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「ギャンブル依存症対策を求める意見書(案)」 に対する、せと議員の賛成討論 |
せと一正市会議員 2017年2月14日 |
私は、日本共産党大阪市会議員団として、議員提出議案第5号、ギャンブル依存症対策を求める意見書に賛成する討論を行います。 2016年12月の衆議院本会議において、自民、維新などは、特定複合観光施設区域の整備に関する法律、いわゆるカジノ解禁推進法、これを強行成立させました。カジノは刑法で禁じられている賭博でありますがこれを合法化し、営利目的での民営賭博を認めようとしています。日本は世界最悪のギャンブル依存症被害を抱える国です。その我が国において、形ばかりの「依存症対策」を持ち出し、それをカジノ合法化の方便に使おうというのはあまりにも無責任だと言わなければなりません。 賛成理由の第一に申し上げたいことは、私たちの意見書が、カジノ合法化のためではなく、独自にギャンブル依存症対策を講じることを求めている点であります。カジノはギャンブル依存症を引き起こすうえで、パチンコ・パチスロ、公営ギャンブルの比ではないと言われております。先日もNHKの特集番組で元関脇の貴闘力さんがカジノで5億円を失ったことが生々しく報道されました。大王製紙の当時の会長が会社の金にまで手を付けて100億円もつぎこむという事件もありました。カジノは人を見境がつかないところにまで引きずりこむ賭博であります。 狙われているのは富裕層だけではありません。先ごろ公表された「夢洲街づくり構想」案は、このカジノを中核とするIRに年間1500万人もの人達が訪れると想定していますが、かなりの人達がカジノに足を運ぶことは間違いありません。 こうしたカジノは日本に上陸させないことこそ一番のギャンブル依存症を防ぐ方策ではないでしょうか。ギャンブル依存症をさらにひどくするカジノ、これを解禁し推進する立場に身を置いて、ギャンブル依存症対策を強化せよというのはマッチポンプだという批判の声が起きているのは当然であります。 ギャンブル依存症の実態把握、相談窓口や治療の体制整備、予防教育や広報で社会の偏見を取り除くこと、これまで野放しだったギャンブルへの強い規制など、課題は山積しています。「カジノ合法化の地ならし」というやり方ではなく、強力にギャンブル依存症対策を進める、このことこそ市民が求めていると言わなければなりません。 第二に申し上げたいことは、私たちの意見書は、これまでギャンブル依存症を広げる無責任な政策を取り続けてきた国の責任を指摘して、国として抜本的なギャンブル依存症対策を取ることを求めているという点であります。 厚生労働省の助成をうけた研究班の調査によれば、日本のギャンブル依存症有病率は成人人口の4.8%、536万人であります。諸外国の有病率がいずれも1%前後なのに、日本はその5〜6倍の高率です。なぜこれほどの恐ろしい事態になったのか。政府も自治体も、ギャンブル依存症問題に目をふさぎ、欧米やアジア各国では当たり前になっている水準の対策もやってこなかったからであります。ギャンブル依存症は長く、個人の道徳性や自己責任の問題とみられてきました。ギャンブルの提供者はこの見方に都合よく便乗し、ギャンブルの利益は自分のポケットに入れる一方、それで生じる問題は関係ないという顔をしてきました。 競輪や競馬など6種類の公営賭博の主催者、胴元である農水省、経産省などの中央官庁は、公営賭博でギャンブル依存症が生じている事実そのものを認めていません。パチンコの大きな権益を握る警察庁も「のめり込みがあることは承知している」と、まるで人ごとのように言うだけです。 政府は「カジノを機に包括的なギャンブル依存症対策を行う」といいますが、それならばなぜ、いままで手をこまねいてきたのか、国自身の責任を明らかにしなければなりません。農水省、経産省などの中央官庁や警察庁は、公営賭博やパチンコ・パチスロが深刻なギャンブル依存症をつくっていることを公式に認めなければなりません。 その上で、これまで野放しだったギャンブルへの強い規制をする、そしてそれと並行して、国の責任で強力な実行性あるギャンブル依存症対策をする、このことを今国に求めるべきではないでしょうか。 最後に、ギャンブル依存症を引き起こすカジノの解禁に反対する世論は、共同通信の臨時国会での法案成立直後の世論調査では、反対69%、自らの住む地域へのカジノ設置に反対は75%に達しました。また、解禁法を推進した政党支持のみなさんのなかでも反対の声は50%から80%を占めています。世論は怒っております。 カジノ解禁の基本法は成立しましたが、実施法は今後の世論の動向と国会審議にかかっています。日本共産党大阪市会議員団として、党派を超える広範な大阪市民のみなさんと手をつないで、ギャンブル依存症をさらにひどくするカジノをストップする決意も申し上げて、意見書に対する賛成討論といたします。 |