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市議団の実績

国保料の徴収強化・大阪市では

党市議団 北山良三市議が語る

 3万4000世帯、無保険に.背景に府の広域化の動き

 国民健康保険料の滞納世帯が約3割にまで増加している大阪市は、11月からの保険証の更新にあわせ、新たな強権的措置を実施しました。

それは、@10年度・09年度の国保料の滞納がなくても、08年度に滞納があれば新しい通常保険証の郵送を止め、区役所に取りに来させる、A09年度の滞納が1円でもあれば、新しい通常保険証の郵送を止め、短期保険証(6ヵ月間有効)に切り替え、区役所に取りに来させる、というものです。

9月から10月にかけて出された通知文書には、「新しい保険証は、区役所窓口へお越しいただいた場合のみ更新いたします」「未納保険料を放置されますと、財産調査のうえ差押処分を執行する場合があります。来庁される際には、この通知書及び被保険者証、印かん、当日納付いただける保険料をご持参ください」と記されています。10月中に区役所に行けなかった世帯は、保険証の有効期限が切れ、新しい保険証が手元に届かず、11月から「無保険」状態となります。保険証を人質にして保険料の取り立てを強化しようという、社会保障とは無縁のひどいやり方です。

これまでは、区役所に呼び出して新しい通常保険証を交付するということはなく、10月中に無条件に郵送していました。また、前年度滞納金が請求額の4割未満(6割を超える納付)であれば短期保険証に切り替えられることはなく、これも10月中に通常保険証が郵送されていました。それが今年から、1円でも前年度滞納金があればすべて短期保険証にし、区役所で手渡すというのです。

こんな事態に対し、国保をよくする会や社保協をはじめとして、各区役所や本庁の健康福祉局と緊急の交渉が行われました。また日本共産党市会議員団としても、担当部長・課長と厳しい折衝を行ってきました。そして私は、10月6日と11月12日の市議会民生保健委員会で、緊急議題外質疑としてこの問題を取り上げました。

10月6日の質疑では、こんな手法について市長の見解を質しました。「法に則り適正に運営している」と言っていた市長も、「市民の健康をいかに守るのか、家庭条件も含め相談にのるために来ていただくのが正解だ。通知文章は適切でない」と答弁し、一定の改善姿勢を示しました。

ところが、10月末の旧保険証有効期限を過ぎた11月9日現在で、新通常保険証の未交付が2812世帯(通知書送付1万1596世帯中24.2%)、短期保険証の未交付が3万1092世帯(通知書送付5万9737世帯中52.0%)、合わせて3万3904世帯に保険証が届いていないことが、当局によって示されました。これに資格証明書交付世帯を合わせると、国保加入世帯の1割近い世帯が「無保険状態」におかれていることになります。これは、滞納世帯の中でみれば実に3割を超えています。「国民皆保険」は吹っ飛んでしまっています。

11月12日の質疑での平松市長の答弁では、「国保はみんなで等しく支えあう制度と認識したうえで市民の健康を守る」と述べ、このひどい実態を容認する態度を示しました。

大阪市のこんな異常なまでの「強権的収納対策」の背景には、大阪府の動きがあります。

大阪府は、国保法改定にもとづく「国保広域化等支援方針(素案)」を先ごろまとめました。その中で、国保料収納率を全国平均並み(88.3%)に引き上げるための「標準設定目標」と、全国平均にはほど遠い自治体とすでに超えている自治体に求める「メリット設定目標」を定め、市町村間で競わせながらより厳しい「収納対策」を求めています。

09年度の収納率が83.77%の大阪市での「標準設定目標」は、10年度85.5%、11年度86.5%、12年度87.5%というもので、「メリット設定目標」は、10年度で前年比+1.4ポイント、3年間で+3ポイントというものになっています。これを実行できなければ、大阪府からの交付金を減額されてしまうのです。

これからの私たちの運動は、「後期高齢者医療制度廃止を機会に、国・企業・自治体の負担を減らし、国民負担をいっそう増加させる医療制度へと誘導する企みを阻んでいくたたかい」として、全力を挙げていかなければなりません。同時に、これまで取り組んできた「高すぎる国保料を引き下げよ」「無保険をなくせ」「保険証を人質にした収納対策はやめよ」「財産調査や差押えなどの強権的収納対策をやめよ」の運動をいっそう強め、連動させていくたたかいでもあると思います。その意味でも、来春の一斉地方選挙での日本共産党の勝利がどうしても求められているのではないでしょうか。

(2010年11月19日付しんぶん赤旗に一部報道)