤を安定させて、豊かな生活を営めるようにしていく事が重要であると認識しております。より多くの若者が安定した仕事について、継続して就労出来る様に取り組んでいきたいと思っています。

 これまでの政策の大きな方向としては、雇用の量を増やすというような方向がありましたが、この景気が徐々にですが上がっていく中で、これからはその雇用の質というかその継続性、安定性、そういったことも大切だろうというふうに思っておりますので、そういったことからこの正社員をしっかりと安定的に仕事に就けるように、そういった方向性で施策を進めて行きたいというふうに思っております。

 

○せと一正議員 

 今の答弁の中で少し不十分であった市民の負担の軽減について次にお聞きをいたします。

 今度の選挙で市長はじめ維新の皆さんは、維新政治の8年間で大阪の経済は確実に成長したとこう吹聴いたしました。ところが、大阪の経済の主な指標は何れも全国平均を超えて落ち込んでおります。「家計消費支出」は2007年を100として2012年は、全国平均マイナス4.3%、であるのになんと大阪府はマイナス10%、「雇用者報酬」は全国がマイナス5.5%であるのに大阪はマイナス8.8%、「県民総生産」は全国がマイナス6.1%、大阪府はマイナス6.8%であります。これらは何れも内閣府や総務省が発表した数字であります。

 外国人観光、旅行客は確かに増えてはおります。けれどもこれもですね、2014年の外国人延べ宿泊数は大阪620万人で東京1300万人。また、2011年からの伸び率で言えば、大阪は2.5倍。しかし、京都は3.41倍、奈良は2.8倍、和歌山2.8倍と比べ、つまり周辺の近畿府県より低いのが実態であります。

 維新の府政・市政の下で、大阪の経済も府民の暮らしも、ともに全国以上にひどい落ち込みを呈しています。その上、この4年間を見ても「市政改革プラン」を策定して、国民健康保険料や介護保険料の値上げ、新婚家賃補助制度の廃止、上下水道料金減免の廃止、敬老パスの有料化、市バス路線本数のカット、文化地域団体等への補助金カットと枚挙にいとまがない程、市民の暮しを破壊し、3年間で469億円もの予算を削減して市民に負担を押し付けてきたのが橋下市政ではありませんか。

 吉村市長はこの橋下改革を天まで持ち上げているけれども、大阪の経済も市民の暮しも良くなっていません。つまるところ市民にとっては改革の名に値しないという事ではないでしょうか。

 

◆吉村洋文市長

  まずこの大阪の経済ですけれども、経済の指標、例えばその有効求人倍率も述べておりますし、そこのポイントをどこに取るのかという事で変わってくるかと思っています。大きな意味でも、大阪の経済の動きによればですね、平成24年は足踏み状態というような評価でございますが、平成27年は緩やかな回復基調が続いている、これ様々な指標を判断したうえでというふうになっております。

 あのう、経済が確実にこれ上向いているとの楽観的な感じは持っておらずですね、大阪の経済をどうやって活性化していくかということは私もこの一般質問でもお答えしていますが、これをしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

 それからそれと市政改革とは別の話でありまして、この市政改革については、前市長は本当にしっかり取り組んでこられたというように思っております。

 まず、この前市長の元でですね、当初、今後10年間、約500億円の単年度の通常収支不足が見込まれるといった非常に厳しい財政状況から始まったわけですが、この前市長のマネジメントの元でこの政策の優先順位、これも明らかにしながら施策事業をゼロベースで点検・精査して、真に必要なサービスをしっかりと提供していくという考えで、他都市の水準に比べて過大になっているサービスを見直すといったことも含めてですね、成果を意識した行財政運営、これ推進してこられたというように思っております。

 そうした改革の取り組みで、通常収支不足の改善、それから市債残高の縮減、これは数字として着実に出ております。これは将来の世代、将来負担を減らしているという意味でこれ非常に大切な事だろうというふうに思っております。

