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市議団の実績

意見書についてのてんまつ

 12月17日の大阪市議会本会議では、自民党が原案を出し、与党が共同で提案した「教育基本法に関して国民的論議を求める意見書」が採択されました。日本共産党はこれに反対し、「教育基本法の改悪に反対する意見書」を提出。山中智子議員が採択を求めて討論をおこないました。日本共産党の案は一事不再議となりました。

 与党が提案した「地方交付税の総額確保と生活保護費国庫負担率引下げ反対を求める意見書」「容器包装リサイクル法の見直しに関する意見書」は、日本共産党も賛成して共同提案となり、全会一致で採択されました。

日本共産党が提案した「定率減税の縮小・廃止に反対する意見書」「介護保険の改悪に反対し、利用者本位の改善を求める意見書」「混合診療の解禁に反対する意見書」は、与党との調整がつかず、取り下げました。

 

教育基本法の改悪に反対する意見書

                (日本共産党案) 

 教育基本法は、戦前の教育が、侵略戦争を支える「人づくり」「兵士づくり」の場となったことを反省し、一人ひとりの国民が、人間として尊ばれ、憲法の示す平和的・民主的な社会の主人公として、ゆたかな人間形成をとげることを目的に制定されたものである。

 したがって、教育基本法は「教育の憲法」と言えるものであり、こんにち、草の根からの教育改革をすすめる道しるべとなっている。また教育基本法の精神は、世界人権宣言や国際人権規約、子どもの権利条約など、国際的な教育の流れとも一致するものである。

 ところが、政府は、小泉首相が教育基本法の「改正」について「国民的な議論を踏まえ、精力的に取り組む」とのべるなど、全面的な改悪に乗り出している。この背景に、自衛隊のイラク派遣、「有事法制」づくりに示されるように、アメリカの軍事行動に参加し、日本を「戦争をする国」につくりかえようとするねらいがあり、それが憲法9条の改悪につながっていることは明らかである。

 いま、「学力の低下」や「学級崩壊」「登校拒否」など、教育をめぐるさまざまな困難が発生している。これを打開し、すべての子どもたちのゆたかな人間形成をはかるうえからも、求められるのは、教育基本法の改悪ではなく、その理念を教育に積極的に生かすことである。

 よって国におかれては、教育基本法の改悪は絶対におこなわないよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

方交付税の総額確保と生活保護費国庫負担率引下げ反対を求める意見書

                (共同提案で全会一致採択)

 平成l6年度における地方交付税等の2,9兆円の削減は、地方の予算編成で大幅な歳入不足を生じ、深刻な影響を与えたところである。

 こうした中、経済財政諮問会議等において、「地方歳出の肥大化により地方財政の悪化を招き、地方交付税も肥大化して国の一般歳出を圧迫している」、「地方交付税による手厚い財源保障が地方の自立を阻害している」などの実情を無視した一部の誤った認識から、平成17年度の地方交付税について「総額を大幅に削減する」との意見も出されたところであるが、地方は、これまでも行財政改革に取り組んでおり、さらなる地方交付税等の削減は、住民サービスの提供に支障をきたすことになる。

 本年6月の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」における方針の閣議決定に続き、11月26日の政府・与党決定においても「地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保する。」旨が改めて明記されたところであり、地方交付税の改革にあたっては、地方からの意見を踏まえ、地方のあるべき行政サービスの水準について十分な議論を行ったうえで、その安定的提供のため、地方交付税の財源の保障機能と税源偏在の調整機能を分離することなく、双方を重視する必要がある。

 一方、政府・与党決定においては、「生活保護費国庫負担金の補助率の見直しについては、来年度検討の上、平成18年度から実施する」旨も示されたが、生活保護費国庫負担率の引下げは単なる国の責任放棄であり、国の歳出削減を地方にしわ寄せするものとして、断固反対してきたところである。

 よって国におかれては、平成17年度の地方財政計画において、地方交付税など一般財源の必要な総額を適切に計上されるとともに、生活保護費については、平成17年度以降についても現行の国庫負担率を堅持されるよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

容器包装リサイクル法の見直しに関する意見書

                     (共同提案で全会一致採択)

 本市では、持続可能な「循環型都市」を市民・事業者と協働で構築することを目標として、「容器包装リサイクル法」(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)に基づき、容器包装プラスチックなどの分別収集に積極的に取り組んでいる。

 容器包装リサイクル法では、容器包装廃棄物を地方自治体が収集・選別・保管し、製造者等の事業者がそれを引き取り再商品化することを義務付けており、各々の役割に応じた費用を負担する仕組みとなっている。

 しかしながら、現行の「容器包装リサイクル法」は、ごみ減量等に大きな役割を果たす一方で、製造者等の事業者が負担している再商品化費用に比べて、地方自治体が負担している分別収集・選別・保管等に要する費用が過大な負担となっており、分別収集に取り組む自治体の財政を圧迫しているのが現状である。

