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市議団の実績

井上ひろし議員の一般質問・質疑と答弁(要旨)

井上ひろし市会議員

2018年11月30日

※11月30日の大阪市会本会議一般質問での井上ひろし議員の質疑と、吉村洋文市長の答弁を掲載します。この記録は、日本共産党大阪市会議員団事務局で作成したもので、正式な記録ではありませんのでご了承下さい。

 

質 問 項 目

1.万博について

@簡素な万博にするために、夢洲の他の場所を検討すべきとの声もあるが、このことを含め、安全性・コストなどあらゆる面から検討を尽くすべきではないか。

Aわずか半年間の万博のために、巨費を要する地下鉄を建設するのは無謀であり、やめるべきではないか。

 2.IR・カジノ誘致を断念するべきではないか。

 3.万博開催を政治利用するのはやめ、都構想は断念するべきではないか。

 4.“万博頼み”から、大阪市の地域性と特徴をふまえた経済成長戦略へ転換をはかることについて

@大阪市の本社流入数は、2012年から2016年の5年間でマイナス468(帝国データバンク調べ)で政令市中最下位だが、この原因をどのように考えているのか。また、大阪市から転出した企業に、その理由についてのヒヤリングを行ったのか。

A中小企業支援のための予算が減少している傾向をどのように受けとめ、今後どのような中小企業支援策を講じていくのか。

5.被災者支援の具体化について

@大阪北部地震および台風21号による、一部損壊住宅および被害を受けた中小業者の店舗、工場等への修繕費の一部を補助する制度を創設するべきではないか。

A「大阪市耐震診断・改修補助事業」の要件と手続きを簡素化し、市民が利用しやすい制度に改善するべきではないか。また、その他の住宅改修補助事業の補助対象とならない市民のために、「住宅リフォーム助成制度」を創設するべきではないか。

6.国に1兆円の公費拡充を求め、国民健康保険料の軽減に努めるとともに、こどもの数が多いほど国保料が上がる仕組みを改善するために、「均等割」を軽減する制度を導入するべきではないか。

7.多くの公衆浴場は、大阪北部地震・台風21号の影響もあり、いっそう苦境に立たされているが、固定資産税の減免を3分の2に戻すべきではないか。

8.教員の多忙化の原因をどのように考え、多忙化解消に向けた実効性のある対策を今後どのように講じていく予定なのか。


 

1.万博について

@簡素な万博にするために、夢洲の他の場所を検討すべきとの声もあるが、このことを含め、安全性・コストなどあらゆる面から検討を尽くすべきではないか。

 

●井上ひろし議員

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、市長に質問いたします。

 まず、万博についてであります。

 今回の万博開催地の投票結果は、“いのち輝く未来社会”を万博用のスローガンにとどめるのではなく、文字通り市民ひとりひとりの“いのちを輝かせる市政運営”へと転換をはかる契機と受け止めるべきであり、巨大開発に突き進むのではなく、喫緊の被災者支援や防災・減災対策、市民のくらしや中小企業の支援こそ優先する、自治体本来の姿を取り戻すべく、わが党は全力を尽くす決意であります。

 今回の投票結果を受け、万博開催に向けた準備が進められていくことになります。すでに夢洲の埋め立て費用が、当初の試算より増えることが明らかになったように、1250億円とされる会場建設費、540億円と言われる地下鉄延伸費などが一体どこまで膨れ上がるのか、全く不透明なままであり、国や府、経済界との間で、費用負担についての話し合いがスムーズに進むのかも懸念される中、今の計画をそのまま進めていけば巨額の市民負担は免れないということははっきりしているのであります。

 少なくない市民の中から、「大きな負担が待ち受けているのではないか。」という懸念の声が上がっていますが、巨額の万博資金計画についての情報が市民の中へ伝わるほどに、懸念の声が広がっていくことは間違いありません。

 気の遠くなるような財政負担を回避し、簡素な万博を目指すべきだとの思いから、例えば、埋め立てがほぼ完了している夢洲3区で、十分万博は開催できるのではという声もありますが、市民と本市財政の負担にならないような、簡素な万博にすることを前提に、知恵と力を尽くし、あらゆる面から検討をつくすべきだと考えますが、ご答弁を求めます。

 

◆吉村洋文市長

 会場の夢洲についてですが、これは関西国際空港からのアクセスも非常にいいですし、まさに今、人が居住していないエリアであると。人工島として非日常の空間を創出することもできると。大阪、関西の観光のエリア、ビジネスの拠点として、ネットワークも形成しやすい。非常に大きなポテンシャルを有しているのが夢洲のエリアであります。まさに夢洲は、万博の開催地としてふさわしいと考えています。

 万博の開催候補地につきましては、155haのエリアにつきまして、すでにビッド・ドシエ(立候補申請文書)でBIE(博覧会国際事務局)に提出しておりまして、それを前提に国際選挙も誘致活動もし、いま進めているところであります。その会場の建設費についてですが、国、自治体、経済界が、それぞれ1対1対1で費用負担することになっておりまして、自治体負担分は府・市で折半することにしています。

 この会場建設費の1250億円ですが、これは国の試算に基づくものであります。国においても費用の管理の徹底を、上がっていくことはこれは当然のことながら、市としても6分の1の費用を負担するということから、全体計画についてはきちんと把握して、費用の上ぶれには留意しながら進めていきたいと思います。

 会場建設や万博関連にかかるコストのリスクマネジメントについては、市の大規模事業の実施にあたりまして、財政に重大な負担を生じさせないようにする事業所管・所属による自立的な管理に加えまして、統括的なリスク管理の強化を図るために、新たに設置しました大規模事業リスク管理会議の外部委員会からのご意見も伺いながら、財務リスクをチェックして進めていきたいと考えています。

 

●井上ひろし議員

 私は、夢洲3区ということで、具体にあげて質問しましたけれども、市長からは夢洲3区についての言及はありませんでした。夢洲の他の場所も含めて検討をという声が上がるのは、巨額の資金計画を懸念しているからこそでありますが、結局はIRありきだということであります。

 万博とIR・カジノをセットでやろうとしているからこそ無理が生じ、夢洲2区への急速施工が必要だと136億円もの巨費を投じようとしているのであり、夢洲3区をIR・カジノ用地の聖域にすれば、費用負担が際限なく増えていくことを示しているのであります。

