|
せと一正議員の代表質問・質疑と答弁(要旨) |
せと一正市会議員 2018年3月1日 |
※3月1日の大阪市会本会議、代表質問でのせと一正議員の質疑と、吉村洋文市長の答弁を掲載します。この記録は、日本共産党大阪市会議員団事務局で作成したもので、正式な記録ではありませんのでご了承下さい。 質 問 項 目 1.「大阪都」構想について A 市長が「基本議決」で言及している総合区とは、今の24行政区を廃止して8区の総合区にすることか。また、これは総合区案の議決と住民投票実施との取引きではないか。 B 大都市制度の経済効果調査は、税金のムダ遣いであり、やめるべきではないか。 C 特別区は、取扱事務からみても、また財政的にも「半人前の自治体」ではないか。 D 特別区では、大阪市の住民サービスが維持できなくなるのではないか。 E 「都」構想で広域インフラ整備が進み、大阪が発展するのか。
2.カジノ・IR @ カジノの規制を緩めることは、ギャンブル依存症を広げることになるのではないか。
3.市民の福祉と教育などの拡充について (1)保育所待機児童問題 A 保育士が不足する原因をどう考えているのか。保育士確保をどう進めるのか。 B 民間の保育士給与引き上げのため、市独自の補助制度をつくるべきではないか。また公立保育所の保育士給与も引き上げるべきではないか。 (2)学校・教育問題 A 教員不足の状況を直ちに改善するべきではないか。そのためにも権限移譲による「本給引き下げ」は中止するべきではないか。 (3)国民健康保険 国保料引き下げのために91億円の任意繰り入れを行ってきたのではないか。来年度以降も繰り入れしないのか。また、府に言われてこの繰り入れをなくしたのではないか。 (4)介護保険 介護保険料を引き下げるために、国へ負担割合を増やすことを求めるとともに、大阪市としても単独繰り入れを行うべきではないか。 (5)住吉市民病院問題 @ 住吉市民病院が行ってきた、重症心身障がい児者の入院・入所、小児の付き添い不要入院受け入れを引き続き実施するべきではないか。 A 住吉市民病院跡地に、入院ができる30床の公的病院を設置するべきではないか。 (6)信用保証協会について 市と府の信用保証協会統合によって、中小企業支援が後退した認識はあるか。
1.「大阪都」構想について
●せと一正議員 私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、2018年度大阪市一般会計予算案及び関連諸案件並びに当面の施策について吉村市長にお聞きします。 最初は、市長が固執されている大阪都構想についてであります。まず、二度目の住民投票について改めてお聞きいたします。 市長は、住民投票の結果は尊重するけれども、都構想の見直しと再挑戦を選挙公約にして選ばれたんだから、再び住民投票をすることは政治家としては当然のことだとしています。しかし、いまだに多くの市民の間で「ラストチャンスだ。住民投票は最高の民主主義だと言っていたではないか」「2年前に決着済みだ」「何度でも住民投票ができるということ自体おかしい」という声が後を絶ちません。 市長、市民の審判を踏みにじるものではないか、この声にどう答えるつもりでしょうか。お答えください。
◆吉村市長 議員から指摘がありましたが、その指摘は僕の市長選の前からありました。僕の市長選の前から、僕が市長選に都構想を公約として掲げ、そして僕の市長選においても、もうこれは終わった話やないかということで、まあ、ほぼ全員敵になった状態のなかで選挙を繰り広げていったわけであります。その中でも僕は都構想を再挑戦、もう一回さしていただきたいということをお訴えして、そして多くの方の、多くの大阪市民の信任をいただきました。 そういった中で、やはり僕自身は大阪、確かに69万対70万ということで5月17日に否決されましたが、多くの大阪市民の皆さんは、やはりこの大都市制度の改革が必要だというふうに判断されている方が多いいうふうにも感じているところであります。で、実際私もそう感じています。 ですので今回、特別区、総合区それぞれの別の制度をつくって、そしてもう一度市民の審判を仰ぎたいというところであります。僕自身が選挙として公約を掲げた、そして僕は大阪のことを考えるとこれは必要だというふうに認識をしています。だから踏みにじるものではありません。そして住民投票、これはもう一度するとですね、結局僕自身が判断できるものではなくて、最後は大阪市民の判断という形になると思います。 大阪市民にもう一度、住民投票、都構想の住民投票をしていただいて、議員が言うように、もう終わった話だ、終了だということであれば、これは否決されるでしょう。僕はそうなるとは思っていません。多くの大阪市民の皆さんは改革が必要だといういうふうな認識だというように思っていますし、だからこそ僕も市長として選ばれたという経緯もあります。ですので、しっかりとそういった市民の皆さんの声を受けて、都構想の住民投票にチャレンジしていきたいと思います。
●せと一正議員 市長はいま、最終的には市民が決めることだと。それを市民が決めたのが住民投票じゃありませんか。また市長の言い分は自分に投票してくれた人への思いに応える、これの一点張りのようにも聞こえます。住民投票の重みにはあまりふれられませんでした。住民投票というのは、市民が意見を表明する最も重要な機会です。それを覆すことを公約にして当選したんだから、住民投票の結果は尊重しなくても良い。こんなふうに住民投票を軽々しく扱ったら、何のための住民投票か分からなくなります。住民投票をやったらその結果を尊重するというのは民主政治の大原則であり、この原則を踏みにじることは民主主義のルールをふみはずことです。二度目の住民投票はやめるべきだ、私たちは何度でもこれは言い続けてまいります。
A 市長が「基本議決」で言及している総合区とは、今の24行政区を廃止して8区の総合区にすることか。また、これは総合区案の議決と住民投票実施との取引きではないか。
さて、次に市長が去年12月に新聞に登場いたしましてこう言っております。「都構想が住民投票で反対多数となっても総合区が実現されないのではという不安があってはいけない、市議会でまず先行して基本議決を行い、住民投票で反対多数となれば、総合区に移行するための最終議決を行う『2段階方式』これを考えている。その代わり、市長選挙で約束した住民投票の実施もさせてくださいねというのが僕のスタンスです」こう述べたことについて2点お聞きします。 1点目は、ここで言及された総合区とは今の24行政区を廃止して8つの総合区にするというものではありませんか。これが1点。もう1点は、この発言は、8区総合区案の議決と住民投票の実施を取引きしようと呼びかけたものではありませんか。この2点についてお聞きいたします。
◆吉村市長 議員の意見をお聞きしていると、自分達の意見は絶対正義であって、他者の意見は絶対に取り入れないと、それがあるべき姿だというようにも聞こえますが、僕はそうは思いません。5月17日の住民投票で確かに否決されました。反対が70万、でも賛成された方も69万人の方がいらっしゃるわけですね。0.8ポイントの差であります。 そんな中で僕の市長選、先ほど申しあげた市長選挙をやった。僕は大阪の将来を考えた時に都構想というのが必要だと思ってます。これは僕の考え方、僕の正義です。でも一方で、反対の方もいらっしゃる、そして議会の多くは総合区で対応すべきだという意見もある。これも1つの議会からの考え方、議会にとっての正義なんでしょう。 じゃあそれをどうやって、僕も市長として、議員内閣制じゃないから、選挙で選ばれた代表です。議会も選挙で選ばれた人達の集まり。そうであるならば、これは僕自身も選挙で公約してあった以上、きちんとそこは 住民投票をするという手続きが都構想の実現の手続きになってますんで、その手続きをやらさしてくださいというのをお願いするのは当たり前のこと。でもこれは僕の正義だけを通しているんじゃなくて、議会の意見として総合区で大都市改革をやるべきだという意見があるわけですから、僕はその意見を取り入れて、議会で総合区の案なんかつくれません。組織を持っているのは僕ですから。でも僕は組織に指示をして総合区の案を今つくっています。これはやはり議会の意見を僕もしっかり聞いてですね、自分の意見だけを絶対正義と思ってないからそういうことをしているんです。 その上で、今回の総合区の案について、これまで議論を重ねて僕は一定程度積み上げてきたと思っています。8区とする総合区案の議員の指摘のとおり、ここで言う総合区案というのは今議論をすすめている8区の総合区案のことであります。この8区の総合区案についてもしっかりと議論をして、そして基本議決もしてですね、市民の審判を仰いで、もし市民がこれは違うと言うんであれば、僕は議会が押す総合区のほうにその大阪の改革を進めていくべきと思っています。これは僕の正義が間違っていたということになるんでしょうね。でも一方で、多くの市民の皆さんは都構想をやりたい、やってほしいという意見も非常に多いわけで、そして今僕がここにいるわけですから、僕が言う、住民投票、都構想もやらせてくださいと、極めて民主的な手続きをとっていると思います。別に何か取引きを呼びかけたわけでもないし、これは民主的な手続きのなかで僕はすすめていっているというふうに思います。
