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市議団の実績

市立高校の府への移管
天王寺動物園の独法化に反対する
井上議員の討論

井上ひろし市会議員

2020年12月9日

 

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第182号「大阪市立学校設置条例の一部を改正する条例案」、および議案第189号「地方独立行政法人 天王寺動物園への職員の引継ぎに関する条例案」ないし、議案第192号「地方独立行政法人 天王寺動物園の重要な財産を定める条例案」に反対する討論を行います。

 まず議案第182号についてですが、大阪市立高校の府への移管問題は、大都市制度の議論に巻き込まれ今日にいたっているのであり、先般の住民投票において大阪市の存続が決まったことから、その民意を踏まえた市政運営が求められていることは論を待ちません。

 府へ校舎や敷地などを無償譲渡し、高校教育行政を本市が放棄することは、住民投票の民意を無視する暴挙であり、一片の道理もなく断じて認められません。

 大阪市立高校は、歴史的にも大阪市民の要求のもとに設立され、地域とともに発展してきた市民の財産そのものであり、本市所管の高等学校21校のうち創立80年を超える学校が半数を超え、そのうち3校は100年を超える歴史と伝統があります。

 そもそも、府・市の役割分担という点において、戦前から府は現在の普通高校である旧制中学校、市は実業学校を中心に整備が進められてきたのであり、府と市では設置理念が異なるのであります。

 このように、役割を棲み分けてきたことから、高校教育においても二重行政などは存在せず、府への移管は教育上の必要が全く無いのであります。

 現在も本市高等学校の多くが商業・工業等の実業系の専門学科を有する高校となっており、工業高校では機械、電気を中心とした専門的な知識、技術および技能を身につけた将来の地域産業を担う人材の育成を、商業高校ではビジネスに関する課題を発見し解決する力を身につけた社会に貢献できる人材の育成をめざして教育を推進してきており、企業からのニーズも極めて高く、その歴史と実績は市民からも高い評価を得ています。

 生徒の適正や進路、興味・関心が多様化する中、生徒の個性を伸ばし将来の選択の幅を広げ、多様性を踏まえた教育環境を確保していくことが、これからの高校教育においても重要であることは言うまでもなく、そうしたきめ細やかな高校経営ができるのも政令指定都市の強みなのであります。

 府に移管されれば、「3年連続定員に満たない高校は再編整備」という府立学校条例が適用されることになり、大幅な統廃合の対象となる恐れがあります。すでに、大阪市立の工業高校3校については、府移管後の統廃合構想が打ち出されているのであります。

 また、本市においては、長年の教育実践の歴史を持ち、豊かな教育内容や経験の蓄積などを誇った特別支援学校が府に移管されて以降、教育条件が低下した実例があります。

 こうした点も含め、府への移管は到底市民の理解を得られません。大阪市立高校の府への移管には、きっぱり反対であると申し上げます。

 次に、議案第189号ないし、議案第192号についてですが、動物園はその社会的役割に鑑み、獣舎の整備や新規採用による専門性の確保など、本市が公的な責任をしっかりと果たさなければならないことは言うまでもありません。

  すでに独法化された施設に共通してみられるように、仮に収益が増えたら交付金を減らすという姿勢では、動物福祉の確保や、動物園の社会教育機能の維持さえ困難になりかねません。

 動物園は、本市直営を続けるべきであり、独立行政法人化には反対であると申し上げ、討論とします。