 そもそも夢洲は、浚渫土砂や建設残土、そして焼却ごみの貴重な最終処分場として公有水面の埋め立てを行ってつくられたものです。そうした趣旨を全くふまえず、まるでお荷物のように“負の遺産”だと言うのは、常住人口4万5千人の街をつくるとか、オリンピックの選手村にするとか、そうした名目をつくっては土地造成や基盤整備などに莫大な税金をつぎ込んだ挙句、それらがことごとく失敗したからに他なりません。

 つまり“負の遺産”とは、夢洲そのものを指すのではなく、夢洲で無謀な巨大開発を進めてきたかつての市政を指すのであって、今まさに「いつか来た道」を再び辿るのか、それとも市民のくらしや中小企業を支援するまっとうな大阪市政へ立ち返るのかの、分水嶺に立っているのであります。

 

Aわずか半年間の万博のために、巨費を要する地下鉄を建設するのは無謀であり、やめるべきではないか。

 

●井上ひろし議員

 さて、夢洲への地下鉄延伸に必要な整備費は、540億円と言われています。

わずか半年間の万博のために、莫大な費用を要する地下鉄を建設するのは無謀であり、やめるべきではないでしょうか。ご答弁を求めます。

 

◆吉村洋文市長

 万博については、世界中のみなさんがご承知のとおり世界的なイベントでありまして、今回の万博においても経済効果は2兆円と試算されています。まさに大阪、関西の経済成長を活性化する起爆剤になることは間違いがありませんし、その経済効果だけじゃなくて、新たなこの大阪、そして、日本の未来社会を見ることができる、まさに将来の夢を見てですね、次の世界に進んでいくことができる、そういった希望というのを非常に国にとって、そして大阪の未来にとって重要なものだと思っています。

 さらに、大阪の都市力の向上にもつながるものだというふうに思っています。大阪、夢洲で開催できるということは非常に意義のあることだと考えています。

 そして、この万博を開催するとなった時に、2025年ですけれども、非常に多くの方の来場者の方を夢洲に輸送する必要があります。鉄道というのは重要な輸送手段であり整備が必要だと考えています。

 万博のみならず、夢洲では2024年に開業をめざします、IRを核とする国際観光拠点づくりをいま取り組んでいます。そこではやはり多くの集客が見込まれますので、そのためにも鉄道は必要であります。

 IRを立地した場合には、受益者としてやはり利益を得る部分もありますので、鉄道の整備費用のうち、港営会計が本来負担するべき部分を基本としまして、受益者である民間事業者にそこを負担していただきたいというふうに考えていますし、その方針で進めてまいります。

 鉄道の延伸につきましては、すでに444億円を投下済み、投資済みでありまして、夢咲トンネルまでの約2.3qの躯体部分はすでに完成しています。それが今ストップしている状況です。今後、鉄道については、夢洲の新駅までの残る、約0.9qについて着実に整備を進めてまいりたいと思います。

 

●井上ひろし議員

 今回誘致が決まった万博は、半年間の期間限定のイベントなのであって、そのために540億円かけて鉄道を延伸するなどということは、財政を破綻に導くものでしかありません。万博の関連事業費などではなく、夢洲を拠点にしようとしているIR・カジノの関連事業費という他ありません。

 仮に、地下鉄を延伸したとして、万博後、地下鉄の採算が取れるという保証はあるのでしょうか。人の住まない人工島に地下鉄を通すなど論外であり、全てはIR・カジノのためのお膳立てだということがはっきりしたのではないでしょうか。

 万博は半年間の期間限定である一方、IRは永続的に営業していく前提ですが、IRが経営的に行き詰まってきたら一体どうするつもりなのでしょうか。まさか市民の射幸心を煽って、カジノに誘導するなどということはないでしょうが、頼みのIR・カジノが下火になれば、街づくりのやり直しだと言ってまた巨費を投入し続けるということになりかねないのであります。IR・カジノ頼みの夢洲まちづくりでは、万博後の明るい未来社会の展望は何ら示せず、リスクしか残らないのであります。

 こんな無謀な開発計画は、決して市民に理解されませんし、わが党としても絶対に認められないと申し上げておきます。

 

2.IR・カジノ誘致を断念するべきではないか。

 

●井上ひろし議員

 次に、IR・カジノ誘致についてであります。

  前市政以降、夢洲へのカジノ誘致を目論んだものの、カジノ単体では夢洲を舞台にした巨額のインフラ整備等を正当化するのに無理があるため、カジノの“呼び水”にと名乗りを挙げたのが万博誘致活動の発端なのであります。過去のベイエリア開発失敗の反省の上に立ち、万博を口実にムダな巨大開発を絶対に推進してはならないのであります。

 万博誘致に向けたオフィシャルパートナーに、カジノ企業5社が名を連ねていることが全てを語っていますが、そもそもカジノとセットの万博誘致計画が、「公衆の教育を主たる目的」とした万博の趣旨とは相容れないのであり、市民のカジノに対する不安や懸念に対し、市長は正面から応えることができるのでしょうか。“

 いのち輝く未来社会”とカジノは共存し得ないと考えますが、IR誘致は断念するべきではないでしょうか。ご答弁を求めます。

 

◆吉村洋文市長

  万博をIRの呼び水に、ということですけれども、そもそも万博よりもIRのほうを先んじて主張してきましたし、IRの誘致というのを先行して主張してきたところで、そして、現実的に、これは国の法律改正が必要だったわけですけれども、それに対しても積極的に働きかけをし、国の法律、理念法、そして実施法が出来上がってきたという経緯にあります。

 だから、万博とIRをなぜそこまで関連づけようとするのかちょっとよくわからないんですけれども、IRはIRとして、僕は非常に大きな意義があると思っていますから、それは大阪に誘致すべきだと思っています。観光、地域経済の振興、カジノ収益のまさに社会還元、そういったものを通じて公益の実現というのを目指すものでもあります。

 夢洲にIR、統合型リゾートを核とします国際観光拠点、オールインワン型のMICEの拠点が形成されます。そこに多くの海外のビジネスマン、富裕層の方、また日本国民の皆さんを含めまして、多くの方がこの大阪に訪れられると、そこで人、もの、お金、都市、呼び込むことができるというふうに考えています。

 万博とIRというのは、これは異なるプロジェクトでありますが、何れも大阪の成長の起爆剤になる、非常に大きな経済効果を生じるものであると思いますし、それにつなげてまいりたいと思います。

 IRの立地についてですけれども、経済波及効果も年間6900億円、雇用の創出効果も8万人ということで非常に大きな経済効果が見込まれます。また、本市の財政にも寄与する、大きく寄与するところでもありますし、また多くのそのビジネスの機会が生じるというそういったところ。またエンターテ イメントを楽しむことができる。そういったエリアになるというふうに思っていますので、そのプラス面をしっかりと引き出していきたいと思います。

