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せと一正議員の一般質問・質疑と答弁(要旨) |
せと一正市会議員 2018年10月25日 |
※10月25日の大阪市会本会議一般質問での、せと一正議員の質疑と、吉村洋文市長の答弁を掲載します。この記録は、日本共産党大阪市会議員団事務局で作成したもので、正式な記録ではありませんのでご了承下さい。
質 問 項 目 (1)大阪北部地震、台風21号、台風24号を受けての防災対策について 1.市民に大きな被害をもたらした台風21号への対応として、災害対策本部を立ち上げなかったのは間違いだったと認めて、今後の教訓にすべきではないか。 2.大きな台風が接近した時には、基本的に全避難所を開設し、広報するべきではないか。 @大災害に備えて事前防災計画(タイムライン)を住民とともに策定すべきではないか。 A大災害発生時の避難行動要支援者名簿に基づく個別計画の策定を急ぐべきではないか。 5.台風21号と北部地震の一部損壊住宅等の補修に対する新たな支援制度をつくり、補正予算を組んで被災者支援を行うべきではないか。 また、台風21号より強力な台風に備えて夢洲等の防災対策は抜本的に見直すべきではないか。 さらに、夢洲の津波対策は専門家の知見も入れて再検討すべきではないか。 7.南海トラフ巨大地震において想定される津波の高さよりも低い防潮堤は嵩上げし、揺れに対しても、防潮堤の全体が耐えられるようにするべきではないか。 大都市制度の経済効果調査報告書は破棄し、都構想と住民投票は断念すべきではないか。 学力テストの結果を教員の人事評価や給与に反映させる方針は撤回すべきではないか。 サンフランシスコ市との姉妹都市提携の解消は撤回するべきではないか。 ○瀬戸一正議員 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、市政運営等について市長に質問いたします。
(1)大阪北部地震、台風21号、台風24号を受けての防災対策について 1.市民に大きな被害をもたらした台風21号への対応として、災害対策本部を立ち上げなかったのは間違いだったと認めて、今後の教訓にすべきではないか。
まず台風21号・24号・北部地震などの防災対策についてです。 台風21号は瞬間最大風速47mの強風が猛威を振るい、市内いたる所で家屋の屋根や瓦が飛び、街路樹が次々となぎ倒されました。 しかし大阪市は災害対策本部を設置せず、午後6時には警戒本部体制を解除したために、市民の被害が広がっているさなかに、複数の区役所で職員が不在というところも生まれました。 住家の被害は7322件、倒木は8500本以上、大規模停電が発生し、シティバスは当日2時には全86系統すべてが運休し、翌朝も37%も運休しました。こんな市民の窮状に応えて大阪市としてできることはたくさんあったはずであります。 結果論ではありません。接近しつつあった台風の規模を見れば大きな被害はある程度予測できたにもかかわらず、また甚大な被害が出ているのにもかかわらず、災害対策本部を設置しなかったのは間違いだったと認めて、今後の教訓にするべきではないでしょうか。
◆吉村洋文市長 この件については、昨日の自民会派からの質問でも詳細に答弁しましたので繰り返しませんが、現在の地域防災計画に基づけば、今回の台風21号で災害対策本部ではなく、災害対策の警戒本部を設置したと、危機管理監がトップになった組織を設置したという判断は間違ってなかったというふうに思っています。危機管理監がトップになってですね、適切な指示、これをしたというふうに思います。ただ、現在の計画自身は、私は問題だと思っています。そもそも今回のようないわゆる大きな台風が大阪を直撃するという事を想定しているものになってないんじゃないかというふうに思います。 現在のこの大阪市における地域防災計画の体制、災対本部、緊急本部、警戒本部、これは災対本部を立ち上げる基準をみても、原則として危機管理監トップとする警戒本部が立ち上がるのが多くて、そしてホントの南海トラフの巨大地震が押し寄せるとか、ホントの緊急事態において災対本部が立ち上がるような、そんな基準になっています。これはこれまでの大阪市のおそらく地域防災計画の方向性として、ホントに市長がトップとなる災対本部は、最後の、最後の、最後というような理念に基づいて作られているんじゃないかと思いますが、私は、これは違うと思っています。 台風の大阪への今回の直撃もあります。今後、地域防災計画というのは見直して、市長自身がトップになる災対本部の設置、これ市長が本部になる災対本部の設置をすれば、学校の管理なんかについても普通は教育委員会ですけども、市長に全ての権限が集中するというような強力なものですけれども、そういった災対本部、市長の役割というのがこれからより一層重視されるんじゃないかというふうに思っています。 ですので、現在、全市を挙げた災害対策の会議、外部の有識者も含めたものを設置していますが、そこでも地域防災計画の見直しというのをやりたいと思っています。
○瀬戸一正議員 市長は今、今回の防災計画に基づけば、設置しなかったことは間違いないと考えるが、今回のようなケースでは災害対策本部を設置すべきであり、設置基準を見直していきたいと答弁されましたが、制度のせいにするのは潔くありません。今の設置基準の 5番目には「その他市長が必要と認めたときは設置できる」と今でも書いているじゃありませんか。災害対策本部は、「防災対策の推進を図るために設置する」ものであり、各部ごとに分掌事務が詳細に決められております。これはほんの一つの例ですけども、西淀川区の中島町を走るシティバスは4日に止まった後、運転が再開されたのは9月11日の夕方5時です。なぜ 8日間も止まったかと言えば公園の倒木が道路を塞いだからです。公園の倒木と言えば建設局の所管ではありませんか。災害対策本部が発足していれば、こんなことは起きなかったのではないかと申し上げておきます。
2.大きな台風が接近した時には、基本的に全避難所を開設し、広報するべきではないか。
さて、台風21号で開設された避難所は107カ所で避難された市民は277人でしたが、24号では285カ所の避難所が開設されて、3760人の市民が避難所に身を寄せました。しかし各区役所の対応はバラバラで、4カ所しか開かなかった区もあれば、20カ所のうち17カ所開いた区もあります。また広報車を走らせた区もあり、走らせなかった区もあります。 避難所開設には地域振興会や地域防災リーダーのみなさんなどの大変なご苦労が伴います。何よりも1避難所あたり2人から3人の区役所職員を配置しなければなりません。しかし、市民のみなさんのご不安に応え、また万が一の被害に備えることは行政に求められる最も大切なことです。 今後は、大きな台風が接近する時は基本的に全避難所を開設し、これを広報車などで市民の耳に聞こえる形で知らせるべきではないでしょうか。
