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市議団の実績

江川繁議員の一般質問・質疑と答弁(要旨)

江川繁市会議員

2016年11月30日

大阪万博 カジノ誘致に反対/大阪市議会 江川氏が迫る

写真 日本共産党の江川繁大阪市議は11月30日、市議会本会議の一般質問で、吉村洋文市長に市民の福祉・くらし最優先の市政への転換を求めました。

 江川議員は、夢洲(大阪市此花区)でのカジノを中核とする統合型リゾート(IR)と一体の万博誘致に反対を表明。「さんざん破綻してきたベイエリア開発の二の舞いになり、市民に巨額の負担を押し付けることになる。世論調査で万博会場の近くにカジノを誘致することに52%が反対している。万博をカジノ誘致に利用するのはやめるべきだ」とただしました。

 吉村市長は「カジノをきっかけにギャンブル依存症をコントロールして、減らすことができる」と何ら根拠も示さずに答えました。

 江川議員は、合区を前提とした「総合区」か「特別区」かを押し付ける住民説明会の速やかな中止を求め、住民自治拡充については、「今の24区で区政会議を地方自治法に基づく区地域協議会に位置づけるなど区民の意見が市政にしっかり反映される仕組みをつくるべきだ」と迫りました。

 江川議員は、地下鉄・市バスの民営化の見直し、保育所待機児童の解消、少人数学級の実施、生野区西部の小学校12校を4校にするなどの小・中学校の統廃合の見直しなどを求めました。

(2016年12月3日付しんぶん赤旗)


※11月30日の大阪市会本会議、一般質問での江川繁議員の質疑と、吉村洋文市長の答弁を掲載します。この記録は、日本共産党大阪市会議員団事務局で作成したもので、正式な記録ではありませんのでご了承下さい。


江川議員がおこなった一般質問の項目

1.都市内分権について

@昨年5月の住民投票の結果を真摯に受け止め、「都構想」ありきで市民に二者択一を迫るような「制度いじり」はやめるべきであり、意見募集・説明会は速やかに中止すべきではないか。 

A地方自治法252条の20に基づいた区地域協議会を活用し、区民の意見が市政に反映される仕組みをつくるなど、区政会議条例の改正を行い、今の「行政区」において一歩一歩、都市内分権を進めるべきではないか。 

 

2.地下鉄民営化について

@全国で駅ホームからの転落事故が相次ぐ中、地下鉄全駅への可動式ホーム柵の設置が緊急に求められているが、民営化を前提としたことで御堂筋線全駅への設置が止まっている。地下鉄が民営化されたら、可動式ホーム柵の設置は進まなくなるのではないか。 

A地下鉄から市バスへの経営支援が打ち切られた結果、市バスの路線や便数が大幅に減らされ、市民の利便性が大きく後退している。日常生活にバスが欠かせないという市民のためにも、地下鉄から市バスへの経営支援を再開するべきではないか。 

B市長は、地下鉄民営化について「完全民営化が理想だが、当面100%大阪市出資の株式会社で発足する。任期中、株式の切り売りや上場はしない。しかし、将来の政治家の判断まで拘束できない」とされているが、地下鉄の株式会社化は、完全民営化への手段と考えているのではないか。 

 

3.夢州への万博・IRの地下鉄民営化について

@夢州に万博を誘致することは、破綻したベイエリア開発の二の舞となり、市民に巨額の負担を押し付けることになるのではないか。 

A市長は、夢州への万博誘致をIR・カジノの整備と一体で進めようとしているが、市民の批判は非常に大きく、夢州へのカジノ誘致は断念するべきではないか。また、万博をカジノ誘致に利用することはやめるべきではないか。 

 

4.保育所の待機児童問題について

 保育所の待機児童解消は大阪市の最重要課題である。市長公約の2018(平成30)4月に待機児童を解消するためには、2年間で少なくとも6,000人の入所枠の確保が必要となるが、具体的にどのように進めていくのか。 

 

5.大阪市の教育の危機的状況について

 不登校、暴力行為、いじめの統計数値は全国最悪水準である。こうした大阪市の教育の危機的状況についてどのように認識しているのか。また、抜本的対策についてどのように考えているのか。 

 

6.少人数学級の実施について

 少人数学級は、生活指導面や学習面から、最も効果的であるとして、全国的にも広がっている。大阪市として当面、35人学級を直ちに実施するべきではないか。 

 

7.小・中学校の統廃合について

@2015年4月に、市長が主導する第一回総合教育会議において、市内の小学校292校中83校を統廃合の対象としたが、撤回するべきではないか。 

A生野区西部の小学校12校を4校に、中学校5校を4校に統廃合することは撤回するべきではないか。


 江川繁議員

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、吉村市長に質問します。

 

1.都市内分権について

@昨年5月の住民投票の結果を真摯に受け止め、「都構想」ありきで市民に二者択一を迫るような「制度いじり」はやめるべきであり、意見募集・説明会は速やかに中止すべきではないか。

 

まず、都市内分権に関わってお聞きします。昨年5月の住民投票では、「行政区」と「特別区」の二者択一を市民は迫られました。

本来、否決された「特別区」の方は、議論を進めようと思えば、法律に基づいた手続きが必要であることは言うまでもありません。ところが、住民説明会の資料には、「現時点での制度案はありません」としながらも、まるで何事もなかったかのように、わざわざ12ページにわたって再び登場させる一方、「行政区」の方は「合区を前提にした総合区」に衣替えして提案されています。市民的にも「総合区」という言葉自体なじみがなく、「初めて聞いた」という方が圧倒的であり、市民的な認知度は皆無に等しいものです。さらに、議会での議論も「緒に就いた」という段階であります。

「二者択一を迫られたら、24区でいいという私の声はどこに託したらいいのか」、「現行の行政区のなかで住民の声が届くような、そういうシステムがそれこそ大事ではないか」という意見が住民説明会でも多く出ていました。

こうした市民の疑問の声を無視して、市民に全く次元の違うものを、無理やり選ばせようとする乱暴な手法は、住民自治拡充の市民的議論を広げていこうという立場とは、相容れないものであります。

また住民説明会は、半年間で24区を1回ずつまわるだけであり、この短い期間で市民的議論が醸成されるはずがありません。これまでに開催された10区の出席者は、会場の定員4050人に対して1255人、率にして30%程度のもので、1区平均125人であり、市民の関心は低調であります。市長は、24区を一巡したという既成事実を作って、来年2月には合区を前提とした総合区の案を一つに絞り込み、同時平行で法定協議会設置の議案を提出する意向まで示しています。

結局は、住民説明会で反対意見が多数出ようが、お構いなしに、政令市として大きな権限をもつ大阪市の廃止・分割に血道をあげようという算段なのであり、こんな乱暴なやり方を、市民の良識は決して認めないのであります。

このような住民説明会は、速やかに中止するべきと考えますが、答弁を求めます。

 

吉村洋文市長

住民説明会を速やかに廃止すべきということなんですけれども、何でこれを廃止しなきゃいけないのか、ちょっと理由がよく分かりません。

まずですね、昨年の5月の特別区の住民投票、これは確かに、反対多数ということになりました。70万票の反対ということになって反対多数となりましたが、一方で69万票の方、69万人の方が賛成に投じているわけであります。0.8ポイント差ということで、新しい特別区というこの制度に向けてですね、約69万人の方が賛成に投じているというのは、非常に私は大きいことだというふうに思っています。もちろんこれは反対多数で否決されて、現在は案はありません。

