大阪市の「敬老優待乗車証」(敬老パス)制度は、1972年、高齢者の生きがいと社会参加を促進し、福祉の増進に寄与する目的でつくられました。以来、高齢者にとってなくてはならないものになっています。
ところが、2004年3月の議会で、自民党議員の質問にたいし、市長が「本制度のあり方について検討していかなければならない」と答弁し、財政局も「市営交通料金等福祉措置のあり方」の検討を提案するなど、制度後退のうごきが明らかになりました。
そのため、日本共産党議員団は、市民によびかけて「報告懇談会」を2回開催。そこでの議論をへて、「大阪市敬老パスを守る連絡会」が結成され、各地域で急速に運動がひろがり、2005年のはじめまでに10万を超える請願署名が集まりました。共産党議員団も、議会で継続をくりかえし要求。こうして、2005年度予算で83億3900万円(約31万人)が計上されました。
2005年は、関市長の辞職にともなう市長選挙で、敬老パスの継続が大きな争点になりましたが、市長選後の「市政改革マニフェスト」(市政改革基本方針)では、敬老パスの「本人や交通事業者の一部負担の検討」があげられており、2006年以降も無料の継続をと、ひきつづき運動が強められました。
2006年1月20日の一般決算特別委員会では、日本共産党の矢達幸議員が敬老パスの無料化継続を求めて質疑しました。
矢達議員は、大阪市の敬老パスは、高齢者の生きがいと社会参加を促進し、福祉の増進に寄与するためにつくられ、社会の発展のために長く貢献してきた高齢者へ敬意を表する制度だと指摘。マニフェスト「市政改革基本方針」では見直しの対象になっているが、高齢者に対する敬意には貧富の差はなく、財政難を理由に有料化することは許されないと強調しました。
関市長は、「敬老はいつの時代にも大事ということは私も一緒だ。大阪市の誇るべき制度であり、誇りもある」などと答えました。
矢達議員は、無料化を継続することが制度の精神であり、2006年度も現行通り継続するのかと重ねて質問。理事者は、「現在と同様に交付する」と、無料の継続を明らかにしました。
こうして、2006年度予算案に87億2100万円(約32万人)が計上されましたが、「今後の制度のあり方を多角的に検討する」と、有料化への含みをもたせており、引き続く運動が必要です。
この間、大阪市では、大型開発や同和特別扱いによる深刻な財政危機や三セク破綻が相次ぎ表面化する中で、2004年6月に小泉内閣のブレーンの一人・本間正明阪大教授を座長にすえた「都市経営諮問会議」を発足させ、2005年4月には上山信一慶大教授らも加えた「市政改革本部」を立ち上げ、2005年9月に最初のマニフェスト(市政改革本部案)を発表しました。
その中身は、規制緩和や「官から民へ」という小泉内閣の「構造改革」路線を全面的に受け入れ、「大阪市政に民間経営の仕組みを導入する」と共に、財政危機などを克服するため、「人口と税収に応じた“身の丈”サイズに、事業・組織・予算・人員をスリム化」するというものです。具体的には、事業の「選択と集中」をおこなって、スーパー中枢港湾づくりなどの大型開発は引き続き推進する一方、敬老パス見直しなどの市民サービス全面カットや公立保育所などの民営化・民間委託を一気に進めると同時に、「職員厚遇」に対する市民の批判を逆手にとって、5年間で7000人もの職員削減をおこなうというものでした。
まさに、住民の福祉の増進につとめるという自治体本来の役割と公的責任をなげすて、大企業への奉仕を、「改革」の名で市長のトップダウンにより強権的にすすめようというものです。
○ 与党に呼びかけマニフェスト集中審議を実現
日本共産党議員団は、マニフェスト発表当初から、その本質を解明し、市民の暮らし、教育が拡充される真の市政改革を要求し、全力をあげて奮闘してきました。
関市長の辞職にともなう市長選挙(2005年11月)をへて、2006年1月13日には、本会議一般質問で、各会派がマニフェストについて関市長に質問しました。日本共産党議員団を代表して瀬戸一正議員は、マニフェストの撤回を求めましたが、自民・公明・民主の与党は、「市長と共に改革を担う立場だ」「マニフェストを推進する体制づくりを」「市民にとってわかりやすいマニフェストを」「職員削減はもっとおこなえ」など、マニフェストの推進を迫りました。
日本共産党議員団は、1月17日、マニフェストが「これまでの市政のあり方を大きく変えようとするものであり、主な事務事業の再構築だけを見ても46項目にも上る膨大なもの」「市民の付託を受けている議会として、今、徹底した議論が求められている」と、市会議長と与党各派に、各常任委員会協議会等別途開催して改革案の集中審議をすることを提案。1月26、27日に集中審議が実現しました。
○ マニフェスト集中審議での共産党議員の質疑項目
財政総務委員会
瀬戸一正 ・市民サービスの全面カットは政策・理念なきコスト削減策
・5000人職員削減日標は市民サービス切捨計画
・淀川左岸線2期事業の凍結解除は市民の理解を得られない
・関西財界言いなりになる「市政改革推進会議」の毎月開催
わたし考一・規制緩和と「官から民へ」路線の害悪
・成果主義賃金制度の導入は民間で破綻している。
文教経済委員会
関根信次・「身の丈」こえて大企業奉仕、市民サービス切捨ての論拠
・同建協「官製談合」にたいする防止策が具体的でない
・不良資産化している未利用地にたいする具体的方針がない