●せと一正議員 今市長は私の質問のなかに答えて、基本議決ということで扱おうとしている総合区というのは8区総合区案のことだと、これは今はっきりと明らかにしました。取引きということについては取引きだとは言わないと、議会の中にそういう意見があるからと。しかしことは明瞭であります。 市長は先日の第8回法定協議会の後に、「基本方針議決をするとなれば、中身は都構想の住民投票を図ることを前提とした議決になる」。つまり、基本議決をする場合に総合区8区ということで議決をするとすれば、それは都構想の住民投票を図ることを前提とした議決になるという意味のことを言っておられます。住民投票実施と8区総合区案議決を取引きしようとしていることは誤魔化しようがありません。 しかも、「住民投票で賛成多数だったら特別区に、反対多数だったら総合区に移行する」、つまり今度の住民投票で特別区か8区総合区かになるとこう言っているのでありますから、大事なことは、今のままでいい、あるいは24区をすべて総合区にという市民多数の選択肢、これを事実上、事実上どころか実際に奪うことになります。 この点についてはテレビでも取り上げられまして、キャスターが「今のままでいいという市民が多数なのに、その選択肢がないなんて変ですよね」こう言っております。 基本議決は、「いまのままがよい」という多数市民の声を、議会の多数派がいわば封殺をする、最悪の民主主義破壊だと言わなければなりません。そして同時に基本議決に賛成することは大阪市を廃止・分割する都構想の実現に手を貸すものであります。 総合区に進むかどうか、これは住民投票とはきっぱり切り離して、市民のみなさんと熟議して決めるべきだとこう申し上げておきます。
B 大都市制度の経済効果調査は、税金のムダ遣いであり、やめるべきではないか。
さて続いて、都構想そのものについてお聞きをしていきます。 維新の会は、前回住民投票の時は都構想を実現して二重行政をなくすという旗をかかげ、その削減効果は4000億とも700億とも言ってきました。ところが今回はまったくその削減効果額を示すことができませんでした。これでは具合が悪いと考えたのか、大都市制度改革による経済効果額を示すと、こう言ってその調査を民間企業に委託する公募をいたしましたけれども、これには一社の応募もありませんでした。本予算案には再度公募することが盛り込まれていますが、これは税金の無駄遣いであり、やめるべきではありませんか。
◆吉村市長 都構想について、特別区についても議論を深めろ、議論を深めろというふうにおっしゃっているのが共産党だと僕は思っています。議論を深めるためにですね、この経済効果についても一定の専門的な立場にある人から出していただいてそれを議論したらいいと思うんですね。もちろんこれは賛否両論出てくることはあるかもしれませんが、その仮定とかその中身をしっかりと市民の皆さんに見ていただくというのも大事なことなんじゃないのかなというふうに思います。もうやめる、やめろと議論を封殺するようなことを言っておきながら、なんでこういったその議論の材料になることをしようとすること事態を封殺しようとするのか僕には理解できません。 この検討調査業務についてですけれども、総合区制度、特別区制度それぞれの導入による経済効果につきまして、議論に資するためにそれぞれの各素案とともに定量的に推計、整理を行うものであります。先に行いました公募においては、参加の申し出はあったんですけれども提出期限までに提出書類の提出がなかったということでありますが、ただこの事については再度ですね、今回公募はありませんでしたが担当部局に対してどういった点に改善すべき点があるのか、金額、事業期間等も含めて条件を検討するようにということを指示をしているところであります。再公募の中身を検討してですね、必要な手続きを進めてできるだけ早く法定協議会にお示しできるようにしたいと思っています。
●せと一正議員 市長、私ども共産党は議論を避けるために言っているわけではもちろんありません。 どんな都市の制度であれ、その自治体がとる政策によって、市民の暮らしや経済に影響が出て経済効果も違ってくる。だからどんな政策が適しているのかを調査すると、こういうことならわかります。制度の違いで経済効果の違いを予測する、このこと自身にやっぱり無理があると私は思います。しかも民間企業に丸なげをする、これはまさに都構想に大義がないことを証明するものと言わなければなりません。
C 特別区は、取扱事務からみても、また財政的にも「半人前の自治体」で はないか。
次は特別区についてであります。 今回の特別区素案は前回案と比べてバージョンアップしたとこう言うけれども、実は5区案が否決されたから4区案、6区案としているだけであって本質はまったく変わっていません。市長も骨格は変わってないとこうおっしゃっております。 ではですね、その特別区はどかなものなのか。独立した自治体で選挙で区長が選ばれ、区議会もあって、身近なことが身近で決められる、こうバラ色に描いておられますけれども、その実態は、普通の市町村が行っている事務も大阪府に取りあげられ、普通の市町村より権限の小さな「半人前の自治体」であり、また財政的にも大阪府に支配される従属的な団体なのではありませんか。答弁を求めます。
◆吉村市長 特別区の素案の事務分担ですが、東京の特別区とは異なっていまして、住民に身近な自治体としまして、中核市または一般市の権限とされている事務を基本として、都道府県や政令指定都市の権限に関する事務であっても、住民に身近なものは特別区で担うという事務分担の制度設計にしているところであります。 また、この事務が十分に実施できるようにですね、財政調整制度において必要となる財源について、現在の都区財政調整制度をベースにして、自主財源と合わせて財政調整交付金により確保されるよう、きちんと事務に応じた財源という制度設計をしてその割合も表示しているところであります。 また、住民自治を進めて行くうえでは、どういった事務をするのか、どういった財源でやっていくのかというのはもちろん大事ですが、どういった範囲でやっていくのかというのも非常に重要でありまして、今、270万人という大都市の基礎自治業務を市長1人というなかでマネジメントしていますが、実際、この住民に身近なサービスというのは、やはりもう少し小さな単位でしていくべきだというふうに思っています。しかもそこの自治体については、そういった住民サービスに特化したですね、業務に専念するほうが住民には近いと思っています。選挙で選ばれた区長と区議会が住民の身近なところで、住民にとって非常に重要な身近なサービスを実施していく仕組みをつくっていくことが今大阪に僕は必要なことなんだというふうに思っています。半人前の自治体ではありません。
●せと一正議員 今、市長は、今よりも小さい単位で身近なサービスをちゃんと市民が決められていくと、こんなふうにおっしゃいました。そして市長は、実は言いませんでしたけれど、特別区になったら消防、下水、都市計画、産業振興などのこの事務がですね、今大阪市がやってますけれど、これを特別区ではなくて、大阪府に移す、つまり大阪府に取り上げられてしまいます。消防とか下水とか、都市計画決定というこんな身近な、自らの区や町のことも決められない、だから「半人前の自治体」と申しあげております。 また、特別区と大阪府のあいだでの調整調整財源、これの配分割合、大まかに言えば特別区に8割、大阪府に2割と、こういうことですけれども、実はこの配分割合についてもですね、府と特別区の協議会において話合いで決めるとこう書いてあります。けれども、一方でよく見れば、最終的には大阪府議会がこの配分割合は条例で決めると、こうなっているわけであります。したがって、財政的には、固定資産税や法人市民税などの普通の市町村がもっている自主財源、これを大阪府に取り上げられて、しかもその配分が実は府議会などの条例で決められる、最終的にはですよ。つまり配分が支配される。この面からも半人前の自治体であることは明瞭であると申しあげておきます。
D 特別区では、大阪市の住民サービスが維持できなくなるのではないか。
さて、特別区になったら、いま大阪市がやっている他都市にない市民サービスが維持できなくなるのではないか、私たち共産党だけではなくて、維新の会以外の各会派もそろって指摘していますが、市長、この点についてはいかがでしょうか。