その中で、私自身も自らの市長選挙において、特別区を修正する案を作らせてほしいということを、市民の皆さんに正面から訴えていったわけであります。それをうけてですね、市長になって、この特別区と、それから私がこの総合区について主張するということは、私は、特別区として支持している方からすれば、「何でやねん」ちゅう話に、私はなるかと思うんですけれども、ただ、行政、地方自治というのは、二元代表制のもとで成り立っていますので、市長と、それから、市長は提案することができますが、最後、議会との二輪で動いているということになっています。ですので、議会の中で総合区という意見が多くあるのであればですね、それは、総合区案についても、ベストな案を作っていく、特別区についても、これ私も市長選挙で訴えさせてもらったわけですから、ベストな案を作っていくということを、行政的に実行していくということは、何ら問題のないことだと思っています。

これは、議会での議論に加えてですね、住民のみなさんに意見を聞く会というのは、これは、別に法律に定められている手続きでもないわけですから、やらなければやらなくてもいいということになるかとは思うんですけれども、これはただ、総合区と特別区、それぞれの制度について、やはりこれは説明会というのをやって意見を聞こうということを、これはやっている。これは、市民のみなさん、参加人数は仮に少なかったとしてもですね、そういったことを実施して、誰でも参加できる仕組みになっているわけですから、僕は意義のあることだというふうに思っています。ですので、この意見募集説明会を速やかに中止するというつもりはありません。

 

江川繁議員

いま市長は答弁で、「何で説明会やめないかん」と、こう言われましたけれども、私は先ほど質問で言いましたように、合区を前提とした10前後の総合区と、それと特別区を比較する、そのような説明会だから、これは違うと、やめなければいけないと言っているのであります。

最も重要な件なので再度指摘しますが、市長は、選挙で「もう一度設計図をつくらせてほしいと訴えた」と繰り返しますが、昨年5月の住民投票で明確に大阪市民の民意は示されたのであります。「大阪市と24区」、これが民意であります。このことを踏まえて、吉村市長は地に足を着けた市政運営に取り組み、貧困対策、くらし・福祉・子育ての応援、まちづくり等々、未来につながる施策展開に専念すべきであります。

直接の住民投票で「都構想」は否決されたのであり、政令市としての大阪市の存続を前提に「統治」のためではなく、「住民自治拡充」のための設計図をつくるのが、市長の今今の責務ではありませんか。

「24区ではだめ」などという、何ら根拠もない固定観念は捨て、勝手なスケジュールを押し付けるのではなく、広範な市民による充分な議論で、「都市内分権」を進めることが求められていると指摘をしておきます。

このような合区を前提とした「総合区か特別区か」を押しつける、まさにアリバイ作りの住民説明会はただちに中止すべきであると、重ねて申し上げておきます。

 

A地方自治法252条の20に基づいた区地域協議会を活用し、区民の意見が市政に反映される仕組みをつくるなど、区政会議条例の改正を行い、今の「行政区」において一歩一歩、都市内分権を進めるべきではないか。

 

次に現在の「24行政区」での住民自治拡充についてお聞きをいたします。

市長自身も「上越市などの地域自治区制度に注目している」と繰り返し語っていますが、私どもは今の「24区」において、区政会議を地方自治法第252条の20に基づき、区地域協議会に位置づけるなどして、区民の意見が市政にしっかりと反映される仕組みをつくっていくという取り組みから進めていくべきであると、提案をしてきました。

区地域協議会は、「市長や市の機関から諮問されたものについて審議し、市長その他の市の機関に意見を述べることができる」、「市長は、区の区域に係るものを決定し、変更しようとする場合は、あらかじめ、当該区の区地域協議会の意見を聴かなければならない」など、法令上の様々な権限が付与されているのであります。

区地域協議会の活用にあたっては、何よりも住民の皆さんを真ん中に、「地域の実情」から制度を構築していくべきだと考えています。

現在の「行政区」において、すみやかに区政会議を、地方自治法に基づく区地域協議会に位置づける条例改正をするなど、都市内分権を進めるべきだと考えますが、市長の答弁を求めます。

 

吉村洋文市長

まずですね、本市においては、これまでこの24区のなかでですね、どうやって基礎自治を充実させていくのかという観点から、この基礎自治に関する施策・事業について、区長が出来る限り決定して展開していけるような、そんな仕組みづくりをやってまいりました。現行の制度の枠組みの中で、局が持つ権限・財源・責任、これを出来る限り区長に移管して、区長によって総合的な施策の展開を図ることを実現できる、これは現行の制度の中でですね、これ実行していっている、出来る限り権限を持ってもらうというのを実行していってもらっているという状況です。

併せてですね、その当該区域の皆さんのご意見を受けようということで、区政会議というのを作って、区政会議を開催してですね、区民も参画できる仕組みの充実・強化に努めてまいりました。

今この区政会議についてはですね、現在、区長会議において、この区政会議の運営のあり方について議論・検証を行っています。それをさらに高めていくことがいけるかどうかということの検証を行っていっています。ですので、まさにこの区政会議を充実させることでですね、まあ24区という前提に立つのであれば、区地域協議会を、合区をしないというのであればですね、この区政会議を充実させていくやり方ができるだろうというふうに考えています。

大事なことは、その先にあるですね、この大阪の都市機能の強化・充実であったり、二重行政をどうするかという問題、加えて、住民自治をどうやって拡充していくかという課題の中でですね、一定、この大都市制度の改革が必要だと思っていますし、先ほど申し上げたとおり、大阪市の24区というのは、あまりにも多すぎるというのは、客観的にも明らかですから、そこで、総合区という新たな制度を活用してですね、その中に地域協議会を組み込むというというのは、僕は制度として非常にすとんと落ちる考え方だというふうに思っていますので、そういったことを実行していきたいと思っています。

 

江川繁議員

市長はね、すり替えておりますよ。先日の委員会等では、議会のときに、「上越に行って、この地域協議会というのは、どういうふうに機能しているのかという視察にも行ってまいりました。素直な感想としては、ボトムアップで、本当に地域に根ざしたことは、地域協議会で決めるという、新しい形の民主主義という、住民自治の形だという印象を持って帰ってきた」と、絶賛しているわけですね。今今それは、この大阪市の24区でできるわけです。この上越市は20万人都市であり、28の地域自治区、すなわち1万人程度でやっているわけですね。

だからいま市民が必要としているのは、「統治のための制度」いじりではなくて、現在の「24行政区」においてすみやかに、市長も有効なツールと言っている、地方自治法に基づく区地域協議会に区政会議を位置づける条例改正するなど、「住民自治のための制度」だということを肝に銘じてすみやかに実行することを強く指摘しておきます。

 

2.地下鉄民営化について

@全国で駅ホームからの転落事故が相次ぐ中、地下鉄全駅への可動式ホーム柵の設置が緊急に求められているが、民営化を前提としたことで御堂筋線全駅への設置が止まっている。地下鉄が民営化されたら、可動式ホーム柵の設置は進まなくなるのではないか。

 

次に地下鉄の民営化問題であります。市民のみなさんが大変危惧していることの一つは、民営化で安全安心が置き去りにならないかということです。そこで、可動式ホーム柵の設置についてお聞きします。

今年8月に東京メトロ銀座線で、続いて10月に近鉄大阪線で、視覚障害者の方がホームから転落して死亡するという痛ましい事故が起こりました。これを契機に、可動式ホーム柵の設置を求める声が広がり、今やこの分野で遅れていたJRや私鉄でも、JR西日本は大阪駅や京橋駅など15駅に、北千里急行は千里中央駅など3駅に、阪急は十三駅に設置するという動きが起きています。