 あわせて課題とされているギャンブル依存症については、これまで国においてほとんどここは議論されてこなかったところですが、IRの議論、まさにこれを契機といたしまして、今年1月にパチンコなんかも含めた依存症対策の基本法が成立しました。IRの議論が始まることで、まさにこの本格的な議論が、対策が打ち出されているというところでもあります。

 大阪においてもこれをきっかけといたしまして、海外の先進事例を参考として、全国に先駆けてIR推進室において、この依存症対策についても議論しているところであります。専門家であったり、患者・家族団体の代表者の方にも入ってもらった研究会を設置して、大阪の実情を踏まえた依存症の対策ということも検討します。今、大阪でも多くの依存症の方がいらっしゃいますので、このIRをきっかけに、きちっと今までやってこなかった国、それから大阪もあげて対策をし、依存症患者の方の最小化を図っていくという形に向けて取り組んでいきたいと思います。

 いずれにしても、プラスの面を最大限引き出して課題とされている面については正面から向き合うということで大阪の成長を諮っていきたいと思います。

 

●井上ひろし議員

 道路を挟んだすぐ隣でカジノを営業し、万博来場者を呼び込むなどという計画自体、万博の理念にも反するのであり、結局、万博は、IR・カジノのための隠れ蓑だということであります。道路を挟んですぐ目の前で、要するに異なるプロジェクトとは言えないと思います。

 マッキンゼー日本支社長を歴任した大前研一氏は、「カジノが成長戦略の起爆剤などと言うのは、全くの幻想で噴飯物です。私は世界の主なカジノを訪ね、経営の内部資料まで見せてもらっていますが、もはや斜陽産業です。そもそもカジノは、かつての韓国や冷戦後の東欧、旧ソ連圏など観光資源がないところに、とりあえず人を呼ぶために作られました。しかし日本はすでに3千万人の外国人が訪れる観光立国です。さらに観光客を増やすには、大都市だけでなく、自然豊かな地方にもっと呼び込み、何度も足を運んでもらうことです」と語っております。まったくその通りだと共感します。

 ギャンブル依存症対策を強化する契機にするなどとも言われましたが、ギャンブル依存症患者を増やす新たな温床を、これ以上つくらないことが最も初歩的な留意事項なのであり、カジノをつくらないことが最大の依存症対策なのであります。韓国は経済効果よりも経済的損失の方が4.7倍になると、政府機関が明らかにしているように、経済的損失の危険を冒してまで突き進もうとすること自体、イチかバチかのギャンブル的発想に他ならないのであり、IRは断念するべきであります。

 

3.万博開催を政治利用するのはやめ、都構想は断念するべきではないか。

 

●井上ひろし議員

  次に、都構想についてであります。

 万博開催が決定したことを受け、「府市が連携した成果だ」「やっぱり都構想が必要だ」と言われていますが、これはあからさまに万博を政治利用するものだと言わなければなりません。

 そもそも都構想は、その事だけを市民に問うた住民投票で否決されているのであり、蒸し返すこと自体、民意に反する行為であります。法定協議会や特別委員会等において、議論をすればするほど矛盾が噴出し、何らの効果も生まれないばかりか、逆に莫大なコストを要することが明らかになっています。都構想にこれ以上、税金と時間と労力を費やすのは不毛のひと言に尽きます。

 市民のためにやるべき仕事は山ほどあるのであり、そちらにもっと持てる力を発揮するべきではないでしょうか。市民の未来のためにも、都構想は断念するべきだと考えますが、ご答弁を求めます。

 

◆吉村洋文市長

 今回の万博の誘致の成功についてですが、これは多くの市民の皆さん、府民の皆さんのお支えをいただいたオールジャパンの結集の成果だというふうに認識しています。

 その前提として、土俵に上がる必要があります。土俵に上がるときに、大阪府と大阪市がねじれていては土俵にすら上がることができない。この点、今回、大阪府、大阪市一体になって、この大きな世界的プロジェクトに挑戦しようということが、いわゆる府・市一体となったことが大きな成果だというふうに思っています。

  万博誘致が決まった瞬間、前々市長である平松市長がツイッターで早速、万博に反対だとおっしゃっていましたので、平松市長と橋下知事であれば絶対に成功できなかったのがこの万博であり、そしてその背景にあるのは、やっぱり、府・市の関係があるだろうというふうに思っています。府・市が力を合わせればですね、大阪というのは、かなり力があるというのは僕はその通りだと思いますし、それを最大限引き出すのが行政の本来のあり方なんじゃないのかなと思っています。万博については、誘致成功しましたから、今後、さらにですね、大阪の都市機能を向上さしていく、都市格を高めていくためにも、この万博というのを成功させていきたいと思います。

 僕と松井知事という人間関係で成り立ちましたが、これは余りにも脆弱な関係です。これを制度として改めるというのが、まさに都構想でありまして、強力な府・市一体の体制をつくっていくということであります。

 民意にも反するというご指摘でしたが、その民意が出たあとに、僕自身は都構想に再挑戦さして下さいという市長選に出て、そして市長になりました。翌日の新聞各社、テレビ全てがですね、都構想再挑戦へというふうな見出しになりました。これはやはりその段階で再挑戦への僕は民意を得たと思っていますから、その民意に基づいて、やはり大阪の成長をめざしていく都構想の住民投票を僕の任期で必ずやるというのが、僕の使命だというふうに思っています。ですので、都構想については、断念をしません。挑戦します。 

 

●井上ひろし議員

 5区案で否決されたから今度は4区案で挑戦だと、こんな市民を愚弄した話はありません。だいたい住民説明会は開いたものの、市民的関心や議論は全く醸成されていないのであり、勝手な数字合わせの代物を市民に押しつけようとすること自体、自治ではなく統治の発想なのであります。

 4区だ8区だと、いずれにせよコスト面でも、文字通り四苦八苦であります。「制度いじりに、いつまでも明け暮れている場合ではない」「今の大阪市のままで住民自治を拡充してほしい」と、こういう多くの市民の声に真摯に向き合うべきであります。“変えるべきは政治の中身”であると改めて申し上げておきます。

 

4.“万博頼み”から、大阪市の地域性と特徴をふまえた経済成長戦略へ転換をはかることについて

@大阪市の本社流入数は、2012年から2016年の5年間でマイナス468(帝国データバンク調べ)で政令市中最下位だが、この原因をどのように考えているのか。また、大阪市から転出した企業に、その理由についてのヒヤリングを行ったのか。

