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市議団の実績

山中智子議員の 代表質問・質疑と答弁(要旨)

山中智子市会議員

2019年2月28日

※2月28日の大阪市会本会議代表質問での山中智子議員の質疑と、吉村洋文市長の答弁を掲載します。この記録は、日本共産党大阪市会議員団事務局で作成したもので、正式な記録ではありませんのでご了承下さい。

質 問 項 目

1.大阪市廃止・分割(いわゆる都構想)について

 @ 住民投票は断念をすべきではないか。

 A  “百害あって一利なし”であることを認められよ。

2.IR・カジノの誘致について

 @  大阪IR基本構想(案)では、外国人観光客150万人から2,200億円の利益をあげることになっているが、“カジノ飽和状態”の中でどのような見通しをもっているのか。

 A  大阪IR基本構想(案)では、国内客440万人から1,600億円をまきあげることになっている。国内客のうち360万人は大阪周辺の一般市民だ。こんなことに手を貸していいのか。

B  大阪IR基本構想(案)では、カジノ事業者からの納付金等が、府・市あわせて700億円にのぼるとされている。市民利用客に新たな税金を課すに等しいと考えるがどうか。

C ギャンブル依存症対策として、高校生向けのリーフレットが作成され配布されているが、中身はギャンブルの“奨励”に等しいと思う。市長の考えはどうか。

D 夢洲に世界で類を見ないエンターテイメントを誘致するとしているが、具体的にはどのようなものか。

3.台風や南海トラフ巨大地震などに対する防災対策の拡充について

 @  夢洲を舞台にした大型開発は中止し、台風等の防災対策にこそ人も予算も注ぐべきではないか。

 A  堤防外の埋立地などを対象に21号を上回る規模の台風を想定した高潮対策等の調査費の予算が計上されているが、堤防内は行わないのか。

 B 防潮堤延長60qのうち、耐震化工事を実施しない46.5qについては、マグニチュード9の地震では、相当程度浸水するのではないか。

 C 防潮堤の総延長全てについて、マグニチュード9の地震に対する耐震性等のきちんとした調査を行った上で、耐震化計画を抜本的に見直すべきではないか。

 D 国に対して水道配水管耐震化工事への補助制度の抜本的な拡充を求めるべきではないか。

4.本市公共工事をめぐる不祥事について

 @  建設局の工事入札の官製談合疑惑、水道工事における埋め戻し材料の不正使用問題等についての受け止めはどうか。

 A  相次ぐ職員減らしで、水道工事の施工管理もできないような職員体制こそ見直すべきではないか。

5.高すぎる国民健康保険料の引き下げについて

 @  高すぎる国民健康保険料を「協会けんぽ」並みに引き下げるよう、国や大阪府に対して強く働きかけるべきではないか。

 A  均等割の廃止を国に求めるとともに、当面は、均等割の大幅な値上げにつながる府内統一保険料方式をやめるべきではないか。

 B  一般会計からの繰り入れを増やして、国保加入者1人当たり、保険料を年1万円引き下げるべきではないか。

6.学校教育の条件整備について

 @  子ども達をテスト漬けにした上、その結果をもって学校長を評価するようなことはやめるべきではないか。

 A  本市学校園における教員不足にどう対処するのか。

 B  35人学級にふみ出すべきではないか。

7.学校体育館の空調設備について

  学校体育館の空調設備の設置計画はどうか。


●山中智子議員

私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2019年度大阪市一般会計予算案ならびに関連諸案件について吉村市長に質問させて頂きます。

 

1.大阪市廃止・分割(いわゆる都構想)について

1−@ 住民投票は断念をすべきではないか。

 

 先ず、大阪市を廃止・分割するいわゆる都構想とそれに伴う住民投票の是非をめぐる問題です。

 昨年の暮れ以来、市民不在の場外乱闘とも言うべき事態が続いています。公明党との密約文書なるものを公表した揚げ句、約束を守らないなら、知事と市長を取り替えた上、出直し選挙をするとかしないとか、本当に見苦しい限りです。いったい、いつまでこんなことを続けるのか。いったい、どこまで市民をバカにし、市政をもてあそぶのか。怒りの声やもうあきれ果てたという声が寄せられています。

 申し上げるまでもなく、都構想は2015年の住民投票で決着済みです。そして、その後もマスコミの世論調査でも明らかなように、引き続き市民の多数は都構想に反対です。

同時に議会の中でも反対が多数である事が、2年近くの大都市税財政制制度特別委員会や、法定協議会の議論を通じて明らかになりました。もうこれ以上、貴重な市民の税金と時間とエネルギーをムダづかいすることは許されません。

 市長、この際潔く都構想は断念すべきではありませんか。お答え下さい。

 

◆吉村洋文市長

  えー、都構想を断念する事はいたしません。あのう、議員の周りではその都構想に反対だと、おかしいとか議論が、意見が多いということですけど。逆に、私の方には都構想を進めてくれという意見も多く来てます。現に僕自身もこの都構想の再挑戦を掲げて、そしてそれを公約で掲げて今市長になっています。ですので、これを実現する、それを目指していくというのは、これは当然のことだというふうに思います。これをそんな簡単にですね、断念するというようなもんではありません。

ですから、議員がこれは市民の多数が反対だというふうにおっしゃってますけれど、それが本当に多数が反対だと言うなら住民投票やったらいいじゃないですか。住民投票やって徹底的にですね、否決したらいいじゃないですか。それが反対なのであれば。ですので、それが反対だと言うのであればそうやっていただきいというふうに思います。

 少なくとも僕は住民投票前回否決の後、舌の根も乾かないと言われているなかで、反対派の方がたくさんいらっしゃるなかで、これは僕も住民投票を実現すると。そして都構想は必要だという事を掲げて市長になってます。ですので、これを議員に言われて断念するということはありません。

 

●山中智子議員

 住民投票やったじゃないですかもう、そして否決されたじゃないですか。

 

1−A  “百害あって一利なし”であることを認められよ。

 

 まあ、そんな風に口を開けば、市長選挙の公約だとかいうふうに言われますけれど、中身を見れば市民にとって何か良い事があるんですか。全くないからこそ、議会でも賛同をえられないわけです。特別区たるや、自主財源の乏しい半人前の自治体に格下げされると同時に、職員増や庁舎建設にシステム改修など莫大なイニシャルコスト、ランニングコストがかかって、市民サービスは削らざるをえなくなるではありませんか。

 しかも、広域行政の一元化などといっても、消防・水道など基礎自治体本来の事務事業も含む428の事務事業を府に移管するだけで、予算が増えるわけでも、権限が大きくなるわけでもなく、ただただ一人の指揮官にする。それだけの事ですね。

 それに何より大阪市をつぶして、大阪市のもつ権限、財源を府に取り上げる、文字通り地方分権の流れに対する逆行であり、究極の地方自治の破壊ではありませんか。

 まさに百害あって一利なしです。市長、そうではありませんか。お認めになりませんか。

 

◆吉村洋文市長

 まああのう、これまでの大阪の歴史を見まして大阪というのはもっと力がある町だと思っています。大阪市と大阪府の二重行政、これがやはり大きく大阪の成長を阻害してきたと思っています。その二重行政を根本的に解決する。そしてまた、その市民の皆さんの身近なところで住民サービスが決定できるようにする。まさにこれは大都市法という法律に基づいて認められる新たな地方自治の形ですので、それを実現すること。そして大阪を成長させていくこと。その土台をしっかりつくってですね、次の世代にきちんとバトンタッチ、自信を持ってバトンタッチできるそういった大阪をつくりたいと思っています。

 

●山中智子議員

 いろいろおっしゃいましたけれども。それではね、特別区が少なく見積もった素案でも300人もの職員をふやさなくてはならなくて、庁舎建設やシステム改修などで、優に1千億円を超えるそういう経費が必要、今より大幅に経費が膨らんで財政運営が厳しくなる、このことは、お認めになりますか。

 

◆吉村洋文市長

  あのう、現在コストについて試算しています。イニシャルコストで500億円ということですけども、これは新たな都市をつくっていく、そして再編するということで必要なコストだというふうに思っていますし、そこで住民サービスを実施するということになります。それからシミュレーション上もこれは問題なく実行することができる。大阪の責任の課題を解決できるということであれば、僕は住民サービスもより充実してくると思ってます。

 

●山中智子議員

 必要なコストとおっしゃいましたけれど、市民から見たら全く無駄なコストです。そしてなんとかやっていけるとおっしゃるけれども、いろんなサービス切り捨ててやっていく姿しか見えてこないと、これが都構想の姿だと思います。まあ、いつもの頑迷な答弁だと申しあげなければなりませんが、来年度予算案の発表と同時に、財政局から今後10年間の財政収支概算(粗い試算)が出されました。大阪メトロからの配当金収入などプラス要因はありますけれども、逆に万博経費やなにわ筋線、淀川左岸線2期事業等の起債償還の費用がかさんで、10年間の累計では、550億円の収支不足が発生する事になっています。

 前年2018年の2月版と比べても時期のズレはありますけれども、およそ130億円の収支悪化という事になっています。ここ1〜2年、折角、財政好転の兆しが見えてきましたけれども、大型開発のために、またぞろ厳しさを増していくそういう気配です。