ところが大阪市はどうでしょうか。交通局は元々2019年度までに261億円を投じて、御堂筋線全駅に可動式ホーム柵を設置する計画を持っていました。それが民営化の動きのなかで、可動式ホーム柵設置の大前提となる地下鉄車両への自動停止装置の取付けが一向に進まず、ホーム柵だけ天王寺駅と心斎橋駅に設置することでお茶を濁し、それ以降まったく止まっているのであります。

吉村市長はかつて、可動式ホーム柵設置について、「安全にお客様を輸送するというのはまさに本質」「そういったことを重視するのは、民間であれ公であれ、交通インフラ事業者では当然のことだと思います」と答弁しています。その交通インフラ事業者として当然のことが、地下鉄が民営化されたら、できなくなるのではありませんか。答弁を求めます。

 

吉村洋文市長

いや、ですので、交通の安全輸送については、これは公営であっても民営であっても、最も大事なことですので、これは民営化になるから進まないとか、公営であるからこうだと、そういう類のものではないと思います。ひとたび大きな事故が起これば、それは大きな信用の失墜となって、その事業体自体の、ひいては倒産につながるような非常に大きな事だというふうに思いますので、安全・安心で確実に輸送する、特にこの交通の輸送サービスの安全性というのは、これは公営であっても民営であっても、まったく一緒であります。

鉄道事業については、民間でですね、されているところが主流で多くありますけれども、そこでもホーム柵というのは設置していっていますし、安全についてはしっかりとやっているというのは、結局、公営でも民営でも最も大事なことだというふうに思っています。ですので、大阪市営地下鉄が民営化したから、ホーム柵が設置できなくなるということは無いというふうに思っています。

可動式ホーム柵について、今、千日前線など3路線と、それから御堂筋線の2駅の、いま計44駅に設置しているところであります。さらに今年の8月の東京メトロの青山一丁目駅での事故、これを踏まえまして、現在、国土交通省が検討会を立ち上げています。年内の中間取りまとめに向けてですね、ホームからの転落防止に向けた対策を、今、検討しているということですから、今後これは、この検討会の動向を注視してですね、必要な対策を検討していきたいと考えています。

ホームからの転落防止対策については、可動式ホーム柵などのハード面での対策、これも必要ですけれども、ソフト面、特に人的なサポートも重要であろうというふうに思っています。目の不自由なお客様が地下鉄をご利用される場合に、駅職員が積極的に声かけを行っていますけれども、お客様どうしのお声かけなど、東京でそういった取り組みもすすんでいます。さらなる人的サポートにも取り組んでいきたいと考えています。

 

江川繁議員

市長がいま答弁されたことについては、さきほどの質問で、もうすでに論破をしておりますが、市長は、輸送力の低下や電車内の混雑増大など困難を解決しなければならないと言いますが、それは車両に自動停止装置を取り付けて解決するしかありません。市長の答弁とは違って、ホーム柵が進まないのは、株式会社になったら経営面で当面、可動式ホーム柵の設置どころではなくなる、これが本当の理由ではありませんか。

地下鉄は、株式会社化によって公営企業で築いてきた資金1500億円余りを退職金支払いなどに使い果たし、手元に70億円の運転資金しか残らない状況、スッカラカンでスタートとなります。

向こう10年間のキャッシュフロー見通しでは、公営企業として発行してきた起債を銀行借入で引き継ぐために、4700億円という莫大な借金の返済に追われ、10年間は可動式ホーム柵の設置のための新たな借入もままならない、投資計画にも可動式ホーム柵計画は入っていない、こうしたことが明らかになりました。これでは資金面から見て可動式ホーム柵は10年間はしない、できないということではありませんか。ホーム柵しかり、震災対策しかり、安全・安心の地下鉄は公営企業でこそ実現できると指摘をしておきます。

 

A地下鉄から市バスへの経営支援が打ち切られた結果、市バスの路線や便数が大幅に減らされ、市民の利便性が大きく後退している。日常生活にバスが欠かせないという市民のためにも、地下鉄から市バスへの経営支援を再開するべきではないか。

 

次に市バスについてお聞きします。橋下市長になって、市バスに対する地下鉄からの経営支援が打ち切られて、いわゆる赤字路線が次々と廃止され、今では86路線になり、そのうち約8割は昼間に1時間に1本しか走らないも同然の便数になって、市民の足の利便は大後退しました。「1時間に1本しかないなんて大都市として恥ずかしい」、1時間に1本だから外出しての帰りのバスがないため「買い物に行けない」「病院に行けない」と引き篭もりがちになられた高齢者が増えています。市長は、地下鉄に乗れない人は外出できなくても仕方がないと考えていますか。

地下鉄から市バスへの経営支援を再開すべきではありませんか。答弁を求めます。

 

吉村洋文市長

引きこもりになって外に出れないということですけれども、現在も敬老パス制度、これは維持しております。高齢者の皆さんにはですね、市営地下鉄、市営バス、これは民営化になってもそうですけれども、この敬老パスを使ってですね、いろんな外出をされるということになるだろうというふうに思っています。

バスのこの路線についてですが、これは市民・お客様に必要なサービスを、持続的・安定的に提供していく必要があります。完全に空気だけを運んでいけば、これは税ですから、これは成り立たないと、税と賃料収入から成り立っているわけですから、それは成り立たない。何が必要な路線なのかというのを追求していくということもまた、これは必要な行政の役割だろうというふうに思っています。公共交通ネットワークをどうあるべきかという議論をされてですね、バス停から350メートル、地下鉄の鉄道の駅から500メートル、いろんな専門的な見地からですね、この交通のネットワークというのを構築して、全体として公平で効率的かつ効果的な輸送サービスの提供というのを今、実行しているところであります。もちろん、これについて必要な補助金については、大阪市からも出しているという状況であります。

地下鉄とバス、これはですね、元来、別々の事業でありますので、これは受益と負担の関係を考えると、それぞれ独立して採算を取っていくことを目指すというのは、これ、原理原則だと思います。民間の事業者においても、同じグループ企業内においてですね、鉄道とバス、それぞれが独立して採算性を図っている、確保して、そのうえで連携しているものだというふうに認識しています。そういった関係で、最も効率的な経営を行っていくということが、ひいては、市民であったり、お客様に対するサービスの提供ということにつながってくるんだろうと思っています。

民営化後においてはですね、地下鉄の新会社と大阪シティバス株式会社、それぞれ独立して採算を取りながら、いわゆるグループ会社として地下鉄とバスの連携を確保しつつ、サービスの維持をしていきます。

バスのこの路線については、基本計画案にあるとおりですね、一定維持するということも示しているとおりでありまして、これはそういった形で、地下鉄とバスの関係は、そうあるべきだと考えています。

 

江川繁議員

いま、市長の答弁を聞きますと、まさに効率化、金しか考えないと、こういった貧困な発想だと、私は思います。ますます大阪市は高齢化社会を迎え、この高齢化社会の中で、高齢者にどのように寄り添うかということが、喫緊の重要な課題となっています。公的責任を果たすべきであります。

3月に採択されたバスの民営化基本方針は、不便にされた86路線のサービスをなんとか維持しようというものであって、それさえもおぼつかないだけでなく、前のサービス水準に戻して欲しいという市民の願いからは、遠くかけ離れたものとなります。

市民の要望に応える道は、交通局が2010年3月に策定した、地下鉄から市バスへ年30億円支援すると決めた「アクションプラン」に戻ることにしかありません。地下鉄を民営化せず公営企業として存続させ、年400億円近くも黒字の地下鉄会計で、市バスをしっかりと支援することこそ、市民の願いに答えられる道だと指摘をしておきます。

 

