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小川陽太議員の代表質問・質疑と答弁(要旨) |
小川陽太市会議員 2017年3月2日 ※3月2日の大阪市会本会議、代表質問での小川陽太議員の質疑と、吉村洋文市長の答弁を掲載します。この記録は、日本共産党大阪市会議員団事務局で作成したもので、正式な記録ではありませんのでご了承下さい。
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質 問 項 目 1.カジノを核とするIRの夢洲誘致について @ IRを訪れる外国人観光客を300万人と予測しているが、その根拠は何か。 A カジノ業者のターゲットは、大阪周辺の2,000万人近い一般市民なのではないか。 B カジノ業者が儲かれば、市民が損をして不幸になる。これでどうして大阪の成長につながるのか。 C 夢洲周辺の大阪の街をカンウォンランドの二の舞いにするつもりか。 D 韓国ではギャンブル依存症対策などの社会的コストに7兆7千億円も要していることを承知しているか。 E IR内に、1万人収容の国際会議場、10万uから20万uの見本市会場を設置するとしているが、それほどの需要があるのか。 F 咲洲〜夢洲間の鉄道建設費用はIR業者に負担させるつもりか。だとすれば、その根拠は何か。 G 昨年8月のアイデア募集で、鉄道などの建設費用を負担するとした業者はあったのか。 2.目白押しの大型開発について A 少子高齢化で自動車交通量が減少する中で、4,000億円もの淀川左岸線延伸部はムダな大型開発そのものではないか。 B 本市の財政状況で、なにわ筋線、淀川左岸線、万博、IR等々の巨額の負担に耐えられるのか。 3.地下鉄・バスの民営化について A 1,000億円を超える退職金の支払いなどで、1,600億円の現金・預金を使い果たしてまで、地下鉄を民営化する。その理由は何か。 B 地下鉄民営化の目的は、株式上場、売却をはかることにあるのではないか。 4.「都」構想について A 8区の総合区は、特別区の住民投票で否決されることをもって実施に移すということなのか。 B 特別区と総合区を天秤にかけて、特別区の住民投票に持ち込むようなことはやめるべきではないか。 5.市民福祉の拡充について (1)国保 @ 減額した一般会計繰入金を元に戻して、国保の値上げは撤回すべきではないか。 A 国保の府県一本化に際しては、一般会計繰入金を認めるよう大阪府に働きかけるべきではないか。 (2)保育所待機児童問題 B 民間の保育士の給与引き上げのための補助制度をつくるべきではないか。併せて公立の保育士の給与を引き上げるべきではないか。 (3)住吉市民病院問題 @ 南港病院の建設に絡んで、新たな市民負担を生じさせたことに対する市長の責任についてどう考えているのか。同時に南港病院の医師等の確保を市長として確約できるか。 B 市民病院廃止方針を改め、当初計画どおり現地建て替えとすべきではないか。
●小川陽太議員 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2017年度大阪市予算案ならびに当面する施策について吉村市長に質問いたします。
1.カジノを核とするIRの夢州誘致について @IRを訪れる外国人観光客を300万人と予想しているが、その根拠は何か。 ●小川陽太議員 まずカジノを核とする統合型リゾート(IR)の誘致をはじめとする夢洲開発についてお聞き致します。 市長は、2024年にカジノを核とするIRを夢州に誘致し、インバウンド、外国人観光客を飛躍的に増やして、特にアジア各国の活力を取り込んで、大阪の成長につなげるとしております。 しかしながら、マカオ、シンガポール、韓国、フィリピンにまでカジノはある訳です。 夢州にカジノが出来たからといって、アジア各国からの観光客が大幅に増えるとは考えられません。 ところが、夢州まちづくり構想では集客人口1,500万人、これ自体多すぎると思いますが、その20%、300万人もの外国人観光客がIR、すなわちカジノに訪れる事になっています。 この300万人の根拠は何でしょうか、お伺いいたします。
◆吉村洋文市長 まず夢州についてですが、夢州は現在まさにですね、ペンペン草が生えているような状況でありますが、この夢州については、非常に僕はポテンシャルが高い土地だと思っております。この都心部の近いところの人工島であり、そして居住者もいない、非常に広い、甲子園球場100個分ですかね非常に大きなこの土地、可能性があるというふうに思っています。 そこにですね、世界中の人々が集まる、魅力のある国際観光拠点というのを形成していきたいと考えています。それは大阪の都市力の向上や大阪経済の成長にもつながっていくというふうに、確信しています。 夢州まちづくり構想案も先日発表しましたが、これは第1期の開発としまして、70㏊エリアについて、民間からの事業アイデア募集の提案内容を参考にいたしました。統合型リゾートを核としましたオールインワンのMICE (マイス)の施設、国際会議場や展示場、それからエンターテイメント施設、それから商業施設、ホテル施設、飲食店施設など、いわゆる統合型のリゾート施設をですね立地するということであります。 お尋ねのこの人数でありますが、これは大阪市が勝手に何の根拠もなく算定しているわけでもなくてですね、この事業アイデア募集、これは民間との契約で中身については詳しく開示しないということを前提に受けていますが、民間のIRの多くのオペレーターから提供を受けまして、その中にも、年間のIRを誘致した場合の、どのくらいの方が、国内外から訪れるかという試算も、当然やっています。 これは民間事業ですから、民間は自分たちのお金を出してやるわけなんで、それは民間がリスクを負ってやるということになりますから、民間もしっかりとした根拠をもとに、その投資効果、そしてどれくらいの人が訪れるかという計算もしているわけであります。 年間1,500万人。それらを踏まえてですね、年間まあこれ当然幅のある数字であるんですが、年間1,500万人の集客人口、そのうち海外からの外国人比率、これにつきましても民間からのいろいろ提案なんかを踏まえたうえで外国人比率、これは20%程度を想定しています。 したがいまして、第1期開発の海外からの外国人の観光客は、約300万人程度になると想定しています。
Aカジノ業者のターゲットは、大阪周辺の2,000万人近い一般市民なのではないか。 ●小川陽太議員 いろいろ言われましたけども、とても合理的な数字とは思えません。 第一、今、日本を訪れる外国人観光客の目的は、日本食を味わう事をはじめ、ショッピングに日本の自然・景勝地の観光、日本の歴史や伝統文化の体験等、日本の文化や自然に親しむという傾向になっていると言われています。 それにマカオもシンガポールも、もう既に集客力が落ちております。シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズの2016年の営業収益は2014年に比べ16%の減です。シンガポールのもう一つのカジノであるセントーサの回収不能金が940億円にものぼると言われています。それに、マカオのカジノ収入も2014年に5兆3千億円が、2016年は3兆3千億円にまで落ち込んでいます。 こういう中でラスベガス・サンズなど世界的なカジノ業者が熱心に大阪に進出しようとしていますが、それは結局、大阪周辺の2,000万人近い一般市民をターゲットにしようとしているのではないかと思いますが、市長、いかがでしょうか。
◆吉村洋文市長 シンガポールも視察しましたけれども、やはり日本は、シンガポールはたかだか50年ぐらいの、建国して50年ぐらいの国でありまして、そこでもあれだけ発展することができるということを目の当たりにしましたが、一方でやはり、歴史や文化というのが日本に、というものは素晴らしいものがあるなあと再認識しています。 それから食についても、単に積み重ねられた、一朝一夕で出来るもんじゃなくて、これ古くから積み重ねられたものが食文化として非常に魅力的になって、国外の人に支持されているという現状があるんだろうなあというふうに思ってます。 そういった意味で見ると、この夢州、大阪を中心として関西圏、京都や奈良、神戸なども見るとですね、これは世界にない非常に魅力的なエリアが関西だというふうに思っています。 ですので、この外国人の方にはですね、夢州にも来て頂いて楽しんで頂いて、或いはビジネスもしていただいて、そっから京都や奈良、神戸いろんなところに行ってですね、どんどんこの関西の魅力を発信する、まさにこの拠点になりうる、統合型リゾートはそれだけの魅力がある場所であるというふうに思っています。そして夢州はその本拠地になり得るエリアだというふうに思ってます。 ですので、その日本の良さをより一層、知ってもらうというためにも、この統合型リゾートというのは非常に有力なツールになると。総合力として、どの他の世界にも負けないように。そして統合型リゾートを行う業者もですね、日本の良さというのを踏まえたうえで、これ、やるということになると思いますんで、そういった意味では、他の都市に負けないリゾートが出来上がるというふうに思っています。 それからこれは、公(おおやけ)で認可事業やるわけではないですから、議員はもうこれは斜陽産業で、意味がないとおっしゃいますが、それを判断するのは民間事業者であります。ですので民間事業者がこれは大きな投資意欲を持たれているということは、やはりそこには大きなビジネスがあるという、魅力があるということであります。 それからこの2,000万人近い、近畿圏2,400万人近い方がお住まいになっていますが、さきほど申し上げた1,500万人の集客人口というのは、もちろんこれはカジノ施設だけではなくて、申し上げているとおり、統合型リゾートでありますから、そういったまさにいろんな施設、ホテルも含めた施設。MICE、ファミリー層も含めてですね、ビジネス客、ファミリー層が多く訪れる、幅広く国内外から訪れられるという、そういったことになるかというふうに思ってます。 ですので、その一般市民ではないかと、一般市民の意味もちょっと分かりづらいんですけども、多くの市民の方、国内外の方がですね、この夢州を訪れられたら僕はいいんじゃないのかなあというふうに思ってます。 それから、その中で当然カジノという施設があってですね、カジノ楽しみたいという人が一定の入場規制なんかもやりますけども、自分のお金の範囲でカジノを楽しむということは、決してサービスを受けるという意味では悪いことではないと、もちろんこれは、ギャンブル依存症対策というのはしっかりやった上での話でありますが、そういうふうに思っておりますので、全体としてこれ判断していくべきだというふうに思っています。
