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統合型リゾート誘致断念を 大阪市議会 井上市議が一般質問 井上議員の一般質問と吉村市長の答弁[要旨] |
井上ひろし市会議員 2016年10月26日 |
統合型リゾート誘致断念を/大阪市議会 井上市議が一般質問(2016年10月29日付しんぶん赤旗) 井上議員は、万博とカジノを中核とした統合型リゾート(IR)の誘致計画について、「万博計画の本市負担は、会場建設費200億円に加え、鉄道整備費はじめ関連事業費が730億円、埋め立て工事の前倒しなど合わせて都合1000億円にものぼる」と指摘。「巨大開発失敗の過去の経験に学び万博は誘致計画を変更し、IR誘致計画は断念すべきだ」とただしました。吉村市長は「大きな観光拠点を誘致したい」と強弁。井上議員は「『副首都』構想の狙いは、万博を利用し、IRの誘致をテコにした巨大開発の推進に他ならない。ムダな巨大開発はやめ、市民のくらしを守ることに税金を振り向けるべきだ」と批判しました。 井上議員は、地下鉄民営化と可動式ホーム柵などの安全対策について、「地下鉄新会社の建設改良計画には、可動式ホーム柵の事業費を全く見込んでいない。民営化すれば設置できないと認めるべきだ」と主張したのに、吉村市長は、「民営化にかかわらず、設置を検討していくことは必要」と答えるにとどまりました。 井上議員は、民営化を前提にして可動式ホーム柵の設置を止めたと指摘し、「美辞麗句を並べても計画の中に盛り込まれていない以上、『設置できる。検討を進める』というのは脆弁(きべん)でしかない」と批判しました。 また、井上議員は、昨年5月の住民投票の結果を真摯(しんし)に受け止め、都構想ありきで市民に二者択一を迫る「制度いじり」はやめるべきだと主張し、敬老パスの負担軽減、保育所待機児童の解消、就学援助制度の所得基準の見直しを迫りました。 (2016年10月29日付しんぶん赤旗) ※下記の記録は、10月26日の大阪市会本会議、一般質問での井上ひろし議員の質疑と、吉村洋文市長の答弁です。この記録は、日本共産党大阪市会議員団事務局で作成したもので、正式な記録ではありませんのでご了承下さい。 1.万博・IRの誘致計画について @万博・IRの誘致を進めるとして、巨大開発に着手しようとしているが、本市財政への影響をどのように考えているのか。 2.都市内分権について @昨年5月の住民投票の結果を真摯に受け止め、「都構想」ありきで市民に二者択一を迫るような「制度いじり」はやめるべきではないか。 A地方自治法に基づいた地域協議会を活用し、区民の意見が市政に反映される仕組みをつくるなど、今の「行政区」において都市内分権を進めるべきではないか。 3.地下鉄民営化について A全国で駅ホームからの転落事故が相次ぐ中、平成31年度までの御堂筋線全駅への可動式ホーム柵の設置を計画どおり進めるべきだが、民営化すれば可動式ホーム柵の設置は進まないのではないか。 4.市民の福祉、教育について @敬老パスについて、まずは1回乗車ごとの50円負担を廃止すべきではないか。 A保育所への入所待機児童の解消に、どのように取り組むのか。また、他都市より著しく低い本市保育士の賃金水準の改善に、どのように取り組むのか。 B就学援助制度の認定要件のひとつである所得基準は、全国最低水準であり、速やかに所得基準を見直すべきではないか。 ●井上議員 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表いたしまして、吉村市長に質問をさせていただきます。 @万博・IRの誘致を進めるとして、巨大開発に着手しようとしているが、本市財政への影響をどのように考えているのか。 大阪府が発表した万博の基本構想素案では、会場建設費が低く見積もっても1200億円とされており、その内本市の負担が200億円、それに加え鉄道整備費をはじめとする関連事業費が730億円プラスアルファとされ、埋め立て工事の前倒しもあって、800億円は下らないとの推計が出されております。ごく一部国費が入るものの、都合1000億円にも上る巨大プロジェクトであります。府・市の現在の財政状況や、あるいは府民・市民のくらしの実態からして、果たしてこれだけ負担することができるのか。まず、本市財政への影響について、市長はどのようにお考えなのか、ご答弁を求めます。
◆吉村市長 まず、万博及びIRの候補地であります夢州においてですが、国際観光拠点の形成を目指しています。その中でまず、統合型リゾート(IR)についてですが、これはあくまでも民間事業として、民間投資による開発が行われるものであります。結果ですね、建設時の大きな経済効果のみならず、開業後におきましても、雇用の創出、それから地元企業への発注、経済効果、この継続的な経済効果としては、同友会で発表しているだけでも、試算ですけれども、年間7000億円というような試算も発表されています。それ以外に当然のことながら、本市への税収増と、それを医療・教育・福祉といった住民サービス、さらには都市の成長にも回していくことができるというふうに考えております。 また、万博についてですが、これは試算でありますが、6兆円という非常に大きな経済効果のもとですね、それだけではなく、健康・長寿という、まさに人類にとって非常に重要な項目、日本もこれからがぶち当たる項目について、その産業面においても、そしてその課題においてもレガシーを残すということが見込まれておりまして、まさに万博、そして統合型リゾートを夢州で行うことには、大きな効果がある、そしてこれを同時に行うことが、非常にきわめて強い相乗効果があると、私は考えております。 万博開催にかかる経費についてですが、会場建設費で1200〜1300億円といった試算がされております。もちろん、いま東京のオリンピックで言われているような、ああいった課題がありますので、これについてはしっかりと、これが膨れ上がることがないような仕組みというのを作っていく必要があると思っています。そういった中でですね、この市の財政負担についてですが、これは当然のことながら、まずは国が手を挙げていきますので、国、それから府、それから経済界と協議していくことになると思います。これにつきましては、当然のことながら、適切な時期に、議会に対してもご説明させていただきたいと考えています。
●井上議員 ちょっと、市長、見通しが甘すぎるのではないでしょうか。 市長は今月12日の決算特別委員会で、万博誘致のリスクという点について、「失敗する時の本質は、楽観にある」と、このようにご答弁されております。一度手を染めてしまえば、依存症に罹ったようになかなか引き返せなくなり、破たんに向かうのが、こうした「呼び込み型」の巨大プロジェクトであることは、過去の本市の歴史が示しているのであります。誘致計画を立てること自体、楽観からきているのではないでしょうか。かつての本市も、さきほどの市長のご答弁のような理由付けで、巨大開発にのめりこんでいったことを、お忘れのないようにしていただきたいと思います。 ちなみに、全国47都道府県のうち、新たな地方債の発行に、国の許可が必要となる起債許可団体は4団体のみであり、そのうちの一つが大阪府であります。平成23年度決算から5年連続という、全国的にも際立って深刻な財政状況は、本来、万博どころではありません。 本市にとってもまた、新たな財務リスクを背負うことになるのであり、「いつか来た道」を再び辿ることを意味するのであります。楽観から来る幻想は、捨て去らなければなりません。 A府・市で作成した「万博等の想定スケジュール」では、IR開業が2024年(平成36年)で、万博開催が2025年(平成37年)と書かれているが、鉄道整備費など基盤整備の費用について、IR事業者の負担を想定しているのか。 さて、府と市で策定した「万博等の想定スケジュール」では、IR開業が2024年で、万博開催が2025年となっております。万博開催に先行してIR開業を目指すというものであります。同時に、夢咲間の鉄道のオープンも2024年となっております。 今年3月の代表質問で、わが党議員が「夢洲を舞台に、カジノを核とするIRの誘致などを目指そうとすれば、膨大な税金投入は避けられないのではないか」と質したのに対し、市長は「IRは民間事業ですから、民間に投資していただくことになる。必要になる鉄道とか道路、そういった基盤整備についても、基本的には民間事業者に負担を求めるべきものと考えている」と答弁されました。この答弁に照らせば、鉄道整備費640億円は、IR事業者が負担するということになりますが、IR事業者の負担を想定しているのでしょうか。ご答弁を求めます。