B市長は、地下鉄民営化について「完全民営化が理想だが、当面100%大阪市出資の株式会社で発足する。任期中、株式の切り売りや上場はしない。しかし、将来の政治家の判断まで拘束できない」とされているが、地下鉄の株式会社化は、完全民営化への手段と考えているのではないか。

 

さて、市長はこの間、「完全民営化が理想だが、当面100%大阪市出資の株式会社で発足する。私の任期の間は株式の切売りや上場はしない。しかし将来の政治家の判断まで拘束はできない」と発言しています。この市長の発言は、地下鉄の株式会社化を、完全民営化への通過点、第一段階、完全民営化のための手段として見ているということではありませんか。答弁を求めます。

 

吉村洋文市長

完全民営化への手段と考えていることはありません。完全民営化で、これ絶対なければならない、公営から完全民営化だということであれば、議会のみなさんにそういうふうに提案します。

地下鉄事業をですね、一歩でも二歩でも、よりよい状態にしていくということを考えていくのが、私の役割だというふうに思っておりまして、このまま完全な公営企業、大阪市営の公営企業でですね、全部丸抱えでの経営を続けていくんじゃなくて、株式会社として一歩を踏み出すことが、私は、大阪の交通、それからそれを利用する市民・利用者にとって、プラスであると判断しています。

大阪市が100%株式を所有するなかでですね、経営の自由度を向上させて、これ株式会社として経営を強化して、市民の皆さんにとって非常に重要な貴重な都市のインフラ・公共財を維持しながらですね、さらなる成長をめざしていくことが、今の地下鉄事業にとって必要であるというふうに、議会の議論も踏まえれば、認識しておりますし、私はそのような提案をしています。

 

江川繁議員

市長は手段ではないと答弁されました。しかし、どう答弁されようと自由ですが、誰が見ても、株式会社化を完全民営化のための第一歩としようとしていることは、隠しようがありません。

完全民営化ということは、株式をすべて民間企業や民間投資家に売り渡すことですから、そうなれば、地下鉄はもう市民の財産とは言えないし、公共財であるとは言えません。これまでのような大阪市の街づくりに貢献するという役割は、果たせなくなってしまいます。

そもそも、なぜ地下鉄の株式を民間に売って、地下鉄が生み出す利益を一部の民間資本に差し出さなければならないのですか。公営企業であれば、その利益はすべて利用者の利便と市民の福利のために使えます。市バスへの経営支援や、可動式ホーム柵の全線設置、料金値下げ、大阪市東南部の街づくりに寄与する今里筋線の延伸、さらには大阪市への財政貢献、従って、コミュニティバスの配置や市民の福祉や教育などへの財源にも回せます。

いったん公営企業が議会の3分の2以上の多数の賛成で廃止されたら、そんな役割が果たせなくなります。そして、議会の2分の1の賛成で株式を売却することや上場することも、できることになります。完全民営化につながる株式会社化、公営企業の廃止には踏み出すべきではないと厳しく指摘をしておきます。

 

3.夢州への万博・IRの地下鉄民営化について

@夢州に万博を誘致することは、破綻したベイエリア開発の二の舞となり、市民に巨額の負担を押し付けることになるのではないか。

 

次に夢洲への万博誘致についてお聞きします。私たちは「万国博覧会」が持つ「産業や技術の進歩・発展」を示し、広く教育的に広げようという理念そのものに反対しているわけではありません。しかし、夢洲でのIR・カジノと一体の万博誘致には、反対であります。

まず夢洲での万博に私たちが反対する大きな理由の一つは、これまでさんざん破綻してきたベイエリア開発の二の舞になる、そしてそれが大阪市民に巨額の負担を押し付けることになるという点にあります。

大阪市が国や関西財界の言いなりになって進めた舞洲、咲洲、夢洲での「大阪湾ベイエリア開発計画」、すなわちゼネコン浪費型大型開発事業はなぜ惨めに失敗したのか。WTCやATC、なにわの海の時空館、ワインミュージアム等々はなぜ負のレガシーとなったのか。それは経済効果が絶大だという甘い言葉に乗って、後先も考えずに事業を進めたからに外なりません。

万博誘致計画は今のところ、会場建設費、運営費、関連事業費など、総額2800億円余りと言われています。これとて膨らまない保障はどこにもありません。豊洲がその例であります。また、民間がどこまで負担するのかも決まっていません。

大阪市が負担すると見込まれる会場建設費、鉄道建設費、追加の埋立工事費、これらの計1000億円についても「これは誰が負担するのか」と聞いても「まだこれからです。」というばかりで、府と市の負担や、誰がどのようにお金を出すのか、これも全く明らかにされませんでした。

現状は、松井知事が夢洲の開発権限をもっているかのように、万博誘致の話しをどんどん進める、そして吉村市長は、大阪市の負担すら分からない状況なのに、松井知事にただただ付き従っている、無責任の極みであります。

市長、夢洲に万博を誘致することは、破綻したベイエリア開発の二の舞になり、市民に巨額の負担を押し付けるものになるのではありませんか。答弁を求めます。

 

吉村洋文市長

大阪市がこれまでベイエリアの開発を試みて、そして自らですね、事業主体となってホテルの経営に乗り出したり、さまざまなこと、事業に着手してですね、大きな赤字になって、負の遺産になっているということは、大いに反省しなければならないというふうに思っています。

私自身は基本的な思想として、行政自身がですね、民間のように直接プレーヤーとして入っていくというのは、極めて慎重でなければならないというふうに思っています。というのは、最終的な責任がどこにあるのか分からないというような、そんな中で、民間はきちっと最終責任を負っていく話になるんですけれども、行政はそういう体裁になってないですから、そういった意味で、民間と同じようにやればですね、最終的に負担をこうむるのは市民ですから、そういった意味で甘い見積もりというのも、この大阪市のベイエリア開発にはあったんじゃないのかというふうに私は思っています。

ただそうは言ってもですね、このベイエリアというのは、世界の成長する諸都市において最も成長しているエリアは、やはりベイエリアですから、ベイエリアを放っておくというわけにも、当然いけませんし、ベイエリア自身は、やはり僕は、非常に魅力のあるエリアだというふうに思っています。

この万博というのは、当然、国・府・経済界なんかが資金を出し合うということになりますが、万博の趣旨自体は共産党のみなさんも賛成するというふうにおっしゃっているように、民間の事業そのものというわけじゃなくてですね、今回は、人類の健康・長寿への挑戦ということで、人類の課題解決に向けた、そういった大きなテーマのもとに、大阪の魅力を発信する、まあ経済効果も6兆円とも言われていますけれども、そういった大きな目標のもとにですね実施するこの万博を、世界に大阪の魅力を発信できる、まさにそんな機会だと思います。

これは、万博自体は国の、結局、事業になりますので、国が手を挙げて勝ち取らなければいけない、パリにも勝たなきゃいけないわけですけれども、その開催される場所がですね、夢州で行われる、まさにですね、私はぜひこれを、大阪市のベイエリアの夢州に誘致したいというふうに思っています。

今回、そういったことも受けてですね、経済界も、現にお金を出す経済界も、11月9日ですが、大阪府、関経連も含めた経済3団体、それから広域連合とで、万博誘致委員会の準備会を立ち上げて、府・市・経済界、一体となって取り組むことを確認しました。国に対してもですね、その要請を先般、行ってまいりました。もちろんこれは費用がかかる話、経費がかかる話になりますので、市の財政の負担額も生じるということになりますから、これは今後、国・府・経済界とも協議しますが、議会に対しても適宜、適切にご説明させていただきたいと考えています。

 

江川繁議員

市長はいま楽観的な答弁をされておりますけれども、昨日の他会派の方の「3000万人も来るんかな」ということや、いま6兆円と言われましたが、まったくの空の数字であります。あの東京オリンピックの例でも、本当に大変な状況になっております。