・不当な同和事業は継続(同和金融、新大阪タクシー)
江川繁 ・教育予算の経常経費一律2割カットは教育現場に多大な悪影響
・幼稚園就園奨励費・高校生奨学費・いきいき事業の見直しやめよ
・幼稚園や119人以下の小学校、市立高校の統廃合はやめよ
・学校園現業職員710名の大幅削減は行き届いた教育の上で大問題
・市大の経常経費一律2割削減は、研究費・教育費の削減や授業料値上げにつながる。
民生保健委員会
北山良三・児童館、トモノスの3月廃止は市民無視・撤回せよ。
・環境事業の独立行政法大化はゴミ減量の大方針に逆行するもの
・家庭系粗大ゴミの有料化でゴミ減量になるは根拠がない。
小南かおる・有料化せずともゴミ減量は進んでいる
・上下水道福祉減免や重度障害者給付金
計画消防委員会
稲森豊 ・新婚世帯向け家賃補助制度の改悪に反対。
・市営住宅の家賃未納は未然防止策に重点を
・市営住宅家賃の福祉減免制度の改悪に反対
・市営住宅余剰地の民間売却やめ、市住建設こそ重視すべきだ
・HOPEゾーン計画について高層マンションの規制が必要
石川かんじ・審議会などの情報公開の徹底を
・梅田北ヤードの「まちづくり協議会」の公開
・国の基準を満たしていない消防職員数で安全を守れるか
・「都市経営」を地方自治体の運営に持ち込む問題
建設港湾委員会
下田敏人・USJ土地区画整理事業は見直しても4〜500億円の赤字見込
・スーパー中枢港湾建設促進の必要性が破綻
・スーパー中枢港利用促進のために南港の岸壁利用を大移動
・12万人利用の大正区マリンテニスパーク売却は撤回せよ
山中智子議員は建設港湾委員会委員長のために質疑はありません。
交通水道委員会
矢達幸 ・公共交通は公的補助をしてでも守るべき事業
・民間経営手法は市民犠牲を強いるもの
・バス運転手の不安定雇用切り替えは雇用破壊に手を貸すもの
・オスカードリームの破綻処理はすべて銀行の責任で行え
長谷正子・水道局職員の大幅削減は震災時の救援に大支障
・水道料金の見直しは市民への負担増につながるもの
○ 2006年度、難病患者見舞金の廃止などは見送り
2006年2月に、マニフェスト(市政改革基本方針)が正式にまとめられ、これにもとづく初の予算である2006年度予算が発表されました。
その内容は、生活保護世帯の福祉減免制度の廃止、新婚家賃補助制度の改悪、粗大ゴミ収集の有料化を盛り込むなど、福祉と住民サービスをバッサリと切捨てると同時に、民間経営手法を導入し、市バス運転業務や公立保育所などの民間委託を一層推進。その一方、スーパー中枢港湾整備や阪神高速淀川左岸線2期事業は進めるなど、これまでの大型開発の失敗にはまったく無反省のまま、その財政赤字のつけを市民に押しつけようというものです。
また、2006年度予算では、マニフェストでかかげられていた市民サービス見直しのうち、敬老パスとともに、重度障害者給付金・難病患者見舞金の廃止、児童いきいき放課後事業の有料化、幼稚園就園奨励費の見直し、上下水道料金福祉措置の見直し、高校生奨学費の見直しは反映されませんでした。
※
下記の表参照
○ マニフェスト・市政改革基本方針(2006年2月)でかかげられている市民サービス見直し
● 敬老パスの本人や交通事業者の一部負担の検討
● 新婚世帯家賃補助制度の見直し
● 児童いきいき放課後事業の見直し
● 幼稚園就園奨励費の見直し
● 上下水道料金福祉措置の見直し
● 高校生奨学費の見直し
● 重度障害者給付金・難病患者見舞金の廃止
● 生活保護世帯への上下水道料金減免の廃止
● 生活保護世帯への市営交通料金の減額の廃止
高齢者福祉
〇 <特別養護老人ホームの新設> 2003年度7ヵ所(定員510人)、2004年度9ヵ所(定員589人)、2005年度7ヵ所(定員563人)、2006年度5ヵ所(定員430人)
〇 <介護老人保健施設の新設> 2003年度2ヵ所(定員200人)、2004年度5ヵ所(定員505人)、2005年度3ヵ所(定員225人)、2006年度2ヵ所(定員200人)
日本共産党議員団は、「待機者を早急に解消する特別養護老人ホーム建設計画を立て、実施する」こと、「介護保険料の軽減措置を、対象条件を大幅に緩和しいっそう拡充する」ことなどを、市長にくりかえし求めてきました(毎年12月の予算要望、毎年9月の「高齢者福祉月間」にあたっての申し入れなど)。
北山良三議員は、2005年10月から実施に移された、施設での介護サービスにおける「居住費」「食費」の全額自己負担化について、“食事代の負担に耐えられず家族が食事を持参”などの実例を紹介。東京都千代田区では月1万500円から1万9500円の独自の補助制度を実施していることも指摘し、大阪市でも減免措置や補助制度を早急につくるべきだと市長に迫りました(2006年3月、代表質問)。
○ 介護用品支給の打ち切りを延期させる。
大阪市は、7000万円の経費削減をねらって、紙おむつや使い捨て手袋などの介護用品支給サービスを、2006年度から打ち切るとしていましたが、実施を延期しました。
この問題は、小南かおる議員が、3月の予算市会で大阪市の冷たい姿勢をきびしく追及。打ち切りの撤回を迫りました。
医療・国保
○ 夜間歯科救急医療が、2004年度、天王寺区内で実施(午後9時〜午前3時)され、1100万円の予算が計上されました。
日本共産党議員団は「すべての市民病院での、小児科、歯科を含めた夜間・休日の救急医療の実施など、その公的役割を充分発揮する」ことを求めてきました(毎年の予算要望など)。
