11月18日の開会本会議で
・脳脊髄液減少症の診断・治療の確立を求める意見書(公明提案)
・ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)総合対策を求める意見書(公明提案)
・大阪府の教育施策に関する「差等補助」解消を求める意見書(自民提案)
・地方経済の活性化策を求める意見書(公明提案)
が全会一致で採択されました。
また、
・大阪・関西における「総合特区」の実現に関する意見書(自民提案)
・阪神港の国際コンテナ戦略港湾の実現に関する意見書(自民提案)
・切れ目ない中小企業支援及び金融支援策を求める意見書(公明提案)
が、自民・公明・民主・維新の会の賛成で採択され、日本共産党の提案した
が一時不再議になりました。
さらに、
が全会一致で
・大阪の国際競争力強化に関する決議(自民提案)
が、自民・公明・民主・維新の会の賛成で採択されました。
脳脊髄液減少症は、交通事故やスポーツ外傷等の身体への強い衝撃が原因で、脳脊髄液が漏れ、減少することによって引き起こされ、頭痛、めまい、耳鳴り、倦怠感等、多種多様な症状が複合的に現れるという特徴を持っています。
今年4月、厚生労働省より、本症とわかる前の検査費用は保険適用との事務連絡が出されましたが、本症の治療に有効であるブラッドパッチ療法については、いまだ保険適用されず、高額な医療費負担に、患者及びその家族は、依然として厳しい環境におかれています。
平成19年度から開始された「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究」事業(当初3年間)は、症例数において中間目標100症例達成のため、本年度も事業を継続して行い、本年8月についに中間目標数を達成しました。今後は、収集した症例から基礎データをまとめ、診断基準を示すための作業を速やかに行い、本年度中に診断基準を定めるべきです。そして、来年度には、診療指針(ガイドライン)の策定及びブラッドパッチ療法の治療法としての確立を図り、早期に保険適用とすべきです。また、本症の治療に用いられるブラッドパッチ療法を、学校災害共済、労災、自賠責保険等の対象とすべきです。
よって国におかれては、脳脊髄液減少症の診断及び治療の確立を早期に実現するよう、以下の項目を強く求めます。
記
1.「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究」事業においては、症例数において中間目標(100症例)が達成されたため、本年度中に脳脊髄液減少症の診断基準を定めること。
2.「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究」事業においては、平成23年度に、ブラッドパッチ治療を含めた診療指針(ガイドライン)を策定し、ブラッドパッチ療法(自家血硬膜外注入)を脳脊髄液減少症の治療法として確立し、早期に保険適用とすること。
3.脳脊髄液減少症の治療(ブラッドパッチ療法等)を、災害共済給付制度、労働者災害補償保険、自動車損害賠償責任保険の対象に、速やかに加えること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)総合対策を求める意見書
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は、致死率の高い「成人T細胞白血病(ATL)」や、進行性の歩行・排尿障害を伴う「脊髄疾患(HAM)」等を引き起こします。国内の感染者数(キャリア)は100万人以上と推定され、その数はB型・C型肝炎に匹敵します。毎年約1000人以上がATLで命を落とし、HAM発症者は激痛や両足麻痺、排尿障害に苦しんでいます。一度感染すると現代の医学ではウイルスを排除することができず、いまだに根本的な治療法は確立されていません。
現在の主な感染経路は、母乳を介して母親から子どもに感染する母子感染と性交渉による感染であり、そのうち母子感染が6割以上を占めています。このウイルスの特徴は、感染から発症までの潜伏期間が40年から60年と期間が長いことです。そのため、自分自身がキャリアであると知らずに子どもを母乳で育て、数年後に自身が発症して初めて我が子に感染させてしまったことを知らされるケースがあります。一部自治体では、妊婦健康診査時にHTLV-1抗体検査を実施し、陽性の妊婦には授乳指導を行うことで、効果的に感染の拡大を防止しています。
平成22年10月6日、厚生労働省は、官邸に設置された「HTLV-1特命チーム」における決定を受け、HTLV-1抗体検査を妊婦健康診査の標準的な検査項目に追加し、妊婦健康診査臨時特例交付金に基づく公費負担の対象とできるよう、通知を改正し、各自治体に発出しました。これにより全国で感染拡大防止対策が実施されることになります。そのためには、医療関係者のカウンセリング研修やキャリア妊婦等の相談体制の充実を図るとともに、診療拠点病院の整備、予防・治療法の研究開発、国民への正しい知識の普及啓発等の総合的な対策の推進が不可欠です。