 で、特別区素案では、万博経費や広域インフラの費用は広域という事になりますから、財政調整でそれらの財源が府に配分される事になって、特別区は財政的に益々ひっ迫する事になってしまいます。あらためて都構想は絶対に認められないと申し上げておきます。

 

2.IR・カジノの誘致について

2−@  大阪IR基本構想(案)では、外国人観光客150万人から2,200億円の利益をあげることになっているが、“カジノ飽和状態”の中でどのような見通しをもっているのか。

 

 それで私たちは常々不毛な制度いじりではなく、政策の中身が問題だと申し上げてまいりましたが、結局、この政策の中身ということで言えば、一人の指揮官にしてやりたいことは、何のことはない、IR・カジノだということです。とんでもないと思います。

 つい先だって「大阪IR基本構想(案)」が発表されました。夢洲60㏊の敷地に、延べ床面積100㏊にものぼる、ホテル、ショッピングモール、国際会議場、展示場等の施設を配置し、その内カジノのゲーミング面積3㏊と、シンガポールカジノの2ヵ所分という大がかりなもので、カジノの儲けは実に年3800億円。内、外国人から2200億円、国内客から1600億円まきあげる、とこういう算段となっています。

 勝手にハジクのは自由です。問題は言われているように外国客が150万人も夢洲にやって来て、2,200億円も果たして、すってくれるかどうかということです。申し上げるまでもなくアジア諸国のカジノ施設は飽和状態と言っていい状況です。既にマカオ36ヵ所、韓国17ヵ所、フィリピン54ヵ所、シンガポール2ヵ所など、大小157ヵ所ものIR・カジノが設置されています。

 その上、韓国・済州島の済州シンファワールドなど、新たに16ヵ所ものカジノがつくられようとしている訳です。外国人客延べ150万人で、2200億円もの大損をする。これいったいどんな見通しをお持ちなのでしょうか。お答え下さい。

 

◆吉村洋文市長

  まああのう、見通しという、事業の見通しということですけれども、これが仮にですね、大阪市がIRを、事業を運営すると、カジノ事業の主体者だということであれば議員の指摘もわかりますけれど、これは民設・民営の事業であります。だから、その事業の収支の見通しを立つかどうかというのは、これは多額の投資を、1兆円規模の投資をするわけですから、それをきちんと見込んだ上じゃないと民間としてはできないですよ。

ですので、これは民間でもきちんとそういった事業の収支見通しというのを立ててそれで実行するという形になっています。飽和状態ということですけれど、で、その事業の見通しということを聞かれますけれども僕はそういうふうに思っています。

  ひるがえってIRのエリアというのは、確かに世界にいくつかあります。ただこれは、世界を見渡してもですね、これは夢洲の魅力というのは勿論そうですけれども、日本の魅力、そして大阪・関西の魅力というのは、僕は世界でないエリアだと思っています。まあ、大阪・関西、奈良、京都も近いですし、奈良、京都それから国際観光都市においては、世界遺産は5つあって、そしてここでしかない日本でしかないという国宝や重要文化財もたくさんあると。極めて豊富な観光資源で、これはまだまだ今まで生かし切れてこなかった部分だと。他の世界にこんなエリアは、僕も万博誘致いろいろ行ってますけれど、こんなエリアはないですよ、こんな魅力的なエリア。それだけじゃなくて、大阪というのは、日本の中で2番目の経済規模のエリアですから。

そして、そこに産業とか研究機関、様々なそういったビジネスも発達しているというそういった非常に優れたポテンシャルがあるのが関西であり、そして、夢洲においてはその中心的な位置にあると。

そして人工島において都心からも近いと、そして広大な面積を有すると。非日常的なIRをベイエリアで実現できると。非常にIRにおいては優位性が、世界で見ても優位性が高いというふうに思っています。

 そして今回、大阪IRがめざす姿というのを発表いたしました。そういった立地特性に加えて世界最高水準のオールイン型のいわゆるMICE、日本で言うと最大規模のMICE施設であったり、様々なエンターテイメントを有する施設、上質なサービスを提供する施設、そういったものが民設・民営の力でこのIRが、夢洲に大阪に誘致する。そしてまた事業者も現実に世界の事業者が手を上げているという状況、これは大きな魅力がある、事業性があるということだと思います。夢洲に国際競争力の高いIRを誘致して世界から多くのお客さんを誘致していきたいと思います。

 

●山中智子議員

 まあ、民間がやることだとおっしゃいましたけれども、巨額の開発になるのにこう民間の言いなりでやっていくのかと逆に恐ろしい思いがいたしました。

 

2−A  大阪IR基本構想(案)では、国内客440万人から1,600億円をまきあげることになっている。国内客のうち360万人は大阪周辺の一般市民だ。こんなことに手を貸していいのか。

 

 でそのようにおっしゃいますが、私はあまたカジノがある中で、アジア諸国の富裕層が夢洲にわざわざやってくるとは、とても信じられません。カジノの研究家の方なんかも結構日本には中々行かないだろう言っておられるかたもいらっしゃいます。

 結局、国内客がターゲットになるのではないかと心配をいたします。大阪に進出しようとしている外国のカジノ資本の代表者も「大阪周辺には、1500万もの人が住んでいる。これが魅力なんだ」と言っているこのとおりです。

 基本構想案でも年間440万人もの日本人がカジノに来るこういうことになっています。しかも、IR推進局によればこの内360万人は日帰り圏内という事で、これはまさに大阪周辺の一般市民という事です。国内客の82%、これが大阪周辺の一般市民です。そして諸々、国内客で1600億円もの利益をあげるとこういう訳です。大変な金額です。ある専門家に言わせれば、1600億円儲けるためには、その14倍の、延べ2兆2400億円ものマネーが動くんだとこういう話しもあります。

 いずれにしても、ギャンブルにのめり込んで、1千数百億円もの損を重ねる大阪周辺の一般市民が、延べではありますけれども360万人生まれるという事です。市長、こういうことに手を貸すおつもりですか。

 

◆吉村洋文市長

   まずIRの立地におきまして、毎年7600億円もの経済効果、波及効果が生まれます。それから8.8万人の新たな雇用が創出されます。それから府市において毎年700億円の納付金、入場料収入が財源になるという状況です。非常に大きな経済効果、そして地場産業

の経済効果が見込まれる。まさに大阪にあっては大きな成長になるIRだというふうに思っています。

 それから議員は全て悪のような言い方をしますけれども、本当に全てが悪であれば世界中でこんなものは認められていません。先進主要国の7カ国、G7の中で現在それが認められていないのは日本だけです。一定のルールのもとでこれはやっていこうというのが世界の主流です。たぶん世界から見たら何のルールもないパチンコのようなものの方がもっとびっくりされていると思います。むしろ、そっちのを規制すべきではないかなというふうに思います。

そういった中で、日本人も、外国人だけじゃなくて日本人も利用するじゃないかということですけれど、きちんとした依存症対策というものをもちろんやった方がいい。そしてきちんとしたルールを定めた上でこのルールの中で、ルールを守っていく、そしてルールの中で、自分の資金で、資金の範囲内でIRそしてカジノを楽しむということは、僕はこれは別に否定するものではないというふうに思っています。

もちろんここにはルールが必要ですから今国においてルールを定めていますし、大阪府市においてもルールを定めています。ルールの範囲内で個人が行うということについて、あのう僕は、すられる、すられるって言いますが、僕はそれは否定するべきものじゃないのかなと思っています。そういった意味で依存症対策。ただお金がなくて家族を不幸にする。そんな中でカジノをするのはいけませんから、依存症対策はしっかりやっていくというルールを定めていく。その一方で、そのルールの範囲内のなかで利用するということは、僕は認められてもいいんじゃないかと思っています。

 

●山中智子議員

 ルールさえあればとおっしゃいますけれど、やっぱりそれは違うんではないかと思います。

 

2−B  大阪IR基本構想(案)では、カジノ事業者からの納付金等が、府・市あわせて700億円にのぼるとされている。市民利用客に新たな税金を課すに等しいと考えるがどうか。

  

市長は先ほどもこれだけの経済効果があるんだとか、雇用効果があるんだとかいろいろおっしゃいましたけれども、大阪周辺の市民がね、1千数百億円も損をする、その上に、利益は外国に持っていく訳ですから、大阪にとって経済の面でもよくなるそういう道理はないと思います。

今市長もお答えされたように、今度の基本構想案では、カジノ業者からの納付金が府・市で年570億円入る上に、国内客からの1回6000円の入場料の中から、府・市に年130億円で合計700億円とこういうふうにおっしゃって、だから府や市の財政も豊かになるとこういうふうにしています。これもね私はとんでもないと思うんですね。で、この収入の大半が大阪周辺の市民をはじめ国内客から新たな税金を取るに等しいことと思いますけれども、市長その辺はいかがでしょうか。

 

◆吉村洋文市長

  税金というのはですね、市民の意思とは無関係なく、行政のルールによってある意味徴収する、社会のため徴収するものです。ですので、これは払いたくないと言ってもルールの中で払っていく。それが税金です。