◆吉村洋文市長 議員は、現在の基準でもバスケット条項があるじゃないかというふうにご指摘されていますが、確かにどの条文にもバスケット条項というのはあります。ただですね、じゃあ、バスケット条項というのはその上の条項がどうなっているのかというのを参考にしながら判断していくものなんです。その上の条項ってどうなっているのといえば、これは震度5弱の地震、あるいは特別警報、あるいはその河川のまさに避難指示を出すような状況と極めてですね、限られた条項になっている。 現に大阪市の市政、かつて見ても、天六のガス爆発事故であったり、あるいは、今回、北部地震では震度がそうなりましたから設置しましたけども、その2回しかない。いわゆる、神戸の阪神淡路大震災ですら立ち上がらなかった。そして大和川が氾濫するんじゃないか、避難勧告を橋下市長が出されましたけれども、その時すら設置されなかった。 私は、誰が市長になったとしても、この基準自体を見直して、その項目の中に、やはり台風が来るような場合という、大阪を直撃するような場合、ここは詳細詰めて、実務者も入れて詰めますけども、そこの基準というのはやっぱりしっかり明確にしていこうと、というそういう事であります。 ですので、これがあるからいいじゃないかといえば、全ての基準をなくして市長が定める場合にしとけばいいじゃないですか。おかしいです。 それから、建設局に指示しなかったと言いますけれども、当然、建設局には指示はしています。これは警戒本部を立ち上げて、当然危機管理監がそれぞれの部局に指示をしますし、翌日どういった被害があるのかというのは全部把握して、これは進めていく。倒木については、今なお、やはり公園の中で、急には中々すべてができないという事情もあります。昨日も答弁しましたが、しっかりと復旧対策というのはスピード感をもって進めていきたいと思いますが、それと、会議体というのは、僕は少し違うんじゃないのかなというふうに思います。 それから、全避難所を開設すべきだというご指摘ですけれども、この台風24号については、全24区に対して自主避難されてくる市民の皆さんの避難所を設置するように指示をしました。 また、台風接近の前日である29日においても大雨になる可能性が高かったので、市民からの相談や問い合わせに対応出来るように体制を指示したところです。 具体的な避難場所の箇所数については、やはり市民からの事前の問い合わせの状況とか、各区それぞれの個別の事情もあるというふうに思いますので、だからこそ区長を置いているわけですから、区長において判断するということにしました。ただ、24区必ず設置するようにということは指示をいたしました。各区の状況に応じて適切な対応が取られたというふうに考えています。 市民への広報については、区ホームページの掲載に加えまして、インターネットでは分かりにくい層へも充分に伝わるように、青パト、21区では青パトが動いたと思いますけども、それから消防車が動いた区もあります。広報車による周知、広報板への掲示、様々な方法で各区の状況に応じた広報を行ったと考えています。
○瀬戸一正議員 避難所の開設は地域の実情に応じて各区役所が適切に判断しなければならないのは当然であります。しかし私が申し上げているのは、大型台風が接近する恐れがある時は、大阪市全体として避難所は基本的に開けることにするべきだということであります。市長答弁はこれに答えず、各区長に責任を転嫁しようとするものであります。大型台風では基本的に避難所は開けてほしいという、多数の市民の市声の声に市長として応えるべきだと申し上げておきます。
次は、学校体育館の空調設備の問題です。 西日本豪雨災害では、たくさんの避難者が体育館で避難生活を送られましたが、猛暑のなかで大変な苦難を強いられました。また今年の異常な猛暑のなか、通常は体育館で行われる1学期の終業式や2学期の始業式が、子どもの安全を考慮し体育館を使用せずに校内放送で行った学校もありました。今ある国の補助制度を活用し、また新たな制度も国に求めて、緊急に学校体育館への空調設備を整備するべきではないでしょうか。
◆吉村洋文市長 全部に避難所を一律に開けという事ですが、これはムチャクチャな話しだなというふうに思います。災害の実態を見たうえでやはり判断しなきゃいけないし、それぞれの区への市民からの相談、状況というのを踏まえた上で判断しなければなりません。その区の避難所にどれだけの人が来たのか、どういう状況になっているのか。そして、それを設置運営して指示してくれる区の職員、それから地域の皆さんの努力、そういったものもぜひ現場を見ていただきたいと思います。 体育館への空調設置ですけども、これも先日の自民会派の質疑で答弁しましたので、詳細はちょっとそちらで答弁したとおりなんですけど、普通教室、特別教室についてもですね、いわゆる空調が設置されているところについて、状況に応じて、積極的に、もうついてますから、そういったものを使えるようにしていくということが大事だと思います。 体育館の空調についてはやはり大きな財源がかかります。維持もそうですし、大きな財源がかかる。これは国からの十分な財源措置がやはり必要だろうと、現実的に考えればそういうふうに思います。ですので、必要性は認識してますので、ここは他都市とも連携しながら、国に対して要望していきたいというふうに考えています。
○瀬戸一正議員 市長は全避難所の開設は無茶苦茶だと言われましたけれども、しかし一般の市民の常識から見たらね、大型台風が来るときにね、全部の避難所を開けとくというのは当たり前のことですよ。そして、私は今回の統計を見ましたけれども、やっぱりね、たくさん避難所を開いているところほどですね、避難者が多いというこういう現実はありますからこれは申しあげておきます。 さて、今の市長の学校体育館へ空調設備設置についての答弁ですけれども、市長も必要性は認めるというものでしょうけれども、紹介しておきますと、東京都の特別区では、中央区と文京区はもう100%の小中学校体育館にすべて設置済みであります。来年度は新たに4つの特別区が全校に設置する予定で、他の2区も2028年度までに全校設置すると報道されています。ぜひとも急いで前に進めていただきたいと思います。
@大災害に備えて事前防災計画(タイムライン)を住民とともに策定すべきではないか。
次は住民の避難計画についてであります。 近年各地で大きな災害がおきて、その教訓に学んで先進的な事例が生まれています。その一つが2011年の台風12号で、これ和歌山水害と言われていますけれども、全壊61、大規模半壊313など大きな被害を被った和歌山県の紀宝町が作った事前防災計画であります。この事前防災計画では、台風であれば、上陸の5日前、3日前、1日前、そして3日後位までそれぞれのレベルで、行政と住民が取るべき行動計画を定めております。それを町全体の計画だけでなくて地区計画まで、行政機関や自治会、学校園、社会福祉協議会などで構成する町民防災会議で何度も何度も議論して作ったということであります。 大阪市も、この紀宝町のような事前防災計画を、地域や市民ぐるみでつくるべきではないでしょうか。
◆吉村洋文市長 平成29年10月の台風21号で、大和川の水位の上昇に伴いまして、避難勧告を発令するに至りましたが、この際、市民に避難していただく避難場所についてその開設に合わせた体制というのが不充分だ、そして事後の検証課題として得られています。 そういった教訓の中で、本市では避難情報の発令までに避難の受け入れ体制を整えて、避難場所を開設できるように、いつ、誰が、何をするのかという、いわゆる時系列で整理した計画となりますタイムラインを大和川をはじめ、淀川、寝屋川流域の市域の主要な河川を対象に、今年7月に策定をいたしました。 また、昨年の台風21号では、事前に学校園のカギが調整できてなかったという、教室に入る事ができなかったというようなケースも発生しましたので、区役所と自主防災組織、学校園で調整の上、災害時に使用する教室のカギを地域にもお預けするといった事をするなどして、地域とも協力して取り組んでいるところであります。 今後も地域との連携をはかりながら、市民の生命、財産を守るという基礎自治体の使命を果たしていきたいと思います。