よって国におかれては、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染拡大防止に伴う「HTLV-1総合対策」を推進するため、以下の項目について早急に実現するよう強く要望します。
記
1.医療関係者や地域保健担当者を対象とした研修会を早急に実施すること。
2.HTLV-1母子感染対策協議会を全都道府県に設置し、検査体制、保健指導・カウンセリング体制の整備を図ること。
3.相談支援センターを設置し、感染者及び発症者の相談支援体制の充実を図ること。
4.感染者及び発症者のための診療拠点病院の整備を推進すること。
5.発症予防や治療法に関する研究開発を大幅に推進すること。
6.国民に対する正しい知識の普及と理解の促進を図ること。
7.発症者への支援、福祉対策を推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
大阪府が市町村へ行う補助のうち、児童・生徒の学力向上にかかる取り組みのほか、子どもの安全にかかる取り組み、医療的ケアが必要な児童・生徒への支援、子育て支援事業に対する補助などにおいて、本来、すべての市町村が補助を受けられるべきものであるのに、大阪市と堺市をその対象から除くといういわゆる「差等補助」が行われている。大阪市民は、府内の他の市町村の住民と同様に府民税を負担しているにもかかわらずこのような不公平な扱いが続けられていることは、大阪市民として到底認めることはできない。
これまで大阪府は「差等補助」の理由として、政令指定都市は格段の財政能力を持っているとしていたが、先般、橋下知事は、政令指定都市である大阪市は教育や福祉などの分野でも「広域自治体である府県並みの権限」を有すること、また「宝くじ」の収益金という大きな財源があることなどの理由をあげ、大阪市への「差等補助」を正当化する「政策判断」を表明した。
大阪市は政令指定都市であることから、国・府道の管理など「大都市特例事務」の権限は大阪府から移譲されているが、教育に関する事業については一般市町村と同様の権限しか有しないこと、「宝くじ」の収益金は地方財政法第32条に規定する総務省令で定める事業の財源に充てることとされており「差等補助」を補てんするための財源ではないこと、そして格段の財政能力を持っているということは同じ府民税を負担している大阪市民に対して差をつける理由にはならないことなどから、「差等補助」を正当化することは大阪府が果たすべき大阪市民に対する責任を自ら放棄するものであると言わざるを得ない。
大阪市民も大阪府民である。
「差等補助」が解消されれば、大阪市としてはそれを財源に教育環境の整備など教育分野に予算を配分することが可能となる。
よって大阪府におかれては、大阪市内の児童・生徒に対し大阪府が教育行政を担うべき役割を果たすため、さきの「政策判断」を撤回し、「差等補助」を即時解消されるよう強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
地方の経済・雇用は依然として極めて厳しい環境におかれ、地域間格差もますます拡大しています。いま必要なことは何よりも地域で仕事を生み出すことであり、その上で雇用の維持・創出や失業者支援の抜本的強化などを強力に推し進め、地方経済の活性化を図らねばなりません。
こうした厳しい状況を認識し、自治体が思い切った対策を打てるような補正予算が組まれるべきであります。
地方では、真に必要な公共事業の推進や観光振興の拡充など、地域の実情に応じた経済対策が求められています。特に公共施設の老朽化・耐震化対策や橋梁や上下水道など社会資本ストックの改修等は住民生活を守る上でも、今後進めていかねばなりません。
よって国におかれては、以下の項目を含め、地域に即した事業支援による地方経済の活性化策を速やかに実施するよう強く要請します。
記
1.「地域活性化交付金」の拡充を含め、自治体に対する予算を大幅に拡充すること。
2.厳しい雇用状況の中で自治体における雇用創出がより図られるよう「重点分野雇用創造事業」の要件緩和など拡充策を講じること。
3.老朽化した公共施設等、社会資本の再生整備を推進するため、財政的支援(老朽施設改造工事費の国庫負担対象の拡充など)を含めた対策を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