◆吉村市長 この都構想に移行する事で、大阪における対財源、これがですね、減るという事であればそういう事になるのかもしれませんが、減るんじゃないんですね。要はこれは割合として、つまり、まず特別区でやるべく事務は何なのかというのを定めます。そしてその特別区がする事務について、それに必要な財源が当然必要になりますから、それについて必要な財源は何なのかという発想で、これは事務分配、それから財源配分というのを行っているわけであります。つまり大阪市が実際に行っている事務、財源に応じて仕事と一緒に財源を、それぞれの新たな自治体で行うということでの制度設計になっていますから、住民サービスが維持できなくなるという事はありません。 それ故にですね、この素案に於きましても、この地域の状況、ニーズも踏まえながら、内容の水準の維持に努める、いうふうに明記しているところでもありますし、財政シミュレーションにおいても維持できるという事を示しているわけであります。ですので、議員が言うような維持できなくなる、というものではないというふうに考えています。
●せと一正議員 財源配分の割合は、今の大阪市がやっていることをもとにして、それを振り分けたからという話ですけれども、将来その配分割合が変わることがあるわけですね。これあり得るんですね。その配分割合を変える時は、ちゃんと条例で決めるとこう書いてあるんです。全く私の質問に答えていないとこう思います。 しかも、その特別区になったらサービスが維持できなくなるのか。4区B案ということになったようですけれども、その設置コストは庁舎を建設せずに安上がりの賃借、借りると、この案でも300億円かかると。しかも職員が330人も増えて、その人件費は21億円から26億円毎年増える。また、今市長が言われました財政シミュレーションですけど、これも議会でさんざん議論されておりますけれども、今の財政シミュレーションには、今後新たに出てくる大型インフラ整備の約1000億円以上、あるいは、敬老パスを3000円廃止で増える利用料、あるいは市長公約の幼児教育無償化の3歳児への拡充に伴う負担、こういったものも入っておりません。したがってもろもろの負担で特別区は財政が苦しくなって、だから今回の素案ではわざわざですね、この大阪市の特色あるサービスを「維持するよう努める」と、維持しますとは書いてないんですね。「維持するよう努める」と書き込んでおりますけれどもこれは単なる気休めであって、特別区で大阪市の特色あるサービスが維持できなくなるのは私は火を見るよりも明らかだとこう思っています。
E 「都」構想で広域インフラ整備が進み、大阪が発展するのか。
さて市長は、淀川左岸線延伸部やなにわ筋線が進み始めたことをもって、これは市長と知事が同じ方向を向いたからできたことだと、これを人と人の関係ではなく制度化する、都構想で府と市の司令塔が一つになったらインフラ整備はもっと進んで大阪が発展をすると言いますけれども本当にそうなんでしょうか。
◆吉村市長 淀川左岸線の延伸部もそうですし、なにわ筋線もそうです。府と市域がまたがるエリアのものについて、あるいはこれは果たしてこれは広域なのかどうなのかということについてこれまで大阪府、それから大阪市の意思決定に於いてそれぞれ二重行政、二元行政が行われて効率的な意思決定が出来てこなかったのは事実です。 これはもう皆が認めるところで、共産党はこれは違うというかもしれませんが、これは多くの市民が感じているところだと思いますよ。だから府市合わせと言うような言葉も生まれてくるんです。これは維新の会が生まれる前からあった事であり、その課題はおそらくは大阪の市の行政体、府の行政体それぞれ課題としては僕はずっと認識していたんじゃないかと思います。 ただそれを現実に行うというのは莫大な政治的なパワーが必要になりますし、それぞれ市役所と府庁が育ってきた環境という中で、この大きな改革をすすめていくという事に莫大な力とパワーがかかりますから、それに正面きってやってこなかっただけで、その課題については僕は実は多くの市役所、区役所の幹部職員、それから議員も感じていたところなんじゃないのかな、市長、知事も感じてた事じゃないのかなと思っています。 今まさにそれを実現しようとしているわけであります。この広域インフラにつきましても、やはり大阪の非常に狭いエリアの中で、市と府がそれぞれやっているわけですけれども、一つの司令塔の元で一本化した戦略ですすめていくことが、ホントに大阪に必要な広域インフラ、広域成長について迅速な意思決定が出来るというふうに思っています。 今は僕と松井知事が同じ方向を向いて、何とか組織もまとめてすすめていってますけども、こんなのはすぐ崩壊します。それを組織的に一本化することで、そういった広域の戦略というのは迅速にすすんでいく。それが大きな大阪の成長につながって、最終的な目標、これはあくまで都構想の手段です。目的としては、大阪がまさに東西二極の一極として日本を引っ張るくらいの強い都市を目指していくべきだと思いますし、その装置というのをしっかりとつくっていきたいと思います。
●せと一正議員 淀川左岸線の延伸部が進んだのは、国が直轄事業に採択をして、府と市の負担を小さくする事業スキームを新たに示したからであります。また、なにわ筋線もこれも国が南海とJR西日本の負担が小さい事業スキームを示して、そして昨今のインバウンド急伸で事業者が建設に乗り気になったから進み始めたものであります。 過去には、府と市は一つではなかったけれども、あの関西新空港のように大阪市も府と並んで多額の出資をしたこともあるじゃありませんか。司令塔が1本化されたらより迅速、強力になると言いますが、ようするに、大阪市の権限を大阪府に取りあげて好き放題にしたいというだけのことであります。 府と市が一つにならなければよくならないというのは、これは全く「刷り込み」だと言わなければなりません。また、もう一つは、延伸部で言えば超高齢化社会を迎えて交通量全体が縮み始めているのに本当に必要なのか、なにわ筋線で言えば、関空までの時間短縮がたったの5分でしかもインバウンドの乗車率は10%も見込めず、単に地下鉄御堂筋線の乗客を移し替えるだけなのにこれも必要なのか、これは冷静に考え直さなければならない問題だと申し上げておきます。
2.カジノ・IR
@ カジノの規制を緩めることは、ギャンブル依存症を広げることになるのではないか。
さて続いて、カジノについてお聞きします。 吉村市長はIRを誘致することでギャンブル依存症対策が進むと言ってきました。しかし松井知事と吉村市長はこの22日、カジノの面積や入場回数などの規制を厳しくすることはIR事業者の投資意欲を損なうものであり、過度な規制を設けないよう政府に要望することで一致をしたと報道されました。 市長は、IRでギャンブル依存症を減らすと言いながら、実際にやろうとしているのは、規制をゆるめてギャンブル依存症を広げることではありませんか。
◆吉村市長 IRにつきましては、まず、どういったIRを目指して行くのか、僕は世界最高水準のIRが大阪に来てもらいたいと思っていますが、やはりIRのプラスの部分、経済効果、成長、雇用、多くの海外の富裕層がやって来る。様々な大阪への投資も含めて、或いはそのベイエリアのこれからの開発。様々な事を考えると、やはり世界最高水準のIRがこの大阪に来る。つまりIRのプラスの側面、MICEもそうですが、IRのプラスの側面というのを最大限引き出し、そして課題でありますギャンブル依存症に対しては、正面から取り組んでいく。 ギャンブル依存症については今もある訳ですから、町中にパチンコ、ギャンブル、賭博場があるというのが日本の現状ですので、依存症の方も、割合もある。そんな中で減らしていくという対策はこれまで正面からはとってきませんでしたが、IRを導入しているというところでは、これは正面からとっていっているわけで、日本もそうすることによってギャンブル依存症というものを減らしていく、数を減らしていくということをやるべきだというふうに思っています。 例えば議員指摘の、たとえば面積の規制ですけれども、面積の上限を15000uにすると政府が今一定なんとか出していますが、なんで15000uなんですかと、日本に小さなIRを沢山つくるというのであればわかりますけれども、世界最高水準のIRをつくるというのであれば、それは面積割合じゃなく、面積に対しての規制というのは、そのIRの絶対規制よりも、そのIRの総面積に対する割合規制にすべきなんじゃないかと、それとギャンブル依存症との相関関係というのは僕はないと思うんですよね。 ですのでそういった意味で、ギャンブル依存症を防ぐために必要な対策、これは事前の予防教育であったり、あるいはその国家的な機関であったり、様々なそういったものをしっかりとつくっていって、依存症対策は減らしていく、これは僕は実現できると思っています。 今やっていないことを、正面から取り組んでいく、IRの良い面を全面的に押しだしながらも、そして課題とされている面にはそれに必要なところを正面から取り組んでいくことで僕はギャンブル依存症を減らす事が出来るというふうに思っています。少なくとも、今みたいにですね、全てが放置され、依存症対策に取り組んでこなかった。そしてそれはずっと容認されてきたわけですから、それを変える最もいいきっかけになるのが、僕はIRじゃないかなと思っています。