◆吉村市長 議員お示しのスケジュールですけれども、仮に、いわゆるIR推進法というのが、今臨時国会で成立した場合の、このIR事業のスケジュールを想定したものであります。まあその想定スケジュールでいけばですね、万博前の2024年に、IRが現に開業するという予定であります。 この中で鉄道事業などの基盤整備についてですが、これについては、これまでもご説明申し上げておりますが、私自身は、これはIR事業者、基本的にはこの民間事業者に負担を求めるべきものというふうに考えております。この内、さきほど議員ご指摘の640億というご指摘がありました。これについてはインフラ部とOTS事業という部分がありますけども、残事業540億円ということになりますが、こういった事業について、当然、国の補助もある中でですね、民間事業者に、原則的に負担を求めていくという交渉は当然、行っていくということになります。このうちですね、じゃあいくらがどうでというのは現時点で、これ民間との交渉になりますので、しかもこのIRというのが確定的に決まったわけではありませんから、今の段階で確定的に申し上げることはできませんが、民間事業者に負担を基本的に求めていきます。 夢州まちづくりのために必要なこのIR推進法の進捗も踏まえてですね、これまでこの夢州というのは、住宅の45000戸の住宅ということの計画だったようですけれども、私はそういうふうには考えておりませんので、このまさに世界に冠たるですね、この大阪の経済の起爆剤になるような、そういったまさに人工島ですから、そういった夢州の実現をはかっていきたいと思っています。
●井上議員 ただいま、夢州のまちづくりのためにも必要だからだと、こういうご答弁がございました。しかし、夢州まちづくり構想の中にはですね、鉄道整備費用、費用としては載っておりません。万博とIRの想定スケジュール、あくまでここに640億円の整備費用が載っているわけであります。今のご答弁に照らしますと、IRが負担すると、IRに負担を求めると、こういう前提であるのであれば、万博の開催費用の中に、鉄道の整備費用が入っているのは、おかしいのではないでしょうか。もう一度、ご答弁をお願いします。
◆吉村市長 これは夢州の関連事業という項目で現在、この万博の素案の中に盛り込まれているものであります。で、この鉄道事業については、どうするかというのは、万博だけをするということを考えたら、そもそも不可能ですので、鉄道事業についてどうあるべきかというのは、この夢州のまちづくり、将来どうあるべきかということの計画がなければ、これ成り立たないものですから、まあその計画と並行してということになりますが、しっかりと立てていくと、その中で、鉄道事業、いわゆる関連事業の負担はどうあるべきなのかというのを考えていく必要があると思っています。 現在、府の関連事業ということで項目が上がっておりますので、当然、府とも協議しながら、この鉄道事業の経費負担については、協議を深めていきたいと思っています。
●井上議員 そこが誤魔化しなんですね。つまり、640億円にものぼる鉄道整備費は、半年間、わずか半年間という、期間限定の万博開催のためというよりも、IRのために支出するということに、なりかねないのではないでしょうか。 今のご答弁でも、狙いは明らかです。結局、万博を利用して、IRを誘致しよう。こういう魂胆にすぎないのであります。万博もIRも、現時点では、もちろんどうなるかは分かりません。どちらにしても、夢洲を舞台にした万博・IRの誘致は、無謀にすぎます。こんな計画に向かって、地方自治体が突き進もうとしていること自体、ギャンブルだと申し上げておきます。 B市民は、本市におけるかつての巨大開発の失敗を目の当たりにしているだけに、市民の中に万博・IRを期待する気運はないのではないか。過去の教訓に学び、万博は誘致計画を変更し、IR誘致計画は断念すべきではないか。 今年2月の市政改革特別委員会で、阿倍野再開発事業をはじめ、いわゆる過去の負の遺産について、市長はしっかり検証していきたい、記者会見でこのように言われたことについて、私は真意を質しました。その後、どんな検証結果と教訓を引き出されたのか、全く伝わってこないのが残念ではありますが、私の質問に対しこのとき市長は、「大型開発の破たんの原因について、過大な投資や事業運営が適切にされていたのかという要因があると思っている。大事なことは、将来同じことを繰り返さないようにすることが、最も大事だと思っている。」、その通りだと思います。この考えは今も変わっていませんか、市長。 将来同じことを繰り返さないためには、過大な投資となる万博誘致計画は、開催場所も含めて、全面的に見直すとともに、ギャンブル依存症をさらに拡大させる、カジノを中核とするIR誘致計画は、断念すべきではないでしょうか。ご答弁を求めます。
◆吉村市長 阿倍野再開発事業とは、この夢州におけるまちづくり、私は統合型リゾート・IRを民間の力で誘致したいと思っていまして、そことは性格が少し違うのかなあというふうに思っています。阿倍野再開発事業につきましては、非常に大きな財政の負担が生じました。そして今の通常収支不足が生じる、大きな原因にもなっています。これは誰がどうなのかということよりも、私は申し上げましたけども、なぜこういった開発が行われて、そしてこの巨額な負債が残るということになっているのか、まあこの道筋が、この解消については見えてきましたけれども、そこについは、同じことがないようにする必要があるというので、検証してほしいということを指示を出して、今その検証の報告を、部局の中で作っている最中であります。その考え方については、変わりはありません。 大きな楽観のもとに、大きな失敗が起きるというのは、その通り、私が答弁で申し上げたとおりで、そういったものは、当然、頭の中にあります。その上で、今回の統合型リゾートというのはですね、夢州のまちづくり、それから世界の諸都市で行われている現状、内容等々も検証して、これは法案が通らなければ、詳細も設計できないですけれども、私はこの夢州の開発において、この民間の力で、こういった新たな大きな観光拠点、そして活力の生じるエリアというようなものを、誘致したいと考えています。
●井上議員 市長は、阿倍野再開発事業をはじめ、いわゆる過去の遺産とおっしゃったわけですから、当然、ベイエリア開発も含まれるものと、私は認識しております。阿倍野再開発に限定した、特化した問題ではございません。 東日本大震災が発生した際、震源地から770Km離れているにも関わらず、大阪府咲洲庁舎は10分間揺れ続け、4名の方がエレベーターに閉じ込められるという事故が起きるとともに、360ヶ所も破損をきたしました。当日、咲洲庁舎におられた方が、「生きた心地がしなかった」と、おっしゃっていたのを、今でも鮮明に覚えております。非常時の首都機能を心配する前に、大阪の行政機能を、防災拠点にもならない地域に置き続け、さらには万博やIRまでこの地域に誘致しよう、こんな無謀な発想は改めるべきであります。南海トラフ巨大地震が、30年以内に70%以内の確立で起こるとされている中、巨大地震の津波は夢洲の護岸を超えて遡上し、ほぼ全域が浸水、湾岸部を含めて液状化する可能性も指摘されているところであります。こうした地域に、人をたくさん集める施設を造ることは、防災上の観点からも無謀なのであります。 結局、「副首都構想」なるものの狙いは、万博を利用し、カジノを中核とするIR誘致をテコにした、巨大開発の推進に他ならないのであります。ムダな大型開発はやめ、市民のくらしを守ることに税金を振り向けるべきであり、万博誘致計画は見直し、IRの誘致計画はきっぱり断念すべきと申し上げておきます。