現在、中小企業を取り巻く環境は消費の低迷、デフレに伴う低価格競争、急激な円高など厳しい状況が続いており、7―9月期の中小企業景況調査によると、中小企業は製造業を中心に依然厳しい状況にあります。特に、円高に関しては、国が8月に行った企業ヒアリング結果で、1ドル85円水準の円高が継続すれば、中小企業の約7割が減益、製造企業の4割が生産工場や開発拠点等を海外に移転、6割が海外での生産比率を拡大、と回答するなど、製造業を中心とした国内産業の空洞化を加速させる恐れがあります。したがって、効果的な円高対策や、デフレ脱却策が求められています。
このような状況の中、「緊急保証制度」と「中小企業金融円滑化法」は2010年度末をもって時限を迎えます。中小企業にとって資金繰りが悪化すれば、事業が衰退し雇用にも影響します。また、成長分野に取り組む中小企業支援を進めることは雇用促進にとっても重要です。年末・年度末の中小企業の資金繰りに万全を期すとともに、本格的な景気回復に向けて切れ目のない対策が必要です。
一方、来年度税制改正において法人税率の引き下げを行う場合、その財源確保のための租税特別措置見直しの結果として、中小企業が増税になってしまう可能性が指摘されています。法人税率引き下げの際は、中小企業の負担についても配慮しながら検討すべきです。
よって国におかれては、以下の項目を含め、切れ目ない「中小企業支援」及び「金融支援策」を早急に決定・実施するよう強く求めます。
記
1.中小企業の資金繰り支援策として、2010年度末で期限切れとなる中小企業金融円滑化法と緊急保証制度を再延長し、保証枠を拡大すること。
2.成長分野の事業に取り組もうとする中小企業を支援するため、官民ファンド(産業革新機構)を有効に活用し、リスクマネーの提供を積極的に行うこと。
3.2011年度税制改正における法人税率引き下げの財源確保は、中小企業に配慮した検討を行い、租税特別措置の見直しによって増税となる場合は、負担緩和策を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
今、欧米の経済悪化を背景にして、消費低迷、加えて急激な円高が進んでいる。実勢と大きく乖離した円高がすすむ大本には、ごく少数の輸出大企業が、下請け単価たたき、低賃金雇用の拡大など労働者と中小企業の犠牲のうえに、果てしないコスト削減をすすめ、異常なまでも「国際競争力の強化」に突き進み、これを歴代政府が大企業減税などで優遇し応援してきたからである。
この円高により、これまで長期に苦しんできた中小企業が、さらに打撃を受け始めている。「急激な円高や長期の不況で、取引先が倒産、長期的に暗い展望」(設備工事)や「デフレが全然直らない。先行きの見通しが悪い」(飲料品小売り)など、景気回復にはほど遠く、先行きに強い不安感をいだいている。とりわけ、中小企業が集中する大阪においては、「円高関連倒産」や「不況型倒産」による倒産件数が増加している。また、失業率も全国水準を上回っている。
こうした実態を踏まえて緊急の対策が求められている。
よって、国におかれては、以下の対策を緊急に実施するよう強く要望する。
1.「中小企業金融円滑化法」と「緊急保証制度」をさらなる期間延長して、金融機関には、貸し付け条件変更へ柔軟な対応をするよう求め、変更の際の保証料に国が補助する。
2.円高を理由とした発注打ち切りや下請け単価たたきなど、大企業による中小企業イジメを許さないための指導監督の強化をはかる。
3.雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金制度)の3年間3O0日の支給限度日数の拡大等、雇用を支える制度の拡充をはかる。
4.円高体質の経済構造是正のための内需主導の政策へ転換し、アメリカ政府にはドル安是正を申し入れ、さらに投機マネー規制と通貨安定のために国際的呼びかけをおこなう。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
わが国の今年の夏は、気象庁発表によると統計を開始した1898年以降で最も高い平均気温を記録しており、地球温暖化対策の重要性がより高まっている。本市においても、この夏の猛暑により、市民の熱中症による救急搬送が前年に比べ大幅に増加している。
本市では、ヒートアイランド対策として、すべての小・中学校において壁面緑化(緑のカーテン)が進められており、こうした取り組みは暑さ対策として非常に有効であり、今後とも推進していくべきものである。
また、児童・生徒が学習に集中できる環境を整えるため、図書室・音楽室などの特別教室については空調設備の設置が進められているが、普通教室等には設置されていない状況にある。
よって本市会は、子どもたちの健康を守り、子どもたちが学習意欲を持って日々の学校生活を送ることができるよう、また、地球温暖化への取り組み意識を高揚させるため、緑のカーテンなど暑さ対策を積極的に推進するとともに、小・中学校の普通教室等への空調設備の設置について課題の検討を進められるよう要望する。
以上、決議する。