市長はそのように今まで楽観的に答弁しますけれども、大失敗した巨大開発の二の舞になる、市民に巨額の負担を押し付けることになることは明らかであります。その上大阪府は、起債発行にも国の許可がいる団体に転落している財政状況であります。松井知事の口車に乗って大きな負担をさせられるのは、大阪市であります。夢洲への万博誘致は中止すべきであります。

 

A市長は、夢州への万博誘致をIR・カジノの整備と一体で進めようとしているが、市民の批判は非常に大きく、夢州へのカジノ誘致は断念するべきではないか。また、万博をカジノ誘致に利用することはやめるべきではないか。

 

次にもう一点、私たちが夢洲万博に反対するのは、万博の誘致とカジノの整備が一体のものとなっているからであります。

橋下前市長も吉村市長も、万博の話が持ち上がる以前から、夢洲にカジノをふくむIRを誘致したいと言ってきました。そしてその夢洲に、松井知事が万博を誘致したいと言い出したのであります。

松井知事も万博とIRはセットで誘致すると明け透けに言い、吉村市長も「万博はIRを合わせて誘致することで、両方が相乗効果を発揮する」と言っています。万博はあくまで期間限定のイベントであるのに対して、IR=カジノは恒久的施設であること、府と市がつくった行程表では万博開催は2025年なのに、その前の年にIRを開業させるものとなっていることを見ても、万博誘致はカジノの整備に利用されようとしていることは明らかであります。

しかしカジノは刑法で禁止されているギャンブル、賭博であります。日本はギャンブル依存症が500万人を超えるとされ、深刻な社会問題となっています。お金ほしさの犯罪は後を絶たず、自動車にこどもを置き去りにして死亡するなど、ギャンブル依存症がらみの事件があふれています。青少年の健全育成にも重大な影響を及ぼします。それをカジノ解禁で広げて、どうして大阪の街が豊かになるのでしょうか。

先日も国会質疑で、ギャンブル依存症は病気であると明瞭にされました。テーマを「健康と長寿への挑戦」とした万博会場の横で、病気であるギャンブル依存症を撒き散らすカジノ開業など、笑止千万であります。

先日の読売新聞の世論調査で、「万博会場の予定地の近くに、カジノを含む統合型リゾートを誘致する」ことへの賛否を問うと、「反対」が過半数の52%にのぼり、「賛成」を20ポイント近く上回るという結果が出ました。カジノ誘致はとうてい市民合意が得られているとは言えません。

市長、夢洲へのカジノの誘致は中止すべきではありませんか。万博をカジノ誘致に利用することをやめるべきではありませんか。合わせて答弁を求めます。

 

吉村洋文市長

 万博の誘致をカジノの誘致に利用しているというのは、どうしてそういう発想なのかよく分からないんですけれども、万博とカジノ、これ2025年が万博ですけれども。これ、夢洲にですね同時期に誘致するということは、非常に大きな、僕は起爆剤になるだろうというふうに思っています。

 この夢洲というのを将来どういうふうにしていくのかというのが、私は大事だと思っていまして。夢洲はですね、正にこの関西国際空港からも1時間以内で行けるエリアで、人工島であって住居からも離れていると。島になっているいう中でですね、京都、奈良、神戸にも近い。大阪都心にも近い。まさに大阪のですね観光ポテンシャル、国際観光拠点として、僕はこの夢洲というのは非常にポテンシャルが高いものと思ってますし、この財産をですね、活かしていかなければならないと思っています。

 これまで夢洲について大阪市の計画で45000戸の住宅を建てるということのようでしたけれども、それについては私はそういうやり方ではいけないと思ってます。

 夢洲っていうのはこれからですね、多くの方が大阪を訪れてますけども、国内外から訪れてますが、やはり大阪の魅力を国内にもそして国外にも発信する、まさにその中継拠点になるというのが僕は夢洲だと思ってます。

 じゃあそれをどうやっていくのかという事ですが、統合型リゾートのIRについてはですね、知らない人からすると、全部がカジノなんじゃないかと思われている方もいらっしゃいますけれども、わずかそれは3%とか5%。エリアにすると3%か5%ぐらいの、そういったエリアで、全体で見ればですね、ホテルであったり大型のシアターであったり、それからMICEっていう国際会議施設であったり、展示施設であったり、博物館であったり、そういったことを含めた統合型リゾートを運営していくという、カジノを含むIRという事を是非とも誘致したいと思っています。

 これは公共でやるんじゃ無くて、民間の投資でやってもらう。それによる経済効果についても、建設費で1兆4000億円くらいの経済効果。それから毎年7000億円ぐらいの経済効果が見込まれています。

 雇用の創出効果についても9万人。それから地元企業への発注。大阪の賑わいづくり。本市の税収増というのは明かですから、医療、教育、福祉にもしっかり回していく事が出来る。

 そしてお金のある人がですね、そういったギャンブルを楽しむというのは、私はひとつあって良いというふうに思っていますので、この統合型リゾート、しかも世界で無い訳じゃなくて、シンガポールを含め様々な世界各国で行われている前例のある事ですから、これを日本においてやらないという事は、僕的には考えていませんし、僕は夢洲に誘致したいと思ってます。

 ギャンブル依存症に対してですけれども、これは正面から取り組む必要があると思ってまして、今のこの日本のギャンブル依存症の対策のあり方というのは問題。そもそも問題があると思っています。正面から一切取り組んでいないのがいまの現状で、放置されている訳です。

 パチンコもですね、ギャンブルと認めずに、そして町のあらゆる所にパチンコ場、賭博場があるのが今の日本の現状。そしてギャンブル依存症についても、これは今全国で5%位ですか、男性でいくと9%ぐらいいると。非常に多くの方がギャンブル依存症というふうに言われている。まさにそれを放置してるのはどうなのかという事が、私は問題意識として持っています。これまで何もしてこれなかった訳ですね。

 一方このカジノについてはですね、ギャンブル依存症に対する対策をしっかりやっていこうという事が、先例として取り組まれていまして。その具体的な依存症対策を機関も設置して実行していくことで、現にギャンブル依存症の、国全体のギャンブル依存症が半分以下に減っているという数値も出ています。

 ですので、ギャンブルというのは無くならないんです。ギリシャの時代からありますんで、これ人間に於いては無くならないから、ギャンブルはコントロールすべきもんなんです。今日本でこれコントロール出来てません。

 ですので、今回のこのカジノをきっかけにですね、ギャンブル依存症をコントロールしていく、いうことが僕は大事だと思ってまして、現にそれは先例もある。ギャンブル依存症も減っている、ということになれば今日本に5%もいるギャンブル依存症を逆に減らすことが出来る、というふうに思っていますので、むしろ僕は積極的に導入して、そしてギャンブル依存症に対しても正面から向き合うべきだと思っています。

 何もしないでギャンブル依存症が問題だといっている、今現在に於いても、それは困っている方がいて、それが放置されているというのが今の国の施策ですから、今カジノを含むIRを導入すれば、これは今推進法がそもそも成立するかっていうのがありますけれども、1年以内に実施法が行われる。その中の議論として、当然ギャンブル依存症対策にも正面から取り組むいうことが、これカジノでは当然やっていく、まさに絶好の機会だと思っています。この機会を逃さずに取り組んできたいと思います。

 

江川繁議員

 本当に市長の答弁では、ギャンブル依存症が本当に楽観的に無くなると、こんな答弁でありますけれども、しかし、カジノ推進派の皆さんは、よくギャンブル依存症はコントロールできると言いますけどもしかし、コントロールできないから法律で禁じているのであります。