 

●井上ひろし議員 

 次に、大阪の経済成長戦略についてであります。

 多くの識者が「戦後の大阪府市政において、湾岸部の開発にしても失敗の連続だった。大阪という地域の特徴を踏まえて、大阪の持っている力をどう引き出すかということをまともに考えず、東京の後追いや比較ばかりで、大阪経済そのものを足元から調べてこなかったからだ」と語っている通り、一過性の打ち上げ花火のような成長戦略ではなく、ましてや人の不幸を土台に成り立つ産業を、起爆剤などと位置づけるのではなく、地に足の着いた成長戦略への転換こそ求められているのであります。

 国際集客都市を目指すという看板のもと大型開発にのめり込んだ時代は去り、いまや大阪への観光客は喜ばしいことに増加の一途を辿っておりますが、大阪の歴史・文化・芸能などに触れ、ショッピングや食い倒れの街を楽しむなどが観光の主な目的であることが各種調査にも表れております。大阪ならではの、豊かな観光資源の魅力をさらに引き出すことに力を注ぎつつ、外需頼みではなく内需拡大にもつなげていくことが求められているのではないでしょうか。

 人が住まない人工島を舞台とした成長戦略などではなく、270万市民が住まい、生業を営み、地域に根を張る企業が集積する場所を、成長戦略の宝庫と見直す発想へ、根本から転換することが必要なのであります。

 帝国データバンクの調査によりますと、2012年から2016年における、政令20都市別の「本社を置く企業の転入転出状況」では、本市は468社の転出超過となっており、20政令市中ワーストワンとなっております。

 これは大阪経済の基盤に関わることであり、この原因についてどのようにお考えでしょうか。また、本市から転出した企業に対し、その理由についてのヒヤリングを行ったのでしょうか。ご答弁を求めます。

 

◆吉村洋文市長

 まず、大阪における開業率ですけれど、2014年の段階では、東京や愛知の開業率を下回っていましたが、2017年には6.4%に改善しまして、東京、愛知のその率を超えて、全国平均の開業率も当然越えてですね、ここ数年大きく成長してきているところであります。また開業率と廃業率の差ですけれども、2年連続で廃業率を開業率が上回るという状況になっています。

 加えて大阪市内の主要なビジネスエリアにおけるオフィスの平均空室率ですが、2010年の10月段階では12%の空室率でしたけれども、今年の10月は3%を切っています。まさに、オフィスに入りたくても入れないというぐらいの経済状況だという状況です。      

企業の転出入についてのご指摘がありましたが、マイナスの468社で政令市中、最下位というご指摘です。

大阪市には政令市においても、もっとも多い18万事業所が存在していますので、当然ながら絶対数についてもこれに比例する部分があります。議員指摘の、この同期間で見ますと、大阪市に1250社の新たな転入がありましたので、この転入数で言えば、これは政令一位の転入数になる。つまり割合という観点が重要なのかなというふうに思います。その割合の観点についても、他都市との比較もありますが、大事なのは過去の大阪との比較でありまして、過去の転出入の差のトレンドを見ますと2007年から  2011年の5年間は502社の転出超過でしたけれども、2012年から2016年では304社と減少している。つまり、転出入の差というのは確実にですね、転出超過の数が減少している傾向にあると、大阪の経済が復活しつつあるという状況にあると認識しています。

ただ転出が多いというのはそれは事実でありますので、平成28年2月から3月に転出した企業1019社に対してヒヤリング調査を実施しました。転出の理由としては、会社の統合・合併に伴う合理化、それから親会社の移行、そして事業書の狭隘化が多いというふうになっておりまして、今後もですね、大阪市に本社を置きます大手・中堅企業を定期的に訪問するなどして、今後の投資意向や企業ニーズの把握に努めることで、転出の抑制に努めていきたいと思います。

  一方で、内外から新たな企業、人、投資を呼び込む仕組みというのが非常に重要だと思っています。新たなイノベーションを生み出す仕組み、ビジネス環境づくりというのが重要でありまして、そういったイノベーションを生むベンチャー支援に関する、まさに拠点づくりに関する助成制度というのを今進めておりまして、ライフサイエンスという分野でグリーンの分野における税優遇制度も実施して、この企業の誘致を諮っていくところであります。何れにしましても、府と一体になりまして、大阪の成長ということを諮って成長戦略を進めていく。そして、開業率をどんどん増やしていく。そして企業の転出数を減少させていくという、そういった努力をしていきたいと思っています。

 

●井上ひろし議員

 お隣の堺市は、28社の転入超過となっており、一位の横浜市に次いで二位につけています。この要因をどのように分析しているのかを、堺市の産業政策課にお聞きしたところ、「2006年に政令市に移行し“都市格”が上がったことや、製造業の支援に力を入れている」ことなどをあげておられました。

政令市としての優位性を最大限活かし、地域に根差す企業を支援することが、ひいては都市の経済基盤を強め、企業を招き入れる好循環を生み出しているのではないでしょうか。

 政令市としてのさらなる発展を目指すのではなく、廃止を目指しているような都市には、新たに根を張ることへの躊躇が企業の側にあるのかもしれませんが、2016年7月の議会で、副首都推進局は「企業や経済界等へのヒヤリングを通じて流出状況の把握、分析に努めてまいりたい」と答弁しているわけですから、ヒヤリングをしっかり行ってその声を積極的に生かすべきであります。

 先ほど、市長のご答弁で、1019社にヒヤリングをしたということでありましたが、よくよくお聞きをしましたら、その中で実際に電話がつながったのは49社だけだったということでありまして、これでは分析の材料としては余りにも乏しいのでないかというように思いますんで、ヒヤリングをして施策に生かしていただきたいと思います。

 学力テストの結果が政令市中最下位だったことに、神経をとがらせ教員に責任転嫁するよりも、企業の転出が一番多く、大阪市の経済基盤が揺らいでいることのほうを気にかけられ、対策を練られた方がよいのではないでしょうか。

 

A中小企業支援のための予算が減少している傾向をどのように受けとめ、今後どのような中小企業支援策を講じていくのか。

 

●井上ひろし議員

 次に、中小企業支援策についてであります。

 本市の金融支援を除く産業振興関連予算、いわゆる中小企業支援予算は、2014年度、約52億円であったのが、2018年度には約41億円へと約11億円も減額されております。ちなみに大阪府も、中小企業への「ものづくり支援予算」を2007年度、約8億7千万円でありましたが、2017年度では約2億2千万円へと約4分の1に減らし、「小売業振興予算」については2007年度、約6億2千万円でありましたが、2017年度、約2千6百万円へと25分の1に減らしてしまいました。