Bカジノ業者が儲かれば、市民が損をして不幸になる。これでどうして大阪の成長につながるのか。 ●小川陽太議員 市長、聞いたことに端的に答えてください。 あなた方がIRの集客人口の8割が国内からと予想している事自体、ターゲットは大阪周辺の一般市民という事になるじゃありませんか。 当の業者自身、例えば、マリーナ・ベイ・サンズのタナシェヴィッチCEOは、「大阪には我々が求める全ての要素がある。大きなポテンシャルがある。」と言っている程です。 つまり、彼らにとって、日本あるいは大阪が、最後の有力なカジノ市場という訳です。 ですので、夢洲に進出するカジノ業者が利益を上げれば上げるほど、大阪周辺の一般市民が損に損を重ねて不幸になるという構図で、しかもカジノの収益は、本国の親会社に吸い上げられるだけではありませんか。 これでどうして大阪の成長につながるのでしょうか。市長の答弁を求めます。
◆吉村洋文市長 まずですね、再三申し上げるんですが、この統合型リゾート施設というのは、当然カジノ施設がありますが、そのカジノ施設だけじゃなくてですね、国際会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、シアター、ホテル、様々な施設が一体となっているわけであります。 ですので、大阪を訪れる人、これは国内外から大幅に増加するというふうに思っておりますんで、こういったMICEも含めてですね、ビジネスの創出のまさにその拠点であると、そして大阪、それをきっかけにですね、関西を楽しんで頂いて、大阪の食も楽しんで頂いて、また来ようとなれば、これは大阪の経済の活性になるわけですから、大阪の成長につながると思っています。 それから、この統合型リゾート・IRのいろんな営業していく上で、必要な備品等も必要になってくるんですが、いわゆる産業、そこで活動するときに必要なもの、これについては地元の企業に発注するというのが通常であります。 数字の面で言うとですね、これはあくまでも民間の投資によって開発されるものですから、まずは建設投資、これによる効果は7,600億円の波及効果と、雇用の創出効果が5.1万人です。年間のですね経済の波及効果が6,900億円、雇用の創出効果が8.3万人という試算も出ております。非常に大きな経済効果、雇用創出効果というのができます。 ですので、統合型リゾートを拠点にしてビジネスで大阪を訪れ、観光客これも増えですね、これが大阪の成長につながるというふうに考えています。 それからカジノについて絶対悪のような言われ方をしていますが、そうであればギャンブルは全部やめるべきだと思いますよ。そうじゃないと思います。ギャンブルというのは、これ存在するわけですから。存在した上でギャンブルに対する課題というのをしっかりコントロールしていくのがこれから必要だと思ってます。コントロールするルールをつくった上で、ギャンブルをサービスとして楽しみたいという人は、お金を使ってやるというのが、これからの必要なあり方だと思ってます。 今はそこに対して一切、管理をしてないわけですから、日本のパチンコ業者の売上というのは、全世界のカジノ業者の売上より高いわけですから、そこの管理をしっかりして、楽しむ人は楽しんでもらったらいいし、ビジネスもそこで、統合型リゾートということで生まれてくるわけですしね。ですので僕は、これは大阪の成長につながるというふうに思っています。
C夢州周辺の大阪の街をカンウォンランドの二の舞にするつもりか。 ●小川陽太議員 やたら経済効果があるとか、雇用が増えるとか言われますが、その何倍もマイナスがある事を認識する必要があると思います。 尾崎・大阪商工会議所会頭も、朝日新聞の取材に対して「カジノには反社会的勢力の関与や、ギャンブル依存症など様々な懸念がある」「カジノが大阪・関西の活性化の『一丁目一番地』かと言えば違うでしょう」と言っております。 ただでさえ深刻なギャンブル依存症問題、一層拍車がかかるのは明らかで、韓国のカンウォンランドがその事を実証していると思います。カジノにのめり込んで職を失う者、車を質に入れてまでカジノに入り浸る者、つまるところ、ギャンブル依存症に侵される者が続出する始末だという事です。元々、炭鉱の町。カジノを核とするレジャー施設で活性化を目論んだものの、逆に治安の悪化を招き、人口減にも歯止めがかからないという事で、活性化どころか寂れる一方だと言われております。 市長、夢洲周辺の大阪の街を、カンウォンランドの二の舞いにするおつもりでしょうか。
◆吉村洋文市長 まずあのう、尾崎会頭の話が出ましたけども、まあ僕、常日頃から尾崎会頭と意思疎通してますが、尾崎会頭も課題はあると、課題を整理してやっていきましょうということで、正面から反対しているわけじゃありません。また、尾崎会頭と意思疎通してください。 それから経済同友会も関経連も、これは積極的に統合型リゾート、これを誘致すべきだという考えであります。兵庫県の井戸知事も、課題はしっかり整理したうえで、これやろうというふうに言っていただいております。まあ他、和歌山も手を挙げてるんですかね、横浜もそうかも。 まあいずれにしましても、この統合型リゾートについて大事なのは、課題を整理して、そしてプラスの面を全面的に引き出していくというのが大事だろうというふうに思っています。 それから大阪経済活性化をして、そして民間事業者が儲けるばかりとおっしゃいますけども、儲かったらそれなりに当然、税を納めていただきますんでね、それからカジノについてはしっかり国が管理する納付金という税以外のものも納めてもらうということになると思います。まあそれはじゃあ最後、どこにまわるのかと言えば、これは、税はどこにまわるのかというのは、もうご承知のとおりであります。 カンウォンランドについてですけども、これは都心から離れた荒廃した炭鉱地区の経済振興を目的に、カジノ付きのホテルということでスタートしたもので、当初からですね、統合型リゾートとして、そういう発想で進められたものではありません。それから国が大きく計画をしてですね、やったものでもないという。 つまりですね、ギャンブル依存症対策とか、課題だとか、そういったことを自国民に講じることなく、具体的な対策を講じることなく漫然とやったエリアであります。で、それはギャンブル依存症が生じた事例として捉えられています。ですので、これは非常に良い例というか、参考にしなきゃいけない例だというふうに思っています。 一方でシンガポールにおいては、そういった課題があるということで、IRの導入前に、この課題とそれからプラスの面、これを正面から議論しようというので、これはガチンコで国内でしっかりと議論して、そして導入したという経緯があります。 そしてですね、結果、これは国で管理しようよということになりまして、総合的な依存症対策を行うというための国家依存症管理サービス機構、通称NAMS(ナムス)、ここは僕も行きましたけども、そこであったりですね、専門のクリニックを開設、IRを導入の年に開設をする。 加えてですね、国民に対する啓発活動もしっかりと行うと。それだけじゃなくて、IRのカジノ施設に入るにあたっては、国民からは入場料を徴収したり、或いは生活保護者であったり、本人や家族から申告があった者に対しては、そもそも入場できないというような、しっかりとした、国が課題について正面から取り組むということをやっているわけであります。 そうすることによってですね、シンガポールも元々、カジノ導入前からギャンブルというのは日本と同じようにあったわけですけど、その依存症の割合というのは、IR開業前の2008年が2.9%でしたが、2014年には0.7%に減少しています。いま日本はこの率が5%と言われている、非常にギャンブル大国なわけであります。そして規制もしていない。 しかしながらシンガポールはIR導入を機に、これをしっかり規制をしていこうと、管理していこうと、コントロールしていこうという発想で進めていったわけであります。 そういった点からですね、カンウォンランド、これは失敗事例だと思っておりますので、これは他の先進都市でさまざま取り組みをされているところがありますから、そこをまずしっかりと、課題を捉えた上で、依存症対策等の課題については十分に、私も認識しています。国に対して、依存症対策等についての法制化対策、これについては強烈に私からも働きかけていますし、それをするのは当然のこととして、地元自治体の責任として、自治体自らがやっていく必要があると思ってます。 ですので、新たなIR推進局という部局をつくり、IR推進会議に様々な課題についての専門家、有識者も入れてですね、府市の関連部局も踏まえて、課題について正面から取り組むということをやっていきたいというふうに思っています。