一方でこのIRにおいてですね、例えばカジノを利用する、これは自己の資金のなかで利用するわけですから、それと税金と一緒にするっていうのは、僕は果たしてどうなのかなと、違うんじゃないかなと思います。それから納付金と税を合わせて700億円ということですけれども、もちろんこれは大きな効果もありますし、住民サービス、あるいは大阪の成長に充てる資金になる。だからこれも一定のルールに基づいているわけです。

ルールの中で大事なことはその海外の方ももちろんそうですし、日本国内の方もそうですけれどきちんと行政でこのカジノ、IRのルールを定め、そしてそのルールの中で本人の意思に基づいて楽しむ、利用するというのを僕は否定するのはおかしいんじゃないかなというふうに思います。

 

●山中智子議員

 やっぱりね、それはね、新たなボッタクリだというふうに私は思います。全く許しがたいと思います。

 その上、この間言われているのは、言うに事欠いて、その納付金などの中から、最高のギャンブル依存症対策をするとこんなふうに言われるに至っては、もう何をか言わんやです。本末転倒もはなはだしいですね。市民をギャンブル依存症にしておいて、その巻き上げたお金で依存症対策をする。いったいこれ何なんですかということです。

 

2−C ギャンブル依存症対策として、高校生向けのリーフレットが作成され配布されているが、中身はギャンブルの奨励に等しいと思う。市長の考えはどうか。

 

 そういう意味で、大きな問題だと思うことは、若者への啓蒙のためと称して「将来ギャンブルにのめり込まないために」というリーフレットを作成して、今年度府内すべての高校と支援学校で、高校3年生に配布されたそうですが、その中身が振るっています。「ギャンブルは、生活に問題が生じないよう金額と時間の限度を決めて、その範囲内で楽しむ娯楽です」とこう書いているわけです。市長のおっしゃるルールをみんなが守る、ルール、ルールという事が通ると、誰もギャンブル依存症になるような要因持っていないということだったらそうかもしれませんが、これはむしろ私は、ギャンブルを勧めている。ギャンブルの奨励以外のなにものでもないと思わざるをえませんけども、市長、いかがでしょうか。

 

◆吉村洋文市長

  現在ですね、日本に全くギャンブルがないという前提でお話されていますけれど、現在日本において厚労省の発表ですけれど3.5%の方が依存症じゃないかと言われている。そしてその内の2.9%がパチンコに基づくものじゃないかと言われているんです。そんな中で、今までこの依存症対策にどれだけ本気で向き合ってきたんですか。向き合ってきてないじゃないですか。

で今回カジノに基づくIRを誘致することで初めて日本国内においてこの依存症対策に正面から向き合おうということで国も取り組む。そして大阪府市も取り組んでいます。この依存症対策をしっかり取り組むことで今いる数より、これ当然パチンコも含めた依存症を、全ての依存症に対しての対策を取るということです。ですので、今いるあまたの方を最小化していくこれが大きな目的です。だからまず、今そういったことはむしてないし、今までしてこなかった。

これからは取り組もうということに対して否定的になるということは僕は違うんじゃないかなというふうに思います。そもそもギャンブルというものが世の中に存在しないというのであれば議員の理想は成り立つと思うんですけれども、存在する中でそれをいかにコントロールしていくのかが大事だというふうに思います。

 まあリーフレットにつきましても、これまでこういうことはなかったですけれど、まさにこれは若い方にギャンブルというのは依存症になると怖いものなんだよと。自分の範囲内で楽しむものなんだよ。自分の範囲を超えてはいけませんよということを若い段階で教えていかなくてはダメですよ。それを今までやってこなかたんです。テレビだって、あのパチンコのCM、なんか楽しそうなCMいつも流れてたじゃないですか。でもこれから特に若い高校生に対してもそういったリーフレットで依存症対策、あくまでも生活の範囲内で、問題が生じないようにすべきだと啓発していくというのは、僕は非常に重要なことだというふうに思っています。

で、このリーフレットの主旨はまさにそういうものだというふうに思っています。だから何れにしましても、この若い世代にですね、ギャンブルというものはコントロールしていくものだ。自分の範囲を超えてやるものじゃないよという事はきちんと伝えていくものだと思います。

 

●山中智子議員

  いつもパチンコの事をおっしゃいますけど、これだけギャンブル依存症対策しないといけない、しないといけないとリーフレットまで配っても、元々は大阪市営地下鉄でしたが今は大阪メトロですが、大阪市が100%株を持っている大阪メトロの地下鉄の駅に、今でも堂々とパチンコの広告がある。だから何にもできてないのに、カジノ、カジノと言っておられる。これは本当に問題だと思います。

 しかも、カジノはいったん足を踏み入れれば、時間と金額を決めてなんていうことにはならないわけでしょう。お金がなくなれば外に出ればATMもあるし、貸してもくれるわけですから。

 去年12月、姉妹都市40周年記念でメルボルンに行かせていただきました。市長も行かれました。市長が一足先に帰られたあとに、最終日でしたけれども、クラウンカジノを抱えるメルボルンで依存症対策をしている「ビクトリア州責任あるギャンブリング財団」に伺って、依存症対策についてお話をお聞きいたしました。高校生への出前授業はもちろん、いろんな努力をしている。大阪で今言われているような対策はやられているんですね。いろいろお聞きしましたけれども、「数は減ってきているけれども11人の症状は深刻になっている」とそういうふうにおっしゃっておられました。

 その後、クラウンカジノにも伺って、20年近くカジノのなかのギャンブル依存症対策部門で働いておられる方のお話もお聞きしました。ずっとカジノの中を巡回して、この人熱くなりすぎているんじゃないかな、のめりこんじゃっているんじゃないかな、と思う人には声をかけて、ちょっといったん離れましょうかと言って頭を冷やしてもらう。そういう事が繰り返された人には、一定期間、入場禁止の手続きをとることもあると。そういうことを20年近くなさっておられるということでした。20年間、お客さんがのめり込まないよう歩き回っておられるそういう彼女のお話を聞いていて「徒労感を感じることはありませんか」と聞きたかったけどそれは聞けませんでしたけれど、やっぱりカジノは、否応なくのめり込まざるを得なくなるそういうものなんだなと。やっぱりカジノをつくらないことが、最大のギャンブル依存症対策なのだなという事を改めて実感いたしました。

 

2−D 夢洲に世界で類を見ないエンターテイメントを誘致するとしているが、具体的にはどのようなものか。

 

 そういうとね、いやいや、IRは統合型リゾートなんだと、言葉の通りカジノだけではないんだというふうに。ショッピングモールもあればエンターテイメントもあって、内外から1000万人近くが訪れて、1000億円もの売上に貢献してくれることになっているんだと。そういう構想のようですけれども、つい先だってシンガポールのマリーナベイサンズとリゾート・ワールド・セントーサの2つのIRを視察して来た国会議員の報告を聞きました。

 その感想によりますと、「シンガポールのIRには海洋水族館もあったけれども、大阪では海遊館もあるし、ショッピングモールと言っても格別目新しいものが売られている訳でもない。ルイヴィトンだと言ったって、大阪では心斎橋に専門店があるし、リゾート・ワールド・セントーサにはユニバーサル・スタジオ・シンガポールがあるが、此花にあるUSJと比べて面積にして半分以下、小型版USJといったところだった。大阪には何でもある。いったい夢洲にどんなショッピングモールやエンターテイメントを持ってくるつもりなんだろう」とこういう感想でした。

 夢洲には世界で類を見ないエンターテイメントをもってくるというふれこみですけれども、具体的にはどんなものを考えておられるんでしょうか。お答え下さい。

 

◆吉村洋文市長

  今、シンガポールのお話をされました。共産党は絶対反対の立場ですからそういう視点でしか見られないのかもしれませんが、例えば、シンガポールのあの何にもない国ですよ、しかも淡路島くらいしか面積がないそのシンガポールにおいて、例えば、どういうイメージかわかりますかと言えば、例えばベイサンズのあの3本のホテルがあって、天井に大きな船のような屋上プールがある。みんなこれ思い浮かぶわけです。これは一つの都市のブランドになってるわけですよ。世界からお客さんを呼び込んでますよ。何にもないシンガポールがそういったIRや自分達の力で呼び込んでいる。

 一方、大阪、関西は、これは先ほども申しあげましたように深い歴史もあるし伝統もある、そして夢洲については、周囲が海に囲まれている、非日常の空間をまさに感じとれる人工島だという中で、僕は世界に負けないIRをエンターテイメントを実現できるというふうに思っています。これについてはどういったものをつくっていくのかというのは、当然これは民間事業者が民間募集の中で、世界にとって魅力的なものというのを自らの自由で斬新な発想で応募してくると。そしてその中で、公正で聡明な手続きを経たうえで最も優れたものが選ばれるということになるんだと思います。ですので、シンガポールですらあれですから、僕は大阪は絶対負けないエリアになると思っています。

 

●山中智子議員

 にわかには信じられませんね。いくらきれい事を言われても、所詮はカジノ頼みという事です。大阪周辺の一般市民を不幸のどん底におとしいれる事によって大儲けをするカジノ、この誘致に血道をあげる。およそ住民の福祉の増進に努めるべき地方自治体のなすべき事ではないと申し上げておきます。

