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市議団の実績

万博カジノ経費増 市民負担
大阪市議会 井上議員が反対討論

井上ひろし市会議員

2023年10月18日

 大阪市議会本会議が18日開かれ、日本共産党の井上浩議員が2022年度大阪市公営・準公営企業会計の決算認定に反対する討論を行いました。同決算は共産党以外の賛成多数で認定されました。

 井上氏は、万博開催とIR・カジノ誘致のための夢洲(ゆめしま)大型開発の経費が上ぶれにつぐ上ぶれを引き起こしている現状について、「将来世代への負担となって市民の身にふりかかろうとしている。疑問視する声に対し立ち止まって検証しようともしない姿勢に全く道理はない」と強調。「公営企業として果たすべき公共の役割と市民サービスの充実は後景に追いやりながら、万博やIR・カジノを前のめりで推し進める本決算は到底容認できない」と述べました。

 IR・カジノを特別扱いし公金による液状化対策をはじめIR事業者に賃料の大幅値引きをしたことなど「行政の公正性・公平性をゆがめただけでなく、今後の港営事業会計に深刻な影響を及ぼすのは必至」だと指摘。

「IRが立地しなかった場合や途中撤退した場合、夢洲での収入が見込めなくなり資金ショートを引き起こすことは避けられない。『IR・カジノ頼み』は“危険な賭け”と言うほかない」と批判しました。

(20231020日付しんぶん赤旗)



 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2022年度大阪市公営・準公営企業会計の決算認定に反対する討論を行います。

 

 国府市一体となって突き進む、夢洲を舞台とした大型公共事業の経費が、上振れにつぐ上振れを引き起こしており、将来世代への負担となって市民の身に降りかかろうとしています。

 工事の大幅な遅れと費用の極端な増嵩、急ピッチの工事ゆえの安全性への懸念をはじめ、万博開催とIR・カジノ誘致のための夢洲大型開発を疑問視する声に対し、立ち止まって検証しようともしない姿勢に全く道理はありません。

 公営企業として果たすべき、公共の役割と市民サービスの充実は後景に追いやりながら、万博やIR・カジノ誘致は前のめりで推し進めてきた本決算は、到底容認できません。

 以下、具体に申し上げます。

 

 まず港営事業についてです。

 夢洲の埋め立て等の総事業費は3349億円でありますが、起債の償還は埋め立て地を整地して強大な建物やインフラを要しない、国際コンテナ貨物中心の物流基地として物流業者に売却し、起債償還に充てる計画でした。

 2015年に、夢洲まちづくり構想中間取りまとめが策定される以前は、大規模な物流倉庫用地など相応の需要があったため、産業物流ゾーンとして土地売却を進めていけば、順調に売却できたにも関わらず、一転してIR・カジノ誘致で償還する方向に転換、同年から土地の売却を止めてしまいました。

 IRはカジノを核に、ホテルや展示場などを備えた施設であるにもかかわらず、本市は鑑定評価の際、IR・カジノを考慮外とするよう鑑定業者に指示しただけでなく、鑑定業者も本来、自らの判断で鑑定の前提となる用地を特定し、評価額を算定するはずが、不可解にも4業者が揃って49万平方メートルもの広大な敷地全体を、ショッピングモールなどの大規模複合商業施設を前提としたのであり、その結果、賃料の大幅値引きが行われることになりました。

 IR・カジノを特別扱いし、液状化対策をはじめ公金によるありとあらゆるお膳立てをした挙句、賃料の大値引きをしたことは、行政の公正性・公平性を歪めただけでなく、今後の港営事業会計に深刻な影響を及ぼすのは必至であります。

 また、夢洲駅周辺事業の公募をしても、民間事業者が1社も名乗りを挙げなかったことは、万博やIR・カジノの集客や経済効果が期待されていないことの証左であり、万博を開催できたとしても、その後の夢洲まちづくりが容易には進まないことを示唆しています。

 以上のことを勘案すれば、大阪港埋立事業の資金収支は悪化の一途をたどる可能性があります。とりわけIR・カジノが立地しなかった場合や途中撤退した場合、夢洲における収入が見込めなくなるため、資金ショートを引き起こすことは避けられず、まさに「IR・カジノだのみ」は“危険な賭け”と言う他ないのであります。

 もとより、夢洲を舞台とした数々の大型開発自体が、すでに「負の遺産」となろうとしているのであり、本決算は到底認められません。

 

 次に、水道および下水道事業についてです。

 先般の決算委員会において、夢洲におけるインフラ整備総額の見込みを確認したところ、上水道は約34億円、下水道は約115億円とのことでした。これらも例にもれず、当初の整備費用の見込みから大きく上振れしています。

 一方、本年9月10日の豪雨の際、市内では道路冠水が7区58カ所、床上浸水が2区4  戸、床下浸水が5区59戸という状況だったのであり、昨今の自然災害の大きさを表しています。 

本市の水道および下水道事業が最優先すべきは、270万を超す人々が住まう場所での豪雨対策や老朽管の取り替え、耐震化など、安全・安心の確保であり、人が住めない人工島でのインフラ整備に巨費を投じることは、本末転倒であると申し上げておきます。 

 

 最後に、水道PFI管路更新事業についてです。

 「大阪市水道PFI管路更新事業」公募の不調の主な理由は、「事業費増加リスク」によるものでした。そうであれば、「事業費増加リスク」に直接責任を担える、公共が対応する方向へ軌道修正をはかるべきです。

 「新たな官民連携プラン」なる複雑な仕組みでの公募に時間を費やすのではなく、すみやかに公営体制で管路更新に着手することこそ、一番確実なペースアップではありませんか。

本市はこれまでも、公的施設等の廃止後の民間公募が不調に終われば、「民営化ありき」で、民間事業者が手を挙げやすいように要件をやすやすと緩和し、再公募を行なってきました。

水道局は、ことさらにPFIの優位性を強調しますが、公募要件を緩和してまでPFI導入に固執するのではなく、「命のインフラ」は公営体制の強化で対応していくべきであります。

 

 以上、討論といたします。