 府も市も事業所の約99%を占める中小企業を支援するどころか、逆に支援を弱めていったことも、大阪経済の地盤沈下や府民・市民所得の低迷を招いた要因のひとつであると考えますが、中小企業支援のための予算が減少している傾向をどのように受けとめ、今後どのような中小企業支援策を講じていくのか、ご答弁を求めます。

 

◆吉村洋文市長

  大阪の主要な経済の担い手であります中小企業でありますが、経済活動、それから雇用、くらしを支えると重要な存在です。大阪市中小企業振興基本条例に基づきまして、前向きにがんばる中小企業が存分にその力を発揮できるよう効果的な支援策を着実に推進していきたいと思っています。

 中小企業の予算額の減少ですが、全体で見れば、制度融資の部分については、リーマンショック時の緊急対策時に膨れ上がったものが,現在、平常時に戻りつつありますので、そこは大きく減ってきていると。それから、役割を終えた産業関連の施設につきましても維持・管理費が減少している。全体として減少の傾向にあります。

 ただ予算編成については、当然、最小の費用で最大の効果が得られるようにするということが重要ですので、選択と集中を図っているところです。これについては、社会情勢の変化、それから多様化する中小企業のニーズがありますので、それに対応することが重要だと思っています。産業創造館において、創業から経理業務に至る様々な経営課題に関するコンサルティング、それからセミナー、販路開拓に向けた展示会の開催、ビジネスマッチング、産技研における技術課題の解決支援と高付加価値サービスを開発するための新たなチャレンジの促進そういった部分に重点を置いています。また、先ほども申しあげましたが新たな企業がうまれるというそういった地盤づくりにも力を入れているところであります。今後も大阪を支える中小企業については、そのニーズをきちんと把握してしっかりと対応してまいりたいと思います。

 

●井上ひろし議員

 大阪は中小企業の町でありますから、 直視して対策を講じていただきたいと思います。

“万博だのみ”の成長戦略に依存する本質は、巨大開発によって何とか大阪経済の起死回生を図りたいという着想に他なりませんが、過去の失敗に目を瞑れば、同じ過ちを繰り返すだけであることを教訓とすべきであります。

 中小企業の実態把握や部局横断的な中小企業政策の進展は、派手な政策とは対極にあると言えますが、こうした地道な地域発展の取り組みを積み重ねていくことが、大阪市の地域性と特徴にかみ合った成長戦略なのであると申し上げておきます。

 

5.被災者支援の具体化について

@大阪北部地震および台風21号による、一部損壊住宅および被害を受けた中小業者の店舗、工場等への修繕費の一部を補助する制度を創設するべきではないか。

 

●井上ひろし議員

次に、被災者支援の具体化についてお聞きをいたします。

高槻市、枚方市、吹田市、茨木市、摂津市では、大阪北部地震および台風21号について「一部損壊への支援制度」を創設しました。また、大阪北部地震、台風21号いずれかに限定して支援制度を創設した自治体は、2市1町となっています。

支援内容については、高槻市は一部損壊8000棟を見込み、3億6000万円を補正予算に計上。茨木市は一部損壊2000棟を見込み、2億5000万円を補正予算にそれぞれ計上しています。高槻市については中小業者の店舗も、茨木市については個人商店や社会福祉法人も支援の対象としています。

一方、大阪市における一部損壊は、北部地震で1107棟、台風21号で4552棟(11月22日現在)であり、仮に高槻市の1棟当たりの平均支援見込み額4万5千円を、大阪市の被災住家数に当てはめれば、約2億5千万円の予算で実施できるのであり、同様に茨木市の平均支援見込み額12万5千円を大阪市に当てはめれば、約7億円の予算で実施できるのであります。

ちなみに高槻市の一般会計の予算規模は約1200億円、同様に茨木市は約870億円でありますが、一般会計の予算規模が約1兆8千億円の大阪市が、1棟たりとも支援を見込まないという姿勢は、高槻市、茨木市をはじめ被災者支援に取り組む自治体と比較すれば、非情と言うしかありません。

目の前の被災者に寄り添うことこそが自治体の使命だと考えますが、大阪北部地震および台風21号による、一部損壊住宅および被害を受けた中小業者の店舗、工場等への修繕費の一部を補助する制度を創設するべきだと考えますが、ご答弁を求めます。

 

◆吉村洋文市長

自然災害で被災した住民の早急な生活支援の再建のための行政としての必要な支援を行うことは重要であるというふうに考えています。

6月の地震、それから台風21号による被害ですが、ほぼ大阪府全域で発生しています。住家被害の支援策については、やはり大阪府全域で発生している以上、広域的な視点に立って府で検討するということが適当だと考えています。この点、独自の制度としまして、損壊した住宅の補修工事に関する無利子融資制度というのが新たに創設されました。一部損壊の住宅についても支援を受けられることになっておりまして、これは大阪市にも適用されます。

また、6月の地震の被害について、高槻市のみが被災者生活再建支援法の適用の対象となりましたことから、それとの均衡を図るために、それ以外の市町村に対しても台風21号の被害も含めて法と同様の支援を受けることが出来るという、府独自の制度を設けるという方針が出されました。これについては、大阪市についても府と協調して取り組んでまいりたいというふうに思います。

それから、店舗・工場等に被害を受けられた中小企業の対応としましては、特別相談窓口の設置、それから資金調達の円滑化の支援が重要だと思っています。6月の地震、台風21号の際には、市内中小企業の状況を把握して、大阪府を通じて国に要請を行いました。結果、災害の影響のある中小企業を支援するために、大阪市域にセーフティーネット保証4号というのが発動されました。売上だが減少している市内の中小企業が本市の認定を取得することで、制度融資の申し込みが可能になっています。また産創館におきましても、様々な専門家が、この経営課題の解決を支援するなど、被害を受けられた中小企業の事業活動の支援に、いま積極的に取り組んでいるところです。

 

●井上ひろし議員

先日の一般質問でのわが党議員の質問に対し、「被災していない人の税を使って、被災された方の一部損壊を補修することになる。」と、税の使い方の公平性を主張し、「財産の移動になる」とも市長は答弁されました。しかし地方自治法は、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。」としているのであり、被災し困難に直面する市民への支援制度を創設することで、市民から批判の謗りを受けるとでも考えているのでしょうか。市民の苦難に寄り添うという、自治体本来の役割を発揮することこそ、市民の安全・安心の確保のために必要不可欠な政治姿勢なのであります。