●せと一正議員 今市長は答弁のなかで、カジノの設置について規制を緩めることが必ずしもギャンブル依存症を広げることにはつながらないというようなことを言われたと思いますが、そんな言い分ね、誰が信用するのかという話しなんですよ。ギャンブル依存症を作り出すのがカジノであります。その規制を緩めよと市長は言っております。 今日の新聞を見ますと、カジノ業者が規制を強められたら投資意欲が減ってしまうと、こういうようなことも新聞で報道されております。まるで市長は、カジノ業者の代弁者のようになっているのではないかと私はこう思います。 そして、市長は厳しい対策を取ればカジノのギャンブル依存症は減るとこうおっしゃいます。けれどもですね、そもそもカジノ業者の利益はどこから出てくるのかといえば、その源泉は顧客の負け金であります。負けても負けてもカジノから逃げられない客がいなければカジノは繁栄をしないとこう言われております。ギャンブル依存症を減らしながらカジノは、業者は、儲かりません。市長のいう、カジノを繁栄させながらギャンブル依存症を減らすということは、まったく矛盾することだと申し上げておきます。
カジノについてもう1点お聞きいたします。 橋下前市長はかつてIRは都構想の試金石だとこう言いました。今回の都構想はIR・カジノを大阪経済発展の目玉にしておりますがとんでもありません。IRは逆に大阪経済の仇になるのではありませんか。
◆吉村市長 先ほども申し上げた通り、IRについては、そのプラスの面は最大限引き出して、課題については正面から取り組むべきだと思っています。 仮にですね、今のパチンコ屋さんみたいに、ちびこいカジノ・IRが、ちびこいカジノが大阪中に出来るのとどっちがいいいんですかね。僕はおかしいと思いますね。 要はまずプラスの面を積極的に引き出すIR、MICE、いろんな機能を有した、世界からまさに富裕層が集まるような、そういったIRを大阪のベイエリアにしっかりとつくって、そこに対してきちんとギャンブル依存症対策の規制というのをかけていけばいいじゃないですか。僕はそれをやるべきだと思っています。 そして経済の仇になるという事ですが、議員の話を聞いていると、ホントに極悪非道で絶対悪のような言い方ですけども、世界に於いてカジノというのも201カ国の内127カ国において既に導入されてます。しかも経済的に発展した先進国を中心にしたOECDの加盟国、経済協力開発機構ですけども、この35カ国ありますが、35カ国中30カ国で既に合法化されています。 つまりキチンとルールを作ってですね、経済的に発展した国がきちんとそういった制度化をしているわけです。現にシンガポールもそうですけれども、依存症対策を取る事で、カジノを導入する前の依存症対策より、導入した後の方が減っているというそういう国もあります。これだけ経済的に成長した国が、それぞれきちんとしたルールをつくって合法化している。経済も仇になる絶対悪であれば、導入される、これだけ多くの先進国に導入されるわけがありません。 日本に於いては独自のきちんとした依存症対策もやりながら、やはり観光、それから地域経済の振興、そして地域経済の活性、まさにそれは大阪の成長にもつながります。お金のある方がですね、自分の範囲で、そのサービスを受ける範囲で、IRで楽しむ、カジノを楽しんだり、ショーを楽しんだりするのは、僕は別に悪い事だというふうには思いません。 でもお金のない、完全に依存症の人が、そうならないようにするための制度という事は重要なんで、そこはきっちりとやっていかなきゃいけない。まさに議員の言ってるのは、全てが依存症対策の人たちだけで成り立っているんだと、そういう発想がちょっと僕は違うんじゃないのかなと、世界のカジノをぜひ見ていただきたいと思います。 それから、夢洲におけるこの開発効果についてもですね、経済波及効果は年間6900億円とも言われています。雇用創出効果は8万人、そして事業者も1兆円規模を投資したいというような事も言っているわけであります。この大きな経済波及効果とそれが続いていくということを考えたときに、IRについてはきちんと、やはり世界の富裕層が集まるようなIRというようなしっかりとつくって、依存症対策を構築していくというのが重要だと思ってます。 ギャンブルについては、これはもう全部無くすというのは無理です。ギャンブルというのは昔から600年代から、推古天皇の時代からずっとある。つまりギャンブルというのは無くならない、コントロールしなきゃいけないものだと僕は思ってます。そのコントロールするにあたって、今まで依存症対策についても正面からとってこなかった。まさにこのIRを通じてですね、ギャンブルというのはコントロールするもんだというのを日本国民の中にしっかりとその制度を作っていく。そしてそれを運用していくというのが、僕はこれから大事なんじゃないかというふうに思っています。
●せと一正議員 何か今の市長の答弁聞いてたら、海外からたくさん富裕層が集まってきて、そこを狙い目にしているかのようなことに聞こえますけど、しかし、関西に来ようとしているそのアメリカのカジノ資本ですね、これは大半ですね、やっぱり関西一円の人達、しかもタンス預金、小金を持っている人達、2000円くらいだったら気軽に入れると、こういう人達を対象にしていることは間違いないと思います。 さて、確かに大きな施設ですから雇用効果や設備投資効果、運営の波及効果もあるかもしれません。しかし市長、大事なことをお忘れになっていると思いますね。その一方で確実に言えることは、カジノが繁栄すればするほど市民の消費購買力、本来は消費購買力に回るはずのお金がカジノを運営する外国資本に巻き上げられるとこういうことであります。 シンガポールでカジノ資本2社は1兆円の投資をたったの4年で回収したと言われています。カジノ資本が市民の消費購買力を吸い上げる、その分、大阪の経済が大変になることは間違いありません。ここをしっかり見なければなりません。その意味で、大阪経済のためにもIRの誘致は断じてやってはならないと改めて申し上げておきます。 ここまで都構想にはもはや大義はないことを明らかにして参りましたが、市民がいま求めているのは制度いじりではなく、市民の切実な願いに答える市政であります。 ところが2018年度予算案は、市民の切実な願いに答えるどころか、高速道路淀川左岸の2期と延伸部の整備や地下鉄道なにわ筋線の事業化推進、カジノの隠れ蓑となっている万博を誘致するための夢洲開発など大型開発に再びゴーサインを出す一方で、市民の福祉やくらしを切り捨てる予算案となっています。これでは、市民の福祉の向上という自治体本来の使命にはほど遠い市政だと言わねばなりません。 以下、重点的に当面の施策についてお聞きしてまいります。
3.市民の福祉と教育などの拡充について
(1)保育所待機児童問題
●せと一正議員 最初に、全国的にも大問題となっている、保育所の待機児童問題についてお聞きします。大阪市でも、昨年10月1日現在の保育所待機児童は、1335人という深刻な事態であります。市長は、今年4月をもって待機児の解消を目指すと言われておりますが、今後どのように取り組むつもりでしょうか。ご答弁をお願いいたします。 ◆吉村市長 待機児童については、大阪市における重要な、極めて重要な課題だというふうに認識しています。この待機児童対策についてあらゆる施策をとってきていますし、これからも取り続けなければならない。都市の魅力が高まれば高まるほど、多くの方が大阪市に流入します。現に大阪市は社会的な流入というのは東京23区を除けば日本で一番というような状況で、まさに多くの方がこの大阪で住みたいという方が増えている、しかもこの女性の働き方というのも変わってきてですね、これからまさに女性がどんどん社会進出を更にしていくという傾向も見えている中で、今後も待機児童については、そもそもの母数というのがどんどん増えてくる状況だというふうに思っています。 そんな中で、やはり待機児童の解消に向けたあらゆる取り組みをするいうのが重要だというふうに認識しています。そういった課題認識の中で、待機児童対策チームというのを立ち上げまして、市役所の、市が持っている市有財産を活用すると、あるいは保育の送迎バスを活用すると、あるいは様々な補助制度、助成制度を活用する、そして保育の枠を先ずは確保するということでやっているところであります。 今年度の保育所の入所枠も例年、だいたい2000人ぐらいですが、それの2倍以上になる4700人を確保出来る見込みであります。これについては当然、今後も続けていく。今回の予算においても新たに4000人の入所を確保するという予算組をしてですね、あらゆる施策を今進めているところであります。 待機児童解消に向けてですね、これは僕の市長の公約として掲げているところでもありますから、実現をさせていくべくあらゆる努力をしていきたいというふうに思っています。 ●せと一正議員 今年度ですね、これまでにない大きな数を出したと、目標を掲げたということは私たちも承知をしています。しかし、現実に、去年の10月1日現時点で1335人という待機児がうまれているわけですから、これはまだ目標には程遠いと言わなければなりません。 保育にとって最も大切な安全や専門性を軽視するようなやり方ではなくて、公立保育所の充実と認可保育所を増設するという、待機児童解消策の本流に重点をおいて取り組まれることをこの点では強く求めておきます。
