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2021年度大阪市公営・準公営企業会計の 決算認定に反対する井上議員の討論 |
井上ひろし市会議員 2022年10月21日 |
私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2021年度大阪市公営・準公営企業会計の決算認定に反対する討論を行います。
夢洲を舞台とした大型開発をはじめ、府市一体となって熱中する、大型公共事業の数々が、際限のない上振れを引き起こし続けている現状は、まさに最悪の「二重行政」と言う他なく、現府・市政にとって、これほど皮肉な話はありません。
公金の途方もないムダづかいと、「何でも民営化」を前のめりになって推し進めてきた本決算は、容認できません。
以下、具体に申し上げます。
まず港営事業についてです。 先般の決算委員会において私は、土壌汚染および液状化対策にかかる788億円もの債務負担行為について質疑しました。788億円のうち410億円は、液状化対策とされていますが、そうした理由で、本市が事業者の負担を肩代わりした事例は過去に一つも無いことに関わり、本市のボーリング調査では、液状化しないとの判定であったものが、IR事業者のボーリング調査では、液状化層の存在が判明した経緯について、問い質しました。
驚くべきことに港湾局は、IR事業者による調査の妥当性を検証すべく、本市独自の再調査を行なっていないばかりか、液状化対策にかかるとされる費用の積算も、施工業者との契約も、全てIR事業者に行わせると答弁したのであります。
液状化に対する、これまでの本市の見解を覆す訳ですから、事業者の主張を鵜吞みにするのではなく、本市として主体的に現地での再調査を行うことはもとより、本来、公費を投入するのであれば、費用の算定および工事の入札・契約も本市の責任で行うべきです。そうでなければ、事業者の「言い値」をただ追認するだけの立場となり、事業者側にも対策費を減らそうというインセンティブが働きません。
しかも、莫大な公費を投入してもなお、借地料に反映させないという異例の特別扱いは、公有財産の管理としても極めて不適切、かつ行政の公正性が問われる重大事態であります。
行政の公正性を歪め、天井知らずの公金投入につながる、夢洲開発およびIR誘致はやめるべきであります。
また、本市が、IR事業者に賃貸する予定の、49万平方メートルの不動産鑑定評価を、4業者に依頼した経過と結果についても問い質しました。
IRは、カジノを核に、ホテルや展示場などを備えた施設であるにもかかわらず、なんと本市は、鑑定評価の際、IR・カジノを考慮外とするよう鑑定業者に指示していたのであります。
一般的に、鑑定業者は自らの判断で、鑑定の前提となる用地を特定し、評価額を算定する訳ですが、なぜか4業者とも49万平方メートルもの広大な敷地全体を、ホテルなどよりも価値の低い、ショッピングモールなどの大規模複合商業施設を前提としているのであり、その結果、賃料の大幅値引きとなっているのです。
そればかりか、1平方メートルあたりの更地価格の鑑定結果は、4業者のうち3業者が12万円とピッタリ一致し、1業者も11万8千円と限りなく近似しており、利回りに至っては、3業者が4.3%と少数点まで一致しているのであります。
「偶然の一致」では到底説明のつかない不可解さを指摘し、鑑定評価のやり直しを私が求めたのに対し、理事者は、「それぞれが独自に判断した結果であり適正。やり直しは必要ない」と、開き直りの答弁に終始しました。
私は、鑑定士に確認したうえで質疑に臨みましたが、「一つの土地を一律に同じ利用の仕方で評価するということは、常識的にありえない。そうした認識を行政が持っていたとすれば、市民の財産を適切に管理することはできない。大きな土地に、商業施設やマンションなど、複数の多種多様な建物が建つことは、当然よくあることであり、広大な土地を一律に判断することに、そもそも無理がある」とのことでした。まさに、鑑定評価への信頼を損なう評価額談合とも言うべき事案であり、こうした事態を見過ごし、国が認可しようものなら、国の見識も問われることになります。
賃料大幅値引きを固定すれば、大阪港埋立事業の資金収支は悪化し、資金ショートを引き起こすことは避けられません。
もとより、夢洲を舞台とした数々の大型開発自体が、「負の遺産」となろうとしているのであり、本決算は到底認められません。
次に水道事業についてです。
約1年前の「大阪市水道PFI管路更新事業」について、応募者辞退により公募手続きが中止となった後の、辞退の理由について私は問い質しましたが、その主な理由は、「事業費増加リスク」によるものとの答弁でした。
そうであれば、「事業費増加リスク」に直接責任を担える、公共が対応する方向へ軌道修正をはかるべきです。
また、「管路更新のペースアップを図れる」との水道局の主張は、極めて根拠に乏しく、「新たな官民連携プラン」なる複雑な仕組みの構築に、時間を費やし続けるのではなく、すみやかに公営体制で更新に着手することこそ、一番確実なペースアップではありませんか。
水道局は、ことさらにPFIの優位性を強調しますが、要件を緩和しての再公募であることに変わりありません。私は、住吉市民病院の廃止が強行された時を想起します。やはりあの時も、公募のたびに要件を緩和していきましたが、何度公募しても不調に終わり、遠回りをした挙句、結果的に民間病院の誘致に失敗しました。当初の計画通り、公共の責任で現地建て替えを行っていれば、南部医療圏に切実に求められている小児周産期医療の充実を図れたのであります。
PFIを導入することが、目的となってしまっている新プランは本末転倒であり、「命のインフラ」は公営体制の強化で対応していくべきであります。
以上、討論といたします。
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