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市議団の実績

バス民営化基本方針案

ならびに経営健全化計画案に対する

山中議員の反対討論

山中智子市会議員

2016年3月29日

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第104号、105号、大阪市自動車運送事業の引き継ぎに関する基本方針案、すなわち、民営化基本方針案、ならびに経営健全化計画案に反対の討論を行います。

 バス事業は、昭和2年、阿倍野橋 ― 平野間 開業以来、民営バスを買収するなど、事業の拡大をはかりつつ、市民の身近な足として、あるいは、地下鉄との一体的な交通ネットワークの担い手として、大阪の住みよく明るい街づくりに貢献してまいりました。

 このバスの果たすべき役割は、高齢社会の一層の進展の下、ますます強く大きくなりこそすれ、いささかも、減ずるものではありません。

 ところが、民営化ありきの吉村市長、ならびに交通当局は、こともあろうに、バス事業とは全く無縁な土地信託事業=オスカードリームの失敗をテコに、その90年もの歴史に、強引に幕をおろそうとしているのです。断じて容認することはできません。

 以下、具体的に指摘いたします。

 確かに、バス事業は、経営面においては、交通渋滞によるバス離れがあったり、地下鉄に乗客が移行したりと、厳しい苦難の連続であったかと思います。

 しかしながら、その果たすべき役割の大きさに鑑み、昭和40年代、50年代には、第一次、第二次の再建計画のなかで、地下鉄からの応分の支援もありましたけれども、まだ地下鉄も厳しい時代ですから、主として、一般会計から毎年多額の繰り入れを行い、市民にとってかけがえのないバスを支えて来たわけです。

 それが、昭和60年代、そして平成の時代になると、ムダな大型開発の失敗によって、一般会計などが厳しくなるなか、今度は、逆に、地下鉄が利益を積み上げられるようになりました。そうして、平成20年度、21年度の都合106億円の地下鉄からの出資につづいて、平成22年度には、毎年30億円、地下鉄からバスへの繰り入れを行うなどを内容とする、アクションプランを策定しました。

 地下鉄網の整備に伴って、バスのドル箱が失われたこと、そしてなによりも、バス・地下鉄一体のネットワークの中で、バスが地下鉄を補完する機能を持っていることに着目した、地下鉄からのバス支援が、アクションプランという形で実を結んだのです。

 ところが、橋下前市長の民営化方針の下、突然、何の根拠も示されないまま、平成23年度をもって、この地下鉄からの繰り入れが打ち切られてしまったわけです。

 以後、次々と路線も便数もカットされるようになったことは周知の通りです。

 そんな矢先、生じたのが、オスカードリームの実に283億円もの巨額にのぼる和解金の支払いです。

 オール大阪、オール交通局で進めた土地信託事業の失敗の責任を、理不尽にも、交通局は、すべてバスに押し付けたのです。

 中津、守口、住吉などの営業所を地下鉄に有償所管替えさせた上、不足する160億円を地下鉄からの返済期間1年以内の一時貸付にして、元より返済できるはずがないので、無理矢理4年以内につぶしてしまう、ということです。

 こんな反市民的なやり方があるでしょうか。

 今、交通局は口を開けば、バスは破綻している、破綻していると言いますが、しかしながら、この間、バス事業は、路線カットや給与カットをしているとは言え、インバウンドや燃料安にも助けられて、平成25年度4億円、26年度10億円に続いて、今年度も10億円の経常利益が出る見込みとなっています。

 昭和58年度から30年間、ずっと経常赤字を記録して来たバス事業が、3年連続経常利益を出すことになるわけです。28年度も引き続き、乗客収入が伸びることが予測されています。この面からも、民営化はすべきではないと強く申しあげたいと思います。

 問題は、160億円の一時借入金ですが、交通局は言うに事欠いて、地下鉄の経営責任論なるものまで持ち出して、この解消をはかることを拒否しています。しかし、地下鉄は市民の税金と乗車料金で築いた市民の財産です。地下鉄の経営責任、それはまさに、市民、利用者に負っているのです。同じくバスも市民にとってかけがえのないものです。そのバスの破たんを避けるために、地下鉄が支援をする、当然ではありませんか。

この160億円については、長期貸付にするなり、出資金にするなりすればいいのです。そうすれば、経営健全化計画など出す必要はありません。自明のことです。

 そして、民営化をやめれば、75億円から100億円にのぼる退職金や、69億円の企業債の償還等の支出が不要となり、わずかに残った井高野、酉島など4営業所やバス車両530両は売却する必要もなくなります。

 その上、当然ながら、一般会計と地下鉄からの出資金、貸付金はき損されず、八方丸く治まるというものではありませんか。

 それに、交通局は、現在の路線、便数を、民営化後、少なくとも10年は守るとしていますが、前段に「原則として」などという文言が入っていることに加え、札幌、呉など、過去のあまたの民営化事例が示す通り、何らの保証にもなりえません。

 以上、両案には全く道理がありませんので、到底、賛成できないと重ねて強くしあげ、反対討論といたします。