○瀬戸一正議員 去年の台風21号を教訓にして、大阪市も、避難情報の発令までに市職員が取るべき行動について「避難勧告等タイムライン」を今年7月に策定したという答弁であります。私これ、実際に頂戴して見てみました。しかしこれにはですね、これは実は庁内用であって、すなわち市の職員の手持ち用であって、わざわざそれにはですね、取扱注意と、一般の市民に見せないでくたさいというふうになっているんですよ。しかし実際に避難をするのは住民のみなさんです。計画をつくる段階から共有してこそ有効に働くものではないでしょうか。住民に知らせないで事前防災行動計画をつくるという愚は直ちにあらためて、河川氾濫だけではなくて台風なども含めて、事前防災行動計画を住民のみなさんと共に作ることを強く求めておきます。
A大災害発生時の避難行動要支援者名簿に基づく個別計画の策定を急ぐべきではないか。
さて、もう一つは、災害弱者支援の問題です。東北大震災を教訓に義務付けられた避難行動要支援者名簿、これは大阪市も14万5千人分作成しております。しかし国が求めているお一人お一人の避難支援計画はまだほとんど策定しておらず、また北部地震の時にはこの名簿自体の活用が各区バラバラであったという実態があります。 この個別計画策定には、一人一人を支援をする民生委員や福祉関係者の人数は現に限られておりますし、また「隣近所の付き合いが希薄」になっているなどの大きな困難があります。ですから、もっと地域コミュニティの力、地域の力そのものを強めていかなければなりませんが、私はそのカギを握っているのが、区役所において防災を担当する職員や、地域コミュニティを育成する職員、あるいは地域福祉に強い、例えばコミュニティソーシャルワーカーなどであると思っております。 これらの職員や専門家を大幅に増員をして、そして地域諸団体のご協力も得て、災害弱者・要支援者の個別避難計画を策定することに力を入れるべきではありませんか。
◆吉村洋文市長 災害が発生した時に、障害のある方であったり、あるいはその高齢者などで避難の支援を必要とする方をどうやって避難してもらうかというのは、非常に大きな課題で重要な事だというふうに思っています。 特に大阪市においては、地方の自治体と違いまして、匿名性が確保される、そして住民の移動も多いというような状況です。こちから名簿の作成をお願いしてもですね、ほっといてくれという方も多いと。本当に、一部のコミュニティが、本当に、成立している地方と違う、都市としての特殊な事情もありますが、ただ、障害のある方であったり、高齢者の方で、特に避難を要する方、どうやって避難してもらうかというのは、非常に重要だと思っています。 特に南海トラフの地震が来た時に、津波が押し寄せてきた時、これは1時間50分ありますから、その1時間50分の間にどういった行動をとるかで、命の帰趨が決まるというふうに私は思っています。その1時間50分というのは非常に重要な時間だと思ってますし、その為に、その前の準備というのが必要です。 河川の氾濫においても同様の事が言えます。ある程度、現時点においては台風の勢力であったり雨の量、河川の氾濫の危険の可能性というのは事前に予測できますから、そういった意味で本当にこれは危険だと、前回の台風の時は予想上においては、氾濫しないという情報でしたけれども、仮にこれが本当に氾濫するという、あの大型ハリケーンが来た時に、この避難を促す全員の、そういった高齢者の方に避難をしていただくという事は非常に重要だと思っています。 真備町にも行きましたが、結局お亡くなりになっているのは高齢者で逃げられない人でした。若い人はほとんど亡くなっていなわけです。それが、2階や3階に行けば助かる命があるという中でですね、やはりその高齢者の方、特に大阪で大きな被害、壊滅的な被害が生じるとすれば、僕はこれは水害だと思っていますので、そういった中で、障害のある方、高齢者の方、どのように支援するのかというのが、非常に重要な課題だと認識しています。 本市においては、避難行動の要支援者名簿を作成してまして、自主組織をはじめとする地域団体への名簿の提供を進めるという事で共助の取り組みを進めています。 災害時の要支援者の避難には行政の力はもちろん必要ですけれども、それだけでなく、やはり共助というのが必要になってくるというふうに思います。 災害時の避難行動要支援者支援については、現在、自主防災組織が中心になって、民生委員、社会福祉協議会など様々な関係団体が連携して、災害時における共助の取り組みを進めていただいていますが、本市としても、共助の取り組みのさらなる推進に向け、区職員に加えて、地域防災力向上アドバイザーを地域へ派遣するなど、避難行動要支援者支援をはじめとします、地域防災力の向上に努めていきます。
○瀬戸一正議員 市長の答弁前段が長かった。つまり、本当に災害弱者に対する救済が必要だということは、非常に強調されたんです。そしてその上で市長は、行政の力だけでは限界があるとして、自主防災組織など地域の共助、共助の取組みの推進に向けて地域防災力の向上に努めるとこう結論を結ばれました。 しかしながら、そのために市長が具体的にあげたのは地域防災力向上アドバイザー、これの派遣だけであって、私の求めた、区役所での防災や地域コミュニティ、地域福祉を担当する職員を増やして個別計画作成を急ぐべきだという指摘にまったく答えませんでした。これでは、私は個別計画の策定は進まないと思います。 東北大震災では、亡くなられた方の約6割が高齢者、障害者の方は被災住民全体の死亡率の約2倍にも達しました。この痛苦の教訓の上に立ってできたのが名簿の作成であり、個別計画を定めることであります。名簿ができただけでは、半ば意義を失うわけであります。今こそ、区の職員はこの面からも抜本的に増員すべきだと申し上げておきます。
5.台風21号と北部地震の一部損壊住宅等の補修に対する新たな支援制度をつくり、補正予算を組んで被災者支援を行うべきではないか。
次に、被災者支援についてであります。 北部地震による住宅被害は、半壊11棟一部破損1106棟にのぼりました。また、台風21号の方は、10月10日現在で半壊5棟、一部損壊1113棟ですが、こちらの方はまだまだ増えると思われます。調査が進めば。この2000件をはるかに超える一部損壊は決して軽微な損害ではありません。その修理には100万円、200万円、いやそれ以上かかる場合もあります。確かに、国の被災者生活再建支援法では一部損壊は対象になっておりません。けれども、大阪府下でも、お隣の茨木市が一部損壊も含めて改修費の2分の1を対象に、上限、課税世帯に10万円、非課税世帯に20万円の支給金制度を新たにつくり、約2000件を見込んで補正予算を2億5千万円も組みました。高槻市や枚方市も同様の制度を作っております。 大阪市は今からでも、一部損壊への支援制度を新たに作り、補正予算を編成して震災と台風の被災者に応えるべきではないでしょうか。
