title


市議団の実績

「広域一元化条例」(案)に対する
山中議員の反対討論(要旨)

山中智子市会議員

2021年3月26日

 私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第99号「大阪市及び大阪府における一体的な行政運営の推進に関する条例案」に反対する討論を行います。

 大阪市の存廃を問う住民投票において、大阪市民は、一度ならず二度までも政令市・大阪市の存続を選択しました。この結果を受けて、賛成・反対、どちらに投票された方にも共通の、「大阪を良くしたい」という願いにこたえ、市民の声が届く大阪市、市民を大切にする大阪市を築くことに総力を上げることこそ求められているはずです。にもかかわらず、本条例案は、制度いじりに固執し、市民の間に対立をつくりつづけようとするものです。住民投票の結果を無視、あるいは歪曲すると同時に、市民の街づくりの権限を奪うという、二重にも三重にも民主主義を蹂躙するもので、断じて認められません。 

 以下、具体的に申し上げます。

 まず、相も変わらず「二重行政解消」を錦の御旗にしていますが、「解消すべき二重行政」があれば、指定都市が担えるものは指定都市に移譲することで一元化すべし、というのが第30次地方制度調査会答申に代表される地方分権の大きな流れです。その立場から、この間、大阪府から大阪市への移譲が進んだ交通基盤整備をはじめとした都市計画などの権限を、今日、こともあろうに自ら放棄するというわけです。まさに、地方分権という時代の流れへの逆行というほかなく、これほど、市民の権利、権限を損なうものはありません。第一、「過去の二重行政」として俎上にあげられている諸々、WTCとりんくうゲートタワービルなどの拠点開発の失敗にしても、高速道路などの着手時期の遅れにしても、いずれも、二重行政という制度の問題とはまったく関係がないということはいまや常識です。ありもしない二重行政の弊害をあげつらってまで、大阪市が十分担っている、大阪市の街づくりの権限を府に移譲する、などということは、市民への背信行為でさえあると申し上げたいのです。

 その点では、「大都市地域特別区設置法」において、政令指定都市を廃止し特別区を設置する際、なぜ、住民投票が義務付けられたのかを想起すべきだと思います。市民に不利益があるからこそ、住民投票が行われた。そして大阪市民は悩みぬいた末に、自らの権限と財源で街づくりを担っていく政令市・大阪市の存続を選び取ったのです。“究極の民主主義”だとしてコロナ禍のさなかにもかかわらず強行した住民投票の結果を、議会の多数のみをもって、一片の条例で覆すようなことは、地方自治をうたった憲法にも、地方自治法にも、そして「大都市地域特別区設置法」にも背くものです。

 本条例案は住民投票の結果を踏みにじる点でも、市民に不利益をもたらす点でも、許されない条例だと重ねて強く申し上げます。

 最後に、大阪の成長だ、広域行政の一元化だといって推進しようとしているのは、結局IR・カジノや、なにわ筋線などの不要なインフラ整備であり、すべからくインバウンド頼み、インバウンド対策です。これがいかにもろいものかは、はっきりしたではありませんか。市民の懐を温めて、内需の拡大をはかることこそ肝要であり、そのためにも、政令指定都市としての大阪市の役割発揮が強く求められていることを申し添え、反対討論といたします。