A 保育士が不足する原因をどう考えているのか。保育士確保をどう進めるのか。
一方、施設不足のこの問題と並んでですね、保育士が不足しているこの問題も深刻であります。市長はこの保育士が不足している問題について、その原因をどのように認識しておられるのか、また、民間保育所における保育士確保をどのように進めていくお考えなの か、お答え下さい。
◆吉村市長 保育士さんについてはですね、保育士の資格を有していながら、保育士の仕事をしていないという方が非常に多くいらっしゃる。潜在保育士とも言われていますが、そういった事実、現状があります。それじゃあどしてやるのかということですが、これは国も調査してるところでありまして、保育士の資格を持ちながら保育士として就業を希望しない理由、いうのは、責任の重さ、事故の不安、賃金が希望と合わない、自身の健康体力への不安等があげられているというところであります。 東京都もこれは調査しているところですが、退職理由、これ過去に保育士として仕事していたけれども退職したという理由の中で、妊娠、出産、結婚の他、給料が安い、仕事量が多い、労働時間が長い、という事があがっている。保育士不足の原因は、やはりこうしたところにあるんだろうなというふうにも考えているところです。 そのため、保育士の確保のために大阪市としましても、本市独自の施策もとっている。例えばですが、新規の保育士さんに、大阪市に就職してもらいたいという事で、新規採用の保育士さんに特別給付するという事業を行っています。これは一定の成果がでているところであります。それから保育士さんの人材確保とか離職防止のために、その事務であったり労力を軽減するというような事もしているところです。 平成30年度においても、保育所、保育の補助者の雇い上を強化するという事業、ここに補助を出す。保育体制の強化事業、ICTを推進して事務を減らしていく。そういったことをしているわけでもありますし、また、新たにする予定です。 引き続きですね、市内の保育人材確保、非常に厳しい状況ではありますが、保育人材の 確保について支援できるところをしっかりと支援していきたいと思います。
●せと一正議員 今市長は、保育士不足の理由をあれこれ言われました。けれどもですね、私は、民間保育所における保育士不足の一番の原因、これはやっぱり、給与を含む処遇の低さや勤務環境なのであり、また今並べられた大阪市がとっている保育人材確保事業、これはあまりに不十分だと言わなければなりません。
B 民間の保育士給与引き上げのため、市独自の補助制度をつくるべきではないか。また公立保育所の保育士給与も引き上げるべきではないか。
例えば横浜市では、経験年数7年以上の全ての保育士に月額給与4万円、これを上乗せする、市独自の加算制度を来年度から開始するということであります。保育士さんはある意味奪い合いになっているんですね。このような実効性のある処遇改善策を本市としてもやるべきと考えますがいかがでしょうか。 またもう一つは、前市政において、公立の保育士の給与は高いと言って大幅に下げて、民営化を強引に進めたこともありますけれど、職員のモチベーションが低下して退職者が大量にうまれました。しかし、それにも関わらず新規採用をしなかった結果、保育士不足が、公立ですよ、保育士不足が理由で、2014年度から17年度までの4年間に450人も入所申込枠を大阪市は削っているんです。つまり、大阪市が自ら待機児を増やすこととになったわけであります。したがって、公立の保育士の給与も引き上げることも大事でありまして、公立保育士の給与も引き上げるべきではありませんか。いかがでしょうか。2点お答えください。
◆吉村市長 保育人材確保についてですけども、横浜市でそういった制度を採用されているということですが、大阪市に於いても横浜市が採用してないような市独自の制度、保育士確保のための制度を導入しているところであります。 処遇改善については、全国的な課題だなというふうに認識しいている所であります。まさに保育士全体の処遇の向上というのをやっていかなきゃいけないと思っています。 ただ、ここにですね、給料を市の税金で補助する、しかもそれは民間事業者の職員ですから、民間の給料を市が補充する。じゃあどこまで補充したら果たされるのか、どこが適正な金額なのか、これは僕はそこだけに限るだけのものではないというふうに思っています。 実際にですね、この保育所の制度なんですけども、民間の保育所で、民間事業者が運営していますが、実際にじゃあ収入はどこから出てるのと言えば、8割はですね、8割は税が占めているんですね。税で成り立っていながら民間事業者がすすめている。そしてその給料についても民間事業者が決定しているというような状況であります。 そういった状況の中で、税で全てその保育士さんの給料を調整するというのは、僕は限界があると思ってます。現に、現状においても、僕がやるべきだと思っているのは、保育士さんの、じゃあ給料というところだけにフォーカスした時に、果たして本当に現場で働いている保育士さんがいくらの給料を、トータルの人件費の割合としていくら、その人たちに渡っているのか、いうのはきっちりまず見なきゃいけないと思っています。経営者であったり、経営者の親族の給料というのはどうなっているのか、そことの比較。そして、施設によっては人件費率も全然違いますから。なぜそういった人件費率の差があるのか。そこの保育所の中にある、民間保育所の中にある内部留保というのはどうなっているのか。まさに僕はそういったところをしっかりとフォーカスを当てて、保育士に充てられる給料の割合がどのぐらいが適切なのかっていうのをしっかりと、人件費率として定めていかなければ、いくらこれ税で投入しても、僕はこれは、バケツに、穴が開いたバケツに水を入れているようなもので、ドンドンドンドン増えていって、それは待機児童対策には僕はならないと思います。 間接的にいろんな、住居の、家賃の補助とかいろいろやっていくし、保育士さんの処遇が、いいとは全然思ってはいませんけども、単にそこへドンドンドンドン税をぶっ込んでいく事が、待機児童対策になるというふうには考えていません。 ちなみに、もう一つ議員指摘の、公務員保育士の給与についてですが、これは公民保育士の給料について適正な金額がどうなのかということについて、既に議論してすすめて来たところであります。本市における保育士の給料について、人事委員会からの意見もふまえて、経過措置もふまえて、市独自の給料表というのを定めて、それを今適用しているところであります。当然民間の保育士さんよりもかなり高い給料が今公務員の保育士の給与になっていますが、これは一定そういった手続きを踏まえて今、適正な状態の中で運営しているというふうに思っています。 本来であれば、大阪市の基本的な考え方については民間と同一の職業については、民間の同一水準にすべきと、いってますが、ここはかい離がありますが、公務員保育士の方が非常に高いんですけれども、ここについては独自の給料表をきちんとした議論の中で定めて、今適切に運用しているところであります。
●せと一正議員 市長は今、横浜でとっている施策について、それをやらない理由をあれこれと言われました。けれど答弁の本質はですね、保育士の処遇は全国的な課題だから国において推進すべきだ、こういう話しだと思っているんですね。やっぱりそれでは進まないと。やっぱり今大阪市が保育への公的責任、これを果たさなければなりません。改めて公立保育所の充実と認可保育所の増設に向けて人と予算をしっかり確保することをこの点では求めておきます。
(2)学校・教育問題