 そして、今後とも一層多くの外国人観光客の皆さんが、大阪を訪れて頂くことができるようにするためにも、カジノなどではなく、大阪・京都・奈良・神戸といったそれぞれ特色のある都市がコンパクトに集まっているという強みを生かしつつ、何よりも日本の食文化や着物文化に優れた伝統芸能、それから歴史ある寺社・仏閣といった豊かな観光資源を大いに売りにするような、そういう観光戦略の推進こそ肝要だと申し上げておきます。

 ともかく夢洲については、1期IRで1500万人、万博跡地の2期事業で、都合2700万人と、できもしない過大な来客人口を掲げて、南回り・北回りの鉄道建設に輸送力増強、高架道路の建設、此花大橋や夢洲可動橋などの拡幅増強、IRの外周道路に下水道などの基盤整備、警察署、消防署の建設等々、莫大な府民市民の税金、そして開発者である大阪港埋立事業会計による公的資金の投入と果てしがありません。

 

3.台風や南海トラフ巨大地震などに対する防災対策の拡充について

3−@  夢洲を舞台にした大型開発は中止し、台風等の防災対策にこそ人も予算も注ぐべきではないか。

 

 それこそWTC等の失敗の二の舞になりかねない夢洲を舞台にした大型開発は、やっぱりキッパリと中止をして、台風等の防災対策にこそ人も予算も注ぐべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 

◆吉村洋文市長

  夢洲のIRにつきましては、今日は議員がカジノのギャンブルのことについてお聞きですから、それに中心的に答えていますけれど、一番大きな目的としては、世界最大規模、世界の各国からビジネスマンを誘致する最大級のMICE施設、それからエンターテイメント施設、今の日本はじゃ到底誘致できないだろうなというようなエンターテイメントも含めて誘致する事ができる。国際会議、国際展示をすることができる。これは極めて大きなインパクトだと思います。

 それからそこで新たな消費も生まれますし、だから地元の経済界も賛成している。積極的に誘致という立場です。ぜひその辺の現実の経済というのも見ていただきたいと思います。合わせて依存症対策については、今までやってこなかったことについては正面から取り組むことで、今よりも減らすことができるし、そうしなければいけないというふうに思っています。そういった思いで依存症対策に取り組んでいきたいとこう思います。 

 それからあとどんなものができるのかということについてはね、これは楽しみにしといて下さい。1兆円規模の投資ですからね。民間がやる1兆円規模の投資というのは見たことないと思いますけれども、ちょっと楽しみにしてもらっといたらいいと思います。

 それから防災に予算をつぎ込むべき。これは防災について力をいれるというのはこれは当然の事だというふうに思います。非常に重要な事です。防災計画に基づいてハード面、ソフト面、ともにこれについては力を入れているところです。

ハード面においては、南海トラフの巨大地震の対策の大きな柱として百数十年に一度のマグニチュード8クラスの地震による津波が来た場合に、大阪市域の浸水を0にする事を目標にして今防潮堤の耐震対策を取り組んでいるところです。

ソフト面におきましても市民の皆さんが防災意識の向上の啓発、それから緊急時の情報発信のツール、とりわけ新たな仕組みとしてやはり情報発信が弱いと僕は思ってますんで、情報系防災無線のデジタル化に伴う高質力のアンプの高性能スピーカーを採用するということに、緊急の速報メールについてはツイッターと連動させて発信するという仕組みもつくっています。より多くの皆さんに伝わるようにしていかなければならないと思っています。

それから区の広報車のスピーカーについてもその性能は不充分だと思っています。区の広報車のスピーカーも河川の氾濫時とか中々聞こえにくかったり、だからそれについては性能を高めるというような事もやっています。あと、ハザードマップも文字が多すぎて見えにくかったりしますんで、こういったことも専門家の意見を聞きながらわかりやすいハザードマップに変えて、そして全戸配布するというのも進めていきます。

いずれにしても防災対策については力を入れてまいりたいと思います。

 

●山中智子議員

その「夢洲を楽しみにしといてください」というおっしゃり方が、その発想自体がもう、いつか来た道だなあということを思いながらお伺いをいたしました。

 

3−A 堤防外の埋立地などを対象に21号を上回る規模の台風を想定した高潮対策等の調査費の予算が計上されているが、堤防内は行わないのか。

 

防災対策については、去年の本当に大きな災害を教訓にして、一つ一つしっかりと対策を取っていかないといけないわけですけれども、幾つかやっぱり市民的にはこのこともってことは申し上げたいと思います。

昨年の台風21号による被害は本当に甚大なものがありました。民間の住宅の屋根などの復旧工事もやっと進み始めたのかな、この頃になってやっとブルーシートの数が減ってきたのかなあという感じです。

本市施設等の復旧などについても、それぞれの当局で努力されている事は、多としますけれども、それでも市民にしたらやっとという感じですかね。やっと来年度、約8,500本もの倒木、公園の破損、湾岸部の破壊された岸壁や防波堤などは、やっと来年度、復旧の予算がつけられました。来年度中の復旧めざして工事が進むんでしょうが、そうこうしているうちに、また台風のシーズンがやって来るという事で、大変心配をしています。

この間、関西大学の河田教授をはじめ多くの識者の方々のご意見を拝見いたしますと、地球温暖化等の影響もあって、これからは21号クラスやそれ以上に強力な台風が数多くやってくる可能性があるという事で、かつて伊勢湾台風なんてのもありましたけれども、そういう事を考えると、大阪市の対応、いかにもまどろっこしいと思う部分もあります。

今度の予算案で、台風21号で大きな被害を受けた堤防の外の埋立地などを対象に、21号を上回る規模の台風を想定した高潮対策について検討する調査費が4,000万円余り計上されています。

予算の説明では、堤防の外というふうに仰いましたが、堤防内の検討はしないんでしょうか。

 

◆吉村洋文市長

 まず台風対策についてですけども、現在の大阪港の防潮堤においては、台風21号よりもさらに大型で国内で過去最大クラスの伊勢湾台風クラスの台風が直撃した場合を想定して整備をしています。これは、台風というのは、大きさだけじゃなくてですね、コース、進路が非常に重要でして、弧を巻いて上がっていきますから、南から北に直接上がってきて、そして東側が非常に危険だと。今回の台風21号はその進路を通ったわけですけれども、まさにそれと同じ進路で、さらに過去最大の伊勢湾台風クラスと、まあ可能性は極めて低いかもしれませんが、そういった極めて低い可能性、想定外を想定して、最大クラスの台風を想定して、今、整備をしているところです。

昨年の21号の来襲時ですけども、これは防潮堤より陸側の市街地においては、高潮による浸水被害はありませんでした。これは防潮堤が一定の役割を果たしたというふうに認識しています。一方で台風21号において、大阪港で過去最高の潮位、OP+4.59メートルですけども、それを記録しました。防潮堤より海側、つまり堤外地のですね、地盤の低いところに浸水が生じたということです。だから海側です。

そういった中で、神戸港を含む大阪湾における今回の台風21号による被害も踏まえまして、やはり想定外を想定していかなきゃいけませんので、国交省も中心となって、大阪市も加わった上で、「大阪湾港湾の高潮対策検討委員会」が設置をされました。大阪港におきましても学識経験者・専門機関からなる「大阪港部会」というのを昨年11月に立ち上げました。堤外地での台風21号による浸水被害の原因の検証と、そして被害箇所の対策の検討というのを、今、進めさせています。来年度には、伊勢湾台風クラスというのを想定しまして、高潮・波浪・浸水シミュレーションというのも実施して、台風21号で浸水被害を受けた場所も含めて対策案というのを考えていきたいというふうに考えています。

それから堤内地の高潮対策としての防潮堤についてですけども、これは伊勢湾クラスを想定して、いわゆる高さを決定しています。これについても来年度以降、堤外地のシミュレーションと合わせてですね、昨今は計算技術も高まってきていますから、そういった最新の計算技術の向上なんかも踏まえて、そして埋め立てなんかも出てきてますんで、堤外地のシミュレーションと合わせてですね、高潮・波浪が防潮堤を越えることがないかということの確認をさせる予定にしています。

 

●山中智子議員

堤内地もするということですね。それなら結構です。台風21号でも高潮が防潮堤すれすれまで来て本当に怖かったという、そういう市民からの声も寄せられた訳です。21号より強い台風を想定するなら、堤防内についても検討するのは当然のことですので、きっちり調査検討されるよう申し上げておきます。

 

3−B 防潮堤延長60kmのうち、耐震化工事を実施しない46.5kmについては、マグニチュード9の地震では、相当程度浸水するのではないか。

 

それで、今後30年に70%〜80%の確率で起きると言われている南海トラフの巨大地震に対する備えの問題です。

港湾局は、2014年度から防潮堤の耐震化工事を進めていますが、今年度末でわずか2.9qが完了するだけです。年にすると、0.7qのペースです。その上、防潮堤延長60qの内、当初は32.7qについて耐震対策を施すとしていたものが、いつの間にか14.4qに縮減され、それが今回の見直しで、更に0.9q対策不要ということになり、2023年度までに都合13.5qの耐震化工事を実施するとの計画変更がなされた訳です。総事業費でみても、当初780億円が430億円になり、今回415億円と更に15億円の縮減となりました。