D韓国ではギャンブル依存症対策などの社会的コストに7兆7千億円も要していることを承知しているか。 ●小川陽太議員 色々、対策を講ずるとの答弁でしたが、どんなに有効な対策をとっても、ギャンブル依存症を完全に治す事はできない、これが専門家の見方です。何より、対策を取らねばならないようなものは、つくるべきではなく、だからこそ賭博は、刑法で厳しく禁じられているという事を、市長は重く受け止めるべきだと、申し上げたいと思います。 それで、シンガポールのIRは比較的うまくいっているとよく言われますが、シンガポールの場合は、中国系やインドネシアなどの外国人観光客の比率が高いので、国内の矛盾はそれ程、大きくないのかもしれません。 しかし、夢州の場合は圧倒的に大阪周辺の一般市民が対象ですから、そうはいかない訳です。大阪の町が一変する事になりかねないと申し上げておきます。 ともかく、先ほどから市長は経済効果ばかり強調されていますが、マイナスの経済効果やギャンブル依存症対策などの社会的コストがいかに大きいか、認識不足もはなはだしいんじゃないでしょうか。 韓国では、ギャンブルによる借金や利子負担等が日本円にして2兆円、失業や職場内の生産性の低下が5兆円。ギャンブル依存症の医療それにリハビリ費用が6,000億円など、都合年間7兆7千億円もの社会的コストがかかっていると政府機関が発表しております。 市長、このことはご存知でしょうか。
◆吉村洋文市長 議員お示しの数字ですけども、これは2011年に韓国の射幸産業統合監督委員会が賭博に係る様々な社会的費用として年間78兆ウォンが生じていると試算した報告であると思われます。その内容については承知しています。 議員、先ほども指摘されましたが、その内容について詳細に検討しますと、例えば競馬や競輪、宝くじ、カジノなど、賭博産業機関の純売上高に、その純売上高の75%はギャンブル依存症患者から出ているだろうと仮定して、売上高に75%を乗じた金額を社会的コストとしています。まあこれどう考えてもおかしいと思いますね。国民の総負債額にギャンブル依存症患者の有病率を乗じて、かつ法定最高金利の49%を乗じた費用であったり、ギャンブル依存症患者の生産性の低下率を50%以上とした上で、年俸に当該低下率を乗じた金額であったり、さらには40%以上の失業率を乗じた金額であったり、この4つだけで全体の約92%を占めているというものであります。 ただ先ほど申し上げたとおり、その根拠自体がですね、売上高の75%を掛けてこれが費用だというのは、これ一つの考え方なのかもしれませんが、私自身は客観性に乏しい。算出した組織の立ち位置というのがあるのかもしれませんが、これは僕はストレートに社会的コストとみなすこと自体については疑問があります。 ただ僕はギャンブル依存症対策については、売上高に75%掛けてこれがコストだというのはちょっと違うと思いますが、僕は社会的コストはかけるべきだと思っています。というのは、今もギャンブル依存症があるからです。そのギャンブル依存症が5%という高い比率であるにもかかわらず、何もしていないというこの状況を放置するということのほうが、よっぽど問題だというふうに思っています。 そういった状況の中で社会的コスト、僕は社会的コストというものは先ほど申し上げたようないわゆるギャンブルだけではない、依存症対策の国の専門的なクリニック、医療機関であったり相談機関であったり、例えば国民に対してギャンブルについて早期の啓発が大事ですんでね。 若いときからギャンブルというのは、コントロールしなきゃいけないもんだなということのコントロールの、若い青少年のときからの啓発というのが大事ですし、そういったものに、むしろ僕はこれお金を、社会的コストとしてかけるべきものだというふうに思っています。 それによってですね、ギャンブル依存症になられる、病的依存になられる方が今の数より少なくしていくことが大事だというふうに思っています。ここで議論してる間でも5%の方はいらっしゃるわけですから、それに対して何もしないんですかというのではなくてですね、これを契機にして、正面からこれ取り組んでいくということの方が、僕はよっぽど健全だと思ってます。 それから、もうじゃあ言うと、カジノ誘致するのはおかしいやないか、IR誘致するのおかしいやないかと言うんですが、そうであればこの日本にギャンブルがゼロなんであれば、それで事実論として成り立つと思いますが、もう街中いたるところにギャンブル依存症があるわけですから、この現状の中でどうするか、現実的な対応策を考えるのが政治家の役割だと思ってます。
EIR内に、1万人収容の国際会議場、10万uから20万uの見本市会場を設置するとしているが、それほどの需要があるのか。 ●小川陽太議員 アイデア募集等の数字は鵜呑みにして、気に入らないものは文句をつけると、そういう姿勢だと言わなければなりません。 ともかくカジノは儲かるでしょうけど、その金は大阪には落ちません。逆に大阪の市民は不幸になります。その上ギャンブル依存症対策などのコストも当然かかります。カジノは何一つ良い事はありません。 それで、カジノ推進論者は口を開けばカジノだけではない、統合型リゾートだと言いますが、カジノが利益の8割、9割を占めているのは周知の事で、カジノの隠れ蓑にすぎない訳です。MICE機能もそうです。 夢州まちづくり構想では、1万人収容の国際会議場に、10万uから20万uの見本市会場もつくると言われております。 いったいそれ程の需要があるのでしょうか。答弁を求めます。
◆吉村洋文市長 MICEについてですが、これは開催地のビジネス、イノベーションの機会を創出すると、地域の経済効果も非常に高いと思っている施設だと思っています。MICEはですね単に施設をつくればそれでいいというものではありません。ですので、そのMICEの施設がある周辺のエリアのビジネス性がどれぐらいあるのか、どれぐらい産業が集積しているのか、交通インフラはどうか、そういったことが総合的な都市力の中でMICEの力というのは大きく変わってくる。 つまり山間部にMICE施設をつくっても、やっぱり難しいというわけでありますが、成長する都市、そして関西は医療といった分野において非常に強みをもっていますし、それに中小企業にすばらしい技術がある、そういったところで、新たにイノベーションが多く生まれていますが、大阪はまさに、大阪を含めた関西エリアは、まさにそういったビジネスが生まれる、そのきっかけになるMICEとして適切な街だと思っています。 この10万uから20万uはですね、やはりオールインワンのMICE施設がないというのが今の大阪の課題だと思っています。10万から20万のMICE施設ですが、これ世界的に見てみますと、国際会議、展示会の開催件数というのは増加の傾向にあります。 韓国・ソウル郊外のKINTEX(キンテックス)ではですね、展示場が10万uに拡張されています。タイのバンコク郊外にも10万uの展示場、それから東京のビックサイトは12万uに拡張予定であります。国内外の経済都市、主要都市については、MICEの施設の取り組みを強化するということが、今すすめられています。 大阪もですね、しっかりと戦略を立てて、このMICEの誘致をはかっていきたいというふうに思っています。 世界的なIR施設が、夢州に出来ればですね、そして夢州の中にMICE機能があれば、いろんなビジネスマンがですね、そこで国際会議をし、そしてMICE施設で楽しみ、そして足をのばして京都や奈良、神戸にも、大阪、関西、日本の魅力を知ってもらう、まさにその拠点になるというふうに思っております。 MICEについては需要があると思っておりますし、それを引き出すだけの力が大阪にはあると思っています。
F咲州〜夢州間の鉄道建設費用はIR業者に負担させるつもりか。だとすれば、その根拠は何か。 ●小川陽太議員 とてもじゃありません。そのような必要性はないと思います。その証拠に、2015年度の大阪の国際会議は23件で、東京80件の1/4、京都45件の半分にすぎません。 収容人員も、東京が5,000人、京都の国際会議場も1,840人です。ちなみに、大阪の国際会議場は2,800人ですから、京都より広いにもかかわらず開催件数は半分という事で、会場が広いからといって会議が増えるとは限らない訳です。 いったい1万人とはどこから出てきた数字なのかと言わなくてはなりません。見本市会場も充分に利用され、何ら問題はありません。中之島の国際会議場と咲洲のインテックス大阪で充分だという事です。 要するに、カジノだけでは認められないので、需要のあるなしに関係なく、国際会議場や見本市会場など、いわゆるMICE機能を持たせようとしているだけで、MICEの設置、まさにムダの極みと申し上げておきます。 それでこの夢州まちづくり構想では、IRの誘致に合わせて、南ルートすなわち咲洲・夢洲間の鉄道建設がうたわれています。実に540億円もの費用を要するものです。 市長はこの540億円について、IR業者に負担してもらうのが基本だと再三再四表明されております。改めてその考えに変わりがないのかどうか、そしてその根拠は何なのか、お聞きしたいと思います。
◆吉村洋文市長 中央線の延伸についてですが、そもそも夢州においてですね、オリンピックの選手村を誘致しようということで、トンネルが途中まで掘られているわけですね。そこに当然、多くの税もかかっています。で、今はその事業は休止中になっています。トンネル自体は夢州まで来ているわけです。あともう少し掘って、駅舎をつくるというところまできているという状況です。 当然、建設スキームについては許可を受けてこのスキームに基づいて行われるということになりますが、なぜ、このIR事業者に負担をさせるつもりなのかということですけども、これは要するに当該、これは民間の事業者ですから、民間の事業者がIRとして夢州に立地するんであれば受益を受けるだろうと、受益を受けるんであれば、そのインフラ部分、これは本来、税でやるべきところなのかもしれませんけれども、インフラ部分については、これはしっかりと協力してもらう必要がありますよということが、基本的な考え方であります。 ですので、基本的には当該事業者に負担を求めていくべきものだというふうに考えておりますし、内容は精査した上で、民間事業者にしっかりと負担を求めたいと思っています。