次に、小中学校の学校給食の給食費無償化についてお聞きします。 来年度予算案では、「こどもの貧困対策関連事業」を本格実施するとされております。しかしながら、小中学校の給食費を軽減するための予算は何ら計上されておりません。 全国の“学校給食の無償化”の広がりをみせておりまして、去年の11月に文部科学省が初めて全市区町村を対象に実施した「学校給食費無償化調査」、これがいよいよこの年度内にも公表される予定であります。わが党の調査では今約80市町村がこれを実施しております。 “学校給食の無償化”がこどもの貧困対策として有効であることは全国の自治体での広がりが如実に示していると思います。こどもの貧困は、根本的には“政治の貧困”に起因します。本市においても、教材費などの学校徴収金を含む、教育費全体の無償化を目指しつつ、まずは小中学校の給食費について無償化を決断するべきだと考えますけれどもご答弁を求めます。
◆吉村市長 給食についてですが、中学校学校給食はこれまで完全給食というのが大阪市において長く導入されてきませんでしたが、前市長のもとで導入され、そして、私の市政においては、やはり暖かい給食を食べさてもらいたいということで、今中学校給食について学校調理方式にしています。31年2学期までに完全に学校調理方式に移行しようというふうに向けて取り組んでいるところであります。 この給食費の無償化についてですけども、これを全て行うと、所得のある人に対しても全て行うとなれば、これは新たに80億円程度の財源が必要になります。 現状におきまして、貧困対策として、また非常に家庭状況が厳しいという家庭に対しては、就学援助制度を対象として、小学校において給食は無償になっています。生活保護受給者と合わせたら、全体で24%が無償になっている。 一方で、やっぱり負担できる方はですね、お昼の分については負担していただいて、それによって生み出された財源については、学校における教育の内容、教育施策の充実に充てていきたいと思っています。
●せと一正議員 無償化するには多額の税が必要ですという答弁でありまして、本市の財政状況から困難だと、大変冷たい答弁と言わなければなりません。やっぱりここには、くらしや福祉、教育よりも大型開発やカジノ優先という、市政の根本的なゆがみがあると言わなければなりません。 貧困対策に正面から取り組むつもりなのであれば、小中学校の給食費の無償化に踏み出すべきだと改めて申しあげておきます。
A 教員不足の状況を直ちに改善するべきではないか。そのためにも権限移譲による「本給引き下げ」は中止するべきではないか。
次に、教員の確保と給与の問題についてお聞きします。 本市では、平成28年度には採用試験合格者665人のうち57人が採用を辞退、そして現場では産休や病欠を埋める担任教師がなかなか配置されないなど慢性的な教員不足が生まれていると言われています。その大きな原因は何か、他都市に類を見ない制度の改悪や教育現場への過度の締め付けなどであります。これによって、未来ある若い教職員志望者や生え抜きの教員が本市を忌避したり、あるいは離職しているのは、これは大問題であります。 今年度から、実は教職員の給与制度等の権限が、大阪府から本市へ移譲されました。これに伴い20政令市の中で10市においては「地域手当て」、物価の高い地域で住むことに対する手当ですね、これが引き上げられました。ところがその中で、この地域手当てを引き上げる分、「本給」を引き下げるとこういう対応をしたのは実は大阪市だけであります。「本給」を引き下げるということは、「本給」を基礎に算出する「退職金」に直結しますので、これは「退職金」を引き下げるための措置だと言わなければなりません。このことが本市の教師不足に拍車をかけているのも明らかであります。 現場の教員が不足していることで「一人ひとりのこどもに十分向き合えない」という状況はこれは看過できません。本務教諭はおろか講師の確保もままならない状況は速やかに改善するべきではありませんか。そしてそのためにも本給の引き下げは直ちに中止すべきではありませんか。合わせてご答弁を求めます。
◆吉村市長 今、教育委員会に於いてはですね、教諭について退職者数を上回る採用を行って、講師の必要数を減らしていくという事を行っている所であります。また、様々な媒体を通じて、広報もしてですね、講師の確保に努めていきたいと思っています。今後とも教育委員会に於いては、必要な教員の確保、優秀な教員の確保に向けて、いっそう努力していただきたいと思いますし、私もそれが出来る様に全面的にバックアップしていきたいと思っています。 地域手当の引き上げにともなう教員の給料表についてですけれども、人事委員会から現行の給与総額を超えないよう給料表の水準の調整が必要になるという意見が出ているところです。それをふまえ実施しまして、月例の給与額に於いて大きな影響はありません。 また、退職手当についても激変緩和措置をとっていますが、これも人事委員会の意見があった事をふまえて経過措置をとっているところであります。 教員の給与制度については、やはりこれはきちんとした教員の世界に於いても評価というものをされて、頑張っている先生については、それの評価に見合う報酬が支給される。そういった制度を構築していかなきゃいけないというふうに思っています。 あわせてですね、特に若手、新任の教諭の給与水準というのを僕は大幅に引き上げるべきだというふうに思っています。そういった頑張る先生、あるいは新任の若手の先生が評価されるようなそんな給与の制度の仕組みにしていくべきだと思っています。 教育委員会において、是非そういった人事制度を行ってもらいたいなと思っているところであります。それから、今の教員の評価がじゃあどうなっているのかといえば、5段階評価の内真ん中の2つに97%、98%位が集まっている、そして定年するまでみんな一緒に給料が上がるというような仕組みで、僕はちょっとそれは違うんじゃないのというふうに考えています。 頑張っている先生がキチンと評価されるような仕組みにならないと、教員自体のですね、まさに子ども達と接するのは教員ですから、僕はそういうあまり共産主義的な発想に立つのは、僕はちょっと違うんじゃないかなと、頑張っている先生がキチンと評価されるしくみ、これは僕は公務員の世界でも必要だと思ってます。
●せと一正議員 教職現場には相対評価は導入すべきではないという考え方、これが共産主義的だと言われるのはかないませんな。 本市では「本給」の引下げに追い打ちをかけるように、実は、来年度からは今言われた相対評価や主務教諭制といった、これも他都市に類を見ない制度の導入で教育現場にさらなる分断と選別を持ち込もうとしています。こんなやり方で、大阪の教育が良くなるはずはありません。「本給」の引き下げはただちに中止し、本務教諭の確保に努めるべきだとこの点では申し上げておきます。
(3)国民健康保険 国保料引き下げのために91億円の任意繰り入れを行ってきたのではないか。来年度以降も繰り入れしないのか。また、府に言われてこの繰り入れをなくしたのではないか。
○瀬戸一正議員 次に、国民健康保険料についてについてお聞きします。 30年度から国保の財政運営が大阪府に一本化されることに伴って、大阪府が算定した30年度の統一保険料は一人平均14万1358円で、これは29年度に比べ6520円、4.84%も高いものです。 これについて大阪市は、30年度はしかし前年度と同じ据置きにするけれども、その後5年かけて統一保険料にすると言っております。大阪市は昨年末まで、府の統一保険料と計算する統一保険料と大阪市の保険料の差はなぜこんなに開くのかと、それは任意繰入の差だと、この任意繰入を6年間で順次減らして統一保険料にすると説明しておりました。ところが国保会計の30年度予算案を見ると実は135億円あった任意繰入が一挙に68億に、67億も減っております。 そこでお聞きしますが、前年度まであった一般減免分、出産一時金の分、葬祭費、事務費や保険料未収分など7項目であわせて任意繰入が約91億がありましたけれど、これが事実上ゼロになっています。これらは国保料が高くなるのを抑えるために一般会計が国保会計に繰り入れてきたものではありませんか。そしてこれを31年度以降も繰り入れないということでしょうか。また、これらは大阪府がなくすよう求めてきたものではありませんか。3点ご答弁ください。
◆吉村市長 任意繰入について、前年度が135億円だったものが68億円となっているということのご指摘であります。91億円というのは動いている分減っている分を足した、減ってる分だけ足してるものでおいといてですね、任意繰入が減っているじゃないかということに対してのご指摘です。 まず、そもそも国民健康保険についてですが、これは加入者に高齢者や低所得者の方が非常に多いということで、財政基盤が脆弱だという構造的な問題を抱えています。大阪市の国保においても現時点で95億円の累積赤字を抱えているという状況。国はですね、これは全国的な状況でもありますから、全国で3400億円の公費を拡充して国保の財政基盤の強化をはかるとともにですね、持続可能な医療保険制度にしなきゃいけないということで、平成30年度から国保というのは都道府県単位化されます。 これまで大阪市においては保険料の負担軽減のために任意繰入を行ってきましたけれども、公費の拡充によりまして、都道府県単位化にあたっては任意繰入を前提としない運営が基本的な考え方とされているところです。 府において、昨年の12月に運営方針を策定して、府内における被保険者間の負担の公平性を確保するという観点から、保険料率は統一するという方針としています。私もその方針で行くべきだというふうに考えています。保険料が急増する場合にはですね、激変緩和措置のための任意繰入を検討する必要があると思っています。そういった中で、今年の1月に府から事業費納付金及び標準保険料率というのが示されまして、介護分も含めた1人当たりの平均保険料は4.84%の伸びとなったんですが、国から市町村への追加公費約37億円がされたということで、これを活用することによりまして、結果、平成30年度の1人当たりの平均保険料は平成29年度と同額としまして、市民の負担に配慮しているところであります。