◆吉村洋文市長 自然災害で被災された住民の皆さまの早急な生活の再建の為に、行政として必要な支援を行うということは重要だと思います。 一方で、もちろんこれは全壊、半壊の場合について、個人で早急な生活再建を目指すというのは非常に負担が多いというような理由から災害救助法による支援というのも行われているところであります。 この一部の損壊が多くある場合にどうするかというところでありますが、この家屋の補修というのを、これは個人の財産である事は間違いないわけですけども、そこを税で補うという事になれば、これはまさに被災していない方の税を使って被災された方の住居の一部損壊を補修するという事になります。その税の使い方として、本当に正しいのかどうか、慎重に検討しなければならないと思います。もちろん全壊・半壊のように本当に大きな損壊が発生した場合、その自然災害に対して、本人に帰責性は無いわけですから、できるだけその早急な生活再建を目指すという事が重要でありますが、270万人の方がいらっしゃる大阪市において、一部損壊があった時に、他の人の税を用いてその方の住宅を補修するというのが正しい税の使い方なのかどうかというのは、慎重な検討が必要なんじゃないというふうに思っています。だから、財産の移動になると思います。 地震や台風で多くの住家が被災するような災害というのは、いわゆる大規模で広範囲な災害が発生した場合に起こるという意味でもありますので、やはりそういった場合は大阪府全域にも及んでいると思いますから、そういった支援策については広域的な支援に立って検討するというのも重要な事ではないかと思います。そういった視点から、台風21号で被災された方については、府において早期復旧を目指して、損壊した住宅の補修工事に対する無利子融資制度が創設されています。これは大阪市でも使えるという制度であります。今後ですね、この府の独自の制度も活用しながら、早急な被災住宅の復旧をはかっていくという事が必要であるというふうに思っています。本市として特段の補正予算を組むということまでは考えていません。
○瀬戸一正議員 まったく冷たい答弁であります。あくまで個人の財産云々と言われましたけれど、これはあの阪神大震災当時の政府の言い分に逆戻りする、とんでもない答弁であります。また、今回の地震や台風21号の被害は大阪府全域で発生している云々の下りについて言えば、大阪市としての責任と役割を顧みないものであります。地震で言えば、茨木市と東淀川区はお隣で地続きなのに、大阪市民には一部損壊の支援がない、こんな市長の答弁は到底市民の理解は得られません。 一部損壊といっても、自力で住宅と生活が再建できないという市民は多くおられるではありませんか。生活が再建できないという点では全壊・半壊と同じであります。被害が小さいから、被災者が少数だからと言って切り捨てる、これが吉村市長の政治姿勢でしょうか。政令市である大阪市に比べてはるかに財政力が小さい茨木市の市長との違いはあまりにも歴然であります。重ねて、今からでも一部損壊への支援制度をつくるべきで、補正予算も組むべきだと、これは強調しておきます。
港湾局による大阪港での波浪観測を再開すべきではないか。 また、台風21号より強力な台風に備えて夢洲等の防災対策は抜本的に見直すべきではないか。 さらに、夢洲の津波対策は専門家の知見も入れて再検討すべきではないか。
次は、夢洲の災害対策についてであります。 夢洲の被害は、コンテナ埠頭もさることながら、昨日も紹介がありましたけども、南側から西側にかけての被害が深刻であります。南側のH護岸では、鉄筋コンクリート制のケーソン式護岸の一部が高さ1.1m、幅7m、高波によって壊され、後方に押し流されました。また背後の盛土で造成した斜面、いわゆる法面が高さ11mの天端まであと2mのところまで土砂が削り取られました。この現象はH護岸のほぼ全域に起きています。最高潮位OP4.59mの高潮の上に2〜3mを超える高波が来ていたのは間違いありません。 ところが、神戸港には国土交通省が波浪観測地点を設けて波の高さを常時観測しているのに、大阪港では港湾局が1980年から2014年まで波浪観測していたのに今はこれを中止していて、今回聞いても正確な高波の高さが分からないという状況であります。今でもこの施設は残っていると聞いていますので、観測器を入れて波浪観測を復活すべきではありませんか。 そして地球温暖化による気候変動によって、今回の21号よりさらに強力な台風の接近も考えられるわけですから、夢洲など防潮堤より海側のエリアにおける防災対策はこれを抜本的に見直すべきではありませんか。 津波対策についてお聞きします。 津波は高潮にくらべてはるかに強い横からの力を持つと言われております。夢洲の護岸が沈下したり傾いたりして、津波が直接盛土の斜面にぶつかれば天端にまで達して越流するのではないかと指摘する専門家もおられます。台風によってすら護岸の一部が倒壊したのですから、護岸の津波に対する安全性や津波の遡上について、専門家の知見を入れて再検討するべきではないでしょうか。以上、3つについてお答え下さい。
◆吉村洋文市長 先般の大阪北部地震もそうですけれども、震源地に近いやっぱり茨木や高槻といったエリアというのは被害が大きかったと思います。そんな中で市独自の制度をその災害のみに当てはめるというのは、それは市長として考えられる政策だろうというふうに思います。 大阪市というのは非常に大きなエリアですので、北部地震の時も震源地に近いエリアと、そうでないエリア、振り返ってみると大きな違いもあったというような状況。ただ、制度としては一律に構築しなければならないし、税を使うのであれば、市民全体の理解を得なければならないというもんだというふうに思っています。 まさに基礎自治体の適切なサイズで、その住民に身近なところの対応するというのが僕は震災対策にも求められているんじゃないかなというふうに考えています。重ねて、特に補正予算を組むつもりはありません。 台風についてですけれども、夢洲の潮位についてです。波浪観測についてですが、現在、港湾施設の設計や計画に活用するため、全国において波浪観測の地点というのは実施しています。 国内の主要港湾の港湾管理者も独自で波浪の観測を行っていません。国土交通省のデータを活用しているところが多いという状況です。実際、大阪港においても、神戸港を代表点として、国交省による観測というのが実施されています。大阪港においても、以前に大阪港で観測、蓄積されたデータがありますので、それと合わせて高潮対策等を検討するために必要なデータを用意するという事は可能な状況であります。 現在、大阪港独自で観測を行うということは考えていません。 強力な台風に備えた夢洲の防災対策の抜本的な見直しについてですが、神戸港を含みます大阪港における今回の台風21号による被害を踏まえて、国交省が中心となって、大阪市も加わった大阪港港湾における高潮対策検討委員会が9月19日に設置されました。台風21号の波浪再現のシミュレーションや、今後取り組むべきハード・ソフトの対策について検討が行われる予定です。 その検討結果も踏まえながら、大阪港として夢洲の埋め立て地を含む堤外地、つまり防潮堤より外側のエリアにおける具体的な高潮対策などについて検討する予定です。 最後に、夢洲の津波対策ですが、南海トラフ巨大地震では、此花区の沿岸部に予測津波の高さが最大でOP+5.4mでありますが、これに対して、夢洲の2区・3区ではOP+11m。万博やIRの誘致を進めているところですが、OP+11mの高さまで盛り土を行う予定です。将来の地盤沈下を見込みましても、OP+9m程度は確保出来るというふうに考えています。津波に対して充分な高さを備えるため、盛り土の上まで津波が到達することは無いというふうに考えています。 すでに大阪府は、平成24年11月に学識経験者等の専門家の参画を得て、科学的、客観的な立場から南海トラフ巨大地震による災害対策を検討するために設置しました、「南海トラフ巨大地震災害対策等検討部会」による津波浸水シミュレーションでもそのような結果になっています。 現在、大阪市独自で、もう既にやっている事、もう一回改めて専門家を交えて再検討するということは現段階では考えていません。
