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市議団の実績

市立環境科学研究所と府立公衆衛生研究所の

統合に反対する井上議員の討論

井上ひろし市会議員

2016年3月29日

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第100号「大阪市立環境科学研究所を廃止する条例案」、議案第101号「独立行政法人大阪健康安全基盤研究所への職員の引継ぎに関する条例案」、および議案第166号「大阪市立環境科学研究センター条例案」に反対する討論を行います。この間、議案第166号が急きょ追加提案され、さらにこの追加提案された条例案に一部修正が加えられ再提案されました。幾度も繰り返された議論を通じ浮き彫りになった、条例案の欠陥と根本矛盾を覆い隠さんがための、必至の工作劇がこのわずかな間に「ドタバタ」と展開されましたが、いくら様々な言葉を継ぎはぎしてごまかそうとしても、事の本質は何ら変わっていないのであります。以下、具体に反対理由を述べます。

 まず、反対理由の第一は、市立環境科学研究所と府立公衆衛生研究所の統合・独立行政法人化によって、市立環境科学研究センターには公権力の行使が及ぶ一方、独法化する大阪健康安全基盤研究所には公権力を行使できないという点です。

 つまり、本市直営として残す環境科学研究センターに対しては、市民の代表たる市長が直接、指示・命令することができますが、独法施設に対しては、市長も知事も直接、指示・命令ができないのであります。
 そもそも、地方独立行政法人法第2条には、「地方公共団体自身が直接実施する必要のないものを効率的・効果的に行う」と定義されており、責任を負うべき公衆衛生に、行政が直接責任を持てなくなるという重大な欠陥が根本にあるのです。

 第二に、環科研・公衛研が蓄積してきた、技術やノウハウが継承されないという点です。独法化によって、これまで本市の各部局が環科研に委託していた検査も、民間や財団など原則どこへ依頼してもいいことになり、日常的な検査等も入札によりコストの安いところへ委託するのが一般的になるのは必然です。

調査研究・健康危機事象へ対応する技術やノウハウは、日常の検査の蓄積の上にあるのであり、効率性や自主性を追及しなければならない独立行政法人では、生命と安全を守る責務を果たせないのであります。

 第三に、運営費の増額はおろか、現水準の維持さえ困難になり機能が確実に後退するという点です。

 理事者は、独法化の目的は「コストの削減ではない」と繰り返しますが、それなら直営で続ければ良いではありませんか。独法化されて以降、直営の時よりも運営費が増えたなどという事例は、どこを探しても見つかりません。現に、独法化を目指す中で人も予算も減らし続けているではありませんか。

 以上、3つの点で反対理由を申し上げましたが、市民の生命と安全に関わる公衆衛生行政に、歴史的な汚点を残す、市民不在の「制度いじりの大改悪」に対し、満身の怒りを込めて反対を表明し、討論とします。