石川かんじ議員が、2004年10月の決算特別委員会で、この問題を取り上げ、
夜間歯科救急医療が、歯科医師会の医師たちのボランティアに近い働きによって支えられており、大阪市に支援の拡充を強く迫りました。
○ 2000年度から5年連続引き上げられてきた国民健康保険料は、2005年度はすえおかれました。
日本共産党議員団は、毎年、市民のみなさんとともに、高すぎて払えない国保料については、「値上げをせず、値下げをめざす」ことを強く求め、全力をあげてがんばってきました。
北山良三議員は、2006年度の国保料の計算方式の変更によって、低所得者、特に高齢者の保険料が非常に高くなるなどの問題を指摘。変更をやめるよう求めるとともに、「思い切った一般会計からの繰入れを行ない、中間所得層や高齢者の所得割保険料の減額措置を拡充し、だれもが払える保険料に引き下げるべきです。この方向こそ、市民に喜ばれ、しかも滞納者を減らし、国からの交付金を増やし、国保財政の改善に寄与する道」だと提案しました(2006年3月、代表質問)。
また、北山議員は、2006年予算市会の閉会本会議で、国保料の計算方式を変更する条例案に反対する討論をおこないました(2006年3月29日)。
○ 福祉医療制度の大幅改悪容認の与党決議案に反対
2004年10月20日の本会議で、自民・公明・民主の与党議員団が「福祉医療制度の改正に関する決議(案)」を提案。老人一部負担金助成制度、乳幼児医療費助成制度、母子・父子医療費助成制度、重度障害者医療費助成制度において、一医療機関あたり1回500円、月2回までの自己負担を11月から強行導入するなど、福祉医療制度の大幅改悪を容認する内容でした。
北山良三議員が議員団を代表して登壇。与党の決議に反対し、日本共産党が提案した「福祉医療制度の存続を求める決議(案)」に賛成する討論をおこないました。「市民のくらしと健康を守るとともに、進行する少子高齢化への対策を強化するという面からも、また、必要な財源の見通しや税金の使い方の見直しという面からも、こんな改悪に断固反対し、現行制度の継続を強く求める」と主張しました。
児童館・勤労青少年ホーム(トモノス)の廃止を延期
大阪市はマニフェストの具体化の一つとして、新たな「子育て活動支援事業」と保育所の「子育て支援事業」に再編するなどと、児童館(10館)と勤労青少年ホーム(25館)の廃止を突然発表。これに対して、利用者や市民の大きな怒りが起き1ヶ月余りで13000を超える「廃止方針の撤回を求める陳情署名」が提出されました。
予算市会の閉会本会議(2006年3月30日)では、与党も、即廃止には賛成できず、廃止条例の採択は先送りされました。
日本共産党議員団は、市民の声を大阪市に届けるために全力をあげ、北山良三議員は、予算市会代表質問で「児童館事業は、乳幼児から18才までを対象としたものであって、大阪市が新たにやろうとしている事業をそれに置き換えることはできません。神戸市でも京都市でも100館を超える児童館が設置されていて活発な活動が行われています。また、勤労青少年ホームはこれまでも時代の変化に応じて柔軟に運用されてきたのでありまして、その必要性は今日いっそう大きくなっています。これらを廃止することは言語道断」だと、撤回を強く求めました(2006年3月7日)。
子育て支援
○
病後児保育(乳幼児健康支援デイサービス事業)の拡充。
市民の子育てと就労の両立を支援し、安心して子育てをしてもらうため、病気の回復期にある就学前の児童を、専用の保育室で看護師や保育士などの専門スタッフが預かるサービス。2005年度には、それまでの17ヵ所から23ヵ所に拡充されました。
日本共産党議員団は、「乳幼児健康支援デイサービス事業の事業者を増やすとともに、補助金のあり方を実態に見合ったものに改め、大幅に増額する」ことを求め(予算要望など)ています。
2005年2月に認可された西淀川区・みどり保育園は、関係者が毎年3万筆に及ぶ署名を集め、北山良三議員も議会で質疑し、実現したものです。
○ <保育所の定員増> 2003年度900人、2004年度830人、2005年度900人。
○ 公立保育園の民間委託に反対し、3回にわたる市長への申し入れ。
大阪市は、小泉内閣の保育政策(定員を超える子どもを詰め込む「定員の弾力化」、営利企業にも保育所経営を認める規制緩和など)にそって、2003年に「公立保育所の再編整備」をうちだし、「再編整備に当たって、その運営に民間活力を導入」するとして、2004年度から公立保育園の民間委託を開始しました。
日本共産党議員団は、市長に対し、「すべての保育士が入れ替わるなど保育の現場に多大な混乱をもたらし、保護者からも不安が寄せられている」「民間委託によるコスト削減は容認できない。必要な保育の質・量的拡充のために必要な予算を増額すべきだ」と、その撤回を申し入れ(2003年6月、2004年8月、2005年7月)るとともに、保育施策の拡充を求める市民からの請願・陳情の採択を求め、全力で質疑してきました。
児童虐待問題
○ 児童虐待防止事業の拡充
2005年度、児童虐待防止事業の充実に2億9600万円の予算を計上。2006年度は3億2200万円。
2005年4月からは、児童福祉法施行令が改正され児童福祉司の配置基準が現行の人口概ね「10万〜13万人に1人」を「5万〜8万人に1人」に変更されました。
