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大阪市教育振興基本計画に反対する 井上議員の討論 |
井上ひろし市会議員 2022年3月29日 |
私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第72号「大阪市教育振興基本計画の策定について」に反対する討論を行います。 反対する理由を、大きく3点申し上げます。
まず、第2編「基本的な方向1」の「不登校への対応」についてです。
基本計画案には、「不登校児童生徒の在籍比率は、小学校・中学校ともに高い傾向が続いている状況がある」と、現状認識についての記載があるものの、その要因についての検証や分析についての記載が全くないという点です。
国連こどもの権利委員会は、「日本の教育システムは、あまりに競争的なため、こども達が強いストレスを感じており、それがこども達に発達上のゆがみを与え、こどもの体や精神の健康に悪影響を与えていることを指摘し、適切な処置を取るよう」勧告しています。同時に、「こうしたストレスの多い教育環境の影響で、不登校のこどもが多い」ということにも懸念を示しています。
これは日本政府に対する勧告ではありますが、基本計画案に掲載されている「不登校児童生徒の在籍比率の対全国比」の本市の指標は、全国平均を大きく上回っており、本市の教育現場には極度のストレスが加わっている証左と言えます。そのストレスについて、詳細な検証や分析こそ、「不登校への対応」の前提であると申し上げておきます。
二つ目に、第2編「基本的方向4」の「全市共通テスト等の実施と分析・活用」についてです。
本市の公教育の現場における学力行政テストは、橋下市政以降、他都市に類を見ない程の異常な回数となっています。これは、1点目に申し上げた、ストレスの多い教育環境の一因となっているだけでなく、教員の多忙化にも拍車をかけているのであります。
しかしながら、この点についても現場の声や専門家の意見を踏まえた検証や分析についての記載は一切なく、ただ粛々と学力行政テストを進めていくという立場を表明しているに過ぎません。異常なテスト漬けの是正こそ求められていると申し上げておきます。
三つ目に、第2編「基本的な方向7」の「学校配置の適正化」についてです。
本市の学校活性化条例では、学校適正配置についての基準が明記されています。このような基準を条例に位置づけている自治体は、本市以外に承知しておりません。教育委員会は、条例に位置づけた理由を、「関係者も多く、意見がまとまりにくい状況があったことから、統一的なルールが必要であった」と説明しました。
しかしながら文科省が、「学校規模の適正化や適正配置の具体的な検討については、行政が一方的に進める性格のものでないことは言うまでもない」としているにも関わらず、本市においては、この指針からも大きく逸脱した強権的な教育行政を推し進めているのであります。
この間の、生野区における前例の無い大規模な学校統廃合によって、地域には住民の中に分断の傷跡が残ってしまいました。関係者を深く傷つけてきたことへの反省も総括もなく、今後も統一的なルールを画一的に当てはめていくことを指し示す、基本計画案には到底賛成できません。 以上、反対の理由を述べ討論とします。
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