 日本においては1300年以上もの間、民営ギャンブルは厳しく禁止されてきました。長い歴史の中の教訓です。

 シンガポールの例を出されましたが、シンガポール政府が公表している、カジノの入場規制に関する統計で、「本人の申請に基づく入場排除」は2013年3月に103,223人が2015年6月の直近の公表では212,022人と倍増しています。自己破産件数の増加なども言われており、シンガポール政府自身が、ギャンブル依存症の減少について科学的に裏づけはないと慎重な姿勢であります。市長は、依存症の問題と世論が強くカジノの誘致に反対していることをもっと重く受け止めるべきであります。

 市長に対して再度、「カジノ万博」、「夢洲開発万博」「市民負担万博」の誘致計画の撤回を強く求めておきます。

 

4.保育所の待機児童問題について

 保育所の待機児童解消は大阪市の最重要課題である。市長公約の2018(平成30)4月に待機児童を解消するためには、2年間で少なくとも6,000人の入所枠の確保が必要となるが、具体的にどのように進めていくのか。

 

 次に待機児童解消についてお聞きします。

 待機児解消は、大阪市の最重要の課題であります。今年4月の待機児は273人、昨年は217人でした。いわゆる「隠れ待機児」は2,870人にのぼっています。

 市長公約の2018年4月に待機児解消するには、こども青少年局によると、保育ニーズは55,048人、これを達成するため、あと2ヶ年で少なくとも入所枠の拡大が6,000人必要で、今年度が2,000人程度になったということで、2017年度、来年度はさらに4,000人以上が必要であります。この2年間で具体的にどのようにすすめるのか吉村市長に答弁を求めます。

 

吉村洋文市長

 本市の待機児童対策というのは、最重要施策の一つだというふうに認識しています。

 待機児童を含む保育を必要とする全ての児童の入所枠の確保に向けてですね、基本的には認知保育所の新設を広げていく。認定こども園、地域保育事業所の計画的な整備を進めていく。これが大事だろうというふうに思っています。

 この整備についてはここ数年、毎年約2000人分ぐらいの入所枠を新たにどんどん設けていっています。ただ一方で、この大阪の都市力を高めていく中でですね、多くの方も大阪で子どもをお産みになって、そして育てていく上で待機児童の預けたいというニーズも高まるという。まさにそのニーズの掘り起こしにもなっていっているという中で、この待機児童の解消を図っていかなければならないという現状であります。

 特に加えて、これは結局場所が必要になってくる訳ですけれども、都心部における地価高騰、特に大阪市は土地が高いですから、都心部における地価高騰の問題等もあります。

 こういった事に関してはですね、診療補助の制度であったり、保育人材がなかなか確保できないいう事で、大阪市独自の保育人材確保の施策なんかも順次実施しています。

 さらにですね、議員が言うように、これまでのやり方だけでは私自身も待機児童解消出来ないと思ってますので、今年7月に待機児童解消の特別チームというのを立ち上げました。待機児童の多い区長はじめですね、私もトップとして入ってですね、様々な議論をしています。

 民間の方にも入って頂いて、それこそ不動産事業者やオーナー候補の方、そういった方も、いろんな方から意見を聞いてですね、どういったものがあるべき施策なのかというのが、多角的な視点から今検討していってます。

 私有財産の活用であったり、保育の送迎バスの事業など、新たに出来ることについてはですね、積極的に取り組んでいきたいと思っています。

 平成30年4月に待機児童解消を目指していますので、この特別チームの会議の中で有効と判断した施策については来年度予算にも繁栄させていきたいというふうに考えています。

 それから今府と共同してやっていますが、結局保育士の人材確保に於いても、この地方自治体に権限と責任を任せてもらえないかと国に言っています。

 一定の保育士の要件というのはありますが、加えて地方自治体が認定した保育士に準じる方を保育士と一定核となる保育士に加えて、そういった方も入れることでですね、一定の待機児を受け容れることが出来るような仕組みが出来ないかと、これは国に対していわゆる規制の緩和というのも求めていってます。

 国の中でですね、面積基準とか配置基準とか、がんじがらめの中で、しかしながら現に問題として投じてますから、そのがんじがらめの規制についても地方に権限と責任でやらせて下さいということもお願いしつつ、今の現行法でできる限りのあらゆる策を取っていきたいと思っています。

 

江川繁議員

 市長も少し発想を変えるということでありましたけれども、今の抽象的で不十分なやり方であれば、間尺にあいません、公約違反、市長の責任が厳しく問われるものとなります。非常事態といえます。

 そこで、民間にまかせ、押し付けるばかりでなく、待機児解消のため、さらに、また、子どもたちの安全、安心の確保と成長を促すためにも、大原則として民間、そして公立あわせて認可保育所での大増設をすすめるべきであります。

 さらに、改悪された保育士の配置基準、「1:5」から「1:6」、面積基準、3.3uから1.65uは是正することも大切であります。他都市、自治体は確保しています。

 阿部彩氏の講演(4月)にもありましたように、子どもの貧困対策は自治体の責務として、その最重要の一つとして、保育の充実が「貧困に対する最初の砦」と述べられております。

 子育て優先というなら、保育の質と量の確保のために補正予算の大幅増と抜本的改善をはかり、大阪市として、児童福祉法24条で明記されている、措置義務という公的責任をしっかりと果たすことを強く求めておきます。

     

5.大阪市の教育の危機的状況について

 不登校、暴力行為、いじめの統計数値は全国最悪水準である。こうした大阪市の教育の危機的状況についてどのように認識しているのか。また、抜本的対策についてどのように考えているのか。

 

 次に、大阪市の教育の危機的状況についてお聞きします。

 橋下前市長からの、この5年間で、不登校、暴力行為、いじめの統計数値でも明らかなように、実に大阪市の教育の危機的状況が広がっております。全国水準と比較しても、突出して最悪のものであります。

 中学校の暴力行為でいえば、2015年度は1,000人あたり全国9.5人であるのに対して大阪市29.3人と約3倍です。2011年度は約1.7倍でした。

 「学力」の低迷も依然として続いております。

  またこの間、先生が大阪市に集まりにくい、民間公募校長による大混乱、恒常的な病欠代替不足、管理職のなり手がないなど、まともな教育が成りたたないものになりつつあります。

 その大きな要因の1つには、私は学校現場は全国学力テストの学校別点数公表、府チャレンジテストの上に、市統一テストを内申書に直結させる。さらにこれから、小学3年からの学年ごとの経年テストが加わるなど、テスト、テストの点数至上主義の強要。異常な競争主義がはびこり、子ども達の発達、人格の成長の喜びを味わうことではなく、過去にテストに出た問題のくり返しが日常化しつつあります。

 国連「子どもの権利委員会」の警告にある「極度の競争主義によるストレスに」大阪市の子どもたちは、さらにひどくさらされていることにあると考えております。

 また、子どもたちをレベル5段階の問題行動に分類し、個別指導教室や「学校安心ルール」の策定による規則で、頭ごしに強制、管理、排除する、すなわち不寛容=ゼロトレランス。まさに問答無用の非人間的教育、鋳型にはめる、の押し付けがすすめられ、ますます深刻な状況となっていきます。

 これらの大阪市の深刻な教育の荒廃について、市長としてこの5年間の現状認識とそれに対する抜本的対策について答弁を求めます。

     

吉村洋文市長

 議員とだいぶ認識が違うようにも思いますが、この教育についてはですね、これまでこの教育について中々予算が回ってきてなかった、重視されてなかった分野について大幅に予算を増加させて、様々な環境を整え、そしてどうすれば子どもが良い環境の中で勉強し、学力を向上し、体力を向上させる事が出来るのか、いうことに真剣に取り組んできました。