わたし考一議員は、2005年3月16日の民生保健常任委員会で、大阪市でマスコミ報道されたものだけでも、児童虐待事件が多数おきており、現場の児童福祉司が忙殺されていることを指摘。当面、大阪市でも「全国児童相談所長会」が要望している「人口5万人に
1人」をめざすべきと強く主張しました。
助役は、「児童の育成等、児童虐待防止にむけて、委員の提案もふまえて施策をすすめる」と答弁しました。
教育
○ <小学校の米飯給食> 週2回から週3回に拡充(2003年度)。
栄養豊かな安全でおいしい学校給食にすることは重要な課題であり、日本共産党議員団は、米飯給食の拡充や中学校給食の実現をくりかえし求めてきました。
江川繁議員は、小学校では週3回の米飯給食を「全校で自校炊飯を行うべき」だとその拡充を主張しました(2004年3月、代表質問)。
○ 学校給食の民間委託化に反対
マニフェストが学校給食の民間委託をうちだしている問題では、
北山良三議員が、2006年予算市会の代表質問で、「効率化と言って人を減らすのではなく全校で自校炊飯を行うなど人員を増やして教育の一環としての学校給食事業を充実してほしい」という保護者の声も紹介。民間委託の検討を中止するよう求めました(3月27日)。
関根信次議員は、2006年3月24日の文教経済委員会で、学校給食の民営化推進の大阪市の姿勢を厳しく批判し、自校給食の存続、充実を訴えました。
関根議員は、学校給食の民営化という動きについて、「スケールメリット」という教育とかけ離れた概念を持ち込んで進めようとしていると指摘しました。 また、学校給食の民営化で大きな失敗をして、大きな社会問題になっている例としてイギリスの現状を紹介。財政難を口実に学校給食を壊すことは断じて許されないと、学校給食を市の責任ですすめることを強く要求しました。
○
<小学校の安全対策> 2005年度、移動警備員を41名配置(8校に一人) 配置したのに続き、2006年度は52名にし、6校に一人配置。
大阪教育大学付属池田小学校での殺傷事件を受け、日本共産党議員団は「各校園に警備専任員や臨時職員を含む教職員の増員、少人数学級の促進により、子どもたちに目がゆきとどく体制を充実、強化する」ことを市長と教育委員長に緊急に申し入れました(2001年6月26日)。
寝屋川市立小学校の殺傷事件をうけても、市長と教育委員長に安全確保に関する緊急申し入れをおこないました(2005年2月22日)
山中智子議員は、2005年3月の代表質問で、「大阪府は寝屋川の小学校で起きた事件を受けて、全小学校に警備員を配置することを決めました。警備員の配置がすべてだとは思いませんが、せめて、学校に訓練を受けた警備員を配置することは、安全確保の力となることははっきりしているではありませんか。ただちに配置するべき」だと市長に迫りました。
江川繁議員は、2005年12月13日の文教経済委員会で、安全対策が大きな社会問題になっている今こそ抜本的対策が求められており、安全確保には全学校園に警備専任員を配置することが何よりも大事で、費用は9億円程度だと数字もあげて迫りました。
○ 「児童いきいき放課後事業」の2006年度有料化見送り
江川繁議員は、2006年1月26日の文教経済委員会で、「いきいき事業」が、市政改革マニフェストのなかで有料化も視野に見直しを検討していることについて、有料化はせず、運営についても市民の意見が反映されるように市民は望んでいると指摘。子どもの健全育成にとっても大事な事業であり、子どもの安全が大きな問題になっている中、放課後安心して過ごせる場所を無料で保障することが重要であると強く主張しました。
○ 「旧同和地区の学力調査は実施しない」との答弁を引き出す
大阪府が2006年4月から5月にかけて、学力調査を利用し、旧同和地区の子どもを抜き出して調査しようとしていることが大問題になりました。
この問題で、関根信次議員は、3月17日の文教経済委員会で、「平成18年度大阪市学力等実態調査」の実施に関して大阪市教育委員会の見解をただし、府と同様の調査は実施しないとの答弁を引き出しました。
関根議員は、2003年3月末に同和対策特別措置法の期限が切れ、国による同和地区の指定もなくなり、特別対策がすでに終結しているにもかかわらず、大阪府が行おうとしている調査は法の趣旨に反するものと指摘。大阪市が同様に旧同和地区の児童・生徒の学力等実態調査を実施すれば、人権侵害だと教育委員会の見解をただしました。
これに対し教育委員会は「旧同和教育推進校の児童・生徒だけを対象とした学力等実態調査は実施しません」と明言しました。
○ 「同和関係本の配布はしない」との答弁を引き出す。
関根信次議員は、2006年3月17日の市議会文教経済委員会で、大阪市教育センターが、新任教員の教育テキストとして「教育必携」(人権教育推進編)という本を公費で1600部作成し、全市校園などに配布している問題についてただしました。
関根議員は、「人権と同和問題は一致するものだ」「教職員の同和加配は成果である」などとしている内容を示し、この本は部落解放同盟関係団体が作成したものと全く変わらない内容だと指摘。必ず配布をやめるよう厳しく求めました。これに対し教育委員会は、「来年度、新任教員に配布する予定はない」と答弁しました。
雇用・労働条件
○ <サイクルサポーター> 2005年度から市費で従来の9ヵ所から15ヵ所に拡充(予算5900万円)。2006年は予算6900万円、75人に拡充。