●井上議員 次に、都市内分権に関わってお聞きいたします。 @昨年5月の住民投票の結果を真摯に受け止め、「都構想」ありきで市民に二者択一を迫るような「制度いじり」はやめるべきではないか。 この間の、「総合区の先行導入もありうる」「総合区が始まるまでの準備期間に、特別区の住民投票を行うという方法もある」「来年2月には、法定協議会設置の議案を提出したい」。こういった一連の知事・市長の発言は、到底看過できません。 昨年5月の住民投票の結果を真摯に受け止め、「都構想」ありきで市民に二者択一を迫るような「制度いじり」はやめるべきではないでしょうか。ご答弁を求めます。
◆吉村市長 まず、誤解なきように申しておきますけれども、過去の巨大開発のうち、私はすべて検証しようというふうに部局に指示を出しているのではなく、現時点で、僕が、通常収支不足とか財政に与える影響を見たときに、この阿倍野再開発事業というのが非常に長い期間かかって、全部が失敗だとは当然、言いませんけれども、なぜそれだけの大きな見込みの違いがあり、そして大きなこの大阪市の財政のマイナスというか、影響を与えたのかについては、検証すべきだということを部局に指示しました。ですので、議員とちょっと僕の認識というか、僕自身は阿倍野再開発事業について、一度検証してほしい、それ以外について指示を出したというわけではありません。 それから、湾岸エリアについて、地震で危ないと。もちろんこの地震の対策というのは、これは府とも強調しながらやっていく、護岸のですね、耐震性というのを高めていくのをやっていますが、議員の話を聞いていると、これ、もう湾岸エリアに住んでいる人もいるわけですからね、何かもうあのエリアがまったく使えないかのようなことを言っていますけども、これは絶対にあり得ないことだというふうに思っています。当然、地震・津波対策というのは、しっかりやったうえで、現に咲州なんかでも非常に高く作ってやってはおりますけども、そういった意味で、あのエリアについて、そういった評価をされるのは、いかがなものかと思います。現にこの夢州の線路を作っているときはですね、あそこを45000の住宅にするという計画を立てていたじゃないですか。あのエリアに、広大なエリアに、住宅をやる。それと議員の指摘というのは、僕は矛盾すると思いますよ。湾岸エリアというのも、貴重な大阪市の資産でありますし、都市の成長という意味では、この湾岸エリアというのは、非常に重要なエリアでありますので、ここはしっかりと大阪の成長のために、安全性にも取り組みながらですね、この開発、成長というのを取り組んでいきたい。その中で、公(おおやけ)が、どストレートに入っていくんじゃなくてですね、やはり民間の力を活かした開発というのをしていくべきじゃないのかなというふうに考えています。 それから、制度いじりをやめるべきじゃないかということでありますが、まあこれについては、やはり今のこの大阪の大都市が抱える課題ということについてですね、私は都市の機能を強化したり、二重行政を解消する、あるいは東京一極集中をなくしていくという意味で、大都市制度のあり方は当然、議論していくべきだと思っていますし、先の選挙においても、正面から訴えさせていただきました。ですので、これは、制度いじりという、まあ議員からすれば、そういう評価なのかもしれませんが、私はこの制度というのは、この都市が成長していく中で政策を実行する、まさにその根本になりますので、今の大阪を見て、そしてこれからの将来の大阪を見たときに、どういった制度があるべき姿なのかというのを、しっかりと議論して、そして最終的には、これは大阪市民が、僕は判断だと思いますので、それぞれ、特別区・総合区についてもベストな案をつくって、そして市民のみなさんにご判断をいただきたいと思っています。
●井上議員 財務リスクについては、すべて責任を持って検証する。これが本来の市長の仕事だと、本来あるべき立場だと、申し上げておきます。そして防災についても、あまりにも認識が甘い。それも改めるべきだというふうに申し上げておきます。 「総合区が始まるまでの準備期間に」ということは、いまだ市民の目の前に姿を現しておらず、実体がないものと、「特別区」との二者択一を無理やり迫るということになるのであります。それこそ市民にすれば、「何をどう比べろというのか」「何がやりたいんだ」と、こういう話になります。これから、「都市内分権」を進めていくにあたって、議会での慎重かつ十分な議論とともに、市民の中での自由闊達な議論が、当然、保障されるべきであります。しかし、知事・市長の一連の発言は、「総合区」制度は、住民投票のための単なる「手段」だと、「道具」だと、こう言っているのに等しいのであります。こんな勝手なことは、絶対に許されません。 A地方自治法に基づいた地域協議会を活用し、区民の意見が市政に反映される仕組みをつくるなど、今の「行政区」において都市内分権を進めるべきではないか。 さて、市長自身、「地域自治区制度に注目している」、このように繰り返し語っておられます。「行政区」において、現在の区政会議を「地域協議会」に位置づけるなどして、区民の意見が市政にしっかり反映される仕組みを作っていくと、こういう取り組みから、一歩一歩進めていくべきではないでしょうか。何よりも住民の皆さんを真ん中に置いて、「どんな住民自治が求められているのか」「区の権限というのはどこまで必要なのか」、こういった、制度の根幹に関わることを、上から押し付けるのではなくて、市民と一緒に探っていくというように、「地域の実情」から制度のあり方を探っていくべきだと、我々は考えております。 地方自治法に基づいた地域協議会を活用し、区民の意見が市政に反映される仕組みをつくるなど、今の「行政区」において都市内分権を進めるべきだと考えますが、ご答弁を求めます。
◆吉村市長 現在、大阪市ではですね、これまでも、基礎自治に関する施策・事業について、できるだけ区長、そして地域に近いところは地域が決められるようにということで、いろんな制度改正もしてきました。区長が様々なことについて決定うることができるように、それから、展開することができるように、現在の制度の枠組みの中でですね、局が持つ権限とか財源・責任をできる限り区長に移管して、区長による総合的な施策の展開を図るということを実施しています。それから、区における区政会議の設置、あるいは区民が参加できる仕組みの充実・拡充、これに努めてまいりました。今できる限りの、そういった努力は、私は行っているというふうに認識しています。 その中で、これ以上、区にですね、もっともっと権限を渡していくということについてなんですけど、まず現状の認識として、大阪市というのは20あるすべての政令市の中で、まあ4番目に小さいという政令市であります。その中で、4番目に面積が小さい中で、さらに行政区の数がもっとも多いと、1区当たりの面積も最小レベル、人口も最小レベルというふうになっている状況であります。先ほども少し申し上げましたけども、都市機能を強化して、住民自治をどんどん拡充していくという課題は、これは大阪にとって喫緊の課題であるというふうに思っています。そういった意味でですね、総合区においては、一定のこの行政区、これを合区して、そして、専門的な職員もやっぱりこれ配置してですね、その中で地域自治区というのを導入するのは、あり得るのかなあというふうに考えています。 まあ、私が市長としてやって思うんですけれども、区長に限りなく予算を渡したとしてもですね、結局そこで政策を作って実行する部隊がないと、これなかなか実行できない状況にあるんですね。その中でもできる限りのことはやっていってますから、私はやっぱり一定の合区の単位というのが、今後、より身近なところでやっていくという意味では、必要になってくるのかなあというふうに考えています。 まあ、都市内分権をすすめていくというのは、その方向ですので、それをすすめていきたいと思っています。