○瀬戸一正議員 市長は、とにかくこれまで保険料負担軽減のために入れてきた任意繰入ですね、これを削ったこと、そしてこの任意繰入を前提としない運営が基本と、これが都道府県の考え方、一本化の考え方だということで保険料は統一する方針にしたということであります。 結局ですね、私は昨年の決算の委員会で、松井知事が共産党の大阪府会議員の質問に対して、松井知事がですよ、国保料の一本化には法的義務はない、一般会計からの繰入れをなくしてほしいということを知事として市町村にお願いをしているだけだと、こう答弁していることを紹介して、府の言いなりになるべきではないと申し上げましたが、結局、松井知事の言いなりなろうとしていることは明らかであります。 任意繰入れを減らしたと、しかし国保会計に今年度37億円程別途確保ができて据え置きにしたとこう言うんですけれどね。じゃあ、そうであるならば、37億円の財源もありですね、67億の任意繰入を減らさなければ、これは約10%くらい保険料を引き下げることができたはずだとこう指摘しておきます。
(4)介護保険 介護保険料を引き下げるために、国へ負担割合を増やすことを求めるとともに、大阪市としても単独繰り入れを行うべきではないか。
次に、介護保険の保険料についてお聞きいたします。 市長が提案した、30年度からの介護保険料は、基準額で月額7927円、前年度6758円から月1169円、率にして17.3%もの値上げであります。高齢者のみなさんから悲鳴の声が上がっております。 なぜこんなに高くなるのか。保険料50%、国25%、都道府県と市町村が25%、こういう財源構成、これ自体がもう限界に来ているからであります。国の負担割合を25%から引上げて、そして加入者の50%の割合を減らすとこういう必要があります。 大阪市としても、国にたいして負担割合を引き下げることを強く求めるべきではありませんか。 またもう一つは、そういう介護保険は全国で統一の制度なんだけれど、大阪市の介護保険料は20政令市のなかで飛びぬけて高くなっている問題です。 29年度の保険料ですが、神戸市は5729円、横浜市は5990円、ところが本市は6758円であります。府内の市町村の中でも一番高いわけであります。これを解決するには大阪市として単独繰入れを行なうしかないと私たちは提案をしてきました。 市長、単独繰入れをすべきではありませんか。合わせてご答弁ください。
◆吉村市長 介護保険制度についてですが、高齢者の介護を社会全体で支え合うために創設された社会保険制度であります。国と府の負担があわせて37.5%、市の負担が12.5%、合計50%の公費負担と、50%の保険料負担による制度設計がされています。受益と負担の関係から多くの方がサービスを受ければ保険料も上がることになります。 第7期保険料については、高齢化の進展によります要介護認定者数の増加による給付費の増や第1号被保険者の保険料の負担割合の引き上げに加えて、介護報酬のブラスの改定、消費税引き上げに伴う介護報酬改定などの影響で、第6期と比べ1169円、17.3%のアップになっています。 保険料減免分に対する一般財源の投入については、被保険者間の公平性の確保、健全な介護保険制度の運営と財政規律の保持の観点から適当ではないというふうに考えてまして、国からも同様の見解が示されているところであります。 介護保険制度を長期に安定して運営するために、国の負担割合の引き上げなど必要な財政措置を講じるように市としても要望しているところでありまして、引き続き他都市とも連携しながら国に対して要望を行っていきたいと思っています。
○瀬戸一正議員 国の負担ですけれども日本全体で実は国の給付費は8兆円になっております。8兆円を越えております。しかし、そのうち国の負担は2兆円程度であります。これは政府一般会計予算90兆円の2%に過ぎません。政府が決断すればこれはできることではないでしょうか。 また、大阪市の保険料が高いことについて言いますと、一人世帯が全国に比べて1.3倍多い、一人世帯だからどうしても介護保険に頼らざるを得ない、また、低所得者も全国比で実は1.3倍多い、こういうことが基準の保険料を高くしております。 で、市町村のこのアンバランスをなくすために「調整交付金」という制度がありますが、大阪市は国からこれを沢山もらっています。しかしそれでもなお高いわけであります。国の制度に欠陥があります。しかし、国の改革を待つわけにはいきません。一人世帯の方が多いのも低所得者の方が多いのも大阪市民お一人お一人の責任ではありません。 そういう大阪市であるからこそ単独繰入れをして市民の窮状に答えるべきです。確かに厚生労働省は単独繰入れは適当でないとしています。しかし介護保険法の法律そのものは禁止をしておりません。全国には単独繰入をおこなっている自治体もありますから、これはよく研究をしていただきたいと思います。
さて、時間の関係で次の介護保険の制度の問題はとばしたいと思います。
(5)住吉市民病院問題 @ 住吉市民病院が行ってきた、重症心身障がい児者の入院・入所、小児の付き添い不要入院受け入れを引き続き実施するべきではないか。
住吉市民病院の廃止問題にはいっていきます。 昨日でもって入院病床が閉鎖をされて、患者や市民のみなさんから様々な不安の声が上がっております。そこで、重症心身障害児の受入れ先は確保できたのか、今までと同じように入院・入所できるのか。 そしてもう一つは、これは市民の皆さんから大変要望が強いと聞いておりますが、4月から開院予定の府市共同住吉母子医療センターですね、ここで小児科の付添不用の入院ができるのかどうか、合わせて答弁を下さい。
◆吉村市長 重度心身障害児者の短期入所の事業についてですけれど、市立総合医療センターにおいては3月から、そして府市の住吉母子医療センターについては4月からそれぞれ1床ずつ確保することにしています。また民間病院に対しても呼びかけをしているところであります。その3月からの市立総合医療センターでの短期入所の受け入れについてでありますが、1床ということでありますが、当然空きがあれば受け入れてもらうようにと柔軟な対応をお願いして了承を得ているところでもあります。 また、この短期入所の制度におきまして、現在判定スコアが10点以上の方をご利用対象として市からも経費の負担をしていところでもありますが、住吉市民病院を利用された方については10点未満の方も対象に経費の負担をすることとして受け入れの促進を図っていきたいというふうに思っています。 それから入院の付き添いについてですが、入院患者に対する付き添いについては、患者の負担による付き添い看護が行われてはならないというふうにも、これは国からの通知においてもされているところであります。府市母子医療センターにおいても、現在、急性期医療センターにおいて原則保護者の付き添いを求めないということにしておりますし、4月開院予定の府市母子医療センターにおいても同様の対応をするというふうに聞いてます。
○瀬戸一正議員 重症心身障害児の問題では、市長の今のような認識と、そして今つくっているような体制ではとてもみなさんの不安に応えることはできません。住吉市民病院では最大4床を用意して、緊急時にでも対応をしてきた、そういう体制があったからたからこそ不安に応えることができたわけです。住吉母子にはそんな体制はありません。 また、小児の付添いなしの入院について、市長が言われたのは実は、完全看護になっているということですね、完全看護。患者の負担による付き添いは行われてはならない。そして、府立急性期もそうなっているので同様の対応とこう言うんですね。 しかしですね、これは誤魔化しなんですね。急性期医療センターでは、実は調べたところ、入院患者の内、小児ですけれど、75%が付き添い申請を出しております。付き添いをさしてくださいと。これはですね、完全看護と言いながら、実態は付き添いを求めているということであります。付き添いなしの入院を実践してきた住吉市民病院とは比べようもありません。けれども、住吉市民病院の医療機能は住吉母子で引き継ぐと市長は言っているわけでありますから、これは患者の皆さんの要望に完全に応えることを強く求めておきたいと思います。