当初、国の「緊急地域雇用創出特別基金事業」として、予算4300万円、9駅30人(60歳から70歳)で、駅周辺の放置自転車の対策にあたりました。
瀬戸一正議員は、此花区西九条駅では、放置自転車が700台から200台に減っていることなどを紹介。驚くほど駅前がきれいになり、抜群の行政効果をあげていると指摘し、国の基金がなくなったあとも、大阪市独自で継続するよう求めました(2004年3月、建設港湾委員会)。
○ パートの待遇改善、最低賃金引き上げ求める意見書が、市会本会議で全会一致採択される。
2005年3月1日の本会議・「パートタイム労働者等の待遇改善に関する意見書」
2005年3月29日の本会議・「最低賃金制度に関する意見書」
2006年3月1日の本会議・「パートタイム労働者等の待遇改善に関する意見書」「最低賃金制度に関する意見書」
日本共産党議員団が与党に提案して、文案を調整。採択されたものです。
商店街の活性化
○ 鶴浜への超大型店出店問題
大阪市が大正区鶴浜の埋立地10万ヘクタールを売却し、超大型商業施設を誘致しようとしている問題で、近隣の商店主からは「死刑宣告だ」との声が上がっています。
矢達幸議員は、2006年1月20日の決算特別委員会で、前年3月には、大正区や近隣商店街を空洞化させないことを求める大阪市商店街連盟の陳情書が建設港湾委員会で採択されており、大阪市はこれを尊重するのかどうか問われていると強調。鶴浜への進出を計画している「アークランドサカモト」社の幹部が矢達議員の問い合わせに対し、「反対の火の噴いているところには行かない」とのべていることも紹介し、大型商業施設を核にした開発はやめ、住宅を核にした開発に変更せよと迫りました。
中小企業支援
○ <大阪市官公需契約(金額)> 2000年度47.7%、2001年48.0%、2002年50.4%、2003年度54.1%、2004年度53.9%と増加傾向です。
日本共産党議員団は、「中小業者への官公需発注率引き上げの目標をもち、60%以上に増やす」ことを繰り返し求めてきました(毎年の予算要望等)。
○ 「小企業事業資金」の融資条件の拡大(市民税納税の条件はずれる)
大阪市の小企業事業資金(無担保・無保証人融資)は、「市民税に所得割があること」が、融資の条件となっていましたが、2006年度からこの要件がはずされ、融資を受けやすくなりました。
日本共産党議員団は、中小業者の経営困難への支援を強化するため、「利用しやすい融資制度」を繰り返し求めてきました(毎年の予算要望等)。
○ 中小企業経営支援特別融資(1億2000万円、内無担保8000万円。融資利率年1.3%)の継続実施。2004年3月末までとされていましたが、毎年延長されています。
ものづくり支援
○
「工業集積地実態調査」に、2006年度予算に2500万円が計上されました。
大阪のものづくり産業の特徴は、中小企業がその中心を担いながら、なんでも作れる多種多様な製造業が集積し、卸機能とのコンビネーションを形づくっていることです。
山中智子議員は、2005年3月の予算市会代表質問で、「中小製造業が、産業空洞化のなか・・・厳しい実態におかれています。油と鉄粉にまみれて働く人たちを具体的に支援するために、個人では購入できない機器の共同利用など、経営と技術の面で支援する、物づくり支援センターを、産業集積地ごとにつくる」ことなど、ものづくり支援を求めました。
ホームレス支援
○
<自立支援センター> 2004年度4ヵ所(定員280人)が2006年度6ヵ所(定員610人)に拡充。
日本共産党議員団は、全国最多のホームレス支援の抜本的強化のため、「簡易宿泊所を借り上げ、低額・無料で貸し出すなど、雨風をしのげる人としての生活に値する住居を確保」することや「自立支援センターを増設するとともに、個室化など内容を改善する」ことを繰り返し求めています(毎年の予算要望など)。
○ 「野宿者テントの強制撤去について」声明を発表(2006年1月31日)。
大阪市は、「世界バラ会議」「全国都市緑化フェア」の開催を理由に、靫公園と大阪城公園の野宿者のテントを強制撤去しました。
この問題で、日本共産党議員団は声明を発表。「現在でも多数の野宿者が公園での生活を余儀なくされているのは、弱肉強食、格差社会をつくりだしている小泉構造改革路線の存在がその背景にあり、大阪市が野宿者支援の抜本的対策を棚上げしてきたことにも、大きな要因がある・・・にもかかわらず、職員など660人を動員し、問答無用に強制執行したことは、今後に大きな禍根を残すもの」ときびしく指摘し、抜本的案生活支援策を改めて強調しました。
大阪ドームはサラ金広告やめよと申し入れ
プロ野球12球団の本拠地(13球場)に、サラリーマン金融の広告・看板が設置されている問題で、日本共産党議員団は2005年5月13日、大阪ドームを担当している大阪市計画調整局にサラ金広告の掲示中止をドーム会社に指導するように申し入れました。
議員団は、サラ金が「社会通念上問題がある業種」などとして、神宮、甲子園、広島、東京ドーム、千葉マリンスタジアムなどの球場は広告を掲示していないのに、大阪ドームには、武富士(一、三塁ベンチ横のカメラマン席防球ネット)、三洋信販(一、三塁ベンチ内)の二社の広告がありことを指摘。「公的な資金が入っていない球場でも、健全なスポーツという立場からサラ金の広告を排除していこうという動きがある。そういう球場に倣って、サラ金の広告はやめるようにと大阪市はドーム会社に働きかけるべきだ」と強調しました。
