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市議団の実績

維新政治追い詰めた論戦と世論
大阪市議会閉会 北山良三団長に聞く


 9月10日から開かれてきた大阪市議会が17日、閉会しました。3ヵ月にわたる長丁場の議会を通して明らかになったことや、今後の展望などについて、日本共産党大阪市会議員団の北山良三団長に聞きました。

「大阪回帰」を打ち出したが

――維新の会を率いる橋下市長は、都議選(6月)での大敗や参院選(7月)での失速を受けて「大阪回帰」を打ち出す中で、市議会が始まりました。

北山 橋下市長自身は参院選後、「国政は国会議員団に任せる」などとして、自らは「大阪都」構想を中心に、引き続き一定の勢力を確保している大阪を足場にして、「改革者」のイメージをつくることに力を入れようとしてきました。

 1つは、「大阪都」構想を来年秋の住民投票に向けて具体化すること。

 もう1つは、「大阪都」構想を前提にした「市政改革プラン」の具体化や、「府市統合」の名で、大阪市の財産・施設などを処分していくことです。

都構想の矛盾議論で鮮明に

 「大阪都」構想の「制度設計案」が8月に発表されましたが、法定協議会などで審議すればするほど、矛盾が噴き出しています。

 橋下市長らはダブル選で、「府市再編」で4千億円の財源が浮くなどと言いましたが、「制度設計案」では706億円に過ぎず、その大半は地下鉄・市バス民営化など「府市再編」と関係のないものばかりです。

 市長案は、特別区設置の初期コストを低く見せるため、自前の新庁舎を建設せず、現在の各区役所の活用や民間ビルの賃借で庁舎をバラバラにするというもので、およそまともな自治体の姿とはいえません。さらに実現に向けて126もの法改正が必要など、非現実的なものです。

 わが党はこうした問題点を示し、「『大阪都』構想は絵に描いた餅」「百害あってー利なし」と論陣を張ってきました。自民党や「みらい(民主系)」も、「大阪都」構想への反対姿勢を示しています。

議案否決の背景に住民運動

――今回の議会では、橋下市長が提案した議案で否決・継続審議になったものが、今まで以上に多かったです。

北山 そうです。市長提案は、大阪市音楽団の廃止など可決されたものもありますが、橋下市長の思い通りになっていないことが示された議会だったと思います。

 市立幼稚園の廃止・民営化は、全59園のうち第1期として19園の廃止条例案が提案されました。わが党はすべての廃止に反対し、公立で存続し役割を発揮するよう主張。公明・自民・みらいは5園の廃止・民営化には賛成しましたが、14園の廃止は否決されました。

 この背景にあるのは、地域で広がった「公立幼稚園をなくすな」という世論です。

 私の地元・西淀川区でも、野里幼稚園の保護者・関係者らの声に応えて、区内14の連合町会長全員が連名で廃止反対の陳情書を市議会に出すなど、かつてない共同が発展しています。

 しかし橋下市長は、次の2月議会で新たな理屈をつけて、市立幼稚園の廃止・民営化の再提案を行う動きをとっており、いっそう共同の運動を強めることが求められています。

橋下流の手法が通用せずに

 地下鉄・市バスの民営化は3月、5月議会に続いて3度継続審議となりました。橋下市長は地下鉄の初乗り運賃を2014年4月から20円値下げし、10月までに議会側が民営化を認めなければ、15年10月に元に戻すという脅しを議会にかけました。

 堺市長選での敗北を受けた焦りの表れですが、逆に議会では大きな反発が広りました。「こんなやり方をするから、いっそう民営化に賛成できなくなる。民営化を壊しているのが橋下市長だ」と語った他党議員もいます。橋下流の政治手法が、簡単には通用しなくなっていることを示しています。

 府立大学との統合に向けた、大阪市立大学の定款変更の議案も否決されました。府立公衆衛生研究所と統合するための市立環境科学研究所の独立行政法人化議案も、関係者の粘り強い運動が力になって継続審議。ごみ焼却工場の一部事務組合化も継続審議です。

 橋下市長の肝入りで起用された公募校長・区長の不祥事も、市民の怒りを集めました。13日の本会議では、市長の任命責任を問う「公募区長に対する厳正な対処を求める決議」が、維新以外の賛成多数で可決されています。

地域に知らせ対案を示して

――橋下市長は「大阪都」構想で、「5区案」への絞込みを公言し、住民投票に向けて各区での集会や宣伝を進めようとしています。

北山 市民と議会の間で反発が広がっても、橋下市長は簡単に「大阪都」構想を諦めるわけではありません。維新が市議会の過半数を占めていない中で、公明党などを取り込むための取引など、あらゆる手段を講じてくるでしょう。

 重要なのは、「制度設計案」の矛盾やでたらめさを地域に知らせ、「大阪都」構想やそれを前提にした市民施策の切り捨てに反対する幅広い共同を広げて、橋下・維新の会の取引戦略を許さない状況をつくることです。

 わが党は橋下・維新の会と対決すると同時に、市民の立場に立った対案を示してきました。例えば大阪市営地下鉄は年間200億円もの黒字を生み出しており、公営で継続・発展させてこそ、初乗りはもちろん全区で値下げができ、駅の安全対策や南海トラフ巨大地震の津波に備える浸水対策も可能だということを主張してきました。

 これからも議会論戦はもちろん、地域での宣伝・対話、各界各層との共同の発展に全力で取り組み、市民の暮らしを守り、中小企業を活性化させていく本当の改革の道を進んでいく決意です。

(2013年12月22日付大阪民主新報)