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市議団の実績

2022年度大阪市一般会計等予算案に対する
長岡議員の反対討論

長岡ゆりこ市会議員

2022年3月29日

 私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、2022年度大阪市一般会計等予算案に反対する討論を行います。

 大阪府の新型コロナウイルスによる累計死者数が4600人を超え、500万人以上も人口が多い東京都の死者数を上回り続けており、市民の命とくらしを守るために総力を挙げることが、府内人口の三分の一近くを占める本市の最大の責務です。

 ところが本予算案に見られるのは、際限なく上振れをきたし続けている大型開発に、立ち止まることなく突き進む危険な姿であり、市民の命とくらしを守るべき、基礎自治体の責務を果たしているとは到底言えません。

 以下、具体に指摘いたします。

 第一は、くらしや営業、教育をめぐり、市民の切実な声に応えるものとなっていない点です。

 まず国民健康保険についてです。本市の国保会計は、後期高齢者医療制度が実施された2008年度から、ほぼ毎年単年度黒字を重ね、今日に至るまでの黒字額の合計は、実に455億7千万円にものぼります。

 ところが、都道府県単位化前の2017年度の任意繰り入れは135億円だったにもかかわらず、来年度は59億円にとどめようというのです。来年度、国保料の4%引き上げが実施されれば、維新市政の通算11年間で、15%もの値上げという事態になります。市民に耐えがたい痛みを押し付ける、冷たい市政の姿がここに表れているのであり、逆に国保料の引き下げでコロナ禍にある市民生活を支援すべきです。

 コロナ禍のもとでの中小零細業者への支援にかかわり、営業時間 短縮協力金については、飲食店 営業許可 件数等をもとに算出した想定件数9000件に対し、 実績は2700件でした。また、賃料60万円以上の店舗への上乗せについても、想定件数12, 200件に対して、実績は3300件にとどまりました。

 当初の想定からの著しい乖離を生んだ現状は、本市の事業所数の99%を占める中小零細業者への支援のありかたを、真剣に模索していない結果だと言わなければなりません。苦境に直面する本市の中小零細業者の立場に立ち、真に必要としている支援の内容と方策について、根本的に考え直すべきであると申し上げておきます。 

 続いて教育についてです。

 まず、生野区の学校統廃合問題について申し上げます。文部科学省は、学校規模の適正化や適正配置の検討について「行政が一方的に進める性格のものでないことは言うまでもありません」という認識を示しています。

 ところが本市では、生野区での大規模な統廃合計画が思うように進まないとみるや、学校統廃合の基準等の条例化を強行しました。全国的にも類を見ない異常な強権ぶりをあらわにしているのであります。

関係者が議会のたびに何度も陳情してきたように、多くの関係者が全く納得していないばかりか、遠距離となる通学路の安全対策も放置されたままであることや、田島・生野両中学校区ともに、4月に開校しても工事中のため、運動場も使用できず、工事の完了は11月末という異常事態となっています。

 地域に分断と禍根を残した、このような一方的なやり方はやめるべきです。

 また、本予算案には、2024年度開設予定の、不登校特例校の実施設計 予算が計上されています。本市において、不登校の児童生徒が増加の一途をたどる中での特例校設置の方針ですが、問題は、不登校特例校に天王寺中学校および文の里中学校の両夜間学級を統合しようとしていることです。

 つまり、現在市内にある4つの夜間中学校を3つにしてしまおうというのです。これに対し、夜間学級の関係者は両校の存続を求め、今議会に陳情書を提出され、先般の常任委員会でも審議されたところです。不登校の児童生徒と夜間学級の生徒とでは、教育課題や専門性が全く異なるのであり、4つの夜間学級はそのまま存続し、これまでの歴史と成果を踏まえ更なる発展を目指すべきです。

 第二は、公衆衛生、医療、教育などの分野で、公共の役割の大切さが改めて認識されている中で、それに対応するものとなっていないばかりか、さまざまな事業・施設の統廃合や府への移管を引き続き強行している点です。