 ただ、現時点においてでもですね、まだその通常収支不足が当面200億円から300億円見込まれるという事からですね、今後もこれまでのこの改革を継承しながら、市民の安心・安全を支える、しっかりとした安定した財政基盤を構築して市民感覚をもって市政改革、これを推進していきたいというように思っております。

 

○せと一正議員 

 市長は、市政改革と大阪の経済は何か無関係のような事を言われました。

けれど、市民の負担が市政改革プランによって460億円近く増えたということは、結局、その分市民が一般の自らの生活のくらしの消費に回すお金が少なくなったということでありまして、これはやっぱり大阪の経済にマイナスの効果を与えたと言わなければならないということを申しあげておきます。

 また、市長はよく限られた財源の中で現役世代への重点投資をしてきたとこう言われて、学校給食やクーラー設置、子どもの医療費助成拡大、こういったことなどをあげておられますのでこの際申しあげておきます。

これらは、何れも私たち日本共産党が早くから議会で要求し、また市民のみなさんが長年住民運動で要求し続けてきたものでありまして、そうしてこれらを求める世論が大きくなり無視できなくなって、橋下徹氏が実は市長になられるその前から、大阪市として順次拡大してきたものであります。

 また、もう一つは橋下前市長で言えばですね、現役世代重視と言いながら、新婚さん家賃補助制度の廃止、保育料の軽減措置の改悪、市立幼稚園保育料の大幅値上げ、公立幼稚園や保育所の廃止・統合などを行っております。これらは現役世代への重点投資どころか、負担を増やすものであります。

 また、今市長は、厳しい財政状況であったことから他都市の水準に比べて過大な市民サービスを見直したというような意味のことを言われました。しかしそれは、他都市の低い水準に合わせるべきだという議論であって、そんなことでは大阪市の良さがなくなるではありませんか。財源で言えば、基金などを活用すれば、現役世代だけではなく、子どもさんから高齢者まですべての世代の市民サービスを拡充させることができるはずだ、こう申し上げておきます。

 

 さて、地下鉄・市バスの民営化についてお聞きをいたします。

 市長は橋下市政でできなかったことについて、修正するところは修正して前に進めるとこうした上で、同時に市長と議会という二元代表制の下では議会の同意がない限り前に進めないとこういたしまして、議会とは是々非々の議論の中で一致点を見いだしていく考えである、こういった事を明らかにされております。

 しかしそうであるならば、地下鉄・バスの民営化、大学の統合等について、これは早い段階で議論して次のステップに進めたいというのはおかしいのではありませんか。

 特に地下鉄・バスの民営化については、議会は5回の継続審議を経て2回にわたって否決をしております。まさにこれが二元代表制の下での議会の意思であります。

 市長としてはこれを重く受け止めて、地下鉄・バスの民営化についてはいったん白紙に戻して一から議論をし直すべきではありませんか。お尋ねいたします。

 

◆吉村洋文市長

 この地下鉄・バス事業の民営化についてはですね、これまで3年間に渡って議会において議論を重ねていただいてきたところであると思っています。一定程度の議論は重なってきているのかなというふうに思っております。

 また、昨年の11月の選挙においてもですね、この地下鉄・バスの民営化について、これ白紙に戻すというような主要な候補者はいなかったと思っております。私自身はこの民営化について前向きに進めていきたい。そういった議論の流れになっているのかなというように思っております。

 加えてですね、これまでのアンケート結果でも、市民、お客様の多くはこの民営化を支持されておられます。この廃止条例案の否決に際して指摘された課題を解決するというために、この議会の議論を尊重してですね、昨年10月には、いわゆる民営化の手続き条例が可決されたところでありまして、私も地下鉄の民営化はこの大阪の将来にとって必要な改革だろうというように思っていますので、これを不退転の覚悟で、このメリットの多い民営化、これを進めていきたいというふうに考えております。

 

○せと一正議員 

 市長は今、3年間議論してきた、議論が終了していると。そして去年の10月にいわゆる手続条例が成立したことをもって前に進めたいとこう申されましたので、改めて申しあげておきます。