地方自治法に照らせば、「財産」は住民の福祉の増進を図ることへ優先的に移動させなければならないのであり、住民の福祉に反するカジノのために、市民の「財産」を移動させることこそ大問題だと指摘をしておきます。

 

A「大阪市耐震診断・改修補助事業」の要件と手続きを簡素化し、市民が利用しやすい制度に改善するべきではないか。また、その他の住宅改修補助事業の補助対象とならない市民のために、「住宅リフォーム助成制度」を創設するべきではないか。

 

●井上ひろし議員

耐震診断・改修補助事業の実績は2017年度で、耐震診断で169戸、耐震改修に至っては97戸とわずか2桁台であり、自然災害が相次ぐ中、災害に強いまちづくりを進めるうえでも、補助限度額を引き上げるなど制度の拡充を図ると共に、もっと広くPRに努めるべきではないでしょうか。また、数字に表れているように、耐震診断を受けたにも関わらず、耐震改修まで進んだのは約58%となっており、この要因として申請手続きの煩雑さを指摘する声も聞かれます。もっと市民が利用しやすい制度に改善するべきではないでしょうか。

耐震診断・改修補助事業以外の住宅改修補助事業としては、「在宅高齢者住宅改修費給付事業」や「重度心身障がい者住宅改修費給付事業」などがありますが、これらは、要介護認定を受けた高齢者や重度心身障がい者を対象とした事業であり、「耐震診断・改修補助事業」についても、あくまで耐震診断と耐震改修に特化した事業なのであります。

これまでわが党がくり返し提案してきた「住宅リフォーム助成条例案」は、屋根のふきかえ、外壁やベランダの改修等も対象工事としているのであり、一連の自然災害による住家被害にも対応できる内容であります。

耐震診断・改修補助事業やその他の住宅改修補助事業の対象にならない市民のためにも、「住宅リフォーム助成制度」を創設するべきだと考えますが、ご答弁を求めます。

 

◆吉村洋文市長

まず、議員が、カジノで税金を使うというご指摘ですけども、統合型リゾート・IRについては、完全に民設民営の事業でありますので、この事業そのものに公費を投入するというものではありません。さらにですね、地下鉄についても本来であれば、これは公共でやるということなんでしょうけれども、一民間事業者に地下鉄の大きな部分の負担をお願いするというのを、普通はまあ有り得ない状況だと思いますが、これについても今回はお願いするということですすめていきたいと思います。何かこの、税金を、その統合型リゾート・IRに多く突っ込むようなご指摘があると思いますが、それはちょっと違うんじゃないかということだけ、ご指摘させていただきたいと思います。

それから、耐震化についてですけれども、これはその耐震性能を確保するというのは、やはり非常に重要なことだというふうに思っています。平成12年以前に建築されました住宅を対象にして、耐震診断への補助というのを行うとともに、耐震診断の結果を踏まえて実施する耐震改修設計や改修工事に対して、現在、補助を行っています。これまでも市民にとって使いやすい制度になるように、補助金額の引き上げ等、制度の拡充を行ってまいりました。また耐震診断と改修の設計のセット申請を可能にするといったように、申請手続きの簡素化などについても、いま、すすめてきているところです。引き続き現行の補助制度を推進して、住宅の耐震化に努めてまいりたいと思います。耐震化の促進に努めていきたいと思います。

次に、住宅のリフォーム制度についてですが、これについては、経済活性化の効果という観点から申し上げると、市内の総生産のうちで卸売・小売、これが大阪市では非常に大きなシェアを占めています。まあ24%と。それから情報・製造業、これも非常に大きなシェアを占めて、まあ住宅リフォームに関連する分については2.7%でありまして、全国平均の5.4%よりも低いという状況でありますので、本市の経済活性化を目的とした一般政策として、この住宅リフォーム助成制度が特段有効な手段だとは考えてはいない。まあ補助の制度としては、そういう一般制度として適切なものだというふうには考えておりません。

 

●井上ひろし議員

カジノの関連事業に市民の財産を移動するのは不適切だと申し上げておきます。

住宅リフォーム助成制度は、全国約600の自治体に広がり、政令市でも京都、北九州、相模原、新潟の4市が実施しており、経済波及効果も実証済みであります。

何より、被災住家への改修支援という点からも新たな制度構築の必要性を、一連の自然災害による甚大な被害状況が示しているのであります。

社会資本整備総合交付金が、2018年度で約250億円、本市に交付されていますが、耐震化に限定しない「住宅リフォーム助成制度」への活用を国も認めています。交付金の一部を活用して、本市においても「住宅リフォーム助成制度」を創設するべきであると申し上げます。

 

6.国に1兆円の公費拡充を求め、国民健康保険料の軽減に努めるとともに、こどもの数が多いほど国保料が上がる仕組みを改善するために、「均等割」を軽減する制度を導入するべきではないか。

 

●井上ひろし議員

 次に国保についてであります。

 国民健康保険は、加入者に低所得者が多いなど構造的な問題を抱えており、保険料負担は非常に重いものになっております。

 本市の国保料は、昨年度までの5年間で、7パーセントの値上を行った結果、夫婦と子ども2人の4人世帯で、年間所得300万円の場合、介護分を含めて年間約56万円であり、なんと所得の2割近くにまで達しています。

 これは、一般的な社会保険である協会けんぽと比べて約2倍の高さであり、市民にとって耐え難い負担となっています。これを抜本的に解決していくためには、国の公費拡充が不可欠であり、全国知事会は高すぎる国保料を協会けんぽ並みの保険料負担率まで引き下げるために、約1兆円の公費投入が必要であるとして、国による基盤強化を求めており、わが党としても全面的に賛同できる内容であります。

 市長も知事会の提言に沿い、公費拡充を国に求めると同時に、昨年度143億円であった本市独自の任意繰り入れを、今年度68億円にまで減らしてしまうようなことは止めるべきであります。本市独自の繰り入れを、せめて大幅に減額する以前に戻し、国保料の軽減に努めるべきではないでしょうか。

 また国保は、加入者数に応じて均等割保険料を負担しなければならず、こどもの数が多いほど保険料が高くなる仕組みとなっており、これは、昨今の子育て支援の流れに逆行するものであります。こどもの数が多いほど国保料が上がる仕組みをやめて、国の制度改正を待つのではなく、本市が率先して「均等割」を軽減する制度を導入するべきではないでしょうか。合わせてご答弁を求めます。

