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「慰安婦」否定暴言撤回を

党大阪市議団 橋下市長に申し入れ

 

「不見識極まる」

 旧日本軍「慰安婦」をめぐり、強制はなかったとする橋下徹大阪市長の暴言に対し、日本共産党大阪市議団は30日、「不見識極まる」と発言を撤回するよう申し入れしました。

 橋下市長は、「軍に暴力や脅迫をうけて連れてこられたという証拠はない。あったというなら韓国に出してもらいたい」「(慰安婦制度が)当時の時代においてどういうものだったか議論しなきゃいけない」と強弁し、国内外から厳しい批判が寄せられています。

 「慰安婦」問題をめぐっては、1993年、旧日本軍の関与と強制性を認め、「おわびと反省」を表明した河野洋平官房長官談話が出され、98年には国連で、「慰安婦」は事実上の奴隷であり、「当時ですら、奴隷制を禁じた習慣的国際法に違反する」との報告書が採択されています。

 申し入れは、これらを指摘するとともに、2010年10月、市議会で「慰安婦問題の真相究明を行い、被害者の尊厳回復」へ「誠実に対応」するよう国に求める決議が採択されていると紹介。国内外の到達を否定し、旧日本軍の犯罪行為を免罪し、人間としての名誉と尊厳を著しく傷つけられた被害者の心を踏みにじり、「市長として不見識極まる」と批判しています。

 北山良三団長、山中智子幹事長、井上浩政調会長が訪れ、「近隣諸国との関係を悪化させ、議会決議にも反する」と指摘。秘書部長が応対し、「市長に伝える」と答えました。

(2012年8月31日付しんぶん赤旗)


大阪市長 橋下徹 様

2012年8月30日

日本共産党大阪市会議員団

団長 北山良三

「慰安婦」問題にかかわる発言の撤回を求める申し入れ

 

 第2次世界大戦において日本が近隣諸国の人々に多大の被害を与えたことは歴史的事実であり、これについての真摯な反省は、アジア諸国と平和・友好の関係を築く土台です。とりわけ、「慰安婦」問題は、当事者を始め、国内外の多くの人から、今なおその解決を求められている問題であり、2010年10月の本市会の決議も「慰安婦問題の真相究明を行い、被害者の尊厳回復とともに、今日なお存在する女性への暴力・人権侵害の解決に向け、誠実に対応」することを国に強く要望しています。

 ところが、橋下市長は8月21日、「慰安婦が軍に暴力脅迫を受けて連れてこられたという証拠はない。あったというのであれば韓国に出してもらいたい」などとのべ、内外から厳しい批判が寄せられています。

 周知のように、慰安婦問題については、河野洋平官房長官(当時)が1993年に談話を出しており、その中で、「慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」と明確に認定するとともに、「その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反しておこなわれた」と断定しています。この河野談話は、警察庁・防衛庁・法務省等の政府機関をはじめ、国立公文書館、国会図書館、アメリカ国立公文書館等を調査し、元軍人など広範な当事者への聞き取りをふまえてまとめられたものです。

 また、市長は、「慰安婦制度が今から考えると非常に倫理的に問題な制度かもわからないけれど、当時の時代においてどういうものだったのかは議論しなきゃいけない」などと、当時では許された行為であったかのようにのべています。

 この問題についても、「国連人権委員会差別防止と少数者保護小委員会」は1998年、慰安婦は事実上の奴隷であり、「当時ですら、奴隷制を禁じた慣習的国際法に明らかに違反していた」という報告書を採択しています。

 今回の市長の発言は、こうした国内外の到達を否定するとともに、旧日本軍の犯罪行為を免罪し、人間としての名誉と尊厳を著しく傷つけられた被害者の心を踏みにじるものです。また、アジアに位置し、近隣諸国との交流も活発な大阪市の市長として不見識きわまるものであり、ただちにこの発言を撤回することを強く求めるものです。