想定される南海トラフ巨大地震は、東日本大震災なみのマグニチュード9程度になるだろうと言われています。勿論大きな津波を伴う訳です。災害に強い街づくりがこれだけ叫ばれる時に、耐震化計画を縮小する、これ耳を疑うわけですけれども、市長、総延長60qの内、耐震化工事を実施しない残り46.5qについては、マグニチュード9の地震では、相当程度浸水すると考えなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。

 

◆吉村洋文市長

まず、地震・津波対策ですけども、百数十年に一度のマグニチュード8クラスの地震による津波に対して、ハード対策で津波被害を完全に防ぐという防災の考え方、それをもとにしまして、それがまずあります。で、その大前提として、国の中央防災会議におきまして、この千年に一度のマグニチュード9クラスの地震による津波については、このハード対策に加えて、やはりどういった地震が来るか分かりませんから、住民避難等のソフト対策で、ハードに加えてソフト対策も加えて人命を守る、そして被害を最小化するという、それが国の中央防災会議での方針であります。

僕自身もどういった地震が起きるかというのは、これ分からないわけですから、当然、防災対策をした上で、それで完全に防ぎきれるという前提ではなくてですね、ソフトな部分、つまり、南海トラフの地震が起きたときに1時間50分の時間がある、そのときにソフトの対策として市民の皆さんがきちんと避難をすると、そういうことに力を入れなきゃいけないというふうに思っています。

そういった国の考え方と、府・市の考え方のもとにですね、現在、防潮堤の耐震対策というのも、これは進めていますし、合わせて、このソフト面の対策、1時間50分の間に退避しなきゃいけないんだということも合わせて強化をしていきたいと思います。

 

●山中智子議員

マグニチュード9クラスの地震が来た場合、浸水すると考えていいのかどうかってことは、どうですか。

 

◆吉村洋文市長

この点については、当然、いま防潮堤を強化していって、その浸水の面積というのを出来る限り減らしていくということは、当然やっていますが、これは、その防潮堤が100%ではありません。これはどんな地震が来るか分かりませんから、その前提の中で、浸水する可能性は、これは当然あると思います。

その可能性のもとにハザードマップも作成して、そして市民の皆さんも、地震が来ても絶対に浸水しないから大丈夫だという認識ではなくて、逃げるという意識を持っていただきたいと思います。

 

●山中智子議員

可能性があるというか、マグニチュード9クラスの地震が起きた場合は、資料をいただいていますけれども、これまでの簡易な調査によっても1m以上浸水する箇所が結構、広範囲に及ぶことになっています。

 

3−C 防潮堤の総延長全てについて、マグニチュード9の地震に対する耐震性等のきちんとした調査を行った上で、耐震化計画を抜本的に見直すべきではないか。

 

私たちも、ハード面だけで万全を期すべきと、そういうふうに申し上げている訳ではありません。もちろんハード・ソフト両面での震災対策が不可欠と考えていますし、そういう点では、津波が発生して大阪港に到達するまでに、2時間弱、1時間50分、この時間的な、言わば余裕がある訳で、やっぱり何よりも、やっぱり人命第一の観点で、綿密な計画のもと、警報等に従って、先ずは避難する事だと、これは同じ意見です。

しかし、同時に、ひとたび防潮堤を越えるなどして浸水すれば、大正区・港区・此花区などの市民の多大な財産が失われる事になることも確かな訳です。市民が、愛着ある家をはじめ財産を失い、途方にくれることになるんですから、その被害を最小限にくい止める責任もまた、行政にあるのと思います。

ですから先ずは、残りの46.5qについて、簡易的な調査でお茶を濁したり、或いは、まあ可能性はあるかもしれないと、そんな話ではなくって、やっぱりマグニチュード9に対する耐震性と、それから耐震化の費用等のキチンとした調査をすべきです。そしてその上で耐震化計画の抜本的な見直しを行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 

◆吉村洋文市長

適当な調査しかしていないようなことをおっしゃっていますけども、これは耐震調査というのを行った上で、必要な箇所について、これは耐震の強化を実際にしています。そして、どこが必要かというのを綿密に分析した上でやっている、強化をしているわけです。ですので、これについては引き続き、この防潮堤の耐震の強化というのは、今後も続けていきたいと思います。

ただ、この地震というのは、いつ起きるか分かりません。そして、どの規模が来るのかも、これは自然災害だから分かりません。じゃあ、どこまでの物を作るのかというときに、大阪湾にですね、もう見えないような壁を全部作ったほうがいいのか、それを全国にやっていくのか、それがいいのか、或いはどの範囲にするのかということについては、まさにこれは国の中央防災会議でしっかりとした科学的な根拠のもとで示され、それを今、大阪ではきちんとしているという状況です。だから、いいかげんにやっているわけじゃないんです、そもそも。

合わせて重要なことは、いわゆるハード面だけでは、これは絶対に安全というのは言えないですから、特にこの湾岸のエリアの方については、1時間50分の間に3階以上に避難するということをですね、皆が常識として持てるような、これがあるから安全ですということにならないようにしなきゃいけないというふうに思います。

 

●山中智子議員

適当な調査って私が言っているんじゃなくって、みずから「簡易な調査」というふうに港湾局のほうが言っているわけで、きちんとした調査を行って、それを基にハードもソフトもきちんと住民の皆さんと一緒に相談をしていく、当たり前だと思います。調査もしないで、「もうここは、逃げることを考えろ」というふうにおっしゃるって、それは本当におかしいと思います。

調査はまずして、それからどんな計画を作るかを考えるべきじゃないですか。調査もなさらないんですか。調査費なんですから、大阪市全体から見たら大した金額じゃないと思いますが、調査もしないんですか。

 

◆吉村洋文市長

これはどの範囲をすべきかということについては、これは局において、これは調査をした上で、その範囲というのを決めてやっているわけです。ですので、どの距離に、どの範囲にすべきかということについては、何の根拠もなく判断しているわけじゃありませんので、根拠を持って判断している。その程度が、議員が言うのがどのレベルのものかは、ちょっと分からないですけども。港湾局においても何の根拠もなく、やっているわけじゃないんです。ですので、今、防潮堤の耐震化というのは府・市で協調して進めている。まあこれまでは、やってこなかったことですけども、協調して進めている。そしてその被害は最小化にくい止めるということを、現に進めているわけです。

合わせて、だから大事なのは、それをせずに逃げればいいと言っているんじゃなくて、どの程度の規模の地震が来るのか、どんな津波が来るのかっていうことについて、想定はしていますけども、想定外を想定しなきゃいけないですから、本当に大きな地震が来たときっていうのは、特に大阪市内は1時間50分の時間がある、この間、何をするのか、すべきなのかっていうのを、しっかり、やっぱり市民の皆さんには、僕らも伝えていかなきゃいけないし、3階以上に逃げるということをやってもらわなきゃいけない、その意識っていうのが非常に重要です。

合わせて行政として、当然これはハード対策っていうのは、今、やっていますし、これからもやっていきます。

 

●山中智子議員

今のご答弁は、港区や大正区、此花区など、浸水の恐れがある地域の皆さん、お聞きになったら、やっぱり本当に悲しい思いをなさるというふうに思います。

夢洲開発はあれだけ熱心なのに、耐震化となると、とたんに消極的になる。本当に悲しい姿だと思います。

 

3−D 国に対して水道配水管工事への補助制度の抜本的な拡充を求めるべきではないか。

 

それで、生活インフラの最たるもの、水道配水管の耐震化も喫緊の課題だと思います。現在の耐震化工事、年間70qペースですが、これを抜本的に加速する必要がありますが、何せ今後15年間でやろうとしている1,800q、年平均120qの事業費は、3,400億円と膨大な額にのぼる訳です。いかに本市水道事業が毎年150億円余りの利益を積み上げているとはいえ、独立採算の下、水道料金だけで賄うには、かなり無理があるのではないかと思います。事は一日も欠かす事のできない生活インフラの耐震化です。国・大阪市一般会計からの支援が是非とも必要なのではないでしょうか。

国に対して老朽管の更新、耐震化への補助制度を、抜本的に拡充するよう求めるべきだとおもいますが、いかがでしょうか。

 

◆吉村洋文市長

管路の耐震化に対する国の財政支援として厚労省の交付金制度がありますけども、その採択基準については、水道料金が高い、或いは企業債の残高が高いといった、より経営状況が厳しい水道事業体に優先して交付されると、そういうふうな仕組みになっています。ですので、本市においては、かねてから国の予算への要望ということで、国に対して、大阪市のような大都市にも交付金措置がされるように、採択基準の緩和等については訴えてきたところです。

こうした中で去年の12月に政府が、防災減災・国土強靭化のための3ヵ年の緊急対策を取りまとめました。水道分野においても、基幹管路の耐震適合率を2022年度末までに50%以上に引き上げるという目標達成に向けた財政支援の充実、そして予算額の大幅な上積みというのがされたところです。

