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大阪市製造業実態調査から見えてくるもの 日本共産党江川繁大阪市会議員に聞く | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
○ かねてから日本共産党市会議員団として、東大阪市の前長尾市政が実施したように、市内全事業所の実態調査を求めてきましたが、その一環として、大阪市製造業実態調査が実施され、調査報告書と、実態調査にもとづく大阪市ものづくり再生プランが発表されました。今日は、それについて大阪市議会文教経済委員の江川繁議員に話を伺いました。 ○ まず、今度の調査でどのようなことがわかったのですか。
○ 今回の調査は、2002年6月から12月まで行なわれました。市内製造業(工場)約23,000事業所(2000年度工業統計)のうち、廃業や休業をのぞく約2万の事業所を対象とした大規模な調査で、約17,000の事業所から回答を得ました。このうち98.4%が資本金1億円未満の中小企業です。そのなかで、第一にハッキリしたことは、市内製造業が大変危機的な状況に陥っているということです。2000年の調査からわずか2年半で、すでに3,000社が廃業や休業で調査すること自体ができませんでした。そして、「今後の事業継承をどうされますか」という質問に対して「廃業する」とした事業所が5,023社、3割に上りました。とくに個人営業では、8,834社中、4,118社、実に46%が今後2〜3年の間に廃業を考えているのです。市内の製造業事業所数は、この間減り続けています。1993年から2000年までの7年間で事業所数も従業者数も7割台にまで落ち込んでいます。その上、市内製造業の3割が今後2〜3年に廃業する見込みだということですから大変深刻です。この調査を受けて作成された「大阪市ものづくり再生プラン」のなかでも、「ものづくり産業の活力の低下は、それそのものの影響だけではなく、ものづくり産業から波及するサービス業、商業などにもマイナスのインパクトを与えることも懸念される」と、その影響の大きさを指摘しています。
○ その原因は何でしょうか
○ 「現在直面している経営上の問題点、最も困っていることは」の質問では、1位が利益減少の29.2%、2位が顧客の減少16.5%、3位単価の切り下げ13.3%と、この三つに集中しています。とくに個人企業では、それぞれ、32.6%、19.9%、13.9%となっているように、規模の小さい企業ほどこの三つの原因の影響が大きくなっています。また、自社製品を製造している企業より、賃加工、下請け製造企業のほうが、「利益減少」や「単価の切り下げ」の影響が大きく出ています。長引く不況に加えて、大企業の無秩序な海外進出、リストラ・下請け切り捨てで、市内製造業は大きな打撃を受け、ものづくりの基盤そのものの崩壊が懸念されているのです。 ○ 打開の道はあるのでしょうか。
○ まず、国の経済政策の抜本的な転換が必要です。今日の経済危機の原因は、小泉内閣が、不況のときに不況をより深刻化させる「構造改革」=不良債権処理の強行・大企業のリストラ支援・社会保障改悪などを推進してきた結果です。暮らしと社会保障、雇用と中小企業のために予算を重点的に配分して、経済危機を打開することがどうしても必要です。 ○ 大阪市の役割も大切ですね。
○ そのとおりです。「大阪市は今後どのような産業振興策を強化すべきか」という質問では、融資制度が4,404件で第一位、「営業活動を支援するための施策」2,673件、「製品開発力や技術開発力を強化するための支援」1,617件、「優良技術者の育成、技術の伝承」1,079件と続いています。(複数回答)公的融資に対する要求とともに、営業力の強化や技術力の強化など、経営基盤への踏み込んだ支援を求めていることが特徴です。みなさんにご支援いただいた先日の市会議員選挙では、日本共産党は、大型開発優先の税金の使い方を改め、中小企業対策としては、「大阪市中小企業振興条例」を制定し、大阪経済の主役である中小企業への総合的な支援策をつよめること、製造業の活性化のために、データベース化など受発注機会の拡大をはかるとともに、経営支援、技術支援のできる「ものづくり支援センター」をつくること、無担保無保証人融資の限度額を1500万円までに引きあげなどの融資の改善、リストラアセスメント条例を制定し、産業空洞化を防ぎ、雇用と地域経済を守る立場から、大企業に計画の変更、中止を勧告できるようにすることなどを公約して闘いました。掲げた政策の必要性は今度の調査でも浮き彫りになりました。この調査を一つの足がかりにして、公約の実現にみなさんと御一緒にがんばりたいと思います。 |