 この手続条例が議会で審議をされた9月の交通水道委員会で理事者はどう言っているのか、「手続き条例は民営化の意思決定をするものではありません」とこう明確に答弁をしております。議会は手続き条例を決めたからといって地下鉄・市バスを民営化するとの意思決定は一度もしておりません。手続条例ができたから民営化を進めたいというのは、いわば議会の意思を否定するものだ、二元代表制を否定するものだとこう申しあげておきます。

 

 さて、そもそもの地下鉄・市バスの民営化論でありますが、やっぱり、地下鉄の乗客が減り続けて経営危機に陥るとされていた見通しが、今や3年連続で乗客は増えているし、しかも毎年300億円超、目標としていた経常利益率の15%を達成しております。つまり民営化しなければならない前提そのものが今崩れているのであります。

 しかも民営化ありきということで、バスについては路線も本数も次々にカットされて、今元に戻してほしいとの市民の声が渦巻いているにもかかわらず、削られた今の路線が守られる何の保証もありません。

 それに、全会一致で延伸決議をした地下鉄8号線は、民営化によっていったいどうなるのか、可動式ホーム柵の全駅設置や南海トラフ地震・津波対策など、安全安心の地下鉄づくりはどうなるのか等々多くの市民が危惧している事は全く解消しておりません。

 民営化ありきで事を急ぐのではなくて、ここは市民や議会のあるところしっかりくみ取って、その懸念の解消に努めることこそ先決ではないでしょうか。お尋ねをいたします。

 

◆吉村洋文市長

  ご指摘のバスのサービスの点であったり、8号線、それから可動式ホームでしたかね、について、これまで議会の議論においても様々焦点になってきたところであると思っています。

 その交通局においては市民、あるいはそのお客様の民営化に対する不安を払拭するためにですね、丁寧な説明に努めて様々な施策に取り組んできているというのはご存じの通りかと思います。国鉄をはじめとした他の民営化事例や平成23年度までの交通局の先ほどおっしゃった経営状況、また他の公営交通の受け入れ状況を見ますと、民営化によってですね、さらに経営力を強化できるということは明らかだと思っていまして、一層の施策の充実を図ることで市民、それからお客さんの期待に応えていくべきというふうに思っております。

 

○せと一正議員

  今、市長は議会のそういう懸念があることは承知していると、そして、その懸念は民営化によって経営力をアップすることで解消できるというようなご答弁がありました。そしてその懸念の解消のために議会と対話を重ねていくと、こういうことだろうと思います。

  しかし、私が申しあげたいのは、もし地下鉄を民営化するなら、この市民の足を守るといううえでは解消することができない大きな問題がありますよと。

 つまり、地下鉄の民営化についてですが、完全民営化、すなわち株式を上場する、このことは地下鉄が完全に大阪市の手から離れることになりますし、いわば、地下鉄の利潤を機関投資家等に譲渡するということになりますので論外であります。

 けれども同時に、100%大阪市が株式を握っている段階であったとしても、バスへの経営支援、これができなくなります。これは株式会社ですから、なかなかそういうことができなくなる、つまり市民の足が確保できなくなる、この点は解消できないんです。

 だから私たちは、断固反対だということをあえて再度申し上げておきたいと思っております。

 

 最後の質問は、橋下前市長が行った職員アンケート調査についての質問であります。

 前橋下市長が、消防と教育委員会を除くすべての大阪市職員3万人に対して行ったアンケート調査について、12月16日に大阪高裁は、22問のうち5問は、憲法が保障する団結権、プライバシー権、政治活動の自由を侵害するものであったと認める判決を下しました。

 これに対して橋下前市長は、任期の終わる前日の18日の記者会見で、最高裁には上告しないことを決定し、損害賠償金を受け入れることにしたと発表いたしました。

 橋下前市長は、これまで議会では一貫して憲法違反ではないと繰り返し言ってこられましたけれども、高裁判決が出てようやく憲法違反だったということを認めざるを得なくなった、このことは重大であります。