本市においてもですね、管路の耐震化について、将来の経営を見極めつつ、改正水道法なんかも活用しながらやるという案を取りまとめましたが、国に対しても、経営基盤の強化の観点から、交付金の獲得に向けて、引き続き、国の施策・予算に対する要望をしていきたいと思いますし、それから大阪府市長会や大都市水道事業管理者会議、日本水道協会の活動を通じて国に働きかけていきます。

 

●山中智子議員

昨年12月に予算の上積みを政府がしたということでしたが、これ本市には適用されないというふうに思います。ですから、本当に抜本的で実効性ある拡充が必要なわけで、本腰を入れて、私どもも要望しますが、国へ働きかけを強めていくべきだと思います。

 

4.本市公共工事をめぐる不祥事について

4−@ 建設局の工事入札の官製談合疑惑、水道工事における埋め戻し材料の不正使用問題等についての受け止めはどうか。

 

それで、PFI事業と仰いました。まあ何かと言うと民間に任せようとしているわけですが、そんなことでいいはずがないということも申し上げたいと思います。この間だって、いったいどれだけ、やれ偽装だ、手抜きだっていう事件が繰り返されてきたのかという事です。それこそ長年培ってきた、本市水道の安全・安心が損なわれかねない事態です。水道局がしっかりと設計をし、施行管理をして、市民に対する公的責任を果たすべきです。

そして、その肝心な部分がおろそかにされて行く中で、今回の一連の公共工事における不祥事というものが、まさに起きるべくして起きたのではないかと思います。

周知のように、建設局所管の公園の電気工事16件の入札での官製談合の疑いで、中央区の電気工事会社と本市建設局と契約管財局が、大阪地検特捜部の家宅捜索を受けるとともに、関係職員が取り調べを受けていますが、今朝の報道によれば収賄の疑いも深まったということで、大変ショッキングな事件になろうとしています。そして、これに続いて、2012年度以降1710月までの水道配水管取替工事と漏水修繕工事1,175件の内、その9割、およそ1,000件において、埋め戻し材料として水道局が指定する改良土ではなく、安価な砕石を使用するという不正が行われていたということが明らかになりました。折角取り替えた配水管等の安全性にかかわる問題で、事は重大だと思います。勿論、業者の側に重大な非のある事は言うまでもありませんが、一方なぜ長期にわたる不正行為を水道局は見抜く事ができなかったのかという事も鋭く問われていると思います。

市長、これら本市公共工事をめぐる一連の不祥事についてどのように受け止めておられるでしょうか。

 

◆吉村洋文市長

まず、今回の官製談合の疑惑ということで特捜部の捜査も入っている状況と、それから水道工事の埋め戻しの問題もあります。まあこれは職員がどこまで関与しているかというのもありますが、ただこういった案件についてはですね、これはまさに、あってはならないことでもありますし、市民の皆さんにお詫びを申し上げたいと思います。

こういったことが起こらないような組織を作っていかなきゃいけないというふうに思います。まあ聞くところによれば、20年以上前からも続いているということですから、職員が本当に知らなかったのか、見抜けなかったのかと、ここに本質的な問題がないのかということは、これを機にですね、きちんと悪い部分は全部出してですね、組織としてそういう不正が起こらないような仕組みというのを作ってまいりたいと思います。

まあ水道局についての不適正施工については、現在、外部の弁護士で構成する監察委員のもとで、本市の職員が関与があったかどうかも含めて、今、調べているところでもあります。職員の関与があればですね、これは厳しく対応します。

合わせて、職員のコンプライアンス意識というのも、もっと強く根付かせなきゃいけないですし、そして体制、いわゆる不祥事が十分起こりうるんだということを前提にした体制、これはまあ、僕は、不正入札監察室と申してますけども、外部の警察や検察なんかをトップとしたですね、常勤の、元OBですね、トップにした、そういった人にも入ってもらって、大阪市役所の内部で不正が出来るだけ起きにくいようにするという、その仕組み作りをする、それが必要なんじゃないのかなというふうに思っています。まあこの組織については、トップ人事については少し先になるかもしれませんが、4月には立ち上げたいというふうに思っています。

それから、いわゆる検察の、いわゆる談合疑惑について、先ほど新聞情報での議員のご指摘がありました。これについては、現在、発生当初から係員が、特に任意の取り調べを受けている状況でもあります。現在、捜査妨害にならないようにですね、こちらから、何があったかとか聞くことはしていないですけれども、その捜査の目途がついた段階で、こちらでもやっぱりきちんと調査しなきゃいけないし、厳しくも対応すべき事案だと思っています。

合わせてこれで大事なのは、役所としての組織的な犯行と言えるものなのかどうなのか、まだ全容がちょっと分からないと、そういう意味で調査していないから分からないところもありますけども、役所としての組織的な犯行と言えるのかどうかという視点も含めてですね、これは見ていかなきゃいけないなというふうに思っています。

 

●山中智子議員

建設局の事案については、当然ながら事実関係等、司直による解明もなされる訳で、当面はそれらを待たざるを得ない面もありますが、ただ、やたら警察や検察のOBを入れて、内部の監視体制を強化するということは、私はいかがなものかと思うと、これは申し上げておきます。

 

4−A 相次ぐ職員減らしで、水道工事の施工管理もできないような職員体制こそ見直すべきではないか。

 

それで、問題は水道局の事案です。水道局は施行管理体制の甘さがあったなどと過日の建設水道委員会で答弁していますが、そんな無責任な話がありますか、と申し上げたい訳です。

だいたい工事施行現場では、工事の安全管理を主に行って、施行管理はしなくて良いという方針にしたのは、当の水道局ではありませんか。ですから、現に工事の施工状況については、職員のパトロールによらず、業者の提出した書類等で確認するだけということになっていた訳です。それでいて施工管理体制に甘さがあった、これはちょっと、よく言えたものだと思います。

ともかく、相次ぐ職員減らしで、以前は一人の職員が平均4件の工事現場を受け持っていたものが、今や8件も受け持たされて、書類の整理に追われ、なかなか現場に行く時間が作れないと、こういう実態があるという事です。

市長、こういう施工現場も見る事のできないような職員体制も見直すべきではないでしょうか。

 

◆吉村洋文市長

職員減らしでそうなったかのようなご意見ですけども、これについては、まあ新聞報道ですけど、少なくとも20年以上前から恒常的に行われていたという報道がされています。ですので、職員減らしどうこうという問題では、僕はないんだろうと思っています。もちろんこれは、だからいいという話じゃなくて、これは絶対あってはならないことですから、今、特に調査しているのは、職員が知っていたかどうか、或いは黙認していたかどうか、まあ20年以上前となれば、これは実は、まあ普通に考えれば、そういった可能性が高いんじゃないかというふうに思いますので、この体制というのは、やっぱり改めていかなきゃいけない。

で、議員は、厳しくやれと言いながら、一方で僕が本気で厳しくやろうとして、そういう組織を立ち上げようとしたら反対だというので、ちょっとよく分からないんですけど、やっぱりここは特に、各種契約でお金が発生するものですから、これは事業者との関係においては、常に不正は生じないという前提じゃなくて、不正が生じうるという前提で、やっぱりいかないといけないと思います。

特に、これはもし民間企業であれば、不正が発生してですね、信用を失えば、倒産という形になりますが、役所は倒産がないですから、売り上げも立てる努力をする必要もない。そんな中で、どうしても規律が緩みがちなのが、僕は役所の特性だと思っています。ですので、そういう特性に鑑みて、そして大きなお金を動かす力を持っていることも考えると、やはりここは、そういった不正っていうのは常に生じうるんだっていうことを前提にした組織作りっていうのをやらなきゃいけないんじゃないのかなあというふうに思います。

それから、具体的、詳細に、じゃあこの不適正施工の監視の仕組みをどうするかということについては、今、水道局でいろんなことを、ICTを使ったものを含めていろんなことを考えているというふうに聞いていますので、これは詳細には、そこに移したいとは思いますけども、要は僕自身は、不正が起こるんだということを前提にした体制を整える、それは単に人を増やすということじゃなくて、そういった視点が僕は必要じゃないかと思ってます。

 

●山中智子議員

 職員の多寡じゃないと仰いましたけども、ずっとヘリ続けている訳でしょ。ヘリ続けて工事の施工管理をしなくていいという、そういう方針を出された訳です。

 実際水道局の職員数は、10年前の2008年3月末には2013名であったものが、2013年3月末には1648名。2018年3月末では1344名と減少の一途をたどっている訳です。

 その上、水道局の経営戦略では、今後10年間で更に200名もの職員削減を打ち出しています。これでは現場の施工管理など及ぶべくもないし、それを何か、さも職員の不正があったかのように、現場の職員に責任転嫁することはやっぱり許しがたいと思います。

 

5.高すぎる国民健康保険料の引き下げについて

5−@ 高すぎる国民健康保険料を「協会けんぽ」並みに引き下げるよう、国や大阪府に対して強く働きかけるべきではないか。

 

 さて、今、世間では、戦後最長の景気回復が続いているとか、雇用状況が良くなったなどとさかんに言われていますけれども、その実、相変わらず契約社員やアルバイトやパートといった、そういう雇用形態が多く、しかもわずかな物価上昇にも追いつかなくて、実質賃金はむしろマイナスだという状況が続き、市民の多くは景気回復どころじゃないというのが実感です。市民にとって最も身近な行政である大阪市として、今ほど市民のくらし応援、中小企業応援、そして何より公共料金等の負担軽減に努めることが求められている時はないと思います。