○瀬戸一正議員 まず、波浪観測でありますけれども、神戸港と大阪港では、地形も埋立地の配置も風の向きも違いますので、高波の高さも同じであるはずがありません。波浪観測の機械更新は数億円、年間維持費は1000万円程度と私はお聞きしましたので、これは波浪観測を再開することを再度強く求めておきます。 また、夢洲等の防災対策の見直しは、国の検討結果を待って検討するとの答弁でありますけれども、国の検討に頼るのではなくて、自らが被災状況の分析をしてこそ、正確で必要な対策が出て来るのではないかと申し上げておきます。 また、津波についてであります。答弁は、夢洲の護岸を乗り越えても盛土の天端まで到達することはないとの答弁でありましたけれども、この点に関連をして、2点申し上げます。 実は、港湾局は予算委員会で、夢洲のH護岸も含めて護岸については南海トラフ巨大地震に対する詳細な耐震照査はやっていないとこうはっきり答弁しています。巨大地震によって護岸がどの程度傾くのか、どの程度沈下するのか、どの程度壊されるのか、そしてそれに津波が横から大きな力で当たったときにどうなるのか、実は検証されていないということは明らかであります。またもう1点は、津波の研究家は、最初に到来する予想津波高だけで判断してはならないと、津波は陸に近くなるほど速度が急に遅くなり、後ろの波が前の波に追いついて、まるで車が渋滞するように、上下に重なり段のように盛り上がって高くなる、この「段波」という津波の遡上を考えなければならないと指摘をしております。いずれにしても、こうした研究者の声も含めて再検討することを改めて要求しておきます。
7.南海トラフ巨大地震において想定される津波の高さよりも低い防潮堤は嵩上げし、揺れに対しても、防潮堤の全体が耐えられるようにするべきではないか。
次に、防潮堤についてお聞きいたします。 南海トラフ巨大地震対策でいま港湾局は、所管する防潮堤約60kmのうち、マグニチュード8クラスの地震が来たら崩壊してしまうかもわからないそういった部分14.4kmを対象箇所として耐震化に取り組んでおり、その実施にあたっては、確かに南海トラフ巨大地震のマグニチュード9クラスに耐えられるよう耐震補強しているとお聞きしております。 しかし、この耐震化対策から外れる残りの約45km、これどうかと言いますと、マグニチュード9クラスの地震に対しては十分な耐震性ですね、これが確保できていなということであります。驚きましたけれどもマグニチュード9の地震による津波、いわゆるL2津波が来たら、幾つかの行政区では、現在の防潮堤の高さより津波のほうが高くなるとこんなふうにお聞きしています。ですから、大阪市の地域防災計画は、マグニチュード9クラス、L2の津波が来たら、防潮堤14.4kmを耐震化してもなお、大正・西成・住之江・港・此花・西淀川などの各区で合計1900haも津波で浸水することを想定しております。 この甚大な被害を未然に防ぐために、残りの45kmの防潮堤もマグニチュード9クラスの地震に耐えられるように耐震化するとともに、L2津波の高さより低い防潮堤については嵩上げをするべきではありませんか。
◆吉村洋文市長 マグニチュード9クラスの南海トラフの巨大地震、1000年に一度の地震と言われていますけれども、これについて、これは国の中央防災会議でもそうですが、ハード対策だけですべての被害を防ぐのではなくて、住民の退避等のソフト対策が中心に取り組むということに方針としてなっています。 国の考え方として、1000年に一度のマグニチュード9クラスの地震・津波に対しては、これは防潮堤の整備で、もちろんしっかりと防いだうえで、ただ、住民退避というのも柱とした対策をしなければならない。百数十年に一度おきると言われているマグニチュード8クラスの地震・津波については防潮堤等で浸水を防ぐという基本的な方針があります。 こういった考え方に準じまして、マグニチュード8クラスの地震・津波に対しては、市域の浸水被害をゼロにするべく、大阪府、大阪市が足並みをそろえて取り組んでいます。2023年度を完成を目標として今対策をすすめています。耐震化の実施にあたっては、耐震性能をマグニチュード8クラスの地震にとどめるんじゃなくて、国とも協議し、費用対効果の観点からマグニチュード9クラスの地震を想定した耐震化を行っています。 僕自身が思うのは、災害というのは、特に津波ですけれども、マグニチュード8・9というふうに想定はしていますが、想定外のものが生じるということをやはり想定しなければなりません。防潮堤で津波の多くを止めるという整備を今すすめていますが、それでは必ずしもすべては止まらないんだという認識を、役所もそうですし、まさに市民はもってもらい、そして退避できるようなそういったソフト面の対策というのが非常に重要だと思っています。僕はここが今大阪市に欠けている危険なところなんじゃないのかなというふうに認識しています。 どれだけ耐震対策をしたところで、じゃあこれをやったから絶対に津波は来ませんということはもう言えません。必ず津波というのは、いま対策は当然とっていますけれど、浸水する可能性があるということを、常に、特に湾岸エリアの市民のみなさんが認識し、地震が起きたあと1時間50分に適切な行動を取れるような事前の準備を整えていくというのが大阪市長の役割でもあり、大阪市の組織としての役割であると思います。これは地域のみなさんと身近に接している市会議員のみなさんも同じ役割なんじゃないのかなというふうに思います。 この地震発生から津波が来るまでの間、どうするか、今いろんな検討もすすめているところではありますが、想定外を想定するということが大事です。 よく議員の会派から夢洲の点が指摘されます。これはおそらくIR誘致をしようとしたりしている、そういう意味もあるんだろうと思いますが、夢洲OP+11mのかなり高い土台をつくっている。危険なのは、やはり市民が住んでいるところのほうが低いところがある。だから僕はそっちのほうがよっぽど危機意識をもっているわけであります。そして、すべてを防潮堤で防ぎきることを事前に保証することはできませんから、地震が起きたとき、1時間50分、どう市民が行動するのか、そこについてのソフト面をいかに充実させるか、これが重要だと思っています。