 それからこれまでの、今議員が指摘されました様々な最悪の状況になっているという事なんですが、よく言われるこの数値ですね。不登校、暴力行為、いじめのこの数値についてなんですが、それについてこれ悪化した、前橋下市政が問題だったからじゃないか、いうように言われていますが、私はこれは違うというふうに思っています。

 まずその暴力行為なんかについて見ますと、桜宮高校の事件が平成24年にありました。桜宮高校の事件があってですね、平成25年9月に暴力、体罰これは絶対許さないという学校づくりの指針を策定しました。その策定の中でですね、要はこれまで学校は暴力行為とか、そういった事あった時に出来るだけ認知しないようにしようと、件数として現れないようにしようというような傾向があったわけです。

 でもこれは違うと。問題行動については、まず丁寧に認知をして、そして認知出来るからこそ対策がうてるんだという発想に切り替えたと。まさにそういった基準が変わった訳です。認知をドンドンドンドンだしていこうという方針に変わりました。

 ですので、数値自体はその年には急増してますけれども、これが今の大阪市の現状ですから。それをいかに改善していくのか、いうのが大事だと思っています。

 蓋をするというのが最もいけない事だと思っております。不登校なんかについてもそうなんです、よく言われるんですが、これについても今まで病欠というのはいわゆる不登校にはカウントして来ませんでしたけれども、それは違うだろうと。精神的な病欠で、実際これ不登校じゃないかと言われるモノは、病欠という理由がつけば不登校として認知して来なかった訳ですけれども、いや、それはやはり不登校は不登校としてきちんと認知しようと。認知するから対策が取れるんじゃないかということで、その病気欠席についてもこれは不登校として認知するという方針に定めていってます。

 ですのでこれは件数は増えます。増えていいんです。それからいじめの認知件数についてですが、これも要は平成27年にいじめ対策基本方針というのが策定しました。私自身いじめは絶対に許さないというメッセージはだして、今教育委員委ともそういった施策について取り組んでいますが、その基本方針の中でも、これはまずいじめについてもまず積極的に認知していこうと、隠すのは一番良く無い。保護者からそういった申告を受けたり、あるいは先生が見つけたり、あるいは児童から申告を受けた時にですね、それはいじめじゃ無いよと、いじめは無いという前提に立つんじゃ無くて、そういった申告があればすぐいじめとして認知して対応していくことが重大な被害が生じることを防ぐことになる、というふうに認識してますので、認知件数はどんどん増やしていく。それで問題ないと。要はそれが現実なんだから、それを元にどうやって解決していくのかという、そういった教育環境を整えることが必要だと思っています。

 橋下市政に於いて、私自身もそうですけども、まずそういった認知をしていこうというのが基本スタンスです。その上でこれまで認知されなかった、八方ふさがりになっていたようなことをですね、とにかく無くしていく。その上で安全で安心な学校づくりをしていこうというのが基本方針ですので、そういった方針で進めていきたいと思っています。

 

江川繁議員

 市長ね、数字のつじつま合わせで誤魔化すというのはやめて頂きたい。素直な目で、子どもたちのSOSをしっかりとこれに向き合って欲しいと思います。

 市長の答弁には、前市長からのこれまで5年間、大阪市が進めてきた教育への反省がまったく見られません。

 反省のないところに、進歩、向上はない。さらに悪化します。少なくとも、子どもの健全な成長を阻害する市統一テストと、強制・排除のゼロトレランス、「学校安心ルール」の撤回を強く求めておきます。

 子ども、人間を信頼し、ひとりひとりの可能性を引き出し、「わかる授業、楽しい学校」へ、大阪市がめざす本来の教育に一日も早く立ち返る抜本的な転換を、市長に要請しておきます

 

6.少人数学級の実施について

 少人数学級は、生活指導面や学習面から、最も効果的であるとして、全国的にも広がっている。大阪市として当面、35人学級を直ちに実施するべきではないか。

 

 次に少人数学級の実施についてお聞きします。

 先ほど指摘をした、全国最悪水準となっている、校内暴力、不登校、いじめ、や「学力」の低迷などを改善するため、生活指導面からも、学習面からも全国的に最も効果的であると広がっており、すべての子どもたちに、ひとりひとりゆきとどいた教育を押し進める少人数学級、30人学級、当面は35人学級をただちに実施すべきであります。

すでに35人学級が実施されている、小学校1・2年生の父母からも切望されております。小・中全学年実施で、人件費は36億円相当と予算をともなうことでもあり、少人数学級の教育効果について、吉村市長の見解を求めます。

 

吉村洋文市長

 本市においてですね、小学校1年生、それから2年生については35人学級編成を実施しています。

 それから小学校3年生から中学校3年生までについては40人学級を編成していますが、本市独自の施策として、学力状況に合わせた、習熟度に合わせた少人数の授業を実施していこうという事で、習熟度別の少人数制授業を実施しています。

 これは例えば1学級を二つのグループに分けたり、2学期は3つのグループに分けるといった形で、習熟度に応じた少人数指導というのを行っています。

 これらの取り組みでですね、基礎、基本の確実な定着。それぞれの子に応じたきめ細やかな指導というのをできる限りはかり、学習意欲の向上をはかっていくという事が出来るというふうに思っております。

 また実際に本市の現状を客観的な事実なんですけども、総学級数の内、小学校では実際に約86%が35人学級以下になっています。中学校でも約55%が35人学級になっているという事であります。

 全国的にも少子化が進む国に於いても今後の学級編成。教職員の指導体制のありかたについて議論が正に重ねられているという所です。

 国会の動きですけれども、平成23年に「公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律」が全会一致で改正されまして、その附則に於いて学級編成の標準を順次改訂して、それに必要な財源の確保につとめることと、いう事が明記されました。

 安倍総理もこの主旨をふまえてですね、平成27年2月に、35人学級の実現に向け鋭意努力をしていきたいという国会答弁も行っています。

 平成29年度から実施されます、義務教育費の国庫負担の一元化に伴って、学級編成の基準の権限が本市に移譲されることになりますけれども、小中学校の学級編成の標準の引き下げについては正に、国が責任を持って必要な財源の確保とともに実施されるべきモノだというふうに考えています。

 

江川繁議員

 いろいろ言われた中で、 少人数学級の効果を、習熟度別少人数授業と、次元の違うものを比べることは、まったくのスリカエでごまかしであります。

 日常の9教科含め、あらゆる教育が行われる大前提の基礎集団としての、少人数学級、例えば30人に対置しているのは、多人数学級、40人で、どちらがより生活指導面、学習面で教育的かが問われております。

 

 そこで、市長にもう一度お聞きします。端的に言えば、30人学級か40人学級か、どちらが教育効果があると考えているのか答弁を求めます。

 

吉村洋文市長

 これはまあ、30人学級が教育的効果が高いのか、40人学級が教育的効果が高いのかということで、私自身がここで判断できるものでは無いですけれども、今現在大阪市におかれている客観的な事実と、それからこれまで国で行われていた教育課程の編成、そして大阪市の独自の課題として学力を向上させる上で少人数授業を実施すべきだろうという政策。これを実施していくことが大事だと思っています。

 生徒自身の少人数授業を通じてですね、やはり成功体験の連続というのが学力の向上にもつながる、いうふうに思っていますし、そういったことを実施していきたいと思っております。

 更には子どもの貧困対策実施する中で、学力について課題のある学校についてはですね、特にそこは予算を集中的に投下して、学力向上或いは生活習慣の改善に向けての予算を投じていきたいと思っております。