G昨年8月のアイデア募集で、鉄道などの建設費用を負担するとした業者はあったのか。 ●小川陽太議員 特に根拠はなく、出してもらうように努力するというだけで、どうなるか分からないという事です。マリーナ・ベイ・サンズの場合でも、鉄道はシンガポールの交通局が建設していますので、IR業者は負担しておりません。 ところで、昨年夏に実施したアイデア募集に、海外4社・国内8社、合計12社からの提案があったと聞いています。 中身を全く公表しないのはおかしな話ですが、この中で鉄道などのインフラ整備の費用を負担すると回答したものがあったのかどうか、明確に答弁を求めます。
◆吉村洋文市長 まず、事業のアイデア募集ということで昨年8月末に提案を受け付けました。海外からの4件も含めまして、合計12件のアイデア提案がありました。その後提案に関する対話を部局で進めてまいりました。 提案内容については、鉄道などのインフラ整備について言及されたものもあります。ただこれは提案者のアイデア、ノウハウ、これ秘匿情報であるから公開しませんよと、いうことを約束した上で提案を受け付けていますので、当然これは提案者との関係を踏まえた上で、具体的な提案内容、対話の内容について現時点で公表できるものでもないですし、するべきものでもないと思ってます。 ですので、詳細は公表はしませんが、ただ、鉄道インフラなど、インフラ整備について言及されたものもあります。これはひとえにですね、今日例えば、この場もそうですけれども、誘致自治体としてこれは民間事業者にも負担してもらいますよということをしっかり発信することで、民間事業者もそこはやっぱり考える訳であります。8月末についてもそういった事について現に言及されているとこもあるという事であります。 ですので今後詳細な募集条件というのはIR推進局でしっかりとした公正なルールの中で定めていくことになりますが、先ほど申し上げた通り民間事業者に基本的に負担を求めていくということをしていきたいと思っています。そして根拠の無いものではありません。
●小川陽太議員 はっきりお答えになりませんが、私は、結局、税金等で出さざるを得なくなるのではないかと危惧いたします。それに、開業後も果たして採算が取れるでしょうか。だいたい1,500万人が来るという事自体、眉唾です。その上、鉄道の運営主体はどうなるのか、初乗り料金などの料金体系はどうなるのか等々、問題山積だと思います。いずれにしても、IRの誘致は市民にとって大きな災いでしかありません。
2.目白押しの大型開発について ●小川陽太議員 こんなものはやめるべきだと申し上げておきますが、それにしても、ムダな大型開発が目白押しです。 市長は90年代の大阪市の巨大開発を、さかんに批判していたのではありませんか。その舌の根も乾かない内に、新たな地下鉄道、なにわ筋線を、梅田・関空間の時間短縮のためと称して、いよいよ前に進めようとしています。 しかしながら、東海道線支線の地下化と梅田新駅が完成する事を前提にすれば、梅田・関空間わずか5分しか短縮しません。にもかかわらず事業費4,000億円と莫大です。なんと、短縮時間1分あたり800億円です。1qあたりでも570億円と、これまでの地下鉄建設と比べても、破格であります。 市長、効果の割には、余りにも費用が過大ではありませんか。
◆吉村洋文市長 まあ、都市インフラについての基本的な考え方というか、全体を見た上で僕は判断しますが、議員に於いてはそこの部分をことさら、そこしかないという価値判断で評価されているんだというふうに思います。 それから、過去大阪市が行った大きな損失が、巨額な損失が出てきた。これはやはり僕は反省すべきだと思っています。 僕自身が思うのは、本来民間がやるべきような民間事業をですね、そこにまさに役所がストレートに入っていって、当事者として入っていく。その結果大きな損失が出てる事例というのは、大きくあると思っています。 ですので、そういった事は非常にやっぱりこれは気をつけなきゃいけない。役所はそういうことが不得手ですから気をつけなきゃいけないと思います。 ただ、このなにわ筋線とかですね、淀川左岸線もそうですけれども、これはインフラですので、これは本来公共がやっぱりやるべきもの、都市インフラの整備というのはですね、これはやっぱり公共で担っていく。もちろんそれは効果があるということを判断した上でやっていくべきだと思います。 もちろんこのなにわ筋線はいわゆる南海とJRがやりますが、整備上、国それから地元自治体も関わるというスキームがこれは出来上がってますんで、そういったものでやります。なにわ筋線は関空と大阪の都心部、それから新大阪をJR線と南海線でつなぐという路線です。 今東海道線の地下化をやっていますが、うめきた新駅を整備しています。これによってですね、関空と梅田地区とのJR特急が直結されアクセス改善がはかられますけれども、一方で環状線のダイヤの制約を受けるといった課題もあります。 なにわ筋線の整備でJR線、それから南海線を介して、関空と梅田を直結する国土軸である新大阪と直結させるという広域的な鉄道ネットワークが形成されることになります。 もちろん速達性の向上がはかられることは当然ですが、環状線を経由しない事による定時制の確保、それからかリダンダンシーの確保。こういったことも実現されます。総合的なアクセス力が向上します。 それから都市鉄道ネットワークの拡充を図ることによってですね、市民の利便性は当然向上しますし、うめきた2期であったり中之島西部の開発であったり、沿線の民間都市開発の促進にも資するというふうに考えています。 大阪、今、御堂筋線、南北大阪市内縦断してますけれども、非常に混雑にある。それが今1本しかない状況ですが、これができれば2本目の南北の縦断線もできるというわけであります。都市の成長に大きく資する線だというふうに認識しています。 現在路線の線計であったり、駅の位置であったり、技術的な検討を行っておりまして、整備効果、事業費、事業スキームについて精査をすすめています。早期の事業化に向けてこれは取り組んでいきたいと思っています。
A少子高齢化で自動車交通量が減少する中で、4,000億円もの淀川左岸線延伸部はムダな大型開発そのものではないか。 ●小川陽太議員 環状線の混雑は、列車の更新等で改善していると聞いております。梅田・ナンバ、動脈が御堂筋線しかないと、こういうふうに言われましたが、四つ橋線や堺筋線もあるし谷町線だって南北走っている。こういうことが、いっぱいあるじゃないですか。 ともかく梅田・ナンバ間は縦横に鉄道が走っています。4,000億円もの金をかけて通す必要は無いと申し上げておきます。 そういう点では、淀川左岸線延伸部の有料道路事業も同様だと言わなくてはなりません。 少子高齢化の一層の進展の中で、大阪市内の阪神高速道路の1日あたりの交通量は、H17年度59万台が、H22年度54万台と9%も減少し、その後も引き続き減少傾向にあるにも関わらず、国直轄事業で1,800億円、阪神高速道路など有料道路事業が2,200億円、都合4,000億円もの巨費を投じようとしております。 阪神高速道路の場合は、この区間での採算は元より取れない上に、更に自動車交通量が減少する事から、全線で50円の上乗せをすると言われております。 まさに90年代の、ムダな大型開発そのものではありませんか。
◆吉村洋文市長 まず、成長する都市というのは環状線が発達しています。しかしながら大阪に於いては阪神高速の環状線が内に小さくチョボンとありますが、外枠の環状線がないというような状況であります。それはいかんだろうということで、大阪都市再生環状道路というのが計画されていましたが、この淀川左岸線延伸部分についてはミッシングリンクということで、そこがスポッと事業化としては抜けているような状況でありました。 それを解消することで、長期的な視点にはなりますが大阪都市再生環状道路、いわゆる外枠の高速道路がまた出来上がるという事であります。これ何故必要なのかということですけれども、まず阪神港等の大阪湾諸港のベイエリアのこれは重要拠点としていま開発をすべきだということで進めておりますが、そこと国土軸であります新名神を結ぶ、いわゆる広域的なネットワークを形成する重要な路線だと思っています。 今これがありませんので、大阪の都心部では慢性的に渋滞が発生している状態であります。これを解消することができます。 それから国際競争力の強化、観光の活性化、今後ルートができることでそこを通じることができますし、大規模の災害が起きたときのいわゆるリダンダンシーの確保にも寄与する、まさに関西全体の経済成長にとっても必要不可欠な路線。大阪市はもちろんの事、関西経済全体にとっても必要な路線だというふうに認識しています。 であるからこそ関西の経済界全部と3団体と、それから大阪府はもちろんの事ながら兵庫県、神戸市とも一体になって事業化を国に対して要望してまいりました。 国に於いてもこれは関西の成長、そして国土軸とつながる国の成長にとっても必要な路線だということの判断に於いて、国直轄事業と、有料道路事業の合併施行方式という新たな方式によって事業化が妥当と評価されています。 来年度からの整備の促進に取り組んでいきたい。大阪の成長、関西の成長に資するインフラについては将来の投資を進めていきたいと思っています。
