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災害に強いまちづくりへ

共産党議員団が申し入れ

求められる抜本的強化

 日本共産党大阪市議団(瀬戸一正団長、9人)は7日、大阪市の災害対策の抜本的強化を求め吉村洋文市長に申し入れました。

 藤原正樹市危機管理監に手渡した申し入れ書は、今年発生し同市でも被害の出た大阪北部地震や台風21号、6日の北海道胆振東部地震など続発する災害で、従来の災害想定を上回る事態が起きていると指摘。今後発生が予想される南海トラフ地震などに備え災害対策の抜本的強化が求められるとし▽職員削減ありきを改め、発災時の職員の参集体制の検討・強化▽直下型地震に対応する事業継続計画の策定▽要避難支援者への実効ある避難計画▽全ての公共建築物の耐震性確認などを要望しました。

 また、大阪市の廃止や合区を伴う総合区制度は、現行の防災行政に大混乱をもたらすと中止を求め、カジノと一体のIR誘致や不要不急の大型開発を見直し市民の安全最優先の災害対策を求めています。

 こはら孝志市議が職員削減で防潮扉閉鎖など防災対応に支障がでると訴え、山中智子市議団幹事長が「災害に強い街づくりを」と強調しました。

(2018年9月8日付しんぶん赤旗)


2018年9月7日

大阪市長 吉村 洋文 殿

大阪市の災害対策における抜本的強化を求める申し入れ

日本共産党大阪市会議員団

団長 瀬戸 一正

 地方自治体は市民の生命、財産を守るため、予想される災害に対して予防・警戒・防除、その他必要な計画を備え、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び促進を図らなければならない。わが国では1995年阪神淡路大震災、2011年東日本大震災、2016年熊本地震、2018年西日本豪雨災害、先般の北海道胆振東部地震等、従来の災害想定を上回る事態が発生し多大な被害をもたらしている。また本市では、2018年6月18日発生の大阪北部地震につづき9月4日台風21号が発生し、いずれも死傷者及び多数の被災者と広範囲の住宅被害をもたらし、様々な本市防災行政における課題を浮かび上がらせた。

このような災害に対する新たな知見と教訓、課題に対応し、予想される南海トラフを震源とする地震と津波、上町断層帯地震に早急に備えるため災害対策の抜本的強化が求められる現在、大都市制度改革と称した大阪市の廃止や合区を伴う総合区制度は現行の防災行政に大混乱をもたらすことが予想されるため中止し、IR誘致、不要不急の大型開発を見直し、市民の安全を最優先とした災害対策の抜本的強化を求めるため以下申し入れる。

 

一、防災計画の拡充

 @職員削減ありきを改め、災害発生時の職員の参集体制を検討・強化すること

 A現在の業務継続計画は南海トラフを震源とする地震に対応するものである。しかし直下型地震の被害想定(倒壊家屋、ライフライン被害)は大きく変わるため、取り組む非常時優先業務の内容も当然変わり得る。直下型地震に対応する事業継続計画を策定すること

B現在の南海トラフ巨大地震に対する堤防等の耐震化計画は、最大級の津波想定では堤防高の不足により浸水が解消されない地域があるため、必要な計画堤防高に見直しをすること

C南海トラフ巨大地震の津波における湛水被害は被災者の救助をはじめ従来の災害対策では対応し得ない事態が発生すると想定される。被害区域、湛水期間を地域防災計画に反映し対策を講ずること

 

二、防災行政に関わる改善

@大阪市避難行動要支援者避難支援計画の要支援者への避難支援プラン(個別計画)の策定を徹底し実効ある避難計画を講ずること。地域の実情を把握し声を聞いて必要な手立てを取ること。地域任せにせず本市が専門職員を配置する等、責任をもって推進すること

A南海トラフ巨大地震では本市における帰宅困難者は約90万人と想定され、特にターミナル駅周辺に集中する傾向が指摘されている。帰宅困難者への適切な情報伝達と避難場所の確保、支援の強化(トイレ、水道、救助物資、電源の確保等)を行うこと

B全ての公共建築物の耐震性の確認を行い必要な対策を行うこと

 C災害時避難所・一時避難所に指定されている地域の集会所等の民間建築物の耐震性を調査し、耐震性を確保すること。また、建築物の中には昭和50年や平成7年規制以前のアスベストを含有する建築資材が用いられている場合がある。地震による建物被害により避難者にアスベスト被害が発生しないよう市内すべての避難所の調査と対策工事を行うこと

 Dすべての体育館にエアコンを設置すること

 E各区における福祉避難所の対象となる要配慮者の概数が避難可能となる施設の整備と、その運営体制を強化すること

F津波浸水想定区域における津波避難ビルの確保に関して本市が責任を持って推進すること。津波避難ビルとしての機能を果たすために、市営住宅の建替え、耐震工事を早急に行うこと

G学校園などの公共建築物におけるブロック塀等は、ただちに撤去すること

H民間へのブロック塀撤去促進事業を拡充すること

I水道等市民生活に不可欠であるライフラインの耐震化を早期に改善すること。官民連携による経営手法の検討等は中止し、本市直営で必要な体制を構築すること

 J本市の耐震性を満たしていない民間建築物はまだ多く残されているため、耐震化を促進し地元中小企業活性化にも資する住宅リフォーム助成制度を創設すること

 K震災時の負傷の原因のその大部分は家具の転倒、ガラス片であるため、その被害を低減するための防止器具の普及啓発を強化すること

 L家庭用災害備蓄物資のさらなる普及啓発を行うこと

 Mエレベーター閉じ込めから被災者を守るため、本市施設内のエレベーター内に防災用品の設置を行うこと。民間施設にも補助制度を創設し促進を図ること

 以上