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「『こども誰でも通園制度』の制度拡充を求める意見書(案)」 に対する山中議員の反対討論(2024年5月28日) |
山中智子市会議員 2024年5月28日 |
私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、議員提出議案第12号「地域における『こども誰でも通園制度』の制度拡充を求める意見書(案)」に反対する討論を行います。 国が、子育て支援の拡充策の一つとして、2026年度から本格実施しようとしている「こども誰でも通園制度」について、制度の拡充等を求める意見書です。
「孤立する子育ての不安に応え、親の就労にかかわらず、すべての子どもの育ちを応援する」という理念には、全面的に同意いたします。けれども、この制度はあまりにも保育現場の実態を無視し、「子どもの育ちを支援する」という言葉とは裏腹に、子どもたちに負担を強いるものであり、拡充ではカバーできないほどの不備を抱えていると言わざるを得ません。
人見知りの時期の乳幼児を事前面談もなく単発的に数時間預けることは、子どもにとっては大きなストレスです。数時間泣くだけで終わり、という子もいるでしょう。保育事故は預け始めた時期に起きやすいことから、子どもの命が危険にさらされる、という声も多く聞かれます。政府は「柔軟に」「簡単に」「タイムリー」に予約できることを新制度の利点として押し出し「できるだけ利便性を高めたシステム」にするとしていますが、子どもは荷物ではありません。心も体も一人ひとり違う個性をもつ命です。簡単に預けられたらいい、などという乱暴な発想からうまれた制度が、「子どもの育ちの支援」になどつながらないことは火を見るより明らかではないでしょうか。
しかも、保護者と事業者との直接契約にすることで、公的な責任を限りなく後景においやるものです。 スウェーデンでは「1歳になった子は家庭の状況に関わらず保育園に行く権利がある」とされ、申し込んでから3か月から4か月以内に席を用意するよう自治体に義務付けられていることは周知の通りです。そんなふうに、すべての子どもは家族の就労状況に関係なく保育を受ける権利を持っており、その権利は社会的に保障すべきだ、というのが世界の大きな流れです。
日本でも、「親の就労に関わらずすべての子どもの育ちを支援する」というのなら、親がどれだけ働いているかなどで対象をしぼる「保育の必要性」の要件を見直して、すべての子どもたちに質の確保された保育を保障できるようにすべきです。 2026年度からの本格実施に向けて、本市でも「試行的事業」が開始されますが、保育関係者の皆さんは、不備の多いこの制度が実施ありき、導入ありきで進められることを非常に危惧しておられます。こんなやり方ではなく、保育士の処遇改善と配置基準の抜本的改善をおこない、公的保育を拡充することで、「だれでも通園」の土台をつくることこそ、国に求めるべきだと考えます。以上、討論といたします。
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