B本市の財政状況で、なにわ筋線、淀川左岸線、万博、IR等々の巨額の負担に耐えられるのか。 ●小川陽太議員 ミッシングリンクの解消とか言っていますが、今も大阪の物流に支障はないではありませんか。しかもほとんどが市内通過交通にすぎません。 それに市内の自動車交通量も引き続き減少傾向にあって、大阪市の未着手の都市計画道路55路線85km中、24路線34kmはすでに計画廃止となっている事に加え、市内の一般道路の渋滞も大阪府警の調査では、H28年はH19年と比べ65%に低減している訳です。 今回、淀川左岸線延伸部は市の街路事業として施行する事と比べ、市の負担が少なくなったとはいえ300億円もの巨額です。到底認める事はできません。 ともかくここ10年ぐらいの不要不急の大型開発に対する市の負担は、なにわ筋線が京阪中之島線と同率として1,000億円。淀川左岸線は2期事業300億円、延伸部300億円。万博・IR関連は鉄道建設を除いても500億円。国際コンテナ戦略港湾で200億円。都合ざっと2,300億円もの巨額になる訳です。 本市の財政状況でこれらの負担に耐えられるんでしょうか。答弁を求めます。
◆吉村洋文市長 まず、成長する大阪を目指していく。大阪が成長しなければ税収も生まれない。税収が生まれなければ住民サービスにも回せない。その財源に回せないという事になります。 成長を目指すという事はひいては市民の皆さんのホントに困っているところにお金を回していくことができると、僕はそういう認識で進めていっています。そして将来への投資という事が非常に大事だというふうに認識して今、市政を進めていっているところであります。 必要な投資をしっかりとしていく、そして将来の税収増をはかっていく、住民サービスの増加をはかる、いうことがまさにその好循環を生み出す必要があるというふうに認識しています。 なにわ筋線、淀川左岸線といった広域交通のネットワークについてもまさに大阪関西の全体の大きな経済波及効果が及ぶものでありますし、万博、統合型リゾートについても同様であります。 じゃあ何も根拠無くこれやっているのかと言えばそんなわけ当然ありませんので、財政収支概算いうのを想定してですね、どのような財政でやっていくことができるんだろうか、ということをきっちりと計算をしている訳であります。 うめきた2期についてもこの財政収支概算にすでに入れています。淀川左岸線の延伸部についてもこれは織り込んでいます。例えば先ほど議員から指摘あった左岸線の延伸部ですけど、総事業費4,000億円になりますが、4,000億円の事業ですが、国の直轄事業の導入と、それから有料道路事業の拡大という事で従来の事業スキームと比べて市の負担額は約300億円という事に軽減されることになりました。大幅に圧縮をした上で、じゃあその300億円というのは一括で払わなきゃいけないの、一括で払うとなればですね、この市の財政に大きな影響が出ますが、これは90%の起債、将来の投資ですけども将来の方々も利益を受ける、ならばこれは長期返済の起債でやっていこうという、90%の起債の充当ということで盛り込んでいます。 なにわ筋線についても、これは国、地方事業者が負担をするという事になりますが、これも90%か100%の起債充当となります。 大事なのは、僕はその起債のコントロールだと思っておりまして、借金は絶対減らさないといけないと思ってます。借金を確実に減らす。それが当たり前です。借金が減らせないようであればこういう事に投資をしてはいけません。 現状ですね、約1,000億円の借金を毎年減らしていってます。今年も1,000億の借金を減らすと。借金は減らすということを維持しながら借りて返しをしながらですね、借金は減らすということは大原則といいながらも、その範囲の中で、将来への投資をしていく。これこそがまさに僕は都市の経営だというふうに認識しています。 今回の収支の概算について、これは新規の拡大のこういったインフラ投資だけじゃなくて、子どもの教育、医療費無償都市を目指すということをすすめておりますが、そういった事であったり、或いは保育ニーズへの対応、待機児童が非常に多いと、そういう事の対応、真に支援が必要な方へのサービス拡大と、防災減災のための費用であったり、公共施設の維持管理。これまでは織り込んできませんでしたけど、織り込んでこなかった部分も財政収支概算に一定入れるという、様々な事をしながら、財政収支全体をみながらですね、進めていくということが大事です。ですのでリスクを管理しながらですね、市債も管理しながら住民サービスの拡充、大阪の成長へ投資するという都市経営が必要だろうと思ってます。 ただ、僕は本来民間がやるべき事を公共がやるというのは基本的に反対の立場ですので、かつてのような当事者となって民間事業にどんどん参入していくというのは非常に大きなリスクをはらみますから、それはやるべき事ではないと思ってます。 いずれにしましても、起債はきちっと管理する、都市経営をしていきたいと思ってます。
●小川陽太議員 国直轄で負担軽減させるとか言っていますけど、国が出すといっても、これ税金ですよね。 それで、粗い収支概算にはなにわ筋線も万博・IR関連も入っていません。新年度予算案でも不要地売却55億円、財政調整基金144億円の、都合199億円を投入してしのごうとしている訳ですから、こんなものが出て来た日には必ず他にしわ寄せが来ると思います。 それに、過去、大型開発で庶民のふところが豊かになったなんて事はまったく聞いたことがありません。
3.地下鉄・バスの民営化について ●小川陽太議員 それで、私かつて橋下前市長が知事の時に「地下鉄を売ってでも淀川左岸線延伸部をつくる」と言った事を、今更ながらに思い起こします。その橋下前市長が果たせなかった事を、何としても実現するという吉村市長は、その一つ、市営地下鉄の廃止条例をこの3月議会で成立させようとシャカリキになっております。とんでもない事だと思います。 言うまでもなく、バスは昭和2年、阿倍野―平野間開業以来、今年90周年です。毎日20万人の市民をお運びしています。一方、地下鉄は昭和8年、梅田―心斎橋、3kmで開業して以来、今や営業キロ137.8km、1日乗車人員245万人を数えると同時に、経常利益3百数十億円、1,600億円もの現金・預金を有する超優良企業となっている訳です。 改めて市営交通の使命とは何なのか、市長の認識をお聞きしたいと思います。
◆吉村洋文市長 地下鉄・バス共にですね、まあ古くは御堂筋線の建設に代表されますが、民間事業者が参入困難な状況の中、時代の中、大阪の都市づくり街づくりに大きく貢献してきた大きな使命を果たしてきたというふうに思ってます。 そして今、この使命に於いてはですね、多くの方がその大都市圏の交通ネットワークとして通勤通学、様々利用して頂いております。必要な投資インフラだというふうに認識しています。 現在黒字を続けていますけれども、今後それが確実に、少子化が見込まれていますし、ずっと到来するいうわけでもありませんし、経営の自由度、経営力を高めていくことがこれからの使命なんじゃないのかなというふう思っています。
A1,000億円を超える退職金の支払いなどで、1,600億円の現金・預金を使い果たしてまで、地下鉄を民営化する。その理由は何か。 ●小川陽太議員 色々言われましたが、バス・地下鉄、相互に補完する交通ネットワークの構築の中で、市民の足の利便をはかり、もって住みよい活気のある街づくりに資する事です。そして、市営交通の使命・役割というものは、今後ますます強く大きくなるものと思います。 ところが、こともあろうに民営化に舵を切って以来、バスへの支援を打ち切り、バス路線を大幅にカットさせた上、御堂筋線可動式ホーム柵の凍結、8号線延伸のストップ等々、ただただ、地下鉄の利益を積み上げる事に血道をあげてまいりました。 そして東京メトロのような特例法もない中で、1,000億円を超える退職金をはじめとする民営化経費の支払いで、1,600億円もの現金・預金をスッカラカンにしてまで民営化を強行しようとしております。 いったいどうして、そこまでして、民営化しなければならないのでしょうか。
◆吉村洋文市長 まず1,000億円を超える退職金の支払いで現金がなくなってスッカラカンというような表現をされるんですが、退職金債務は、企業から見たら、債務として今認識してますんでね、ですんでこのバランスシート上で考えると、現金と債務のバランスでいえば、これはその現金で債務を支払うということですから、別にそれは事業体からみればですね、何ら問題じゃない事だというふうに思っています。それによって債務が消滅する訳ですから、今退職金、無い債務について払うんじゃありませんので。ですんで、そういった視点はあたらないと思っています。 それから、地下鉄の民営化についてはですね、これはやはり今後を見据えた時に、今のこの市営交通という形ではなくてですね、株式会社化をはかる事によって効率的な事業経営をする事ができます。 配当の税など本市の財政に寄与してもらうことも可能になってきます。公営ならではの制約というのも緩和されることになってきます。柔軟でスピーディなサービス展開が可能になってきますんで、やはり利用者の満足度、そういった意味で非常に向上すると思ってます。 当然の事ながら交通事業以外の関連事業であったり、新規事業をこの地下鉄会社として展開することもできる。沿線や地域の活性化に資することができるというふうに思っています。ですので、民営化は進めていくべきだと考えています。
B地下鉄民営化の目的は、株式上場、売却をはかることにあるのではないか。 ●小川陽太議員 退職引当金うんぬんの話ありましたけども、今回これするために退職金上乗せするんでしょ、45%とか20%とか。そのためにこれ利益積み上げてきたんじゃないんですよ。さきほど答弁ありましたけども、公ではサービス続けられない、こういったものも詭弁だと言わなければなりません。そんな事は、理由にならない。 削られたバス路線を元に戻すなど拡充をはかる事、安全・安心の地下鉄にする事、これらに勝るものはありません。 それで、交通局が出している民営化後の収支のシミュレーションでは、地下鉄職員100人を市長部局に引き取ってもらうなど、5,000人から4,500人体制へと、更なる職員削減につとめると同時に、安全対策などの建設投資は極力抑えて有利子負債の低減をはかることになっています。 そうして経常利益率や、キャッシュフローに対する有利子負債の率、共に数年で大手私鉄をしのぐ水準にする計画となっている訳です。 ですので、市長は自分の任期中には完全民営化はしないとか色々、言っていますけど、結局、市営地下鉄を、例え大阪市100%出資であれ株式会社にするという事は、できるだけ早期に株式上場し、売却をはかるという事に何ら変わりはないという事ではありませんか。