 そこで吉村市長にお聞きします。

 1点目は、吉村市長自身、橋下前市長がおこなったこの職員アンケートの中の6項目、これは憲法に違反するものであったとあなた自身お認めになるのか。

 2点目は、憲法99条、これは、天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う、としております。あなたは大阪市長としてこの憲法99条の立場に立って、憲法を侵すこのような過ちを二度と繰り返さない、こう言明をされるのかどうか、2点明確にお答え下さい。

 

◆吉村洋文市長

  まず、労使のアンケート調査については、この不適切な労使関係の実態解明を行うべく平成24年2月に本市第三者調査チームが本市職員を対象に実施したものであります。 本アンケート調査に対して、職員及び本市の労働組合から、思想信条の自由、プライバシー権、政治活動の自由及び組合員としての団結権を侵害されたとして平成24年4月に損害賠償請求訴訟を提起されました。

 地裁判決に引き続き高裁判決においても本市の主張が認められず、本件アンケートの違法性が認められ、22問の質問項目の内5項目について職員等のプライバシー権、団結権、及び政治活動の自由を侵害する違法な内容であったといえるという判断をされました。

 私自身も元々この法律の世界の出身でございますので、この高等裁判所の判断というのは尊重したいというように思っております。前市長もですね、高裁判決を真摯に受けとめ上告しないという判断をして、判決結果を受け入れました。私も前市長の判断、これを尊重したいというように思っております。

 今後、市長としてですね、健全な労使関係の構築に向けて、関係法令を遵守しながら取り組んでいきたいと思っております。

 

○せと一正議員

 今、吉村市長からは、前市長は高裁判決を真摯に受けとめて上告しない判断をし、判決結果を受け入れたと、私としてもその判断を尊重したい、こういうふうに言われました。

 では、お聞きをいたしますが、吉村市長もあのアンケートの調査項目については、憲法違反だったということを認めることになりますけども、認めますか。

 

◆吉村洋文市長

  私自身がその憲法の適合性を判断するという事ではなくてですね、私が申しあげたのはその高裁の憲法違憲性の判断をする裁判所がそういった判断をしたこと、それを尊重したいというふうに申しあげております。

 憲法99条については、これ憲法尊重擁護義務、これ公務員に課せられているものでございますので、この場にいるすべての者が憲法を守らなければならないというのは当然であるというふうに思っております。

 

○せと一正議員

 私は、吉村市長がなぜ、その高裁判決を、その橋下市長の、前市長のことを尊重するということは繰り返し言われるんだけれども、憲法違反だったということはなかなか自らの口では言われない、とこういうことなんであります。

 しかしですね、実は要するに、何をその受諾したのかということが大事でありまして、実は被害者が訴えているのは、単なる損害賠償ではなくて国家賠償法に基づく損害賠償、国家賠償法でありますから、国家権力や行政権力が侵す過ち、そして被害者はこれによって憲法で保障された団結権などですね、この権利が侵されたその被害を認めてほしいということを裁判所に訴えて、この裁判所が国家賠償法に基づく損害賠償を命じた、そしてこれを引き受けた、受諾したわけでありますから、これは市長が口になさらなくても憲法違反だということを受け入れざるを得なかった、これははっきりしているというふうに申しあげておきたいと思います。

 また、憲法99条について、これを守るのは当たり前だ。それはそうであります。

 しかし、私が聞いたのはその憲法99条に基づいて憲法を守らなければならない前市長が過ちを侵したと。だからあなたはああいう過ちは絶対に侵さないと言えるのかということを聞いたわけでありまして、これについては、引き続き、吉村市長の姿勢を質していきたいというふうに思っております。

 

 さて結びといたしまして、吉村市長におかれましては、歴史と伝統のある大阪市の市長として、270万市民、子どもからお年寄りまで誰もが安心して住み続けられる街づくりの推進にこれから尽力をされるよう、再度お願いをしたい。

 なによりも、統治機構の改変ではなくて、施策の中身を市民本位に転換するべき事を強く求めておきたい。さらに、二元代表制を根本に置いて市政を前に進められるよう求めて私の質問を終わります。

ご清聴ありがとうございました。