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市議団の実績

秋の大阪市決算議会を終えて

日本共産党大阪市会議員団・関根信次幹事長に聞く
 

  大阪市の2001年度公営・準公営企業会計決算を審議する市議会が、9、10月に開かれ、続いて、一般会計決算を審議する市議会が12月3日に閉会しました。今回の議会の特徴について、日本共産党大阪市会議員団の関根信次幹事長に聞きました。

  今度の市議会の特徴は、わが党議員団の論戦で、「営利企業化」「開発会社化」した大阪市の姿がこれまで以上にうきぼりになったこと、これを容認し推進する自民、公明、民主の本質と市民本位を貫く日本共産党の役割がいっそう明確になったことです。
  まず、11月19日に磯村市長が出した「財政非常事態宣言」をめぐる論戦です。「宣言」は、深刻な不況による税収の落ち込みなどで来年度900億円の財源不足におちいるとし、その矛先を生活保護などの福祉や人権費に向け、市民と職員へのしわよせで打開する方向を打ち出しました。与党もこれに呼応し、「特別養護老人ホームの整備助成を見直せ。学校給食の民間委託、幼稚園の民営化を。職員の給与削減を」(自民)、「職員2000人削減計画の前倒し実施と削減目標の引き上げを」(公明)などと主張しました。
  わが党は、過去20年間の市財政の推移を示し、財政悪化の原因は国の政策に追随して大型公共事業を借金をかさねて進めてきたことにあり、扶助費、人件費ではないことを明らかにしました。また、介護保険では、高い利用料のためサービスをひかえる人が多く、75億円もの剰余金がためこまれており、これを活用すれば保険料が値下げできることなど、医療・福祉の拡充へ積極的な提案をおこないました。
 大阪市は、「財政非常事態宣言」を出してから、生活保護年末一時金の一人2000円カット、学校維持運営費の5%カットを強行しました。また、国保料滞納者への短期保険証・資格証明書の発行、安上がりで民間まかせの保育施策など市民につめたいしうちをすすめています。ここに「営利企業化」した大阪市の姿があらわれています。福祉と教育を守る自治体の役割を投げ捨てるものといわなければなりません。

 また、まるで「開発会社」のようにむだな巨大開発をすすめ、そのいきづまりがいよいよ明らかになっているのに、夢洲開発などをやめようとせず、新たに「都市再生」と称して梅田北ヤード開発も推進しようとしています。
夢洲では水深15メートルのバース(埠頭)を3つも計画。340億円もの事業費を投入した1つのバースにはまだ1隻も船が入らず、巨大なクレーンは放置され、間口350メートル、奥行き500メートルの広大な用地は草が生えるにまかせています。事業費2兆2000億円もの「テクノポート大阪」計画は、オリンピック招致失敗で見直しをせまられたものの、時期を遅らせるだけで、夢洲での住宅建設などを2010年から2011年に開始することを明らかにしました。公共性のうすい娯楽施設・USJには、出資金・貸付金、用地の提供など839億円もの公金を投入しておきながら、地元商店街や大阪経済の活性化には役立たず、区画整理事業は700億円の借金をかかえ、500億円相当の保留地も売れる見込みがたたず、どうにもならなくなっています。また、WTCなど5K赤字穴埋めに、貸付や市関係の入居などで186億円もの支援をおこないました。土地信託事業もことごとく失敗。霞町のフェスティバルゲートは、開業当初から120億円も借金がふえて330億円になり、「赤字が累積し、事業継続が不可能」と銀行が信託契約の辞任を申し出ていることが明らかになりました。

 以上のような、むだと浪費の大型開発関連予算は年間約1000億円です。わが党は、財政非常事態というならここにメスを入れ、福祉と教育の拡充、中小企業支援にこそ予算をふりむけるべきだと迫るとともに、3セク支援の中止、信託事業の解約を主張しました。与党議員は、WTCやATCについては「武士の商法のみじめな破綻」などと、失敗を認めざるをえなくなったものの、新たに梅田北ヤード開発の推進を要求するなど、巨大開発推進の立場は変わりません。公明党は北港テクノポート線(咲洲、夢洲、舞洲、此花区をつなぐ地下鉄)を「夢洲まででこの計画はとどめるべきだ」と 夢洲開発の推進を主張しました。
また、同和住宅の募集方法、教員の加配、人権文化センターの過大な職員配置、一民間病院にすぎない芦原病院への年間10億円もの運営助成など、いまだに同和特別扱いがまかりとおっているのに、一切の同和優先をやめ、自由な社会的交流をすすめようと主張したのはわが党だけでした。

 またわが党は、議案提案権を活用して、「大阪市地域金融活性化に関する法案」と「大阪市介護保険条例修正案」、2つの条例を提案しました。経済が全国最悪の大阪で、金融機関の貸し渋り・貸しはがしを行政が規制することは中小企業を支援するうえで重要な課題になっています。介護保険の保険料減免の拡充と利用料減免を実現することは自治体の重要な仕事です。いずれも、市民のみなさんの切実な願いにそった積極的な提案だと確信しています。
 もうこれ以上、磯村市長や与党に市政をまかせるわけにはいきません。無党派の方、保守の方との共同を広げ、大阪市政の民主的転換へ全力をあげる決意です。