 

◆吉村洋文市長

 カジノの関連事業に税投入という事でしたけれども、夢洲自体は、今トンネルにしても途中で止まってるじゃないですか。途中まで掘って事業を止めているという状況です。

 市長として当然街づくりというのはやっていきたいと思いますし、特に湾岸エリア、港のエリアというのは世界のどの成長する諸都市を見ても湾岸エリアは非常に最も成長するエリアが湾岸エリアですが、今夜になったら真っ暗になります。ここをですね、是非僕は湾岸エリアというのを経済の活性化する、成長するエリアになる充分なポテンシャルがあると思ってますし、夢洲がこれまで充分に活用出来て来なかった、これをですね、しっかりと活用して街づくりを進めていきたいと思っています。

 国民健康保険ですけれども、これについてはその事業の運営については保険料と個々の支出金で賄うのが先ず原則になっています。

 ただ、加入者に高齢者の方、それから低所得者の方が多い、いうのでその原則通りでは保険料の負担というのが大きくなりますから、本市の財政状況の厳しい状況でありますが、平成30年度予算においても、約357億円を一般会計から繰り入れて、負担の軽減に努めています。

 国においては、持続可能な医療保険制度を構築するために、全国で3400億円の公費を拡充して、国保の財政基盤の強化を図って、平成30年度からは国保は都道府県単位化されたところです。

 大阪府においては、昨年の12月に運営方針を策定しまして、府内の被保険者の負担の公平性を確保するという観点から、保険料率等は、統一する方針としております。

 本市としても府の運営方針に沿った対応をしていきたいとしているところです。

 平成30年度の保険料につきましては、大阪府の算定に基づく一人あたりの平均保険料は4.84%の伸びとなりましたけれども、国から市町村への追加公費などを活用しまして、平成29年度と同額に添え 置いたところです。

 6年かけて統一保険料率へ移行していきますが、保険料が急増する場合には激変緩和措置のための任意繰入を検討する事としています。

 国保が安定的かつ持続的な制度として、次の世代に引き継がれるように、子育て世代の負担軽減措置を含むさらなる財政支援の拡充や医療保険制度の一本化など、抜本的な改革について引き続き国へ要望してまいります。

 

●井上ひろし議員

 冒頭に申し上げましたけれども、莫大な市民の血税を使って、先を見通せない無謀な街づくりだけはやってはいけないというこの教訓をしっかり踏まえるべきであります。

 国保についいては国に要望するだけではなく、本市独自の繰り入れを増やして国保料の軽減に努め、市民生活を守るべきであります。

 また、“人間の頭数”に応じて課税する人頭税は、最も原始的で過酷な税と言われておりますが、それが今日に至るまで「均等割」として公的医療制度に残っているのであり、この時代錯誤の仕組みこそ、国保料を低所得者や家族が多い世帯に重い負担を課している最大の要因なのであります。

“逆進的な制度”を廃止し、所得に応じた保険料算定への改善を本市としても率先して行うべきであると加えて申し上げておきます。

 本市においては、かつて見なし寡婦控除という制度を国に先駆けて、創設を致しました。

 昨今、国でも見なし寡婦控除の実現に向けた税制改正を行うとの報道もありますけれども、大都市が率先して子育て世代を応援する、昨今の子育て支援の流れをしっかり推進していく、そういう立場に立って頂くという事も付け加えておきます。

 

7.多くの公衆浴場は、大阪北部地震・台風21号の影響もあり、いっそう苦境に立たされているが、固定資産税の減免を3分の2に戻すべきではないか。

 

●井上ひろし議員

 さて、次に公衆浴場の問題についてであります。

 大阪府公衆浴場組合の調査によりますと、府内の公衆浴場の7割以上が煙突や屋根が壊れるなどの被害を受けたとのことでありました。

 大阪市内でも多くの公衆浴場が被害を受け、廃業に追い込まれた公衆浴場もあります。市政改革プランによる固定資産税の減免制度が改悪された当初の2013年度末時点で、市内の公衆浴場は427軒ありましたが、2018年度末には320軒へと、実に100軒近くが廃業に追い込まれているのであります。

 20政令市中18市が、公衆浴場の固定資産税減免割合を3分の2としておりますが、これは国が通知によって基準を示していることを根拠としています。つまり公衆浴場において、生活衛生に寄与する活動を安定的に行ってもらうための恒常的な支援を、自治体に促す内容であると理解しております。

 多くの公衆浴場は、大阪北部地震・台風21号の影響を受け、いっそう苦境に立たされておりますが、固定資産税の減免を3分の2に戻すべきではないでしょうか。ご答弁を求めます。

 

◆吉村洋文市長

 先を見通せない夢洲の街づくりという事ですけれども、これはかつての湾岸エリアの開発において、大阪市が民間事業者と同じような事をして、そして大きな痛手を負ったというのは、僕も認識していまして、公共が民間のまねごとをするというのは、僕は反対です。

 ただ、今回の事業というのは、当然街づくりはしていかなきゃいけない、基盤整備はこれは役所として、市として当然の事ですからやっていきます。夢洲もほっとく訳にはいきませんので、しっかりと街づくりはやりますが、いわゆるIR事業については民設民営の事業であります。もしここに事業性がないのであれば、これはIR事業者が参入する事も無いと、自らそのリスクを負担するという事ですから、それは議員や市長が事業性がないじゃないかというのは素人である議員や市長が言うのはちょっと違うんじゃないかと。

 いずれにしても、街づくりというのは放ったらかしにする訳にはいきませんし、統合型リゾート・IRというのは、これは世界の先進8カ国でも認めてないのは日本だけですから、これしっかりやっていきたいと思います。

 一般公衆浴場のいわゆる銭湯についてですが、市民の健康の増進、地域の交流促進、それから住民の福祉の向上。様々な役割を担ってるところです。

 また、大規模災害時においては被災された市民の皆さまの入浴機会の確保についてもその役割が期待されているところであります。

 今回の地震や21号によって影響を受けたということも勿論聴いています。銭湯にかかる固定資産税、都市計画税の減免については平成24年の市政改革プランに基づいて検討おこないまして、減免率を67%から段階的に34%に見直すとともに、これらの基幹整備の更新や補修に関する補助制度を新たに創設し、導入したところです。補助制度については平成26年度に導入して以降、これまでも浴場事業者の皆さまの要望にも応じて、補助対象を拡大するなど充実を図って来たところであります。

 これをしっかりと位置づけていきたいと思います。

 