 しかも、この制度では、製造者等の事業者は再商品化費用のみの負担となっているため、ごみ減量に積極的に取り組むインセンティブが働かないことから、環境への負荷が低いリターナブル容器の使用量の減に現れているように、発生抑制及び再使用という循環型社会形成推進基本法の趣旨が十分機能していない面も見られる。

 よって国におかれては、基本法に示された循環型社会形成のための基本的な枠組みに基づき、事業者及び自治体の適切かつ公平な負担の確保を図るとともに、容器包装の再生利用だけでなく、発生抑制・再使用の取り組みを促進するための経済的手法の導入を図るなど、容器包装リサイクル法の早急な見直しを図られるよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

定率減税の縮小・廃止に反対する意見書

              (日本共産党案)

 政府は、基礎年金の国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げる財源等として、所得税・住民税の定率減税の縮小・廃止を予定している。

 そもそも、この定率減税は、バブル崩壊後の景気悪化のもとで、「著しく停滞した経済活動の回復に資する」(1999年度税制改正要綱)として、所得税の最高税率の引き下げや法人税の税率引き下げなどとともに、景気対策の一環として導入されものである。 

 また、重大なのは、政府税調の石弘光会長が、「そこ(定率減税)を直した後で、消費税(増税)にいくのが本来である」(9月28日の会見)とのべているように、定率減税の縮小・廃止は、消費税増税への布石ともなっていることである。仮に、消費税の現行5%から10%への引き上げで12兆円の負担増となった場合、定率減税の廃止による約3兆3千億円の増税とあわせ、15兆円を超える負担を国民に負わせることになる。

かつて、橋本内閣による消費税増税などの9兆円の負担増(1997年)はその後の日本経済低迷の原因となった。小泉内閣はすでに年金保険料率の引上げや配偶者特別控除の廃止などだけでも年3兆円の負担を押し付けており、日本経済は国民所得や個人消費も下向きになって、国民総生産統計にも経済成長率の減速傾向がはっきり現れている。こんな中での定率減税の廃止による大増税計画は、「橋本不況」を超える打撃を国民と経済に与えることは明らかである。 

 よって国におかれては、定率減税の廃止は絶対におこなわないよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

介護保険の改悪に反対し、利用者本位の改善を求める意見書

           (日本共産党案)

介護保険は、来年4月に5年目の見直しの時期を迎え、政府は来年の通常国会に法案を提出する予定である。しかし、そこで検討されている内容は、要支援・要介護度1の人への介護サービスの切り捨てや、「ホテルコスト(居住費等)の徴収」という名目での特別養護老人ホームなどの利用料の大幅値上げなど、もっぱら介護への国の財政支出を抑制するために、介護サービスの利用を制限し、国民負担をいっそう増やすというものである。

このような内容の改悪が実施された場合、とりわけ要支援・要介護度1と低所得層の比率の高い本市の高齢者に多大の影響を与えることは必至である。

よって国におかれては、介護保険の見直しにあたって、以下のことを措置されるよう強く要望する。

1、     軽度者(要支援・要介護度1)に対する介護給付抑制と新予防給付の押し付けを行なわないこと。

2、     施設利用者の居宅代、水光熱費、食事代の自己負担を止めること。

3、     国の責任で保険料・利用料の減免制度をつくること。保険料・利用料のあり方を、支払い能力に応じた負担にあらため、特別徴収の拡大(遺族年金、障害者年金からの天引き)は行なわないこと。

4、     国庫負担をただちに25%から30%に引き上げること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

混合診療の解禁に反対する意見書

          (日本共産党案)

 政府の規制改革・民間開放推進会議が、自由診療と保険診療を併用する混合診療

の解禁を強く打ち出したのを受けて、小泉首相は、経済財政諮問会議に「混合診療解禁の方向で年内に結論を得る」ことを指示した。また、首相は、臨時国会開会日の10月12日、所信表明で改めて混合診療解禁を明言した。

 いま医療現場は、健保本人への窓口3割負担実施や高齢者の患者負担引き上げなどにより、受診の抑制が深刻になっている。もし、混合診療が認められると、医療の中身は「保険」と「保険外」に分けられ、患者の自己負担のいっそうの拡大につながることが明らかである。また、自己負担できる範囲内でしか医療を受けることができなくなり、いつでも、誰でも、どこでも安心して受診できた国民皆保険制度自体が崩壊しかねない。

 政府の動きに対し、日本医師会は、「健康保険によって治療できる部分が小さくなり、患者さん自身が多大な医療費を負担することになる」として全国的な反対運動に立ち上がっている。

 いま必要なことは、患者の医療費窓口負担の軽減をはかるとともに、差額ベッド代など保険外負担をなくし、保険で必要かつ十分な医療を受けられるようにすることである。

 よって国におかれては、混合診療の解禁は絶対におこなわないよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。