○瀬戸一正議員 何か市長の言い分を聞いていたら、災害に甘んぜよと市民に訴えているというふうに聞こえますね。 今、市長が言われたことは、マグニチュード8クラスの地震・津波に対しては防潮堤等を整備するけれども、マグニチュード9クラスの地震に対しては防潮堤整備ではなくて、住民避難を柱とするということであります。そして、市長は国がそう言っており、それに準ずるとも言われました。 しかしそれで良いのかということであります。大阪市は、第二室戸台風以降、今の高さの防潮堤を整備するのに1300億円、今の値打ちで言えばもっとかかると思いますけれども、これを投じて、維持費も年間200億円かけてきました。この防潮堤が台風21号で未然に防いだ被害総額は約17兆円だと言われております。私は今の防潮堤のマグニチュード9対応の耐震化はこれに匹敵するほどの値打ちがあると思います。 市長は、マグニチュード9クラスの地震と津波に対しては莫大な事業費がかかると今言われましたけれども、14.4kmの事業費は430億円ですから、この計算で行きますと、残り45kmは1362億円になります。いま市長が進めようとしている、なにわ筋線の事業費は3300億円で、これに対する国と府、市の公金支出は1950億円に上ります。このお金を防潮堤整備に回すならばマグニチュード9クラスの地震への備えができるのは間違いありません。 大阪市は関西経済の中心地です。その市民の命と財産を、南海トラフ巨大地震の地震と津波の災害から守ることよりも、なにわ筋線などの大型開発を優先する、ここに私は維新政治の一番の弊害があると申し上げておきます。
私はここまで、夢洲の護岸などの被害について明らかにし、もっと大きな台風や南海トラフ巨大地震の揺れと津波に対する安全性について、詳細な再検討が必要だと申し上げて来ました。 夢洲の最大瞬間風速は約60mにも達しております。夢洲は絶対に安全な場所だとは保証できないことは明らかであります。 また、IR用地や万博予定地の地盤整備や交通インフラには莫大な費用がかかります。そんな金があるのなら、大阪市を災害に強い街にし、被災者を救済することに投じるべきだとの声が市民の間で大きく広がっております。 この両面から、改めてIRの誘致は断念するべきだと考えますが、市長の答弁を求めます。
◆吉村洋文市長 災害に強い町というのは何なのかというのを考えた時に、これはハードの側面を行政が整備することはもちろんですけれども、やはり、ハードとソフト、両面を備えていかなければならないと思っています。 じゃあ、議員が指摘するその防潮堤を整備すれば、絶対に津波は浸水しないんですかね。そうじゃないです。ようは、どんな地震が起きるか、そしてどんな津波がくるか、これは想定外を想定しなきゃいけないわけです。常に、やはり、浸水して津波がくるという認識を市民のみなさんにやっぱりもってもらわないと。もちろんこれはハード対策をしないという意味じゃなくて、現にハード対策はしているんです。これまで大阪府、大阪市バラバラでしたけれど、府市一体になって効率的なハード対策というのを莫大な予算もかけて実現しています。これは必要な予算だと思います。 ただ、もう一つ必要ことは、市としてハード対策は今進めてやっていますが、議員の指摘するマグニチュード9に対応するものは整備する時に応じてはやっていますが、大事なことはそれを乗り越えてくる津波があるということをやはり市民に認識してもらうことが必要だというふうに思っています。東日本大震災でもその認識があった町はですね、被害が、みんな逃げてなかった。一方で、そういう認識がないところは非常に大きな被害が生じた。まさにここの認識というのをこれまでの大阪市政も含めて、僕はやっぱり反省しなきゃいけないし、そこをかなり力をいれなきゃいけないんじゃないかと思っているところです。
夢洲については、このOP+11の夢洲において、統合型リゾートというのを現在誘致をしています。大阪の経済力を高めて、そして大阪の経済を活性化させる、そしてもちろん税収も増やす、税収が増えれば議員の指摘する災害対策というところへもどんどんお金を回していけることになります。油を掘るようにですね、お金が湧いてくればいいですけれど、議員から寄付金をいただいてそれを全部回せればいいんですけれど、ようは税金で成り立っていますから、大阪の経済というのをやはり成長させていかなきゃいけないというふうに思っています。夢洲におけるIRについては引き続きすすめていきます。
○瀬戸一正議員 市長は想定外のことまで備えるのが役割と言いましたけどね、これ実際に想定されているし、被害想定まで出ているじゃありませんか。これに対してやっぱり行政としてやるべきことをやったうえで、そしてそれと合わせて、市民に共助の力を強める、求めるというのが、これは当たり前の話しではないでしょうか。 いまIRについても、市長の答弁はあとのほうでちょっとだけでした。しかし、市長の答弁は、結局、台風21号で明らかになった大きな被害の実態を見ずに夢洲は安全だと繰り返すものです。そして大阪市の街を災害に強い街にすることをいわば置き去りにして、ただ、ただIRのために夢洲開発に突き進みたいという、こういうものであり、断じて容認できません。 また市長は、IRは地域経済の振興に役立つと言われましたが、とんでもありません。カジノは繁栄するかも知れませんが、夢洲カジノの目当ては外国人客ではなくて日本人客、すなわち大阪市民のふところ金であって、それがごっそり外国に持ち去られるのにどうして大阪経済が繁栄するんでしょうか。ギャンブル依存症が今以上に蔓延することも間違いありません、まさに亡国のカジノ誘致だと言わなければなりません。こんなことは市民のみなさんが許しません。この点では、党派をこえた広範な市民のみなさんと手をつないでIR誘致をストップする決意を申し上げておきます。
大都市制度の経済効果調査報告書は破棄し、都構想と住民投票は断念すべきではないか。
次に、嘉悦学園の調査報告書についてお聞きします。 この間、大都市税財政特別員会で2日間11時間を越える質疑がなされました。維新以外の会派のみなさんがそろって指摘しているのは、「小さな市町村から政令市まで並べて最適規模自治体を導く手法」そのものに疑念がある。とてもまともな調査報告とは言えないということであります。そしていくら聞いても副首都局自身、財政効率化効果額、あの1100億円がいつどのようにして実現するのか全く説明できず、挙句の果てに、調査報告書は実現性を保障する性質のものではないとまで答弁するなか、吉村市長は実現できると強弁をされました。しかし市長は何の根拠も示されていないと思います。何の根拠も示せされないのであれば、これは潔く破棄すべきものではないでしょうか。 そして、大阪市を廃止する都構想と、住民投票はもういい加減にきっぱりと断念すべきではないでしょうか。