●井上議員 まったくのすり替えであります。市長は選挙で、「もう一度、設計図をつくらせてほしいと訴えた」、こう繰り返しますが、住民投票で「都構想」が否決されたことを踏まえて、大阪市の存続を前提に、「統治」のための設計図ではなくて、「住民自治の活性化」のための設計図をつくるのが、市長の使命ではないでしょうか。 「何度もやるものではない。一回限り」「5月17日の住民投票で全てが決まる。大阪を変えられるのは、このワンチャンスだけ」との大宣伝のもと、行政が総がかりで、時間と労力と税金を惜しみなく費やした果てに、否決という結果に至ったのであり、その重みを市長は受け止めて、270万市民の代表として、市政運営にあたるべきであります。 行政区ではダメという固定観念は捨てて、「スケジュールありき」ではなくて、広範な市民による時間をかけた市民的議論が、「都市内分権」を進めるためには不可欠だと、我々は考えております。 市長は、今のご答弁にもありましたが、「現行制度には無理がある」、こうよくおっしゃるんですね。行政区制度のどこがどう問題だと考えておられるのか、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。
◆吉村市長 まあそれぞれ政令市においては、規模も違う、成り立ちも違う、まあその中で行政区というのがあるわけでして、行政区そのものが、僕は悪いとは全然、思っていません。ここは当然、大阪なので、大阪において大都市制度はどうあるべきなのかということの議論が必要だと思っています。この大阪というのも見たときにですね、やはりこの大阪市内中心に発達してきましたが、非常に狭いエリアで、しかも経済的には非常に大阪市外へも波及しているというような中でですね、どうすれば大阪の都市機能を強化していけるのか、そして大阪市と大阪府というこの体制のなかで、どうすれば広域行政についても、よりこの大阪を見たときに、成長する形を作っていけるのか、より最適なものが作れるのかというのを考えるというのは、当然これ、あるべきだと思っています。まあそういった中で、法律においても200万以上の都市については、特別区という制度が採用することが出来るよという、大都市法という法律も出来たわけです。一方で、地方自治法も改正して、総合区という制度も、これ、できたわけであります。まあそういった制度を使ってですね、より大阪にとってふさわしい制度は、どうあるべきなのかというのを議論し、そして私は選挙でそれを争点にしましたけれども、それはまったく間違っていることではないと思っていますし、そうやって今、この場にいるわけですから、その議論を深めていきたいと思っています。
●井上議員 行政区制度を否定されていないんでしたら、やれるところから、やるべきじゃないですか、現行制度で。区政会議を地域協議会へ位置づけるなどして、一歩一歩、区民の声が市政に反映する仕組みを構築していくことを、私たちは訴えております。 制度さえ変えれば中身がよくなる、あるいは、制度さえ変えれば自治が拡充すると、そんな魔法の杖はありません。上から押し付けるのではくて、地域の実情から制度のあり方を探るべきだと、あらためて申し上げておきます。 また、大都市において、住民の声をどう行政に反映させるのかという課題は、わが国のみならず、各国に共通しています。しかしそのために、大都市を廃止したり、分割したり、そんな例は歴史上存在しません。市を解体しても都市問題は解決しないばかりか、住民自治の拡充がはかれないことは、前市政時代、市の廃止・分割を全ての市政運営の前提に置いても、「くらしを守ってほしい」「大阪の景気を良くしてほしい」といった市民の切実な願いは後回しにされるどころか、大ナタを振るわれてきたのであります。そして地域には、対立と分断が持ち込まれ、重大な市政の停滞を招き、まさに「失われた4年」と化したことからも、明らかであります。 今、市民が必要としているのは、「上からの統治」ではなくて「下からの自治」であり、「政治の中身」を改善してほしい、よくしてほしい、このことにあるということを、市長は肝に命じるべきであります。
●井上議員 次です。地下鉄民営化問題について、お尋ねをいたします。 @地下鉄民営化の、市民にとってのメリットとは何か。 地下鉄民営化の、市民にとってのメリットとは、何でしょうか。
◆吉村市長 地下鉄事業につきましては、現在、継続的に黒字を確保していますが、まあこの黒字の確保もですね、前局長のなかで非常に、職員の給料についても本市の行政職以上のカットもしながら、さまざまな改革もすすめて、そして今は、大きな黒字を確保しております。しかしながら、今後、確実に到来するのが、少子高齢化・人口減少化社会であります。まあ何もしなければ、運輸収入というのが減少が避けられない状況になってくるかと思います。そういった中で、市民のみなさんにとって、非常に貴重な都市のインフラ・公共財としてのこの地下鉄というのを維持、さらに発展・成長させていくためには、民営化によって経営の自由度を向上させて、経営力を強化していく必要があると思っています。 さきほど出ました、なにわ筋線についても、これは市民の利便性、あるいは大阪の都市力の向上ということには、そこに非常に大きく寄与しますが、これは地下鉄事業単体から見たら、大きな脅威になると思っています。そういった様々な環境の中で、市民のみなさんにとってメリットを高めていく、民営化によって、効率的な事業経営を可能にしていく、公営ならではの制約を緩和する中で、柔軟な発想と、スピーディなサービスの改善ということを、現に実行していくことが必要があるかと思っています。 それから交通事業以外の関連事業であったり、新規事業を展開することも、可能になりますので、沿線であったり、地域の活性化にも資することになると思っています。 そういった意味で、この民営化というのは、この大阪の成長という観点からも必要な施策であるというふうに考えておりまして、都市のインフラについては、大阪市が100%株式を所有するという前提の中で、しっかりと維持しつつですね、株式会社という形で、その経営の強化を高めて、そして、住民、そして市民・利用者の利便性に資する、そんな都市インフラを目指していきたいと思っています。
●井上議員 それは市民感覚から相当ずれていると、私は思います。3月の一般質問で我が党議員が、「超優良企業をなぜ民営化しなければならないのか」と、質したのに対し、市長は、「黒字である今だからこそ、民営化するべきだ」と、「赤字になって放り出すのは、逆に無責任だ」と、こう答弁されました。市営交通を黒字で放り出すことこそ、一遍の道理もなく、市営交通の好調な経営は、都市の発展の象徴とも言えるのであり、これを維持・発展させることに全力を傾注するのが、市長の責務ではないでしょうか。 平成23年度に、全国の市営交通で初めて、累積欠損金をすべて解消し、累積剰余金は今や1186億円、純資産額は5382億円にも達しましたが、言うまでもなく、これは市民の財産であり、さあこれから、さらなる発展を目指そうという矢先に、民営化してしまうことが、果たして、利用者・市民にとって本当に有益なことなのか、歴史に禍根を残さないか、今一度、立ち止まって、冷静に、これまで市営交通が果たしてきた役割とともに、見つめなおす必要があります。 民営化を前提としたことによって、トイレの改修が進んだと、これまで交通局は大宣伝をしてきましたが、民営化議論が起こる前の、平成23年3月に策定された「大阪市営交通事業の今後の施策展開について」の中には、トイレの改修はもとより、可動式ホーム柵の設置推進についても明記されておりました。逆に言えば、民営化を前提にすれば、トイレの改修程度は進むけれども、多額の事業費がかかる可動式ホーム柵の設置は、進まなくなるということではないでしょうか。そのことの方が重大なのであります。 最近、交通局はあまり言わなくなりましたけれども、納税や配当により財政貢献を果たせると。ことさら民営の方が優位であるかのように描いてまいりましたけれども、そもそも、当年度純利益374億円はもとより、市営交通は市民の公有資産であることには変わりありません。民営化はすなわち、企業活動の権利・義務および資産の所有権を放棄するということであり、民営会社からの納税や配当のおこぼれを「頂戴」する、こういう関係に大きく後退することを意味するのであり、本市財政にとっても重大な損失であります。このことは、この何年もの議論で、明らかであります。 財政貢献を言うのであれば、地方公営企業法第18条2項に基づいて、一般会計出資金に対する納付金を繰り入れることが、最も理にかなっているのであり、企業債残高のわずか2%を納付するだけでも、約70億円の一般会計への貢献になるのであります。交通局会計は、運営面ではすでに一般会計から自立していることに鑑み、法の主旨にのっとって、本来納付するべきだと、申し上げておきます。 A全国で駅ホームからの転落事故が相次ぐ中、平成31年度までの御堂筋線全駅への可動式ホーム柵の設置を計画どおり進めるべきだが、民営化すれば可動式ホーム柵の設置は進まないのではないか。 次に、可動式ホーム柵の問題です。市営交通事業を実施している、政令指定都市8市のうち、仙台・横浜・福岡の各市は、すでに全駅にホーム柵が設置されております。本市のホーム柵設置率は、8市の中でワースト2という状況であります。「欄干のない橋」をいつまで放置するつもりなのでしょうか。全国で駅ホームからの転落事故が相次ぐ中、平成31年度までの御堂筋線全駅への可動式ホーム柵の設置を、計画通り進めるべきだが、民営化してしまうと、多額の事業費の問題に直面し、可動式ホーム柵の設置は進まないのではないでしょうか。ご答弁を求めます。