 中でも市民の中で最も負担感の強い国民健康保険料の軽減をはかることは、まさに緊急を要する課題となっています。

 高すぎて払えない、なんとか払える保険料に、との市民の願いは本当に切実です。ともかく保険料の通知の来る6月には、問い合わせや苦情の声で私たちの事務所の電話が鳴りっぱなしという状況になる訳です。

 それもそのはずで、大阪市の国民健康保険料は、4人世帯、給与年収400万円の場合、保険料42万円、実に負担率10.5%です。

 ちなみに協会健保の場合、同じく年収400万円で20万3千円の保険料です。半分以下という事ですね。今、市長もご存知と思いますが、全国で国民健康保険を協会健保なみにとの声が大きく広がっています。

 なんとか国保料を協会健保なみに近づけるよう、第一に国に対して、そして第二には同じ方向性をもっているという知事に対して、それぞれ強く働きかけて、大幅な引き下げ実現のために力を尽くすべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 

◆吉村洋文市長

 国民健康保険についてですけども、これは加入者に高齢者や低所得者の方が多い、そして財政基盤が脆弱であるという構造的な問題をかかえていると思います。そういう状況ですので、国において持続可能な医療本制度を構築するという事で、全国で約3400億円の公費を拡充して、国保の財政基盤の強化をはかる。そして平成30年度からは都道府県単位化にするという事が決定をされました。

 大阪府においても、国保の都道府県単位化に当たって、2024年度までに保険料率については統一するということにしていまして、本市としても引き続き他の市町村同様にですね、府の運営方針に沿った対応をしていきたいと思います。

 それから、国保が安定的かつ持続可能な制度として次の世代にも引き継げるように、さらなる財政支援の拡充、医療保険制度の一本化など、抜本的な改革について引き続き国、府に対して要望していきたいと思います。

 

●山中智子議員

 ホントに払える限度を超えている訳で、強く働きかけて頂きたいと思います。

 

5−A  均等割の廃止を国に求めるとともに、当面は、均等割の大幅な値上げにつながる府内統一保険料方式をやめるべきではないか。

 

 それで、国保のもう一つの問題は、均等割がある事によって世帯の人数が多い程、いわば子どもが多いほど保険料が高くなるということです。このまるで人頭税のような均等割の見直しについて、国に制度改善を求めるべきだと思いますが、それいかがでしょうか。

 また、府下統一保険料率の名の下に、均等割の保険料率を毎年1%ずつ6年間引き上げていくことになっていますが、これでは矛盾が大きくなるばかりです。府下統一保険料方式はやめるべきだと思います。あわせて答弁を求めます。

 

◆吉村洋文市長

 まず、府下の統一保険料ですけども、これは大きく、先ほど申し上げた通り、国の方針においても安定した国保のあり方ということも議論され、そして大阪府においても策定した国保の運営方針において、府内の被保険者間の負担の公平性を確保するという観点から、府内どこにお住まいであっても同じ所得、同じ世帯構成であれば、同じ保険料額とするという事で、保険料率等については統一する方針としています。

 大阪市においてもですね、大阪府内の他の市町村と同様に、同じですけども、府の運営方針に沿った対応をしてまいりたいと思います。

 それから、子育て世帯の負担軽減をはかる為に、こどもにかかる均等割保険料の軽減措置の導入等、それに伴う財政支援について引き続き国に対して要望していきます。

 

●山中智子議員

 府下統一保険料についてはそういう答弁ですけども、法的には別に府下統一しなくても問題ない訳です。だいたい府下市町村、それぞれこれまでの経緯がありますので、統一には無理があるというふうに思います。重ねて府下統一方式はやめるべきだと申し上げておきます。

 そして大問題の均等割については国に強く制度の見直しについて要望を続けて頂きたいと思います。

 

5−B 一般会計からの繰り入れを増やして、国保加入者1人当たり、保険料を年1万円引き下げるべきではないか。

 

 今回は一般会計からの繰入を増やして、保険料を据え置いたという事ですけれども、負担の限界を超えている事には変わりはありません。せめてあと60数億円繰入を増やして、加入者一人あたり年1万円の引き下げをすべきだと思いますが、市長のご見解を伺います。

 

◆吉村洋文市長

 これまで本市においては、保険料の負担軽減のための任意繰り入れを行って来ましたが、都道府県の単位化に当たっては、公費を拡充するということになりまして、任繰については前提としない運営というのが基本的な考え方とされています。

 ただ、平成31年度については、国の公費を活用してもなお、保険料が急増するという状況でありますので、暫定的な措置として任繰による激変緩和を行って、1人当たりの平均保険料を30年度と同額というふうにしたところです。

 大阪府は運営の方針におきまして、2024年度までに受益と負担の公平性の観点から、府内統一保険料とし、一般会計からの任繰についても解消すべきとしています。本市としても、他の府下全ての市町村と同様に、その考えに沿った対応をしていきたいと思います。

 

●山中智子議員

 やっぱりそれは冷たい答弁だと思います。法的には任意繰り入れを続けようが問題ない訳で、やっぱりその気になれば大阪市は大きな予算がある訳ですから、やっぱり払いたくても払えない、この声に応えるべきだというふうに申し上げておきます。

 

6.学校教育の条件整備について

6−@ 子ども達をテスト漬けにした上、その結果をもって学校長を評価するようなことはやめるべきではないか。

 

 次に、学校教育の問題についていくつかお聞きしたいと思います。

今、大阪市では、小学校3年生〜6年生の大阪市学力経年テスト、中学校1年生〜3年生は大阪府チャレンジテスト、中学3年生はさらに大阪市中学校統一テスト。テスト、テスト、テストです。この結果、中学3年生は年13回。ある大学の先生が調査なさったら、日数にして年間22日。「出席すべき日数」の、何と10日に1日がテストという、子どもたちを文字通り、テスト漬けにしているわけです。

 さらに、そのテストの結果をもって学校長を評価したり、学校予算に反映させるなどとしていることは大問題だと思います。

 点数偏重・成果主義、教育をゆがめる最たるもので、およそ公教育のなすべき事ではないとの強い批判の声が多くの学校関係者、教育の専門家、保護者などからあがっている訳です。しかも問題なのは、これらがこともあろうに吉村市長の主導の下にやられようとしている事です。

 市長、それこそこれは全国に恥をさらすようなものです。直ちに改めるべきだと思いますがいかがでしょうか。

 

◆吉村洋文市長

 まず、評価の点についてですけども、これについて僕は教員の評価制度、全国で行われていますが、ホントにそれが正しいのかなと非常に疑問に思っています。

 公務員の、教員の評価制度がですね、実態は評価されてないんですね。5段階評価としながらも、ほぼ98%、真ん中の評価が集まって、そして大阪市でいうとほぼ全員が4号ずつ昇級していく。これだと頑張っている先生って本当にキチンと評価されてないんじゃないのかなというふうに思います。

 本来頑張っている先生がキチンと評価されるべきです。全員が一律一緒に、どんな先生でも同じ評価と実質同じ評価ということについて、僕はこれは、そのいわゆる教育の世界での公教育の評価の方が、僕は違うんじゃないかなという問題提起をしてます。勿論これは教育委員会が最後決める事でありますが、僕はそういう考え方を持っています。

 予算の執行権者としいて、市民の皆さんの税をお預かりしている立場として、頑張っている先生をキチンと評価できない、僕はそれは、そこに執行していくのはおかしいのじゃないのかなと、いうふうには思っています。これについては教育委員会と議論しているところです。だから、そもそも今の制度に僕は問題意識を強く持っているとう事です。

 それから、テスト漬けというふうに仰いますけども、これしはそれぞれに意味があります。経年調査、そしてチャレンジテストとしていますがやはりそのテストをすることによって、どこができなかったのか、どこに課題があるのか、どこに問題があるのか。そういうのがわかる。そしてそれは改善につながります。そして改善につながって、そこでまた学習することで、次の学力につながっていく。この繰り返しだと思います。

 もちろんこれは、個人差があります。なかなか学力が伸びない、家庭の環境もあると思います。そもそも30点の子、80点の子もいると思いますけども、例えば30点も80点も、そこから5点ずつそれぞれ伸ばしていこうよという努力をする。そしてその前提として、テストで例えば弱点を知る、学校の先生方も、ここが弱いのかと分かれば、そこに対してキチンと教育を、学力をつけさせるようにする。そういったものが僕は重要。だから、テストに全く意味が無いような事をおっしゃるんですけども、僕はそうじゃないんじゃないかなと。しかも経年で見ていきますから、これからその生徒がいかに毎年毎年どう変化しているのかというのが、自分で分かるという事が非常に重要だと思います。よくPDCAを回せと言われますけれども、それこそがキチンとPDCAを回していく事になるのじゃないかなというふうに思っています。

 ですので、勿論テストが全てではないと思ってないし、学力が全てじゃないと思ってない。これは大前提として言っておきますけれども、ただ、それを否定するのも僕は違うのじゃないかというふうに思います。