 何が言いたいのかというと、30人か40人かと一律にやるのでは無くてですね、本市の状況を考えた政策をうつ必要があると思ってまして、特に学力の低下が固定されている学校、問題があると言われるような学校に、集中的に予算を投下する。これは予算の配分ですので、これは財源が限りある中でやっていくことですから、そういった意味で学校のあり方というのは考えていかなければならないと思っています。

 

江川繁議員

 どちらが効果があるか、答える事が出来ないというのは本当に、これから総合教育会議、或いは教育基本計画に携わるものとして、覚束ないと指摘をしておきます。

 少人数学級は、大阪府の研究チームでも効果が検証され、国を待たずに、独自措置で政令市(京都・名古屋・広島・北九州)などですすめられております。

 全国最悪水準となっている大阪市の教育改善のため、子ども優先を唱える市長ならば、まず、世界の流れであり、校長会はじめ教育関係者、PTA、保護者も要望している、まさに民意の施策である少人数学級こそ実施すべきであります。

 当面は35人学級を小中学校の全学年での実施をただちに強く求めておきます。

 

7.小・中学校の統廃合について

@2015年4月に、市長が主導する第一回総合教育会議において、市内の小学校292校中83校を統廃合の対象としたが、撤回するべきではないか。

 

 続いて、小中学校の統廃合についてお聞きします。

 市長が主導する第一回総合教育会議(2015年4月)で、11学級以下は教育活動の適正規模でないと、市内小学校292校中83校を、各区長(区担当教育次長)に統廃合の対象として、再編計画を強引に指示し実行させております。

 実に、市内小学校の3割であります。対象とされたいずれの学校も、小規模校ならではのゆきとどいた教育効果を上げ、地域のコミュニティ、文化の中核として、不可欠のものとなっております。

 そこで、このような全国でも例を見ない83校、3割もの学校リストラ、まさに公然と子どもたちと地域の心を傷つける、上から目線の教育不在のやり方、数値設定について撤回すべきであります。市長の答弁を求めます。

 

吉村洋文市長

 学校のですね、適性配置についてはまさに教育的な観点からその教育サービスを受ける子どもの教育的な観点からこれは決めていく必要があるだろうと思っています。

 そういった観点に立ちまして、本市においては学識経験者、それからPTA、学校関係者、地域の関係者、専門家の皆さん、13人からなります、大阪市学校適性配置審議会というのを設置しました。その審議会を設置して、大阪市における教育的な観点から見て、学校の規模、配置の適正化について審議されてきて、現に答申が出されています。

 まず本市の小学校の児童数なんですけども、昭和57年で約23万人いました。それが少子化ですから、平成27年度には約11万人、つまり半減している訳です。23万人から11万人に半減している。じゃあその昭和57年当時にあった小学校どうなっているのかというと、昭和57年度に300校でありましたが、平成27年度に292校です。わずか8校減ったに過ぎないという現状。子ども自身はですね、半分に、23万人から11万人に半減しているのに、小学校については全然減っていないというような状況であります。

 その結果学校の小規模化が進んできました。学校規模についてはですね、これは文科省が学校の全校の学級数、これは12学級以上、そして18学級以下が適正規模だというのを教育的観点から出されています。これはクラス替えが12学級未満であれば出来ませんので、本市においても11学級以下の学校については、これは適性配置を進めていくべき。子どものためにも適性配置を進めていくべきだということで、平成22年2月の審議会答申に基づいて取り組みを進めています。

 まずこの小規模校についてはですね、クラス替えも出来ないと、人間関係が完全に固定する傾向にあると。まさに子ども達がその集団生活の中で切磋琢磨する、そういった機会も少なく教育活動の幅が狭くなるという課題が現に指摘されています。

 そういった中で、子どもを中心に考えてですね、今後とも統合、校区の変更によって学校の適正配置を進めていって、子ども達の良好な教育環境を提供していきたいと思ってます。

 

江川繁議員

 市長答弁はいろいろ言われましたけれども、行財政の効率化だけの理由でしかありません。

 小規模校の教育効果は、マイナス面よりプラス面が評価されております。子どもと先生、身近な地域のつながりも深く、ひとりひとりの子どもに、ゆきとどいた教育を押し進め、とりわけ21世紀、今の子どもたちに求められている主体的な思考、判断力をつちかうという、2013年のWHOなど、国際的な評価もされています。

 したがって欧米諸国では100人規模の小規模学校が、世界の流れであります。これらをふまえて、小規模学校の教育効果の再認識と、83校の統廃合の撤回を市長に強く求めておきます。

 

A生野区西部の小学校12校を4校に、中学校5校を4校に統廃合することは撤回するべきではないか。

 

 次にこの件では今、生野区西部で、小学校12校を4校に、中学校5校を4校に、前代未聞の統廃合計画が、突然3月、住民に行政から提案されております。

 舎利寺小学校は2つに分断や、通学上、安全確保の問題や、徒歩で45分もかかる問題など、このような乱暴なやり方で、子どもたちと該当地域に不安と動揺を広げております。

 生野区が予定していた、8月までに一定の取りまとめをすることは当然不可能となりました。

 2015年1月に文科省も言っている、子どもたちと地域の実状に応じるため、この際撤回し、白紙に戻すべきでありませんか。市長にこの点についての答弁を求めます。

     

吉村洋文市長

 学校の統廃合、適正化の考え方については先ほど答弁したとおりであります。

 現に生野区の西部地域においては、この学校再編がですね、子どもの目から見た時に、急務の状態になっています。従いましてですね、生野区においてこの学校環境を取り巻く現状と課題、そしてその課題解決のための取り組みの必要性、考え方について平成25年以降、区長を中心に小学校中学校訪問しながら、PTAの役員の方をはじめとしました幅広い住民の方々との意見交換など、これまで重ねてきています。

 さらに平成27年度からはこの意見交換の成果をふまえつつ、区長として保護者、地域住民、学校長の意見を聞いた上で、「生野区西部地域学校再編整備計画」の策定をすすめ、本年2月に取りまとめに至ったという経過があります。

 その計画はですね、新たな学校での教育環境の充実、子育て環境の充実、災害に強いまちづくり通じてですね、生野区の町全体の活性化を見据えた、そういった内容にもなっています。

 それぞれの小中学校において、その特性も十分配慮してですね、施設一体型の小中学校であったり、隣接型の小中一貫校であったり。或いは連携型と。様々なことも議論しながらそういった計画を作り上げて言った訳であります。

 まさにその住民参画をしながらですね、学校再編計画、子どものための学校再編計画というのを生野区でしっかりやっているということであります。

 計画の公表後、さらに意見交換を重ねている中で、より具体的なご意見も頂くようになっていると聞いていますので、そういった意見も聞いてですね、学校再編整備計画の実現に向けて、生野区西部の子ども達のためにまた、街づくりという観点も必要になってくるかと思いますが、必要な支援を行っていっていきたいと思ってます。

 

江川繁議員

 極めて不十分な答弁であります。つじつまあわせの、新たな教育環境という小中一貫校にするについては、その教育効果はいまだ何も証明されておりません。

 ある小学校では「子どもたちは地域の宝。学校は地域のシンボルです。これまでもこれからも私たちの誇りです」と書かれた連合振興町会、PTA、同窓会、PTA会長会連名の横断幕が掲げられているように、小規模学校は、教育効果もあり地域との結びつきも強く、地域の防災、文化、コミュニティの中心、地域の宝であります。

 市長の政治姿勢が問われています。この事を肝に銘じて、生野区西部での統廃合を撤回し、白紙に戻す事を重ねて強く求めておきまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。