◆吉村市長 ホームからの転落の事故防止を防ぐといった安全対策、それから安全輸送といったことに投資を行っていくというのは、これは公営、民営に関わらず、交通事業者としての最大の必要な責務であるというふうに思っております。ですので、公営だからどうと、民営だからどうというものではないと考えています。 まあJRとか、東京メトロを始めとしました、他の民営化事例を見ましても、民営化によって経営力を強化した上でですね、この安全性対策についても、あらゆる対策を講じている、より一層、充実させているという現状もあります。ですので、この、民営化すれば安全対策が遅れるのではないかというのは、まったく違うというふうに考えております。 現在ですけれども、本年8月に、東京メトロ青山一丁目駅で事故が発生しまして、現在、国土交通省が、検討会を立ち上げています。年内の中間とりまとめをするということ、ホームからの転落防止に向けて対策を検討するということですので、その動向も注視して、必要な対策・検討を、これを実施していきたいというふうに考えています。
●井上議員 責務としか言えないんですね。やるとは言えないわけですね。「輸送に与える影響が懸念される」と交通局は繰り返しておりましたけれども、平成22年9月の公営企業会計決算委員会で、交通局は、「平成31年度の導入を目標として、現在、運転保安システムの自動列車運転システムへの切り替えを含めた、信号システムに関する調査を実施しています」と、こう答弁をされました。あれから6年も経つわけでありますが、いつまで調査結果を続けるんでしょうか。いつになったら調査結果が出るのかと思います。 ホーム柵が全駅に設置されている3市について、全駅設置に至る経過を調査したところ、「ホーム柵を設置することによる、通路部分への対策や、乗客の流動への対策についての議論はあったけれども、輸送力についての議論は基本的になかった」と、こういうことでありました。3市では、ホーム柵設置の大前提として、自動列車運転システムへの切り替えと、車両改造を行なっているのであって、これによって輸送力に大きく支障をきたすことは、ないのであります。 新会社の建設改良計画には、可動式ホーム柵の事業費を全く見込んでおりませんけれども、「民営化すれば設置できない」と、はっきり認めるべきではないでしょうか。あらためて、ご答弁を求めます。
◆吉村市長 まず、民営化すればできないということではないというふうに思っております。現在ですね、このプラン案の中ですけれども、将来、可動式ホーム柵にですね、導入する際に、これ、再改造などが必要になってくる可能性があるということで、再改造などしなくてもいいような、手戻りが発生しないような車両の更新、そういった必要な準備、これを整えている、計画に入れているところであります。 可動式ホーム柵についてはですね、現在でも、導入できる部分については大阪市営地下鉄についても、これは、可動式ホーム柵というのは、積極的に導入していっています。さきほど委員は3市というふうに、おっしゃりましたけれども、これ大阪市営地下鉄というのは、他の政令市の地下鉄と比べてもらったら分かるように、もうまさに都市のど真ん中に多数の線を有している線でありますので、その中で、実施できる、必要なところについては、現に、可動式ホーム柵というのを実施していっています。そして、心斎橋・天王寺という、この御堂筋という、いちばんこの人が乗る、多く乗る線においても、心斎橋と天王寺駅において、これはまあ運転手のですね、技術に頼るところもあるんですけれども、まあそこで可動式ホーム柵を試験的に設置すると。まあ当然、本数も減らさざるを得ないと、車両も混雑するという状況ではありますが、この安全対策について、どう影響が出るのかということで、検証をしているということであります。ですのでこれは、民営化する・しないに関わらずですね、可動式ホーム柵の設置を検証していくというのは、当然、必要なことになってきますし、何より、いま国もこの事故を受けてですね、検討会を立ち上げているということですから、これは当然、その結果を踏まえて、この公営・民営に関わらず、その、検証を深めていく、設置をしていくということになると思います。ですので、民営化するから、しないからという、議員の指摘は当たらないと思っています。
●井上議員 やっぱり、質問にはお答えにならないわけですね。ホーム柵の設置を止めたじゃないですか、民営化を前提にしたことによって。ですから、いくら美辞麗句を並べ立てても、計画の中にも盛り込まれていない、そして民営化方針によって止めた。こういった現実があるわけですから、計画の中に盛り込まれていない以上、「設置できる」とか「検討をすすめる」とかいうのは、本当に詭弁でしかないと申し上げておきたいと思います。 関連して、安全対策の軽視という点で、一点、申し上げておきますが、南海電鉄が駅への駅員配置を十分に行わず、大阪市内の18駅中、8駅が無人駅となっていることから、平成26年2月に駅無人化問題への対応を求める意見書が、本市会において全会一致で可決されたところであります。この8駅の中には、1日乗降客が8000人を超える、私の地元、住吉区の我孫子前駅と沢ノ町駅も含まれております。我が党としても南海電鉄に、駅員の配置による安全確保を求め続けておりますが、「経営が厳しい」、この一点張りで、一向に改善されません。なお南海電鉄は、同じ住吉区の中に、有料老人ホームの経営を行っているわけですが、広告にはこのように書かれています。「安全・安心・快適な最高のサービスを通じて、ご入居様と心豊かな関係を紡いでまいります」、このようにあるわけでございます。本来、安全・安心・快適なサービスは、まず本業である、鉄道事業において提供されるべきでありますが、南海電鉄のみならず、大手私鉄というのは、不動産業であるとか、サービス業など、運輸業以外での収益のほうが大きな比重を占めているというのが実態であり、儲かるところに投資するというのが、民間会社の宿命なのであります。 さきほど市長は、民営化のメリットということで、経営の自由度が広がるとおっしゃいましたけど、経営の自由度とは、まさに今、私が紹介したようなことだということも、付け加えておきたいと思います。 B市長による100億円の交通政策基金創設の提案は、地下鉄民営化プラン案の改訂版でも想定していないばかりか、基金の目的も明確になっていない。市長提案は「民営化後の資金状況」のシミュレーションにも影響を与えるものであり、改訂版を練り直して、再度議会に諮るべきではないか。 次に地下鉄民営化プラン案の改訂版では、運転資金として70億円だけ残して、1492億円もの現金を、職員の退職金など民営化の移行処理のために使い果たすうえ、企業債の一括償還の原資として、4719億円もの巨費を、市中銀行から借り入れるということでありました。 しかし、市長が新たに提案した100億円の交通政策基金なるものは、改訂版のどこにも想定されておりません。もし、この100億円も織り込むことになると、市中銀行からの借り入れは、4819億円へとさらに膨らむことになります。改訂版にも想定されていない100億円を、市長のひと声で新たに借り足すことになれば、「民営化後の資金状況」のシミュレーション全体が当然変わってきます。 もともと民営化後10年間は、新たな借り入れを1円も行わない前提で、借入金の償還計画を立てているのであり、早くもこの前提が崩れた以上、改訂版を練り直して、再度議会に諮り直すべきではないでしょうか。ご答弁を求めます。