 

●山中智子議員

 まずお聞きもしてない、評価のことを仰いました。そんなのここで議論してもキリがないですが、ただ一つだけ。やっぱりね、教師が頑張ってるって、どういう事を頑張ってるっていう、どう評価したらいいんだって、そんな悲鳴は現場からいくらでも上がっていると。その声はお聞き頂きたいと思います。

 それから、テストを全否定なんてしていません。テストっていうの、やっぱりその子が、どこが分からなくて、どうしたらいいかという事を分かるためにやる訳で、10日に1回もやっていたら、そんな対策なんか取れない。とにかくテストやり続けるって、そういう状況じゃないですか。それをテスト漬けだというふうに申し上げている訳です。

 しっかりした学力を身につけさせると。このことはとても大切、それは当たり前だと思いますが、市長のこの間の発信は、全国学力テストでの順位が学力のものさしであって、それを上げた先生か頑張った先生。それを上げるための点数競争に学校や、教師、子どもを追い立てる。そういうことです。

 ともかく、絶対にやってはいけない禁じ手だという声もありますし、全国的にも注目されている事です。あこれは是非取りやめて頂き来たいと思います。

 そういう教育の中身に、市長がやっぱりくちばしを入れるのではなくて、市長がなすべき事は、本当に子ども達に行き届いた教育を保証するための環境整備。すなわち教育条件整備。そこにこそ責任を果たすべきだと思います。

 

6−A  本市学校園における教員不足にどう対処するのか。

 

 そういう意味で、今特に力を尽くすべきは、全国的にも深刻化している教員の過重負担、教員不足の解消ではないでしょうか。

 本市でも育休等の際の代替の講師が、昨年12月の段階で、小学校で64名、中学校で6名の未配置があったと聞いています。授業を担い、子どもと向き合う最前線の教員が不足しているなどということは、あってはならないことだと思います。市長、本市学校園における、この刻な教員不足、どう対処するおつもりでしょうか。ご答弁をお願いいたします。

 

◆吉村洋文市長

 教員の環境を整えるという事ですけども、ちょっと前まで教員に一人一つのパソコンも無かったような状況だったじゃないですか。それどういうことだったんですか。これがずーっと、それ続いてきたじゃないですか。つい最近まで。そういった環境の整備については、僕は特に教育面についはですね、ここは力を入れています。これは前橋下市長時代から受け継いでいますけども、教育面について予算面においても力を入れているという事です。それまでがどうだったのかと、僕は逆に問いたいです。

 それから、教員の担う役割というのは非常に重要です。ですので、まさに教員が子ども達と向き合える、そういった環境を整えるという事は非常に重要な事です。

 まず教員の数についてですけども、これは算定根拠というのがありまして、いわゆる国から、国で定められている一定の数というのがあります。それに基づいて正規の教員、そして講師を今適切に配置をしています。

 講師についても正規の教員と同様にクラス担任をもって、そして同じ役割を担うという事ですから、欠員が生じるという状況というのは本来あってはならないと思っています。求められている適性配置はしてますが、その不足というのはあってはならないと思っています。

 この講師の不足というのは、全国的な課題でもあります。大阪市としても、様々な媒体を通じて広報するだけじゃなくて、大学のネットワークも拡大して、講師の確保については努めていきたいと思います。今後も必要な講師の確保、そして優秀な講師の確保に向けて、全面的にバックアップをしていきたいと思います。

 それから、講師の確保だけじゃなくて、教員が子ども達の教育に向き合える時間をキチンと確保するということが、過重労働になってますから重要だと思ってます。これも細かいところから言うと、夜電話がかかってくる、保護者や地域からかかってくる電話はもう受けなくていい。それは音声を流す方式に、これは僕もお願いをして変えました。それから、今年の今年度の予算においても、いわゆる部活指導員というのも80名から180名に増やして、教育に向き合える時間というのを増やしています。

 それからスクールローヤー、弁護士も配置してですね課題困難な案件に関しては、弁護士が直接対応できるというような事もやる。

 それから、サポートスタッフとしてですね、簡易な事務作業、そういった事ができるようなそんな人も配置するようにして、教員ができるだけ教育に向き合える環境というのは今回の予算でも入れています。

 まさにそういった事が充実させていきたいと思います。過去と比べてかなり僕は充実してると思っています。

 

●山中智子議員

 いろんなメニューで過重負担解消に努力をしておられる事は、承知しています。

 

6−B  35人学級にふみ出すべきではないか。

 

しかし、やっぱり教職員が一人ひとりの子どもと向き合う時間を確保し、子どもたちにきめ細やかな教育を日常的に行っていく、その為には、やっぱり少人数学級が不可欠だと考えます。国に強く要望すると同時に、本市独自で35人学級に足を踏み出すべきだと思いますがいかがでしょうか。

 

◆吉村洋文市長

 まず、本市における学級編成ですけど、これは小学校1、2年生については35人として、そして小学校3年生から6年生、中学校は40人としているところです。

 ただ、現在の大阪市の現状を申し上げますと、本市の小中学校の1学期級当たりの平均児童数というのは、小学校で29.36人です。中学校で34.35人です。これが今の本市の学級規模の現状です。勿論、西区とかのマンモス校がありますけども。平均をすれば小学校29人、中学校は35人です。

 そんな中で、国会においても、この議論がされてます。平成23年に公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律が全会一致で改正をされました。学級編成の標準というのが順次改訂、それに必要な財源の確保につとめるということも、これは附則でも明記されているところでもあります。

 そういった中で、この学級編成の標準の引き下げというのは、まさに国でも議論はされています。ただ大阪市でそういう現状という事と、もう一つは大阪市においては、いわゆる学力の向上という面も含めれば、習熟度別の少人数授業というのを力を入れて進めているところであります。

 まさに習熟度別の少人数授業というを事を力を入れる事によって、個々に応じたきめ細やかな授業と指導ができるのではないかというふうに思っています。ですので、私はこちらの習熟度別の少人数ということに力を入れていきたいと思います。

 

●山中智子議員

 大阪市の学級の子どもの数の平均を仰いましたけど、そういうふうになってきているからこそ、今チャンスじゃないですか。必要な教員の数っていうのは昔に比べたら随分減って、今年度末で試算をすれば、36億円あったら35人学級ができるという事な訳です。ですから、市長は以前より良くなった、良くなったとおっしゃる。いろいろ努力されておられますが、やっぱり子どもの生活丸ごと見る、そのクラス編成を少しずつ小さくしていくと。これがまず第一歩ではないかというふうに思います。

 進まない国の背中を押す為にも、是非独自で、これは実施すべきだというふうに申し上げておきます。

 

7.学校体育館の空調設備について

学校体育館の空調設備の設置計画はどうか。

 

 最後に、学校体育館への空調設備の設置についてお伺いをいたします。学校体育館は、台風や地震などでの地域の避難場所として活用されるとともに、教育的観点からも、空調設備は必要なものであり、私たちもすべての学校の体育館への設置を求めてまいりました。

 来年度、各区1ヵ所、24ヵ所の学校体育館に空調設備を設置する予算が計上されている訳ですが、全く間尺に合わないと思います。まさか各区1ヵ所で終わりではないと思いますが、今後の計画はどうなっているでしょうか。

 

◆吉村洋文市長

 今回の学校体育館への空調機の設置につきましては、高齢者や乳幼児といった、災害弱者への二次被害防止のためのセーフティネットの観点から実施するものです。巨大地震発生時において、発災後しばらくは普通教室、或いは特別教室を使った災害弱者の皆さんへの対応というのは、十分可能です。

 ただ、これが長期化する場合には、やはり教室も使っていくというのもなりますし、避難者については集約していくという形になると思います。その際に、この空調機が設置された体育館、中学校の体育館が1区、1校あれば、これはあくまでも予備的に災害弱者のセーフティネットに友好に活用できるんじゃないかと思っています。

 また、緊防災を使って設置可能でありますので、財源の、負担の軽減をはかる事ができます。

 勿論すべての中学校体育館への空調機の設置には、多額の費用を要します。本市の財政状況を考えると、荷からの財政措置、そういったものを、確保を求めていく必要はあると思います。今後ですね、緊防災の延長なども含めて、国への働きかけを行って、その上で避難所の環境整備だけじゃなくて、学校の教育活動の視点からも計画的に、全中学校への体育館への空調機の設置を行っていきたいと思います。

 

●山中智子議員

 計画的に、全中学校には進めて行く、そういうご答弁でした。

 当然ですけれども、避難所として考えても、教育の観点からも、小学校も高校も必要だということは誰が考えてもわかる話だろうと思います。

 箕面市では、既に全小中学校の講堂に空調を設置済みですし、東京23区でも文京区・中央区で既に完了。世田谷区でも2021年度までに全校設置する計画になっているなど、ほとんどの区で計画的に進められています。

 大阪市の今回の24ヵ所の事業費にしても総額9億円というふうに聞いています。まあべらぼうな金額ではないというふうに申し上げたいと思います。できるだけ早期に中学校だけでなくって、小・中・高校、全ての学校の体育館に空調設備を設置するよう計画的に進めて行かれる事を強く要望しまして質問を終わらせて頂きます。

 

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