A 住吉市民病院跡地に、入院ができる30床の公的病院を設置するべきではないか。
さて、次は、住吉市民病院の跡地に外来診察のみの診療所を置くことというのは、南部医療圏に不足する小児周産期医療を考えれば余りにもお粗末ではないかということであります。 もともとの建て替え計画は、小児周産期に特化した120床の病院です。また、厚労省の認可を得た再編計画は100床の民間病院を誘致をして、24床の小児周産期のベッドを置くというものでした。入院病床を持たない診療所で足りるというのは、吉村市長が市民に説明してきたことにも反します。 今からでも診療所案を撤回をして、小児周産期30床の入院機能を持つ公的病院を設置する計画に改めるべきではありませんか。
◆吉村市長 来月4月から、これは厚労省の認可を得なければなりませんが、大阪府市の住吉母子医療センターが開設される予定です。新たに開設されます125床を備えて、それから最新鋭の設備を備える、24時間365日の救急対応もできる、ハイリスク出産分娩にも対応出来る、そういった病院が新たにできるわけであります。議員のご指摘はこういったことができないということを前提にしているのかなと思うような意見ですが、まずはこの病院がしっかりとできる、そしてそれをきちんと、国の認可を得なきゃいけませんが、それを僕の役割として、しっかり国の認可も得て開設させることが大事だと思っています。 そして、その安心して出産できる体制が整った病院を構築したうえで、この住吉市民病院跡地においても開設予定としていますこの暫定の診療所におきまして、この住吉母子医療センターとの関係を強固にいたしまして、そして入院機能に関してもこの暫定診療所で受診された方については住吉母子医療センターを中心とし、それをはじめとしました後送病院との強固な関係とすることで、安心して出産、分娩できるような仕組みを構築することが大事だというふうに思っています。 小児周産期については、集約させて機能強化させていくというのが国の大きな方針でありますし私もそれが妥当だというふうに思っています。 リスクに対応出来る体制がきっちりと整った医療機関において出産をしてもらうほうが妊産婦さんの安心・安全につながるというふうに思っています。まさにそういった病院が住吉市民病院から2q離れたところにできるわけですから、そことの連携、強化というのを強固に図っていくというのが大事だと思いますんで、そこに力を入れたいと思います。
○瀬戸一正委員 私たちは新たなセンターができることを否定したことはありません。それはそれで大きな役割を果たしたらいいと思うんです。けれども現地に、住吉市民病院の跡地に入院できる病院がなくなることについての市民の不安にどう応えるのかということをお聞きをしていわけであります。 市立大学の付属病院の新病院が来るという話しもありますがが、協議がまだ不確定であります。実現したとしても5〜6年先に建つわけでありますから、その間の医療空白は避けられません。地元の要望は、出産も入院もできる公的病院を4月以降も残すことを求めるとこういうものでありまして、こういう署名を市民団体が始めたところ、1ヶ月の短期間で8100人を越える署名が集まり、市会と市長に届けられております。 また、南部医療保健協議会では、住之江区医師会長さんが提案した「大阪市は住吉市民病院跡地に30床の入院・外来を有する医療機関を設置すること」この提案をですね、医療協議会は満場一致で可決しております。これこそ今、市民と利用者のみなさんが求めている道であります。今からでもこれは大阪市と大阪市民病院機構が決断すればできるわけでありますから、これを強く求めておきます。 そしてそもそも論ですけれど、住吉市民病院と府立急性期センターは、そもそも一方は地域医療や社会的弱者のための医療を担う病院、他方は高度医療を目的とした病院であります。それを二重行政だと言って廃止・統合を強行したことが市民の間に大きな被害をうんでおります。やっぱりこれは、二重行政はそもそも間違いであったということの証左ではないかということを申し上げておきます。
(6)信用保証協会について 市と府の信用保証協会統合によって、中小企業支援が後退した認識はあるか。
最後になりますが、二重行政の象徴だとして統合された信用保証協会についてお聞きします。 信用保証協会は、一般の銀行融資だけでは、大企業に比べ資金調達が難しい中小企業がいる。この中小企業に対して、信用保証協会が信用保証して必要な資金の調達を支援をする、こういう役割を担っていおります。企業の集積が進む都市部においては、基礎自治体が保証協会を持って、きめ細かく中小企業支援を行なうということで、現在、横浜市・名古屋市・川崎市・岐阜市で市独自の保証協会が市内企業の支援を、その府県一緒に協会とあわせて行っています。ところが大阪では2014年5月に「運営コストの削減と財務基盤の強化をはかり、中小企業金融、中小企業への資金供給を円滑化させる」と、こういう理由で統合が強行されました。 その結果、どうなったかということであります。大阪市内の事業所の数は全体で18万社余りですが、去年の一年間で、保証承諾を受けた企業は約1万7千社、率にして9.2%であります。名古屋市は17.1%が保証を受けております。東京都は16.9%でありますから大阪市は低い水準だと言わなければなりません。 また、とりわけ同じ中小企業でも、さらに、いわば弱者のための制度融資ですね、これに対する銀行への預託金の額は、統合前に比べて大阪市は142億円も減っておりますが、大阪府にいたってはなんと1308億円も減らしています。その結果、制度融資の割合は統合前で、大阪市50%あったものが、そして府で37%あったものが統合後には28%と大きく低下しております。 これでは、中小企業への金融の円滑化どころか、現実は、中小零細企業にとっては、支援の切捨てが起きているではないでしょうか。市長の認識をお尋ねいたします。
◆吉村市長 議員は制度融資の割合について述べられていますが、総体どうなっているのかと、総額どうなっているのかという事を判断としていかなければならないというふうに思っています。26年5月に行いましたが、それぞれ府、市、信用保証協会がありました。これは市域でも同一の事業を行っていた府と市の、それぞれ全く同じ事業を行っていますから、保証協会を統合して、いまその強化をしているところであります。 この統合によりまして、基本財産規模の拡大をしたことに加えて、経営の効率化が生じますから経営基盤がさらに充実されまして、安定的な保障が推進されているところです。まさに中小企業のみなさんや事業者の皆さんにとって、安定的な保証が推進されています。 市域分の保証の承諾の総額についてみますと、直近の平成28年では4131億円ですが、統合前の平成25年の3192億円と比べたら、1000億円近くこの保証の総額というのは増加しているところであります。 また、市域分の保証承諾額の内数の、議員ご指摘の制度融資を見ましても、平成28年度は794億円、合併直後560億円ですから、これも大幅に増加しているという状況でありまして、まさに中小企業の方々の資金ニーズに対応しているという客観的な状況があります。 これからも保証協会としっかりと連携しまして、大阪中小企業の街でありますから、中小企業の実態ニーズを共有して、中小企業への支援というのを適切に実施していきたいと思います。
●せと一正議員 市長は客観的な数字と言われました。確かに一般保証について述べております。けれども制度保証についてね、今市長が並べたのはね、28年度の794億円と、合併直後の26年度の560億円ですね。私は合併する前に比べて減っているんじゃないかと言っているのに、それに対して合併直後の2つの数字を並べるなんて、ちょっとこれはデータの比較の仕方としては異議があります。また、やっぱり、私が申しあげた件数において比率が下がっているということについては、市長は否定ができませんでした、 大阪市の事業所数は、今でも2009年で比べてもマイナス13%と他都市と比べても深刻な状況であります。二重行政だと言って大阪市信用保証協会を潰した。やっぱりこれは大阪市が持って、きめ細かな信用保証をやるべきだ。この潰したことの誤りは明白であります。 市内中小企業に対して早急に実態調査をし、そして制度融資を拡充する。資金調達の支援強化を大阪市が責任もって行う、その体制を再構築する事を強く求めておきます。 以上、私は、都構想は百害あって一利のない代物だということを明らかにし、また、市民のくらしにかかる様々な問題での市政の転換がいよいよ必要だということを述べて参りました。この立場で日本共産党の議員団として引き続き全力を上げると申し上げて、私の質問といたします。ご清聴ありがとうございました。
|