◆吉村洋文市長 昨年12月にご可決頂きました基本方針またプランにおきましても、100%大阪市出資の株式会社としてスタートする旨を明確に定めています。 私は将来的には完全民営化、これが理想の姿だと思ってますが、私が判断できる任期中、上場、売却するということは考えていません。将来経営状況、社会情勢をふまえてその時点の政治家が判断すべきだと思ってます。
●小川陽太議員 後の政治家の判断に委ねるという事のようですが、大きな黒字を出している公営企業体を株式会社化するという事は、上場し売却するのが目的である事は、NTT、JT等幾多の事例が示している通りです。 バス・地下鉄の交通ネットワークの拡充のためにも、地下鉄の民営化すなわち株式の上場、売却は絶対に認められないと申し上げておきます。
4.「都構想」について ●小川陽太議員 それで、橋下前市長の果たせなかったもう一つの大きな仕事、それが都構想の実現だと思います。2015年5月に、あれ程人もカネもつぎこんで大がかりに行った住民投票で否決されたにもかかわらず、またぞろ本予算議会に、「都構想」のための法定協設置の条例案を提出しております。 市長、否決され、決着済みのものを、通すまで何度でも出すというような事が、およそ民主主義のあり方として、許されるのでしょうか。答弁を求めます。
◆吉村洋文市長 これ、何度も同じ質問受けますのでちょっと端的にお答えしますが、一昨年の5月17日、69万対70万で反対が0.8ポイント多く反対多数となったことは事実であります。ただ、新しいまだ見ぬ制度に69万の方が賛成されたというのも事実であります。 その6ヶ月後、私自身もいろいろ批判もある中でありましたが、都構想についてもう一度挑戦させて欲しいということを訴えて当選させて頂きました。ですので新たな案、修正された案をですね、しっかりと議論して作ってまいりたいと思います。
A8区の総合区は、特別区の住民投票で否決されることをもって実施に移すということなのか。 ●小川陽太議員 市長選挙で勝ったなどというのは、理由になりません。市民のあいだからは、「勝つまでジャンケンするつもりか」、こういう強い批判の声が上がっております。当然だと思います。 本当に多くの市民が悩みに悩んだ末に、やっぱり大阪市を潰してはならない、特別区という半人前の自治体を作らせてはならないと言って、ノーという最終判断を下した訳です。 僅差であろうがなかろうが、文字通り全市民を巻き込んだ空前絶後のものです。蒸し返すなどという事は、断じて許されるものではないと申し上げておきます。 ところで市長は、法定協の設置条例を通したいがために、都構想・特別区とは似て非なるもの、総合区、8区案の制度設計をすすめて、この夏にも具体案を提示すると言われております。 これ程、市民も議会も愚弄するものはないと思いますが、市長は先日の大都市税財政特別委員会で、総合区について市民がよしとする最終判断をすれば実施すると言われました。 という事は、市長は特別区の住民投票で否決された場合、それをもって市民が総合区を選んだものと判断し、総合区の数も8区として実施するという、そういう考えだと理解してよろしいでしょうか。
◆吉村洋文市長 あのう、大都市税財政でこの手続きについてどう進めていくかというのはまだ検討中で、具体的にこれで定まったものはありませんという形は僕は答弁しています。ですので、ちょっと議員の主旨がちょっとわかりにくいところもあるんですが、そういうことです。 いずれにしてもですね、特別区、総合区、共にベストな案を作成してですね、最終的には市民の皆さんにご判断していただきたいと思っています。ご判断いただく手法についてでありますが、これは当然今後検討していくと。大事なものは中身をまず策定していくということだ思っています。
B特別区と総合区を天秤にかけて、特別区の住民投票に持ち込むようなことはやめるべきではないか。 ●小川陽太議員 以前はね、二者択一で特別区・総合区どっちか選ばせる住民投票やるとか、そういうこと言うていた。今度はこういうこと言っている。言うことがころころ変わるんですよね。市民は混乱しますよ。 そして、住民説明会や意見募集に寄せられた「24区を守ってほしい」という、多くの切実な市民の声もあるわけですから。 総合区について議会に提案するかどうかは市長の自由ですが、議会は議会で、二元代表制のもとで、総合区が良かれとすれば勿論、市民の声をようくお聞きしながら、充分な議論を積んだ上で、自ら決する事も出来る訳です。 特別区のように市民に最終判断を委ねられている訳ではないからです。それにそもそも合区ありき、8区の総合区など到底認められません。 いずれにしても、特別区と総合区を天秤にかけて、何が何でも特別区の住民投票に持ち込むというような事は、やめるべきではありませんか。答弁を求めます。
◆吉村洋文市長 あのう、天秤にかけてという表現自体ですね、現状維持すべきだという議員のご指摘だと思うんですが、僕はそういうふうに思っていません。 大阪の今の課題を解決する、東京一極集中がすすむ中で大阪の課題を解決する、住民自治の拡充を広げていく、そのために大都市制度の改革が必要だろうというふうに認識しています。そして、多くの市民の皆さんもそのように感じている、判断しているいうふうに思っています。 それは、どこで判断するのかといえば、いろんな先日も新聞のニュースとかも出ましたけれども、やはりあれは、あそこでも再挑戦やっていいんじゃないのという意見も多かったですが、それはやっぱり単なる世論調査、で議員のまわりにも反対の方の声が多く寄せられると思いますが、僕の周りには賛成の声が多く寄せられているわけです。 じゃあ、どこで判断するのかと言えば、やっぱりこれは選挙でしかないと僕は思っています。選挙でなされた民意というのをしっかりと遂行していくいうのが市長の役割だと思っています。その中で、議会の皆さんもこれは選挙で選ばれた代表、つまり二元代表制のもとですから、一つ総合区をすすめるべきじゃないかという意見がありますので、それはやはり非常に重たい意見として尊重し、今具体的な案を作っていますが、僕も選挙で選ばれましたので特別区についてすすめていく、両方についてベストな案をつくっていくのは当然のことだと思っています。
●小川陽太議員 現状がいいという声が多かったっていうのが、はっきりしたのが住民投票なんですよ。ともかく、市長がやりたい事は決着済みの都構想、特別区の蒸し返しです。断じて認めることはできません。 もう不毛の制度いじりに人もカネもつぎ込むのはやめるべきです。そうして、都市内分権の拡充や市政の中身について、真摯な議論をすべきと申し上げておきます。
5.市民福祉の拡充について (1)国保 @減額した一般会計繰入金を元に戻して、国保の値上げは撤回すべきではないか。 ●小川陽太議員 それで今、肝心の大阪経済はなお低迷したままです。何よりも経済の6割を占める個人消費の拡大が必要で、そのためにも市民の懐を温める事、市民の福祉の拡充こそ急務だと思います。 ところが、高すぎて払えないと悲鳴のあがっている国民健康保険料を、新年度も又2%の値上げを押し付けようとしています。 当局は府下市町村の保険料と均衡をはかるためだとしておりますが、それを口実に一般会計からの繰り入れを減らしているだけではありませんか。平成28年度予算では438億円の繰入額が、新年度予算案では424億円と、14億円も減らされております。 市長、一般会計の繰入金をせめて28年度並に戻して、値上げはやめるべきではありませんか。答弁を求めます。
◆吉村洋文市長 一般会計の繰り入れについてはですね、ルールに基づいておこなっています。決して丼勘定でやっているわけではありません。去年が少ないから今年は多く、去年が多いから今年は少なくとかそういったものじゃないんです。一般会計からの繰入額、これは税を投入するということで非常に重たいことであります。ですのでルールを決めてやっています。法定の軽減であったり、本市の独自の軽減であったり、そういった一定のルールに基づいてこの額を詳細に算出し、平成29年度予算案で約425億円を一繰りで入れます。 で、この繰入額の減少の根拠ですけれども、これは被保険者数の減などにもよることがあります。ですので、その一定のルールに基づいて算出している以上はですね、単純に昨年と比較して増やすというのは、これルールを変えるということですから、それをすることはできません。 国民健康保険の保険料ですけれども、平成25年度から受益と負担の適正化の観点から、収入に対する負担の割合を府内の市町村並みにするということで取り組んでいます。ですので、平成29年度予算案では保険料を2%改定せざるを得ない状況であります。
A国保の府県一本化に際しては、一般会計繰入金を認めるよう大阪府に働きかけるべきではないか。 ●小川陽太議員 私は、値上げを抑えろと申し上げたわけです。 府下市町村との均衡をはかる事を公平かのように言いますが、大阪市の国保世帯の所得水準は低く生活コストは高い。生活実態に見合った保険料にすることが、求められているのです。 そもそも橋下前市長時代の市政改革プランで、任意繰り入れをやめることとセットで府下市町村の保険料の負担率に合わせると言い出したにすぎないのです。 平成30年4月からの国保制度の府県一本化で一般会計からの任意繰入金を入れないとすれば、一人当たり11,800円もの値上げになると試算されているではありませんか。 他の府県では一般会計からの繰り入れを認めて保険料の値上げにならないようにしているところもあると聞いています。 大阪府に対して、保険料値上げにならないよう、各市町村の一般会計からの繰り入れを認めさせるべきです。答弁を求めます。