◆吉村洋文市長 まあ、あの、維新政治で災害対策をやってないみたいなことを言われますからそれは違うと思うんいですけれど。ようは、シミュレーション、被災のシミュレーションをした上で、これまで大阪府と大阪市が協調してやってこなかったことを、橋下市長、松井知事の時代から府市協調でやろうというので、共通の計画を立て、そして危険な所から10年計画で、3年計画、あと2年足して5年計画、今5年まで終わりました。残りの5年計画というのをシミュレーションに基づいて今やっているわけです。その結果、先日、府でも発表されましたが、そのハード対策によって前回であれば、そのままであれば、13万人の方がお亡くなりになるというのが、2万人まで減らした。経済的な部分についても大きく被害を減らすことができるというのが発表されたところです。まさに、震災対策、ハードな整備というのは、今までやってこなかったことを莫大な予算も入れて、これは市民の命を守るためにやっているんです。だからやってないと言われればこれは非常に心外です。 その上で、僕が言っているのは、市民のみなさんに1時間50分でどう退避してもらえるかの認識というのが、これは役所も含めてまだまだ不充分だから、そのソフト面を強めていかなきゃいけないというふうに言っているだけです。だから、おろそかにやっているわけではないです。それまで以上にやっているということを指摘しておきます。 経済効果についてですが、これは大都市制度改革を行うということで、迅速な政策決定が可能になって、大阪の将来に大きな効果が生じるということが、まさに経済の専門家によって、知見によって分析された、それが明らかになったというふうに認識しています。制度を変えることがまさに経済的な、制度を変えることの意義というのが、経済的な面からも裏打ちされたというふうに思っています。この効果について、全国の市町村の実証データに基づく最適な人口規模に近づけることによる効果、これが理論的に出されたものであります。その数値について、特別区になれば最適規模に近づくわけですから、僕はこれは実現可能だというふうに認識をしています。 この報告書の中身についてですが、全く根拠がないということですから、昨日も答弁したので繰り返しませんけれども、これはじゃあそういうことであればその作成者を呼んで、オープンな場で議論すべきだというふうに認識をしています。 それから住民投票をやめろということですけれども、これは大阪の成長というのを図っていくうえで、やはり大阪が東西二極の一極になる、大阪府、市の二重行政をなくして強い大阪をつくっていく、そして、まさに基礎自治体として身近なところで決定ができるような仕組みもつくっていく、まさにこれが、僕は大阪にとって必要だと思っています。大阪を一地方都市で終わらせないようにするためにも、大都市制度改革が必要だと思っています。 まさに、都構想を掲げて、再挑戦を掲げて僕が市長になったわけですから、市民の負託に応えるためにも、そして僕自身の政治信条としても住民投票は必ず実現させます。
○瀬戸一正議員 吉村市長は、今の長い答弁で、年1100億円も財政支出を削減できるという根拠は全く示せませんでした。専門家が計算したというだけであります。 結局、1兆1000億円の財政削減効果というのは、維新の会が最初、府と市の二重行政を解消すれば4000億円が出てくると言ってみたり、あるいは、出直し市長選の時に、これ橋下市長の時代ですけれども、財政効果が2千数百億円あると言って、後で説明が出来なくなったものと実は同じたぐいの物であって、どこが違うかと言えば、1000万円もの公費をつかって、市長がほめそやす専門家という人たちに作ってもらったという点だけではありませんか。 こんなことに市民と議会をこれ以上振り回すことは断じて許せません。もういい加減に都構想と住民投票は断念すべきだと再度申し上げておきます。
学力テストの結果を教員の人事評価や給与に反映させる方針は撤回すべきではないか。
次に、学力テストの結果を教員の人事評価や給与などに反映させようとしている問題についてお聞きいたします。 文部科学省の全国学力・学習状況実施要領、文科省の実施要領ですね、これには、「調査により測定できるのは、学力の特定の―部であるとともに、学校における教育活動の一側面であることなどを踏まえるとともに、序列化や過度な競争が生じないようにするなど、教育上の効果や影響等に十分配慮することが重要である」と注意を促しております。市長の方針はこれに明らかに反するものであります。“学力調査の結果”たけで個々の教員を評価するなんてとんでもありません。例えば、学力調査の結果と家庭の経済状況が密接に関係していることはすでに検証済みであります。こどもの貧困率や生活保護率や就学援助率等が高い学校に勤務する教員が、給与等で不利益を受けることになれば、これは行政の公平性にも反するのであり、“学力調査の結果”でもって個々の教員を評価するという発想は極めて一面的、短絡的だと言わざるを得ません。 維新市政のもとで、学校現場をただただ過剰な管理と競争にさらしてきた結果、学力を向上させるどころか逆効果となって表れている現実をまずは直視すべきであり、この方針は撤回すべきではないでしょうか。
◆吉村洋文市長 まず、あのう近年ですが、少しずつ学力テストについては改善、いい方向の数字が出ています。ただ、僕が危機意識を持っているのは、たまたま最下位であればそこまで強い危機意識はないかもしれませんが、ここ数年で学力調査の結果が上がってきているにもかかわらず、その政令市において2年連続最下位。つまり平成19年から学テが再開されましたが、その間ずっとそういう状況になっている。これはやはり根本的な問題があるだろうし、学力向上に向けて努力をしなければならないというふうに思っています。 もちろん学力だけが全てだと思っていません。学校で学ぶべきことというのはそれ以外のたくさん大切なことがありますが、学力も重要な要素です。それから家庭の影響が生じているというのもまさにその通りで、それは僕もそういうふうに考えています。まさに、家庭もそうですけれども、ただ学校も教える現場ですから、学力に影響があるのは当然だと、まさに、家庭と学校の両輪だというふうに思っています。 ですので、僕自身が言っているのは、そういう厳しい状況にある、学力に厳しい状況にある子、それ以外の子、全てのこども達が一律に高い点数を目指そうなんてのは言ってませんし、僕が言っているのは、仮に、じゃあ、厳しく、30点の子がいるのであれば35点を目指そう、70点の子がいれば75点を目指そう。それぞれの子どもが少しずつ学力を上げていく、そしてそこに成功体験を得る、僕はこれが非常に重要なことだというふうに思っています。その努力をしていかなければならないというふうに思っています。 この間、総合教育会議でも議論をしましたが、いわゆる大阪市においては、小学校学力の経年調査や中学校のチャレンジテストもやってまして、調べると、やはり、学テとこの大阪市が独自にやっているテストとの正の相関関係というのも見られました。ですので、この小学校や中学校で行われている、大阪市が行っているこういったテストも、数値というのも活用しながらですね、しっかりと子ども達が学力向上をする、努力をする、そして教員もそれに向けた努力をするということが重要だと思っています。 ちなみに、去年、昨年、昨日か、昨日言って、まあここではまた繰り返しませんが、やはり、人事評価についてもやはり、非常に大きな問題があると考えています。がんばった先生が評価される仕組みになっていない、大多数の教員が偏った評価分布になっている、等しく昇給していくというおかしな制度になっていますから、がんばっている先生がきちんと評価されるという、公正で公平な人事制度を構築しなければならないというふうに思っています。 子ども貧困対策や学力が経済的に厳しいところ、学校70校をピックアップして、いま集中、予算を集中投下しています。これは今後も続けていきますが、学力の向上に向けた取り組みとして、こういったいわゆる評価を活用しながら、そのしんどい子どもでも少しでも上げていく、そしてそれについて結果を出していく先生については、僕は高く評価するべきだと思います。
