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市議団の実績

大阪市1999年度大阪市一般会計決算議会を終えて

日本共産党大阪市会議員団関根信次幹事長に聞く

2000年12月5日

 大阪市1999年度大阪市一般会計決算議会を終えて

日本共産党大阪市会議員団関根信次幹事長に聞く

 〇 今回の決算の特徴をお話ください。

  大阪は失業率や企業の倒産など、どの指標を見ても深刻な事態におかれています。こういう中で、260万市民のくらしに直接責任を負う大阪市としては、国の悪政の転換を求めつつ、市民の福祉を保持する地方自治体の役割をしっかりと果たしていくことが求められています。

 ところが今回の決算にあらわれているのは、肝心の市民の願いには冷たく、国追随の巨大開発や不公正乱脈な同和事業には手厚く予算執行するという大阪市の姿です。

 たとえば、「3K赤字」といわれて経営破たんが明らかな巨大ビル(WTCATC、OCAT)への支援に、97億3300万円もの貸付をおこないました。これでも足りず、WTCには建設局、水道局、下水道局などが移転します。この三局の移転費用や敷金に32億4400万円もかかります。

 大阪ドームも99年度決算で債務超過に陥り、「4K」となりました。東京も名古屋も福岡もドーム球場は、その都市の設置気運の高まりの中で民間が建設しました。大阪も当然民間がおこなうべき事業でした。ところが、大阪市は民間をリードするとばかりに筆頭株主となって突っ走ったのです。

 同和行政も本当にひどいものです。同和事業の根拠となる法律は97年度で基本的に失効しているにもかかわらず、99年度も多数の教員や保母加配をおこない、一民間病院にすぎない浪速区・芦原病院に11億3100万円も助成、同和浴場の改修には8億2000万円も支出しています。

 また、「解同」の要求で次々と土地を買ったものの、未利用の土地が7・4ヘクタールも残り、浪速区は空き地だらけという状況です。同和住宅もガラガラです。市民から見れば乱暴きわまる税の使い方だと言わねばなりません。

 〇 大阪市の市民に冷たい姿勢が改めてうきぼりになりましたね。

  この間、大阪市に学童保育条例の制定を求める直接請求署名運動が取り組まれ、一カ月間で15万をこえる署名が集められました。学童保育が長年にわたり、共働き家庭などの子どもの放課後に適切な遊びと生活の場を保障し、健全な育成をはかるうえで大きな役割を果たしてきました。ところが大阪市は、指導員の人件費にも満たないわずかの補助金でお茶をにごし、空いている小学校の教室さえ使わせないという本当にひどい態度をとっています。

 介護保険については、この5カ月間の保険給付額が大阪市では見込みの69%にとどまっているように、利用料が高くて必要なサービスが受けられないお年寄りが続出しています。当面、非課税者の在宅サービスを一律三%にするなどの措置を国に求めつつ、市独自に利用料の減額にふみだすべきですが、市当局はこういう姿勢を示しませんでした。

 生活保護世帯の年末一時金をこの冬、8200円から8150円に50円切り下げたことも許せません。この減額分の総額はわずか196万円です。

 先にのべたように、大阪市は一方では莫大なむだづかいを重ねています。市民のくらしを支援する大阪市に転換しなければと、改めて決意を新たにしています。

 〇 市民要求の実現についてはどうですか。

 今度の市議会にも、市立大道保育所、矢田第二保育所の廃止撤回や浪速区・日本橋中学校での学校給食の実施、市民本位の国保行政、障害者小規模作業所への助成拡充、保健所・保健センターの充実など、切実な市民要求に根ざした請願や陳情が多数提出され審議されました。

 またわが党議員団は、乳幼児医療費無料化の拡大(現在四歳までを小学校就学前までにする)と所得制限をなくす条例案を提案しました。この問題での条例提案は16回目です。大阪市ではこの11月から無料化を三歳までから四歳までに引き上げましたが、この間のねばり強い運動の成果です。小学校就学前までの拡大は市民の強い願いであり、来年からの実施へ、市民のみなさんといっそう運動を広げたいと思います。

 マンションの集会所とプレイロット(子どもの遊び場)の固定資産税減免も実現しました。市内の分譲マンションは2210団地(17万5000世帯)もありますが、現行の減免規定は制約が多く、適用団地はわずか二つしかありませんでした。この問題を何度も議会でとりあげてきたわが党議員団の努力とマンション入居者の要望がついに実ったものです。

 〇 市長の政治姿勢についても問題になりました。

  昨年の中村前議員の逮捕に続き、今度は天野前議長が市発注の工事に絡んだ事件で逮捕されました。政・官・業の癒着を断ち切ることが今強く求められています。この点で、市の幹部職員の天下り問題を放置することができません。

99年度も課長級以上の251人中99人が外郭団体に、119人が民間企業等に再就職しています。このことを追及したわが党議員に、磯村市長は「キャリアを生かしてやってもらっている」などと無反省な答弁をおこないました。

高級役人天国を改めようとしない市長の態度は、市長自身の政治資金の中身にも表れています。大阪都市問題研究会という政治資金管理団体を通じて、昨年の市長選挙の際、2億8000万円もの資金を集めましたが、その内、名前がわかっているだけで159人もの「天下り」と言うべき市役所OBが募金しています。

最後に、長居公園の野宿生活者「仮設一時避難所」建設の問題です。地域住民や当事者から、疑問や批判の声がたくさん出され、市民との話し合いを求めているにもかかわらず、市長は議会で「すべての所に顔を出すひまもエネルギーもない」などとのべ、ついに建設を強行しました。いまからでも中断し、住民合意への努力を重ねるとともに、野宿者をなくす抜本策をしめすべきです。