入札制度の改善
○ <落札率の低下>
入札予定価格に対する落札価格の割合をあらわす落札率については、95%を超えると談合の疑いが濃厚とされています。大阪市財政局の入札契約で、落札率は2001年度95.8%だったのが、2004年度92.5%、2005年度90.8%と低下しています。
日本共産党議員団は、談合のない公正な入札にするために、一般競走入札への切り替え、入札業者の数をふやすこと、入札参加企業がわからないようにしておくことなど、透明性・公平性・競争性を高めることを、議会での質疑や予算要望で強く主張してきました。
○ 入札参加業者の事前公表を2006年からやめることを大阪市が公表。
わたし考一議員は、マニフェストの入札にかかわる質疑で、「入札を受け付ける側の談合入札は許さんという確固とした態度が大事である・・・そういう点で市長に聞きますが、もうこの辺で一度、指名業者を公表しないという点で一遍踏み切ったらどうか」(2005年10月13日、財政総務委員会)と関市長に求めていました。
○ 「同建協」会員のみの指名を2006年から廃止することを大阪市が公表。
下田敏人市議は、ゆとりとみどり振興局発注の造園関連事業をめぐる競売入札妨害事件を取り上げ、同和建設協会の会員だけを指名する「同和特別扱い」の是正と入札制度の公平・透明性の確保を迫りました(2006年1月21日、決算特別委員会)
関根信次議員は、同和建設協会との定期懇談会が毎回予算編成時にやられていた事を指摘し、この懇談会に各局の担当者が出席することが常態化していたときびしく批判しました(2006年1月26日、文教経済委員会)
住まい
○ 「市営すまいりんぐ」(特別賃貸住宅)の家賃引き下げ。
大阪市住宅局は、2003年から、市の特別賃貸住宅の家賃を、公営住宅と同じように、世帯の収入と住宅の広さ・建設年度等の便益に応じて家賃を算定することに改めました。
日本共産党議員団は、市営住宅家賃減免制度の継続・拡充とともに「市営特別賃貸、特定賃貸住宅に減免制度をつくる」ことを求めてきました(毎年の予算要望など)。
○ 日本共産党議員団は、市長と住宅局長に「公営住宅法施行令『改正』に伴う緊急申し入れ」を行いました(2005年2月15日)。
国の税制改悪で「老年者控除」「公的年金等控除」が廃止・縮小されたため、市営住宅に暮らす高齢者の家賃値上げなど、その影響は極めて大きく、大阪市のシュミレ一ションでは、2006年度には2613戸(2.9%)が、福祉減免を受けている世帯では4915戸(20.5%)が値上がりになります。
党議員団は、@国に対して直ちに公営住宅法施行令の再改正を働きかけること。A2004年度の収入申告が4月1日以降になった場合、新しい収入認定が適用されることへの救済措置をとること。B65歳以上の福祉減免適用者に対して実害が及ばないよう市長の権限において対応することなど3つの措置を求めました。
○ 日本共産党議員団は、市長に「大阪市営住宅11回落選特別措置制度ならびに家賃減免制度の継続を求める申入れ」を行いました(2006年2月15日)。 大阪市は1973年に、抽選に外れて入居できない住宅困窮者を救済する措置として、落選回数が11回以上となった時に優先入居させる「11回落選特別措置制度」を創設しました。
ところが、「住宅局長マニフェスト」などで、「制度を廃止する必要がある」としているため、申し入れたものです。
党議員団は、大阪市は「最低居住水準未満」の世帯が9.9%と他の政令指定都市より高く、最近の市営住宅応募倍率が平均20〜30倍であることなどを指摘し、断じて廃止すべきものではない主張しました。
マンション
○ 「マンション問題交流・懇談会」を開催
大阪市内の分譲マンションが22万戸を超え、解決を迫られている問題が増加していることから、日本共産党市議団は、2004年5月8日、第3回目のマンション問題シンポを開催。220人の参加で成功しました。
稲森豊議員が、議員団を代表して報告。なぜ分譲マンションを重視し取り組んできたか、市議会の中での取り組みの経過や成果、公共性のある分譲マンションへの国や自治体の支援が不可欠であることなどについてのべました。
○ 固定資産税減免のいっそうの拡充を求める
マンション住民とともに日本共産党議員団が繰り返し求めていたプレイロット(子どもの遊び場)や集会所への固定資産税の改善を2001年から実施しましたが、「100u以上の集会所」などきびしい条件がついています。
稲盛豊議員は、2004年1月28日の財政総務委員会で、2002年度の減免の実績が、子どもの遊び場216件2000万円、集会所70件1500万円であることが明らかにし、「マンションの遊び場、集会書は公的な役割を果たしている」と減免制度の拡充を強く求めました。
○ 大阪市建築計画事前公開制度の創設(2006年4月)
日影障害と紛争予防に向け、高さ20mを超える建築物の建築確認申請等に先立ち、建築主へ近隣住民等への説明を義務付けるものです。建築主は、建築確認申請等の30日前までに現地での標識設置と大阪市への届出を行い、近隣住民等に説明会等で建築計画概要の説明をし、建築確認申請等の7日前までに大阪市に状況報告を行うことになります。
日本共産党議員団は、「実効性が無い」と評価しなかった大阪市に対し、5年前から他都市の紛争予防の事前公開や協議等を紹介し、強く実現を求めてきました。