 まず、保健所体制についてです。

 本予算案では、各区役所に保健師を1人から2人増員するとしていますが、果たしてこれで大規模感染症に対し、迅速かつ的確に対応できるのでしょうか。このたびのパンデミックの教訓を踏まえた対応とは到底言い難いものであり、保健師の大幅な増員こそが求められています。

 新型コロナウイルスの拡大という未曾有の危機を経験するもとで、公的医療の重要性も改めて浮きぼりになりました。小児・周産期医療の病床を設置しない、住吉市民病院跡地への新病院計画は、市民との約束を反故にするものであり、住吉市民病院が担ってきた公的医療を、しっかり継承する計画へと見直しを図るとともに、コロナ危機の教訓を踏まえた公的病院としなければならないと申し上げます。

 次に、大学統合についてです。

 大阪市立大学、大阪府立大学の両大学もまた、二重行政だと決めつけられ、統合議論に振り回されてきました。2022年度の開学ありきで、新大学の学部集約やキャンパス整備は後追いで進めるという逆立ちしたスケジュールにも、大学関係者の意向や、内発性のかけらもないことが端的に表れています。森之宮へのメインキャンパスの整備など、高等教育機関を大規模な開発に利用することはやめるべきです。

 市立高校の府への移管についても申し上げます。

 戦前から府は現在の普通高校である旧制中学校、市は実業学校を中心に整備が進められてきたのであり、歴史的経過からも府と市では設置理念が異なります。したがって、高校教育においても二重行政などは存在せず、府への移管は教育上の必要は全くありません。

 そもそも、2014年の府市統合本部会議において、「新たな大都市制度実施時に、大阪市立高校を府に移管する」方針が決定しますが、2015年、2020年の住民投票において、いわゆる都構想は否決されたのであり、本来、白紙撤回すべき計画であることは論を待ちません。校舎や敷地など市民の財産を丸ごと府へ無償譲渡し、100年を超える伝統と実績を誇る高校教育を本市が放棄することには一片の道理もありません。

 第三は、上振れ続きの大型開発を、立ち止まることなく推し進めている点です。

 本予算案には、夢洲を舞台とした大型開発が目白押しですが、夢洲での万博開催の狙いは、半年間で終了する万博のためというよりも、その後、長期に渡って営業させようとするIRのためであると、これまでわが党は厳しく指摘してきました。

 巨大なハコモノ施設で集客し、三密状態でギャンブル漬けにするIR・カジノというビジネスモデルに、未来はないことが明確な今日においてもなお、「世界最高水準の成長型IR」を目指すとしている訳ですが、2月15日に府市と大阪TR株式会社が締結した基本協定書は、唯一大阪進出を表明しているカジノ事業者の言いなりとならざるを得ない内容であります。本市財政を破たんに導くIR誘致は、キッパリと断念するとともに、夢洲での万博開催は中止するべきです。

 淀川左岸線2期事業についても、軟弱地盤や土壌汚染への新たな対応が必要だとして、事業費がさらに大きく上振れすることとなりました。

 もともと将来人口や交通量の減少が予測される中、必要性自体、疑問視されているだけでなく、河川堤防を6qにわたり開削するという事業はハイリスクのため前例がありません。災害対策に逆行し、自然環境に与える負荷も大きいため、本事業は中止するべきであり、淀川左岸線延伸部事業についても、同様に中止すべきと申し上げておきます。

 また、なにわ筋線については、その開業によって大阪―関西空港間で約5分の短縮が図れると言いますが、もうすでに大阪市中心部は過密と言えるほど縦横に鉄道路線が張り巡らされているのであり、この上また新たな地下鉄道の建設を目指すことは、都心中心部への過剰な投資と言う他ありません。わずか5分の短縮のために、総事業費3300億円をつぎ込むことは、あまりにも無謀であると申し上げ、以上、反対討論といたします。