◆吉村洋文市長 国保の府県一本化に関する質疑だと思われますが、これにつきましては、平成25年5月の法改正によりまして、国保の財政基盤の強化をはかろうということで、平成30年度から都道府県が国保の財政運営の責任主体となる。そして国保運営の中心的な役割を担うということで、制度の安定化が法的にはかられることになっています。 この都道府県の一本化については、この大阪市の国保の実情も踏まえたものにしていく必要があると私も思っていますので、例えば多人数世帯への負担への配慮などついて府に要請していきたいと思っていますし、保険料が急増した場合にには激変の緩和措置のための任意繰入を検討するなど、市民負担に配慮しながら円滑な移行に向けて取り組んでいきたいと思っております。
●小川陽太議員 激変緩和のための任意繰入と言いましたけれども、大変大きな値上げがあるから激変緩和するわけで、たいへん不十分なものだと言わなければなりません。 現に、統一保険料を押し付けようとしているのは、大阪を含め全国4府県のみであります。各市町村の一般会計繰入金を認めようとしている府県が圧倒的ですから、大阪府にも必ず認めさせるように強く働きかける事を、重ねて申し上げておきます。
(2)保育所待機児童問題 ●小川陽太議員 それで今、全国的にも大問題となっている保育所の待機児問題についてお聞きいたします。 大阪市でも、この2月3日現在の保育所入所申し込み状況では10,848人の入所枠に対して14,409人の申し込みで、既に3,561人が入れないという、深刻な状況となっています。 市長は、H30年4月をもって待機児の解消を目指すと言われております。どのように取り組むおつもりでしょうか。
◆吉村洋文市長 まずは待機児童についてですけれども、これは都市の魅力を高める、あるいは女性の活躍が増える、そうなるほどですね、増えてくるという傾向にあります。ですのでゼロを目指すというのは非常に難しい目標だということは認識していますが、それをめざします。 そのためにどうするのかと言うことなんですけれども、まずどれくらいニーズがあるんだろうというのをちゃんと把握してんのかなと、いろんな僕は疑問があったんですけれど、いろんな疑問を解決するために、待機児童解消特別チームいうのを僕自身がチームリーダーとなるのを立ち上げました。 じゃあ、どのくらいニーズがあるんだろう、ニーズってどうやって把握してんのといえば、これは国で一定の算定の仕方というのを出して、それをこ青で一定それに基づいてやっていたんですけれど、それってよく区長からも、これも公募区長ですけれど、公募区長の意見からするとですね、いやこれはその昨年度の4月の時点での基準でやってるけれども、そこから1年間、実は入所の申し込みというのは増えているんです。 それが区役所に来るんですというわけですから、じゃあ、その算定されてないんじゃないのということで、じゃあそれも実際算定していこうよ、いうので上乗せを算定する。そうした結果ですね、去年は2,500でしたけれど、今年はこれ6,000という数字も出ました。 ですので、じゃあこれを元に現にやっていく保育所の整備がやっぱり基本になると思いますので、保育所の入所枠を拡大していく。で、それだけじゃなくて、組織、こ青局の組織の体制を強化していく。それで場所がないとかいろんな課題がありますので、じゃあ保育所用地を提供して、土地所有者への固定資産税相当額については補助するとか、その私有財産を活用する、いわゆる場所がないわけですから、そういった市役所、区役所の庁舎も活用していこうと、市の私有財産も活用していこう、ここについては特別扱いをして、なんとかでも解消していこうという認識で今すすめていっています。
●小川陽太議員 いろいろな手法で入所枠を増やそうとしておられますが、何よりも子どもの「安全」と、「成長・発達」を保障する質の確保をはかりながら進めていただきたいと思います。
●小川陽太議員 同時に、計画通りに進まないのではと心配しています。その一つが保育士不足の問題です。 市内民間保育所における保育士確保は大変厳しく、昨年4月にこども青少年局が市内約300の民間保育所にアンケート調査を行なったところ約7割から回答があり、その内約3割の保育園から「保育士を確保できなかったために、こどもの受け入れができなかった。」という回答がありました。これでは、さまざまなメニューをつくったとしても、保育所整備は進みません。 市長は保育士不足の原因をどのように認識されているのか。また、民間保育所における保育士確保をどのように進めていくお考えなのか、ご答弁を求めます。
◆吉村洋文市長 あのう、保育人材の確保というのは非常に重要です。どの仕事でもそうだと思うんですが、必要とされること、リスペクトする、それが一番働く意欲になると僕は思っています。 保育人材についてもですね、待機児が多い、ぜひ働きかけていただきたいというのを積極的にメッセージ発信し、それだけじゃなくて、その条件整備を整えていくということもやっぱり大事なことだろうと思っています。 で、具体的にじゃあどうするのということですけれど、これは保育士保育所支援センター事業これもやっています。それだけじゃなくてですね、大阪市独自の新規に採用する保育士、保育士の免許をとっても他の仕事につかれる方が多いですから、新規保育士採用については特別給付というのを行ったり、あるいはその潜在保育士の方が再就職することについての給付事業を行ったり、あるいはその保育士さんがなかなかその給料の中で1人暮らしというか宿舎の借り上げが難しいということの事情がありますので宿舎の借り上げ支援事業をやったり、あるいは保育士さんが自分の子どもを預けられないという事情もありますんで保育士さんの子どもの保育所への優先入所をやったり、あるいは29年度予算にもいれていますが、新たに保育士さんの子どもの預かり支援事業をやったり、保育の補助者の雇いあげ支援をやったり、様々、この人材確保についての支援事業をおこなっております。
B民間の保育士の給与引き上げのための補助制度をつくるべきではないか。併せて公立の保育士の給与を引き上げるべきではないか。 ●小川陽太議員 民間保育所における保育士不足の原因は給与を含む処遇の低さや勤務環境なのであり、これまでの保育人材確保事業ではあまりに不十分だと言わなければなりません。 また、橋下前市政において、公立の保育士の給与は高いと言って下げ続けると共に、公立保育所の民営化を強引に進めようとしたことにより、職員のモチベーションの低下を招き退職者が相次ぐ事態となりました。それにも関わらず、本務保育士の新規採用を行ってこなかった結果、平成26年度から平成28年度までの3年間で397人もの利用定員を引き下げざるをえなくなり、待機児解消に逆行する、悪循環を招く事態に至っているのです。 東京都では、保育士の給与引き上げのために一人当たり月額2万3千円を独自に補助していましたが、来年度はさらに2万1千円上乗せし、4万4千円を補助する予算案が示されるなど、多くの自治体で、給与引き上げのための制度がつくられています。 このような真に実効性のある保育士の処遇改善策を、本市も講じるべきであります。 同時に、「本市保育士の給料表について、引上げ改定を行うことが適当である」との人事委員会勧告に従い、公立の保育士の給与も引き上げるべきではありませんか。合わせて答弁を求めます。
◆吉村洋文市長 まず民間の保育所、それから公立の保育所、民間の保育士か公立の保育士、これ分けて考えなければいけないと思っています。 で、いま保育所について民営化をすすめていますが、それによって生じる財源、これをもって待機児童対策にもあてることができる、こういう状況でありますので、これ、待機児童対策に逆行するというものではないと思っています。 それから公立が、民間などではだめだとレベルが低いというのも、これは僕は、民間軽視でこれは違うと思っています。 人材の給与の面ですけれど、確かにおっしゃる通り、保育士の給与というのは、仕事が厳しい割には処遇が低いというように思います。 で、これは国も同じような認識でありまして、今回の国の予算においても勤務経験7年以上の中堅職員については原則4万、同じく3年以上の職員については月額5千円と、全職員の給与を処遇する、改善するというのが盛り込まれています。これは当然市費の負担も必要になりますがこれはやっていきたいと思っています。 じゃあ、いかなる給与が適正かということなんですけれど、単にその給与が少ないから給与に真水を投入するというのは僕はちょっと違うのかなと思っています。これは保育士さんだけではなくて、例えば介護士さんも厳しい状況がありますので、民間の保育士さん、民間の介護士さんにどれだけ税を投入すれば適正な金額になるんですか、ほかにも民間の職業たくさんありますんでね。 要は、税で民間の給与を調整するというのは僕はちょっと違うのじゃないかと思っています。ただ処遇が低いというなかで、例えば、家賃を補助するとか、新規の採用を促すために補助するとか、一定の思想に基づいて補助するという事を大阪市としては力をいれてやっていきたいと思っています。 そして、加えてこれは民間の保育所であっても、結局、計算したら8割くらいは税が民間保育所に投入されてますんで、保育所を運営している社福とかそういったところの人件費についてどうなの、内部留保どうなの、そういったことを公開してですね、それをどれだけ税として、人件費として充てるべきなの、そういったことをやっていく必要があるのかなというふうに思っています。 それから、公立の保育士さんですけれども、これは人事委員会から勧告を受けました。人事委員会からの意見も踏まえて、まずは当然、民間の給料に準拠して、公務員の給与に民間の給料を合わせるんじゃなくて、民間の給料に公務員を合わせるんですから、その原則にたってですね、人事委員会からの意見も踏まえて、27年度から独自の給料表も公立の保育所に導入しました。導入後、人事委員会から給与改定の勧告もありまして、僕はそれにも従ってですね、引き上げの改定も行っております。公立の保育士さんの給料、いわゆる公立の公務員の給料というのは、本来、民間の給料そこに準拠するというのがあるべき姿だと思っています。税ですので。