震災・災害対策
○ 民間建築物耐震診断費補助制度の廃止に反対
大阪市は、1995年度から大阪市既存民間建築物耐震診断費補助制度を行ってきました。制度創設当初3年間の事業計画でしたが、市民からの要望・関心も強く延長してきました。
長谷正子議員は、2004年3月16日の計画消防委員会で、耐震診断をうけた市民の声を紹介し、なぜ一人当たりわずか1万5000円、年間2200万円の予算を削減し、耐震診断費補助制度を廃止するのかと批判。今、大阪市に求められているのは書類を簡便に市民が受けやすい耐震診断制度に改善することだと強調しました。
○ 木造戸建住宅への耐震改修費補助の創設(2003年11月)
近い将来予想される東南海・南海地震にそなえ、木造戸建住宅への耐震改修費補助制度を導入したものです。対象は2階以下の戸建て住宅など。
日本共産党議員団は、民間木造住宅の耐震診断の復活と耐震補強工事助成制度を繰り返し求めています(毎年の予算要望など)。
山中智子議員は、「民間木造家屋の耐震補強工事に対する助成は、対象範囲がごく一部に限られているうえに、補助率も工事費の15.8%と全く不十分です。対象を市内全域に広げるとともに、補助率を大幅に引き上げるべきです」(2005年3月、代表質問)とその拡充を求めました。
○
津波・高潮危機管理対策緊急整備(大正区、港区)で、2006年度1億7300万円の予算。
日本共産党議員団は、「予想される南海・東南海地震に備え、防潮堤や水門の補強など、津波対策を強化する。公共施設の耐震強化を直ちに行うとともに、緊急避難場所となる施設はもちろん、すべての公共施設を震度7に耐えるものにする」ことを繰り返し求めています(毎年の予算要望など)。
矢達幸議員は、2004年11月の決算特別委員会で、シミュレーションでは、東南海地震の発生から2時間以内に大阪に津波が来るされている問題について質疑。防潮堤の467カ所の鉄扉が2時間以内に全部閉め切れるかと対策をただしました。
火災対策
○ 火災予防条例を実効あるものに。
2001年9月、東京の歌舞伎町雑居ビルで発生し44人もの死者を出した火災の原因の一つとして、自動火災報知設備の維持管理に不備があった事が指摘され、自動火災報知設備の設置基準が拡大されたことに伴って、大阪市火災予防条例が改正されました。
この問題で、長谷正子議員は、2003年9月22日の計画消防委員会で質疑し、国基準より厳しく300u以上を最低基準としてきた大阪市の先進的な取り組みを生かして、市民が安心して暮らせる災害に強いまちづくりをめざして、火災予防条例をいっそう実効あるものにするよう要望しました。
○ 消防力の強化を求める。
大阪市では、大規模な災害発生時に、消防署の活動を支援するため、全国で初めて消防局OB職員による災害活動支援隊が発足しました。
この問題で、石川かんじ議員は、2005年9月15日の計画消防委員会で、大阪市全体に適正配置される必要があり、日常的に災害活動支援隊と地域住民との交流活動の場を設けることも必要だと主張。大阪市の消防力について、消防ポンプ車やはしご車、救急自動車などの機械や設備力の消防力基準は達成しているが、政令市の中で大阪市だけ消防団もなく、人員不足の深刻さを指摘し、体制の充実を求めました。
○ 火災報知器設置の適切な促進を求める。
大阪市火災予防条例で、火災報知器の民家への設置が新たに義務付けられました。既存住宅には、施行日から5年間の猶予期間を設け、2011年6月1日から適用するというものです。
この問題で、石川かんじ議員は、2005年9月15日の計画消防委員会で、不適切な訪問販売などで高齢者等に被害者が及ばないようにすべきで、阿倍野の消防署のように、町会に協力を得て、回覧方式でPRを図ることを急げと消防局に求めました。また、生活保護世帯・高齢者・障害者などに負担が出ないように、在宅高齢者日常生活用具給付事業を含め、対策を強く求めました。
交通、バリアフリーと駅の安全対策
○ <赤バスの拡充>
小型のコミュニティバス「赤バス」(料金100円)は2001年度から試行され、現在、23行政区26路線に拡充されています。
日本共産党議員団は、他都市での取り組みも研究し、「高齢者などにも配慮したきめ細かなバス路線網の拡充をはかるとともに、100円で運行する路線を拡充する」ことを委員会質疑などで要求。
赤バスの運行については「地域利用者、住民の声を尊重したものにする。運行コースや回数を増やし、循環型を双方向運転コースにするなど、利便性を高め利用者の増加を目指す」ことを求めています(予算要望など)。
○ <地下鉄駅のエレベーター設置> 2003年10駅12基、2004年6駅7基、2005年10駅12基、2006年10駅13基。
○ <ノンステップバスの増車> 2003年34両、2004年56両、2005年83両、2006年99両。
日本共産党議員団は、バリアフリー社会を築くため、「すべての地下鉄駅にエレベーターでのワンルート確保を急ぐ」「ノンステップバスなどを増車し、車内を移動しやすいよう改善する」ことを繰り返し求めています(毎年の予算要望など)。
○ 地下鉄中央線「朝潮橋」駅東口側のエレベーター設置。
同駅の近くにある重度障害者の通所施設「あさしお園」関係者や地域住民