◆吉村市長 先ほどの議員の指摘でいけば、新たな債務が増えるかのような発言ですけれども、そうではなくて、現に存在するこの借入についてですね、より有利な利息で借り換えて、そして早期に返還できるものは返還するという大きなまず計画であると。借金が増えるという、別途新たに増えるというものでは無いということの前提を置いておきたいと、確認しておきたいと思います。 それから、当然この基本プラン案について100億円の基金というのは出てきません。それは当然です。今回私が自民党さんからの条件に対して対案として提示したものでありますので、それについてはこの基本プランにはありません。 で、この基本プラン案の中身を見る上で、当然私も何の計画も無くそれを提案したというわけではなくてですね、現にこの資金ですけれども、平成29年度をベースにしたら、現金の残金が1562億円という中で、当然退職金なんかも支払うということ、バスの会計処理もするという中で、運転資金70億円を残して、1388億円資金不足が発生しないという状況を踏まえてですね、それから地下鉄事業というのは当然毎日毎日の運輸収入が入るという事業でありますので、そういった意味でより有利な借換をするという、借金を返済するというのはあるべき姿であって、その中で今回の資金繰りというのは可能であるというふうに判断したわけですから、ご提案をさせて頂きました。 今回、シミュレーションをという事ですけれども、自民党さんから提案された12の条件。それから公明党さんから提案されました8の提案についてもですね、しっかり議会これまで議論して来ましたんで、反映する部分については反映して議会の皆さんご判断をお願いしたいと思ってます。
●井上議員 市長、私の質問に答えてください。 自民党さんや公明党さんの要望の受け止めを聞いているんじゃないんです。シミュレーションが全部狂ってくるっていうのはお認めになりますよね。今のご答弁でも、変わってくるということはお認めになると思うんですけれども。 そうである以上、プランが変わっているんですから、もう一度議会に諮り直すのが筋なんじゃないですか。もう一度ご答弁お願いします。
◆吉村市長 判断に必要な範囲でこの基本プラン案については修正をして、議会の皆さんにご提案をしたいと思っております。
●井上議員 改めて提案をするという事でございました。 シミュレーションが全部狂ってくるというのに、もしこれを通り過ごすという事であれば、プランを議会で議論する意味がありません。この間の議論の中でもはっきり致しましたが、安全対策が緊急に必要となり、新たな投資をしなければならないといった時でさえも、銀行利子は企業債の約4倍になることも重なり、建設改良を手控えるといった事態になることは明らかであります。資金繰りに汲々とし、安全対策もおぼつかなくなることがはっきりしているからこそ、新会社の建設改良計画には、最初から可動式ホーム柵の事業費が見込めないのであります。 こんな数字合わせのシミュレーションは、到底議論に耐え得るものではなく、一からの議論が必要だと申し上げておきます。 C交通局職員(係長級以下)への意向調査の結果、人事委員会採用職員732人のうち、288人が市長部局への異動を希望している。4割の職員が新会社等への転籍を希望しておらず、この数字自体、民営化の破たんを表しているのではないか。 次に、8月に行った交通局職員への「転籍意向予備調査」についてお尋ねをいたします。 この取りまとめ結果がこの間公表されました。人事委員会採用職員732人のうち、288人が市長部局への異動を希望していると。4割の職員が新会社等への転籍を希望していないということに、職員の苦悩がうかがえます。 しかし、この288人の職員が、希望通りすぐに市長部局に異動できるのかといえば、職員定数との関係で決してそんな訳にはいかず、1年目は25人のみ、あとは段階的に市長部局に行ってもらうという事であります。これでは、職員も意欲と展望をもって働き続けることができません。 新会社を支えるマンパワーの確保もままならず、経営の安定が果たして確保されるのでしょうか。1000億円を超す莫大な退職金の支払いに加え、4割もの職員が見切りをつけているということ自体、民営化の破たんを表しているのではないでしょうか。ご答弁を求めます。
◆吉村市長 4割の職員が見切りを下していると、すごい表現だと思うんですけれども、全体で見て頂いているのかなと思いますね。 交通局、まず今年の8月の下旬に交通局の係長級以下の全職員に対して、民営化時の要員の体制の具体的な検討するということで、地下鉄新会社への転籍についての意向調査を行いました。対象は約5500人です。 その内分けですけれども、交通局の採用者が4761人。そしていわゆる市の採用、人事委員会の採用は732人です。委員ご指摘しているのはこの交通局採用の4761人をすっ飛ばしてですね、人事委員会の732人の所だけをご指摘されています。 しかもですね、民営化後の具体的な賃金、労働条件というのを示していないという、そういった中での事前の調査でありますが、この対象者の9割を超える5千人の職員が新会社で働く事を希望しています。交通局採用でいくと4761名の内、4546名の職員がが新会社で働くことを希望しているという状況です。 市の人事委員会の採用者732名については431名が希望してる。まさにこの数字に対して見た時はですね、民営化後も安定した輸送サービスの提供が可能であろういうふうにと思っています。 人事委員会の採用職員については、大阪市職員に採用された経過がありますので、市長部局への移動も可能としているという中で、さらに調査期間中に具体的な賃金条件を示していませんでしたから、これをしっかりと示せばですね、逆に言うと賃金条件も示されていないので、充分に比較検討が出来ないという声もあったというのも聞いています。 そんな中でもこの人事委員会採用の職員のうち、約6割の職員が新会社で働くことを希望しているという事は、これ民営化の意義、或いは将来性への理解というのがこの職員の中でまさに浸透してきていると、いうふうに思っています。 まさに職員自身は民営化して、民間会社としてやらして欲しいという、まさにそんな意思表示がされている、これは働き手としてはそういう意思表示がされていると、私はそういうふうに思っています 今後ですね、賃金労働条件、そういったことについてより丁寧な説明をしていくことで、この6割の職員もさらに増えてくるだろうというふうに思ってます。 何より働く職員が意欲を持ってですね働ける、そんなことに希望を持ってる訳ですから、是非ともこの民営化について共産党さんのご理解を頂きたいと思います。
●井上議員 交通局採用職員は市長部局へ行けないのでありまして、それを一緒にしてしまってごちゃ混ぜにして数字を出すというやり方、こういう誤魔化しはやめて頂きたい。 よく前の市長が、印象操作はやめろという言葉を使っていましたけれども、こういうのを印象操作って言うんですよ、市長。4割もの職員が見切りをつけていることは、新会社の今後の展開も定かではないことへの不安に加え、本市交通局の発展を支えてきた職員への、敬意のかけらも感じられないことへの不満と受け止めるべきなのであります。 大きな黒字を産み出していようが、市民に必要な公有財産であろうが、お構いなしに市場原理に委ねてしまおうという、地下鉄民営化は百害あって一利なしであり、きっぱりとやめるべきだと申し上げておきます。 @敬老パスについて、まずは1回乗車ごとの50円負担を廃止すべきではないか。 次に、市民の暮らしと子ども達の未来に関わる福祉と教育についてお尋ねします。敬老パスの問題です。 敬老パスの維持という方針は、吉村市長にも踏襲されているものと認識をしております。ところが、制度変更前の平成24年度と制度変更の影響が平年度化された27年度を比較しますと、交付者数で約3割、交付金の決算で約4割も減少しています。 この状況では、かろうじて制度が維持されているとはいえ、高齢者の生きがいや「健康・長寿」にかかわる施策としては、あまりにも心もとないのではないでしょうか。まずは、1回乗車ごとの50円負担、撤回するべきではないでしょうか。ご答弁を求めます。