●小川陽太議員 そんな大原則なんて無いと思いますし、おっしゃっていることは詭弁だと思います。民間の労働者の給与より10万円低いと。これが保育士の処遇でありますから、これを一刻も早く引き上げると、これは抜本的な対策としてこういう対策なしに、保育士確保も待機児解消も進まないと申し上げておきます。
(3)住吉市民病院問題 @南港病院の建設に絡んで、新たな市民負担を生じさせたことに対する市長の責任についてどう考えているのか。同時に南港病院の医師等の確保を市長として確約できるか。 ●小川陽太議員 最後に、住吉市民病院の廃止と南港病院の問題です。 住吉市民病院の廃止とその代替機能を、府立急性期・総合医療センターと南港病院に持たせるとの、病院再編計画に対して、大阪府医療審議会が強く懸念を表明したにもかかわらず、松井知事がこれを無視して強引に事を進め、厚生労働省が昨年2月に同意した事は周知の通りです。 ところがわずか2ヵ月後の4月には、H30年4月開業予定の市民病院敷地北側での209床の新病棟建設が、事もあろうに、日影規制に引っかかって頓挫してしまった訳です。 しかるに、市当局は、南港病院からのその旨の報告を受けていながら、8ヶ月も隠蔽した上、12月になって、現・市民病院の一部を改修して100床、現・南港病院で109床の、H30年4月からH32年4月までの2年間の暫定病院運営と、この間の南港病院に対する11億8千万円もの補助金・貸付金に病棟改修工事費7,000万円の、都合12億5千万円もの新たな支援を行う方針である事を明らかにした訳です。 こと、ここに至った南港病院の責任もさることながら、監督・指導を怠って、新たな莫大な市民負担を生じさせた大阪市の責任は極めて重大だと思います。 その上、更に重大な事は、南港病院においては、小児・周産期医療に対応する小児科医3名、産婦人科医3名、助産師14名をいまだに確保できていない事です。 こういう中で、この1月には大阪市南部保健医療協議会が「当初計画通りH30年4月までに医師等を確保できなければ、南港病院に撤退させる事」を求める決議を全会一致で採択したところです。 市長、事は重大です。新たな市民負担を生じさせた事に対する、市長の責任について、いったいどのように考えられておられるのか。そして同時に、南港病院に必ず医師等を確保させると確約できるのか、合わせて明確な答弁を求めます。
◆吉村洋文市長 平成30年の4月からですね、住吉母子医療センターが新たに発足します。これは市南部医療圏において、ハイリスクの出産・分娩に対応できる、24時間365日の小児救急の対応に加えまして、最重症、それから合併症の母胎等の対応も強化できる、この南部医療圏の医療機能、小児・周産期の医療機能が強化されるというふうに思っています。 で、住吉市民病院の跡地についてどうかということですが、これはこれまでの議会での議論、それから附帯決議の主旨も踏まえて、ここには医療空白を生じさせないということが議論されてきました。僕もそれを引き継いでいます。でここについては、医療空白を生じさせないようにするというのが何より大事だろうと認識しています。 ですので、今回、30年4月から2年間についての支援スキーム、これはもちろん公金投入について複数の法律の専門家からも十分、公益性ありという意見をもらっていますが、大事なのは僕自身の政治的な判断だと思っておりまして、僕自身の政治判断としてもやはり、ここについては、もうなしというのではなくて、医療空白を生じさせないようにする、それが何より大切な一番大事な責務であろうというふうに認識しています。そういった意味でこのスキームを提案させていただいているわけであります。 医師の確保についてですが、これについては小児・産科3人という提案があります。これは民間病院がしっかりと体制を確保していただく必要があると思っておりますし、すでに、小児・産科とも外来診療を始めている状況であります。医師、助産師とも確保にも努めていると聞いておりますので、病院の開設までに必要な医師の確保の体制をしていただけるものと考えています。
●小川陽太議員 この期に及んで、そのような事では、どうにもならないではありませんか。 もし、医師等が確保できなかった場合はどうなるんでしょうか。まさに、医療空白が生じる事になるではありませんか。 ただでさえ南港病院の信用は失墜しております。その上、2年間の暫定医療の期間にも12億円近くの支援を必要とし、暫定期間後の本格運営もやっていけるのか危惧される。そんな財政状況の病院ではとても市民病院の代替をゆだねる事は出来ないではありませんか。これが、多くの市民の強い声です。 市長、南港病院は住吉市民病院の廃止にあたって議会が付した決議。すなわち住吉市民病院が担っている産科・小児科等の機能を存続し、南部医療圏の小児・周産期医療を充実させる、この資格もこれを担う能力もない病院だともう見切りをつける時ではありませんか。
◆吉村洋文市長 まずですね、仮に他の事業者を募集したとしましても、この間の民間病院の誘致については2回公募においてやりましたが、適切な事業者が選定できず、個別交渉によってようやく南港病院が事業者として決定したという経過があります。僕自身はその経過を引き継いでます。 ですので、新たな事業者の選定自体、これは困難だと思っておりますので、そのあと現地の医療空白は避けられません。 南港病院についてもう見切りをつけるべきだということでありますが、これまで南港病院の医療と介護というのを地域の要請に応じて提供しておりますし、住之江区において50年間継続して医療提供もおこなっています。そして今後は、小児周産期にも力を入れて、地域との連携をはかって社会医療法人として引き続いて地域医療に貢献していくとしています。 南港病院として、新たに109床規模の病院から209床規模の病院へと生まれ変わって、さらに地域医療に貢献するとされているところでありまして、今回の計画についても実行していただけるものと考えております。
B市民病院廃止方針を改め、当初計画どおり現地建て替えとすべきではないか。 ●小川陽太議員 吉村市長は南港病院で大丈夫だと言いますが、南港病院の実情を知り、住吉市民病院の小児周産期医療と福祉医療の実際を良く知っている地元6行政区医師会の南部保健医療協議会が、二度にわたって南港病院は相応しくない、疑念があると言っているじゃありませんか。 住吉市民病院を条例上廃止して4年近くになります。住吉市民病院の医療機能を引き継ぐ民間病院を誘致しようとして、二度にわたって公募したが担い手が居ない、強引に個別交渉で決めた南港病院には能力・資格がないということが明らかになりました。 そもそも小児周産期医療は、民間ではなかなか担えない分野であり、こうした分野こそ、地方自治体が責任と役割を担うべきであります。 吉村市長は、二重行政だと決めつけて廃止したことの過ちを認め、当初の計画どおり大阪市が経営する病院として、現地建て替えする方向に切り替えるべきではありませんか。答弁を求めます。
◆吉村洋文市長 そもそも二重行政ということの議論ではなくてですね、平成24年5月29日の統合本部の会議においてもそうなんですが、いわゆる住吉の市民病院の現地建替案というのがあったんですが、それと比較して、府立急性期総合医療センターへの機能統合案について、これが比較検討されたということになったということです。 それで、その母子医療センターにおいてですね、どういうことになるかというと、市南部地域において不足します小児周産期医療これを確保して、小児救急医療体制、最重症合併症の母体等の対応が強化されるなど、まさに現地建替案と比較して機能がアップするということの中で判断されたものというふうに認識しています。小児周産期については、厚労省においても、小児科、産科における医療支援は集約化、重点化することが最も有効な方策だという方針も示されています。この住吉市民病院の母子医療センターへの集約化もまさにこの流れに沿ったものだというふうに考えています。 この母子医療センターについては、平成30年4月から開院するべく今準備を進めています。これまでも市民、府民の皆さんには案内していますがこれを中止することもあり得ない話しであります。こちらをすすめて参りたいというふうに思います。
●小川陽太議員 二重行政じゃない。いったいどの口が言うんやと、言わなければなりません。 現地建て替えに立ち戻るなら、二重行政の象徴だと主張してきたことが破たんする。それを回避しようとして、南港病院への経営支援を遮二無二進める。この姿が浮き彫りになったと強く指摘しておきます。 ベイエリア・過大なインフラなど、でたらめな開発に明け暮れた90年代の失敗を、繰り返してはなりません。また、副首都などと言って大阪市を解体する決着済みの都構想に、これ以上税金・人・エネルギーを費やすことは無駄の極みと申し上げたいと思います。 270万人市民のくらしを応援するという大阪市本来の仕事にこそ、税金も人もエネルギーも注ぐべきと申し上げ質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。 |