成長著しいアジア地域等との国際的な都市間競争の中、わが国の活力を取り戻すためには、首都圏以外の大都市圏の成長が必要であり、そのためには、国際競争力を現に有する地域の自律的な戦略を支援するため、国の施策や資源を集中的に投下することが不可欠である。
大阪・関西には、次代の成長分野である環境・エネルギー分野、バイオメディカル分野などに厚みのある産業集積があり、産学官連携による研究開発の取り組みも盛んに行われている。さらに、阪神港や関西国際空港など国際的な物流インフラも整備されており、アジアとの強い経済的結びつきを持っている。
とりわけ関西の中心に位置する大阪駅北地区では、現在、知的創造拠点「ナレッジ・キャピタル」や、その中核施設として、研究開発を新たな製品やサービスにつなげる「(仮称)大阪オープン・イノベーション・ヴィレッジ」などの整備が図られることとなっている。また、臨海部では、咲洲において最先端企業の集積が進められるとともに、夢洲において先端工場の大規模立地が可能な土地造成事業も進行中である。
この強みの異なる大阪駅北地区と臨海部が機能連携すれば、アジアのマーケットに対して魅力ある地域のポテンシャルを提示して、人・モノ・資金を呼び込むことが可能であり、それは国全体の成長につながるものと確信する。
よって国におかれては、現在検討されている、規制の特例措置及び税制・財政・金融上の支援措置等を総合的に実施する「国際戦略総合特区(仮称)」にかかる関連法の整備を進め、あわせて、その実現のための予算措置を講ずるとともに、大阪市成長戦略拠点特区(大阪駅周辺地区、夢洲・咲洲地区)を地域指定されるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
成長著しいアジア地域との国際的な競争の中、わが国の活力を取り戻すためには、首都圏以外の大都市圏の成長が必要であり、そのためには、国際競争力を現に有する地域の自律的な戦略を支援するため、国の施策や資源を集中的に投下することが不可欠である。
このため、産業を支える重要な物流インフラである港湾の国際競争力の強化をめざし、阪神港が国際コンテナ戦略港湾に選定されたところである。
阪神港の国際競争力の強化のためには、内航ネットワークの強化による集荷、産業の立地促進による創荷、民の視点に立った港湾経営主体の確立に取り組む必要がある。港湾物流に対する優れたノウハウと企業集積を有する阪神港が、国の強力な支援のもと連携して取り組むことにより国際競争力の強化が図られ、そのことにより関西に立地する産業の国際競争力が高まり、関西圏域の経済の活性化、ひいては日本経済の活性化に寄与するものと確信する。
よって国におかれては、直轄事業の国費負担比率の引き上げなどの予算措置を講ずるとともに、現在検討されている、規制の特例措置及び税制・財政・金融上の支援措置等を総合的に実施する「国際戦略総合特区(仮称)」にかかる関連法の整備を進め、「阪神港国際コンテナ戦略港湾総合特区」を地域指定されるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
日本経済の再生をめざし、持続的な成長につなげていくためには、大阪・関西の強みを活かし、今後の成長が見込まれる産業分野への重点的な施策展開や、その活動を支える環境整備により、大阪の国際競争力を強化することが重要である。
国においても、規制緩和だけを対象とする従来の「構造改革特区」を一歩踏み出し、経済成長のエンジンとなる産業等の集積を図るため、規制の特例措置及び税制・財政・金融上の支援措置等を総合的に実施する「総合特区制度」の創設が打ち出されたところである。総合特区の地域指定に際しては、地域の本気度を示す責任ある関与が要件として強く求められており、この機をとらえ、大阪・関西の持続的な発展に向けた明確な戦略を立て、積極的に取り組んでいく必要がある。
このためには、大阪市経済成長戦略(中間とりまとめ)の重点戦略エリアに位置づけられている、関西・日本の活性化を牽引する国際拠点にふさわしい大阪駅北地区と、物流インフラを支える国際コンテナ戦略港湾の整備が進められている臨海部(夢洲・咲洲地区)の2地区における取り組みが重要である。
したがって、市長の強いリーダーシップのもと、積極的な未来への投資として、経済界とも十分に連携を図りながら、以下の点に全力を傾注して取り組むよう強く要望する。
1.大阪駅北地区の成功には、知的創造拠点「ナレッジ・キャピタル」の形成が必要不可欠であり、公民が連携し、不退転の決意で取り組むこと。とりわけ次世代産業の集積や新産業の創出を促進する「(仮称)大阪オープン・イノベーション・ヴィレッジ」は重要であり、この設立に向けて大阪市が積極的に関与すること。
2.臨海部における国際コンテナ戦略港湾については、西日本諸港からの集荷の取り組みが重要であり、コスト削減とともに、24時間化の推進など高度な荷主ニーズに対応できる港湾サービスの充実を図ること。
以上、決議する。