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国民健康保険事業における

資格証明書交付に関する申し入れ

 11月18日、日本共産党大阪市会議員団は、大阪市における国民健康保険での資格証明書の発行について、市長に申し入れを行いました。申し入れでは、資格証明書の発行をやめることや、すべてのこどもへの保険証を速やかに交付することなどを求めました。


20081118

大阪市長  夫  殿

日本共産党 大阪市会議員団

長 

 

国民健康保険事業における資格証明書交付に関する申し入れ

 

貴職におかれましては、市民のために日々ご献身のことと推察申し上げます。

さて、大阪市国民健康保険事業は、今、大変深刻な問題を抱え、矛盾がいっそう拡大しつつあります。その主たる原因が、国の「国保」に対する責任の「放棄」にあることは、既に明らかでありますが、そんな中にあっても、保険者たる大阪市が市民の命と健康を守るという地方自治体本来の役割を発揮して、しっかりと「国保」を守ることが求められていることは言うまでもありません。

ところが、大阪市は、毎年のように保険料を値上げした上、やむなく滞納した世帯からは容赦なく保険者証を取り上げ、そうして、医療費10割負担の「資格証明書」を交付しているのであります。こうして、事実上、医療を受けられなくなった世帯が、この9月15日現在、10818世帯にのぼるなど、皆保険制度そのものをつき崩すものとなっているのであります。

本来、国民健康保険事業は、憲法に明記されている「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、「市民の医療を受ける権利」を保障する、いわば社会保障制度の根幹をなす事業のひとつであります。したがって、保険料の滞納を理由に、しかも「公平性」の名の下に、「保険証の取り上げ、資格証明書の交付」を強行して、医療からしめ出すなどということが許されるものではありません。

だからこそ、10月30日に発表した厚生労働省の調査資料によると、全国1798自治体のうち551の自治体で資格証明書をいっさい発行していないのであり、その比率は30.6%にも及んでいるのであります。大阪市においても、資格証明書は、ただちにすべて国民健康保険証に切り替えるべきであります。

同時に、11月5日、大阪市が明らかにした「中学校卒業までの子どもを対象に、資格証明書の交付をやめ、3ヶ月間有効の短期保険証を交付する」という措置についても、その問題点を指摘し、改善を求めるものであります。

そもそも児童福祉法第2条では、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」と規定しております、そして児童虐待防止法では、児童が病気やケガをし重大な事態に至る可能性がある時に、保護者がこれを放置すれば「児童虐待」と位置付け、その場合、自治体の責任で児童への医療を保障しなければならないことになっているのであります。

しかも、児童福祉法でいう「児童」とは、今回の措置の対象としている「中学校卒業までの子ども」ではなく「満18歳に満たない者」とされ、通常は「高校卒業まで」を対象としているのであります。

また、今回の措置では、「短期保険証」に切り替え、かつ、「区役所に取りに来ること」とされていますが、これでは、保護者の対応次第では、子どもの無保険状態が解消される保障はありません。

平松市長におかれては、要約、下記の点について措置されるよう、強く要望するものであります。

 

 

(1)大阪市国民健康保険事業において、資格証明書の交付はいっさいやめ、すべての国保加入者に通常の保険証を交付すること。

 

(2)「中学校卒業までの子どもを対象に、資格証明書の交付をやめ、3ヶ月間有効の短期保険証を交付する」ことについて

@「中学校卒業まで」とされているところを、「高校卒業まで」とするよう改める。

A「3ヶ月間有効の短期保険証」とされているところを、「通常保険証」を交付するよう改める。

B「区役所に取りに来るようにとの通知を出す」となっているところを、「保険証を直接郵送」するよう改める。

以上