◆吉村市長 敬老パスについて、多くの高齢者の方がご利用されて、そしてその高齢者の生きがいづくりであったり、社会参加に寄与しているという制度であると、そういう認識は私の中にもあります。 その上で、一方ですけどもこれが完全な無料の制度ではなくてですね、これがどうして成り立っているかというと、一般の税で成り立っているわけであります。つまり現役世代の負担の下でこの敬老パスという制度は成り立っているという現実にも直視しなきゃいけないと思っています。 つまりこの受益と負担とのバランス、これを考えなきゃいけないというふうに思っています。そういった中でですね、一乗車50円の負担については、財政状況も厳しい中、さらにそれは現役世代の負担で成り立っているいう事を考えると、将来にわたってこの制度を維持していくという為にも、そして受益と負担の適正化という観点からも、この50円の負担というのは導入されたわけで、そしてこのスキームは今後も維持すべきだと思っています。 これは民営化するしないに関わらず、大阪市から入れるお金、税ですので、これは民営化するしないに関わらず、この50円の負担でですね、この敬老パスという制度は続けていきたいと思っています。 平成24年当時は約82億円という需用費が全て税で、現役世代が負担していた訳であります。平成32年に何もしなければ100億円を超えると言われている中で、受益と負担の関係から高齢者のみなさんにも申し訳ないですけれども負担をお願いしますということで、一乗車50円の負担をお願いしたわけであります。 子ども達もですね、半額の料金を負担している訳ですから、乗車するというサービスを受ける以上50円の負担をお願いしますということは、受益と負担の関係からお願いしている訳であります。 ですので、これは今後この制度を維持するという目的に於いても、これは維持していきたいというふうに考えています。
●井上議員 市長は、今月11日の決算特別委員会で、次のようにご答弁されています。「地下鉄・バスが公営のもとでは、スキームを変えるべきではない」今のご答弁の通りです。「一方で、地下鉄が民営化した場合、あくまで株式会社が負担するという意味において、年間3千円の負担をなくすことができると思っている」こういう答弁でございました。平成24年度の敬老パス交付者数で計算すると、約10億円を新会社が負担することになると言われています。 先ほど議論をしました「民営化後の資金状況」では、70億円を残すようにやりくりはするが、少なくとも向こう10年間は、借金の返済に追われるというシミュレーションであります。公営のままではできないが、株式会社なら高齢者福祉施策が充実するなどというのは、全くスジ違いの話ではないでしょうか。 高齢者福祉施策の財源を、営利追究が目的の株式会社に求め続けることができるんですか。再度ご答弁をお願いします。
◆吉村市長 まず、年間3千円の負担についてですが、これについては民間会社になった時に、これを負担を無くす、利用者から見て負担を無くすという事は出来るというふうに考えていますし、そうする予定です。 と言いますのも、これは民間会社、地下鉄会社からすると、その負担は当然負う訳ですけれども、それは同時に利用者の増という事も意味します。 ですので、地下鉄会社からするとこれは50円になっているのではなくて、大阪市の税を受けて地下鉄会社というのは収入が入ってくるいう話に当然なりますんで、地下鉄会社の立場からすると、利用促進、まさに販売促進というか利用促進、利用されてもらう方を促進するという意味に於いて、3千円の負担を無くすという判断は出来るというふうに思っています。 そうしたらどうなるかというと、当然利用者が増えれば、市税の負担は増えていく訳になります。そうした時に、ただ50円の負担はするという制度の中でやっている訳ですから、それは不平等でも何でも無くて、その税がどんどん増えて来た時にどうするか。負担額をどうするかという問題だと思ってますんで、そういった意味で地下鉄会社が販売促進という目的に於いて、この3千円を負担するということを、これはできると思っていますし、そうする予定にしています。
●井上議員 市長の願望に過ぎないという事ですね。「負担をなくすことができる」といくら言っても、根拠はどこにもない訳でありまして、敬老パス制度をもてあそぶやり方だと。民営化を何が何でも進めるために、市民のミスリードを誘おうというような姑息なやり方はやめるべきだと申し上げておきます。 A保育所への入所待機児童の解消に、どのように取り組むのか。また、他都市より著しく低い本市保育士の賃金水準の改善に、どのように取り組むのか。 次に保育所の待機児童の問題、そして保育士の賃金の問題についてであります。 保育所への入所待機児童問題は、依然深刻な問題であります。今後、待機児童解消に向けどのように取り組まれるのか。また、本市において、公立保育所の保育士の賃金は、他都市と比較しても著しく低い水準のままでありますが、どのように改善をされるのか。ご答弁を求めます。
◆吉村市長 姑息とは全然思ってないんですけどね。高齢者の方からしてもこの3千円の負担が無くなるというのはそれは、むしろ利用しやすいという形に当然なると思いますし、一方で民間会社もその負担を民間会社がする事によって販売促進に資する事になると思いってます。 一方利用者が増えれば、それは税として投入しなきゃいけない部分は増えてきますけれども、それは今50円ということで制度設計しているわけですから、それは利用者が増えればそれは当然増えるし、それがおかしいという事とは、また別の議論だと思ってますんで、何も姑息な制度というのは全くそんな思いもありません。 待機児童についてですけれども、待機児童については、本当に喫緊の課題だと思っています。待機児童対策は、これは都市の魅力を高めれば高めるほどですね、どんどんこれは逆に増えてくるという性質もあります。 現在大阪市ではどんどん子育て世代や子どもに直接投資しようと、僕はそういう思いでいろんな施策もしてますけれども、そういったことをやればやるほどですね、現に社会増減で大阪市が全国ナンバーワンの増えているように、多くの方がやっぱり大阪市に住もうと、子育てしようということで来られる。その中で、非常に、保育の枠も非常に増やしていってるんですが、一方で入所希望される方も増えていっていると、いう状況です。 その中で、そういう状況にあっても、やはりこの平成30年4月に待機児童ゼロを目指すというのは、これは実現していきたいと思っています。そのためにどうするかという事なんですが、本市の課題としては、やはり都心部であるという事でありますので、本市の中でも待機児童多い地域、少ない地域が分かれてます。 待機児童が多い地域というのは特定というか狭い範囲では非常に多くいるというような状況でして、そういった所でよく見られるのは、やっぱりこの保育用の用地や物件が確保出来ない。或いは見つかっても賃料が非常に高額であってなかなか募集につながらない、いうような、そんな状況があるというふうに認識してます。 ですので、今年の7月にですねまさに地域毎の課題もしっかり受けて、特別にいろんな施策を打っていこうという事で、大阪市待機児童解消特別チームというのを編成しました。 ここは、待機児童の多い区長に参画してもらって、局横断的に今進めていってます。その中で、いろいろ議論していますが、現在考えられる施策として、市有地であったり本市の所管の施設の空きスペースが活用できないかどうか。あるいはそういった形で地域的な偏在があるので、送迎バスをドンドン動かすことによってですね、例えば4歳、5歳であれば非常に大きくなってきていますので、送迎バスに乗れますから、そういったことを活用できないか。 