●井上ひろし議員

 カジノを禁止している国も55カ国、世界ではある事も知っておいて頂きたいと思います。とにかく私が繰り返し申し上げてるのは、ムダな大型開発に絶対に前のめりになってはいけないと、繰り返し申し上げている訳でありまして、今まさにそういう誤った道へ、かつての失敗した、いつか来た道を辿ろうとしている。本当に厳しく警告をしていきたいと思います。

 大阪市会においては、2012年5月および2013年9月の2回に渡って、「固定資産税減免措置の現行どおりの継続を求める陳情書」が全会一致で採択されています。公衆浴場が生活衛生に寄与する活動を継続するために、本当に必要としている制度はどのようなものなのか、改めて現場の声に耳を傾けるべきではないでしょうか。

 2016年に実施された「公衆浴場の基幹設備の補助制度に関するアンケート」では、「緊急工事のため、制度を利用できなかった。」「制度を利用したかったが、手続きが煩雑すぎてあきらめた。」という声が多数出されていたことも踏まえて、固定資産税の減免は元の3分の2に戻して、公衆浴場、社会的な使命を担っている公衆浴場しっかりサポートして頂くように申し上げておきたいと思います。

 

8.教員の多忙化の原因をどのように考え、多忙化解消に向けた実効性のある対策を今後どのように講じていく予定なのか。

 

●井上ひろし議員

 最後に、教員の多忙化の問題についてであります。

 厚生労働省が今年の「過労死白書」において、過重労働防止に必要な取り組みとして、教職員の78.5%が「教員の増員」をあげておりますが、本市の教育現場においても、慢性的な人員不足の中、年度途中の本務教員に代わる代替講師配置が困難な状況が続いており、教育現場の負担は特に深刻な状況が続いております。

 根本的には、国が教員の授業負担を増やす一方で、それに必要な教員の定数配置を行わないことが大きな要因であり、本市として国に対し教員の定数増を強く求めるべきであります。

 また、人員不足の問題にとどまらず、大阪市では年に13回、テストやっております。毎月テスト行っている勘定になりますが、これが公立中学校の一般的なテストの回数であり、テストが終わったと思ったらまたテスト。教員も生徒もテスト対策に追われ、このテスト回数の異常な多さもまた、教員の多忙化に拍車をかけている大きな要因です。

 国も自治体も、教職員の適正な労働に責任を負う当事者であります。異常な長時間労働がある以上、その一因となっている自らの施策を厳しく見直すことも求められるのであり、この点で、6つの県が独自の学力テストを中止したことは注目すべき変化であります。

教員の多忙化の原因をどのように考え、多忙化解消に向けた実効性のある対策を今後どのように講じていくのか、ご答弁を求めます。

 

◆吉村洋文市長

 教員の多忙化の解消については、これは僕も重要だと思ってまして、認識については共有しています。教員の役割として、子ども達と直接接し、そして学力もそうですし、学力以外の面も含めて子ども達の成長のところに力を注ぐ事ができる環境を整える。

 学力のご指摘ちょっとありましたけど、学力についてはやはり僕は重要な要素だというふうに思ってます。それが全てではないですが、重要な要素だと思っています。

 そしてこの、そういった意味で教員の担うべき役割は大きいと認識していますが、まず教員の確保について、義務教育においては国が責任を持って必要な財源を確保して実施するものでありますので、本市としても引き続き国に要望していきます。

 講師不足については、様々な媒体を通じて広報、講師の確保に努めていきたいと思っています。

 今後とも教育委員会においては、必要な講師の確保、優秀な講師の確保に向けて一層の努力をして頂きたいと思いますし、私自身もそれが出来る様に全面的にバックアップしていきたいと思っています。

 それからその多忙化について現在学校においては、様々な教育課題の対応を求められています。合わせて、いじめ、暴力行為の問題発生、それから特別な支援を必要とする児童生徒数の増加と、不登校の児童生徒の割合の増加と。学校現場を取り巻く環境というのは非常に複雑化して、困難化しておりますので、やはり学校に求められる役割も拡大化、多様化している。そして教員も多忙化しているだろうと認識をしています。

 そういった中で、教員がやりがいを持って勤務できるように、そして教員自身の質を高める事ができるように環境を整理する事が重要だと、教員の負担を軽減するという取り組みは重点的に進めて行かないといけないと思っています。

 昨年の総合教育会議におきましても、私自身がこの教員の負担軽減策をやるべきだと。いわゆる教育以外の部分で負担になっている部分については教員から取り除いて、やめることをきちんと示していくべきだと。やめる事の方が難しいです。それを意見して、教育委員会も共通の認識としているところです。

 この間ですね、例えばですけど、業務時間外の電話については音声ガイダンスにして対応しない、いう事であったり、部活動の指導についても軽減のための部活指導員の導入に取り組んできました。

 この音声ガイダンスの導入に当たっては、導入前に会見で私から保護者の方々にご理解を、保護者の方々、そして地域の方々にご理解とご協力をお願いするといったやり方もして、主体的に進めているところです。

 また、時間外勤務が月80時間以上の長時間となっている教員の多くは、部活動です。ですので、部活動のこの軽減をはかるために今年度から80名の部活指導員の予算を計上して、現在64名を配置しているところです。

 引き続き廃止に努めていきます。合わせて来年度はさらにこの人数を拡充していきたいと考えています。

 あわせてコンサルタント会社に教員の長時間労働解消に向けた調査研究業務というのを委託をしています。現在モデル校において、中間報告で掲げられた業務改善策、例えば印刷とか簡単な業務を教員以外が行う仕組みとしてのスクールサポートスタッフの導入など、試行実施している所です。

 来年3月に全校展開に向けた業務の改善策、課題等を取りまとめた最終報告書の提出を受け取る予定になっています。

 それを踏まえて教員がやらなくてもいいことは教員がやらない。教員がやるべきことに集中できるような体制を進めてまいりたいと思います。

 教育委員会においても指針を策定する予定にしておりまして、教育委員会とも連携しながら、実効性のある長時間勤務の解消策に努めていきたいと思いますし、教育委員会の実効について市長として全面的にバックアップしたいと思います。

 

●井上ひろし議員

 本市として必要な人員確保に努め、少人数学級を推進するとともに、テスト回数を2013年度以前に戻し、教員が一人ひとりにしっかり向き合える環境をつくることが必要なのであり、表面的な対策だけではなく抜本的な対策を講じてこそ教員の多忙化解消にも道を切り開く事ができるということを申し上げまして、私の質問を終わります。