○瀬戸一正議員 市長はね、いろいろ言われました。けれどね、実は、秋田県と並んで学力テスト全国トップの福井県、この福井県では、去年、「学力テスト結果を偏重する施策が教職員を追い詰め、子どもたちの教育に悪影響を与えている」として、そうした施策を転換する意見書が県議会で実は全会一致で可決されております。 また、全国的にもですね、学力テストを偏重し、その対策に時間を費やすことを見直そうという動きが進んでおります。テスト結果で教員を追い詰める一方、チャレンジテストなど、テスト、テストで子どもたちを苦しめる教育こそ間違っているのであります。 “こどもの貧困問題”に真剣に取り組むとともに、教員不足の解消や少人数学級をすすめ、きめ細かい、どの子にも教師の目が行き届くこういう教育が実践できるよう、環境整備するよう、教育行政を根本的に転換することを強く求めておきます。
サンフランシスコ市との姉妹都市提携の解消は撤回するべきではないか。
最後に、サンフランシスコ市との姉妹都市提携の解消についてお聞きいたします。 姉妹都市提携は、様々な考えの違いをこえて、親善交流を強める意志のもとに成り立つものでありまして、「政治的な考え方」の違いを理由に解消されるべきものではありません。市長の書簡を受けてサンフランシスコ市のブリード市長は声明でこう言っております。「一人の市長が、両市の人々、特に60年以上存続していた人々の間に存在してきた関係を一方的に終わらせることはできません。私たちの目には、サンフランシスコと大阪の姉妹都市関係は、今日も人々を結び付けている絆を通じて続いているように見えます。そして、サンフランシスコは、二つの大きな都市の結びつきを強めることを楽しみにしています」と述べて、政治的な考えの違いをこえて、姉妹都市提携を続けて行こうと呼びかけているではありませんか。 また、吉村市長は「慰安婦像」の碑文について「不確かで一方的な文言が含まれており、歴史の直視ではなく単なる政治的な日本批判」だとしております。しかしこの点についてもブリード市長は「サンフランシスコの慰安婦像は、奴隷化と性的な人身売買の恐怖に耐えるように強制されたこと、そして現在もすべての女性が直面している闘争の象徴です。犠牲者は私たちの尊敬に値するものです。この記念碑は私たちに忘れてはならない出来事や教訓を思い出させるものなのです」とこう述べておられます。 今回の姉妹都市提携の解消は、長年の親善交流の歴史を断ち切る愚挙であり、すべての女性に対する性暴力を根絶しようとする世界の流れに逆行するものと言わなければなりません。姉妹都市提携の解消は撤回すべきではありませんか。
◆吉村洋文市長 あのう、あらゆる分野において、行政間で提携するという包括的な提携するという、いわゆる姉妹都市関係については、その姉妹、兄弟・姉妹という名のとおり、やはり双方に高度な信頼関係があって初めて成り立つものだというふうに思っています。一方が、この信頼関係を根底から覆すような行為をとれば、これは続ける前提を欠くと僕は思っています。 議員が指摘するような、そしてブリード市長がコメントで出すような、性的暴力を排除するという結論については僕も賛成ですし異論はありません。でもそれが本来の目的なのであれば、その碑文の中身についても日本が受け入れ可能なものにするべきだというふうに思っています。 先の大戦において、まさに我々の先輩や先人が国と家族を守るために命をかけてたたかいました。そして多くの方が命を失いました。今我々がこうやって平和にくらし豊かな生活ができるというのは、そういった先人の犠牲のもとに成り立っていると僕は考えています。 なので、碑文の中身についても事実であればともかく、あとづくりで、あきらかにねつ造された内容のものが公共の碑文として刻まれるということは到底許されるべきものではないと考えていますし、後生の我々の子孫に対しても申し訳が立たないと思っています。これは私だけが言っているのではなくて、国においてもですね、まさにこのサンフランシスコの見解は問題となって、29年11月の衆議院の本会議で、安倍首相、国のトップが、この慰安婦像のサンフランシスコ市への寄贈というのは、我が国の政府の立場とは相いれない極めて遺憾なことだということで、市長に対する拒否権の申し入れを行ったと本会議で答弁されています。また、委員会においても河野外務大臣が、史実でない極めて不適切な表現だというふうに、具体的に碑文の内容を指摘されて、個別具体的に、性奴隷と言う表現は事実に反し不適切だ、日韓合意においても一切使われていない、何十万人という表現についても、発見された資料から慰安婦の総数を示すものはない、また、それを推認させるに足る資料もないというふうに、これは河野外務大臣の答弁としてされています。 まさに日本バッシングの内容のサンフランシスコ市の慰安婦像の碑文が市の意思として建てられたわけであります。これは民間が表現の自由としてやる分には、僕はいいと、見解は違いますけど、それはあると思いますが。ただ、公共である行政たるサンフランシスコがあきらかに日本の考え方と相いれない内容、史実をねじ曲げた内容の慰安婦像、碑文を設置するというのは、この世界におけるいわゆる性暴力の解決という目的とは違ったものであると私は認識しています。サンフランシスコ、また、大阪市にも多くの声が、そういった声が寄せられています。 この件について、これは大阪市で設置したわけではなくて、サンフランシスコで設置するということですから、それはやめてくれというのを7回にわたって、その対応を求めてきました。また、実際に私からサンフランシスコ市長に対してこの件に関しての直接の面談というのを申し入れましたが、この件については話すことはないということでそれも実現できていません。 そういった中でサンフランシスコ市が自ら市の意思として、その碑文を積極的に設置する以上、姉妹都市としての信頼関係の前提というのは完全に破壊されたというふうに思っています。ですので、姉妹都市は解消するのは僕は適切だというふうに判断しています。
○瀬戸一正議員 みなさんご承知のとおり、今年のノーベル平和賞が戦時下の性暴力根絶に取り組むコンゴ人の医師と女性人権活動家の二人に授与されるこういうニュースが、世界中の性暴力と戦う人々に大きな勇気を与えています。ノルウェー・ノーベル賞委員会はその受賞理由についてこう言っております。 この両氏が「戦時の性暴力をより見えやすくし、加害者の責任を問うことを可能にした」とこう言っております。今、市長はいろいろ言われました。けれども、結局、旧日本軍の蛮行が消えるわけではありません。旧日本軍の蛮行の責任をいわば薄めようとするものだと言わなければなりません。吉村市長は弁明すればするほど、大阪市の評判を著しく落とすことに気がつかれないのでしょうか。 慰安婦像の撤去を求める姿勢と姉妹都市提携の解消は、世界の流れに逆らい、恥ずべきものだとこう申し上げて、私の一般質問とさせていただきます。 |