大東なんかは送迎バスステーションというのを住道の駅を使って非常に広げていっているんですけれども、そういった送迎バスなんかを積極的に利用できないかというような施策。或いはその地主さんから見て、どうすれば他のアパートを作るとか、どうしてもそうなっちゃうので、そもそも物件が出てこないという状況ありますから、地主さんから見て保育所を、社会問題になってる保育所の待機児童対策に貢献しよう、でもアパートにした方が得だよな、っていうような時にですね、何かインセンティブを出すようなことが出来ないかと、そういった様々なことについて今議論を深めていってます。 そして有効と判断される施策についてはですね、その施策について来年度の予算に反映をしていきたいというふうに思っています。 それから公務員保育士の給与についてのお尋ねについてなんですけれども、これは保育士さんの、民間の保育士さんの今の給与実態というのは低いと思っています。非常に厳しい労働条件の中でやっぱり低いからこれをどう上げていくべきなのかというのは、国挙げて議論されていますし、それは僕は必要なことだと思ってます。 ただ、公務員保育士の給与というのはやはりそこと比較して、非常に同じ仕事をしても高いところにあります。そういった中でですね、本来公務員の給料というのは民間の給料があって、それに準拠するというのが公務員の給料の基本的な考え方、人事委員会の考え方、大原則でありますので、そういった中でまさに民間の同一職種、給与水準、それも参考としながら、本市の現実の情勢も踏まえてですね、公務員保育士の給与については大阪市人事委員会の意見も受けまして、最大10年間の経過措置を設けた上で、平成27年度から独自の給料を導入したところであります。 そういった中で、任期付きの公務員職員については従前の定額給与から採用前の前歴の雇用、勤務実態、実績に応じて昇級を行うなど、まさにその処遇の改善を行っているところであります。
●井上議員 本市の保育士は、毎年約100名のペースで退職をしております。そのために保育所の入所枠を減らさざるをえず、平成26年度から、平成28年度の、直近3年間だけでも約400の入所枠が減っております。公立保育所の強引な民営化方針が、本市保育士の待遇悪化にも拍車をかけており、そのことが全て本市の保育行政にはね返ってきていることを認識すべきであります。 公立保育所は待機児童解消にとっても、まさに中核的な役割を担っているのであり、その基盤を掘り崩せば、待機児童解消に逆行する事態になることは必然であります。待機児童問題と保育士の待遇の問題は、表裏一体なのであり、公立保育所の民営化をやめ、保育士の待遇改善をはかるなど、保育への公的責任を強めることが、待機児童解消の決め手だと申し上げておきます。 B就学援助制度の認定要件のひとつである所得基準は、全国最低水準であり、速やかに所得基準を見直すべきではないか。 次に就学援助の問題です。 就学援助は、憲法26条の「教育を受ける権利」「義務教育は無償」を具体化した制度です。こどもの貧困問題がとりわけ深刻な本市において、就学援助の認定率は、2009年度、35.4%だったのが、2015年度、26.8%へと、6年間で8.6ポイント低下しています。 就学援助の所得基準は各自治体で定めることになっておりますが、生活保護費の基準を用いた額から算出される金額の1.3倍という自治体が多く、1.5倍を超える自治体もあります。ところが本市では1.0倍なのであり、認定率の極端な低下につながっている要因なのです。 また、国が実施した、生活扶助基準額の引き下げに連動して、対象者が狭められないように、多くの自治体では、所得基準を下げない措置が取られました。文科省が昨年10月に公表した調査結果によるりますと、所得基準を下げなかった自治体が1734自治体(98.5%)であるのに対し、国に連動して引き下げてしまった自治体がわずかに27自治体(1.5%)。なんとこの27自治体の中に本市が入っているのであります。 本市において就学援助の所得基準を大変低い状態に置いていることは、「生まれ育った環境によって、格差が生じてはならない」という市長自身の考えにも反するのではないでしょうか。速やかに所得基準の見直しをはかるべきだと考えますが、ご答弁を求めます。
◆吉村市長 先ずですね、議員のご指摘の話をお聞きするとですね、就学援助制度、最も全国最低の金額基準で、なにかこうやられているというような趣旨にも聞こえるんですが、正確に聞くとそうでは無いんですけどね。実態はそうではないという大前提を押さえる必要があるかと思います。 就学援助の所得基準額というのは、生活保護基準額に基づいてそれぞれの都市、この生活保護基準額はそれぞれ都市で違うんですけれども、それに基づいて各都市が算出した額にですね、一定の係数を掛けるということで算出します。係数だけ見るとですね、大阪市はまさに1倍ということで1倍に係数を設定しているのが、20の政令指定都市のうち大阪市を含めて7政令市ありますので、係数だけ見れば低いということにはなります。 しかしながらですね、この所得のそもそもの前提となる係数を掛ける前の所得基準額というのは、これは全国最低水準とはなっていない。20都市の内ですね、上から8番目ということになります。上から、神戸からはじまって260万円台から始まる訳ですけれども所得基準額が、大阪市は331万円という事で、この金額だけを見て、全く全国最低水準どころか、政令指定都市20市の内、まあ上から8番目という状況、それが客観的な事実であります。 加えまして、この大阪市の場合は独自にですね、この金額だけで判断するんじゃなくて、所得基準を上回る場合であっても他の要件を満たせば就学援助を認めるという制度になってます。 例えば、児童生徒の生活の実態に応じて幅広く対応する目的でそれはやってるんですけれども、児童扶養手当の受給であったり、国民年金の保険料の減免であったり、国民健康保険料の減免といった、そういった11項目を用いてですね、その審査を行っている。そういった意味で他の政令市と比べて非常に要件は広く認めている、いう状況であります。 本市の就学援助率の客観的な数字ですけれども、平成26年度において28.3%となってます。これは政令市の中でも非常に高い水準にもなっています。ですので、係数そのものを見直しする必要は無いと、こういうふうに思っています。 今後もですね、今子どもの貧困対策という意味でに正面から取り組んでおりますけれども、その保護者の所得の格差によって子どもの教育格差をできるだけ小さくしていく、出来るだけ 生まないようにしていくというのは、これは私自身正面から取り組んでいる訳であります。子どもにとっては関係無いということになろうかと思いますので、ですので、経済的な理由によって就学が困難となるような児童生徒の保護者に対してはしっかりと必要な対策を今後も講じていきたいと思ってます。 それから加えてこれから僕の最後の発言なるかも知れないのでちょっと申し上げておきたいんですけれども、共産党さんが一般質疑するとき、だいたいいつも5時という取り決めで、5時丁度に(質問項目が)出るんですけれども、議員の場合ですね、昨日の午前11時の早い段階で出して頂きまして、5時に出されると、ルールはルールなんで良いんですけれども、職員の残業とかですね、それが非常に増えてきますんで、議員は早い段階で出して頂いたことに感謝申し上げたいと思っています。
●井上議員 市長、一点確認なんですけれども、係数は全国最低ですよね。1.0以下は無いんですから。ちょっと確認。
◆吉村市長 係数は1.0以下はありませんので全国最低ですが、20政令市の中、1を採用しているのは7政令都市があります。ですから最低にあるのが7政令指定都市と同水準ということになります。
●井上議員 関連して申し上げますが、本当に子どもの貧困という問題に真剣に向き合っている立場とは到底言えません。「こどもの貧困」は「政治の貧困」に他ならないのです。こどもの貧困対策を進めるにあたっては、まず貧困に拍車をかけてきた「政治の中身」を省みるべきであります。これまでの維新政治による市政改革プランによって、子育て施策切り捨てたこと、全面的に見直すように求めて質疑を終わります。 |