から、東口にもぜひエレベーターをつけてほしいという強い要望が10数年来寄せられ、駅の構造上の困難を理由に拒否してきた大阪市も、技術上の問題がクリアされたとして、ついに実現(2006年4月現在工事中)したもの。
日本共産党議員団は、現地を調査し、実現を求める請願・陳情の採択や決算特別委員会などでの質疑に全力をあげてきました。
○ JR福知山線事故に関連して、市長に安全対策を求める申し入れ。
日本共産党議員団は2005年5月27日、@JR西日本など市内の鉄道事業者に安全運行の徹底をはかるよう国に指導・監督を強めるように申し入れるA市内の鉄道事業者に急カーブ区間の脱線防止ガードの設置やATS・ATCの整備・改良などをはかることを申し入れることを求め、大阪市の地下鉄・市バスの運営について@ニュートラムの無人運転をやめ添乗員を乗務させるA長堀鶴見緑地線は車掌を乗務させるかホームドアーの設置を図るB地下鉄ホーム要員を確保し、ホーム柵の設置をすすめることなどを申し入れました。
○ 地下鉄駅の可動式ホームドアー設置で、従来より前向きの答弁。
市民から強い要望がだされている地下鉄のホーム柵やドアーについて、日本共産党議員団は決算委員会の質疑等で、くりかえしその実現を迫ってきましたが、大阪市交通局は、「既設線で営業しながらの設置工事は困難だ」「柵の幅員の分ホームが狭くなり困難だ」などと回答してきました。
矢達幸議員は2005年12月14日の交通水道委員会で、福岡市では既設線を含めて全線でホーム柵を設置したことを紹介。「終電車後の夜間工事で施工し、当初の予想に反して何ら問題がなかった」「ホーム柵の設置によってホームは狭くなるが、全体が安心して端まで使えるため、かえって広くなるとのことであり、国の補助制度も確立されたもとで、設置の障害はなくなった。人命尊重の立場から直ちに着工するべきだ」と強調しました。
理事者は、天下茶屋駅で固定式ホーム柵として試行しており、「鋭意検討してまいりたい」と従来より前向きの答弁をしました。
長谷正子議員は2006年3月16日の交通水道委員会で、地下鉄ホームからの転落事故は2006年1月までの過去5年間で208件も発生していると指摘。実証実験として天下茶屋駅につけている固定柵では転落は防げない、他都市の貴重な経験に学んで具体的に取組みを始めるべきと強く求めました。
交通局長は「可動柵はやがては検討しなければいけない時期とはわかっている。必要性については充分認識している」と答弁しました。
環境
○ <プラスチックごみの分別収集>
大阪市は、プラスチック製容器包装廃棄物(ペットボトルを除く)の分別収集のテスト実施を2001年10月から開始しましたが、年々拡充。2005年度全行政区での実施が実現しました。
この間、新日本婦人の会住吉支部から「プラスチィックごみの回収を週1回以上にすることを求める陳情書」がだされるなど、女性団体を先頭に市民の声が高まり、関根信次議員が採択を求めて質疑するなど奮闘。拡充にいたったものです。
○
アスベスト対策で2005年度補正予算
大阪市は、国の調査依頼をうけて、1996年度までに竣工した市設建築物3022施設を対象に、アスベストの使用実態を調査しました。補正予算1億3300万年はそのうち、区民ホールやスポーツセンター、科学館など11施設についての対策事業費です。
石川かんじ議員は、2006年2月24日の計画消防委員会で質疑、大阪市が実施した実態調査について、市設建築物の完璧な設計図が揃っていたのかどうか、また専門家が現場に出向き、全てを目視など点検したものとも考えにくく、現状の正確な実態調査という点では、はなはだ疑問がこると主張。2007年度までかかる対策事業について、市民の不安を考えるならば、もっとスピードアップし、立入検査や点検作業、解体工事の安全対策を十分に講じるよう強く求めました。
○ <アスベスト対策>
大阪市は、民間建築のアスベスト対策助成制度を 2006年度から実施。予算1億2500万円。戸建住宅50戸、共同住宅50棟などを対象に。
2005年7月29日、日本共産党議員団は、市長にアスベスト対策の強化を求め、「過去を含むアスベスト製造業者、使用業者等の実態調査及び製品、在庫、使用場所、廃棄物等の実態把握と情報公開」「国や府に対し、アスベスト全面禁止、被害者救済、安全対策の強化を求めるとともに、解体業者へのアスベスト飛散防止費用の助成制度の新設を求めること」「アスベスト使用の建築物等の解体にあたって、大阪市独自の条例制定など規制強化を行なうこと」などを申し入れました。
8月1日には、大阪市教育委員会に「学校園等におけるアスベストの安全対策に関する申し入れ」をおこないました。
○
大阪市でも石綿肺など25人が発症していたことを認める。
大阪市は2005年10月から3カ月、緊急肺がん検診を実施しましたが、受診した272人の内、25人がアスベストの粉じんを吸い込んだのが原因と見られる石綿肺などに発症していたことがわかりました。
小南かおる議員の質問に対し答弁したもので、小南議員は、「今、アスベストにたいする市民の不安は大きいものがあり、今回の大阪市の緊急肺ガン検診はタイムリーで非常によかった」と評価し、現行の検診制度では、区保健福祉センターでの受診日は年2回から5回しかない区が半数を超えるなど回数が少ないし、委託医療機関といっても1〜3カ所しかないのが実情と指摘し、「アスベスト検診を復活させよ」と強く要望しました(2006年2月24日、民生保健委員会)。
○ <ヒートアイランド対策>
2005年12月6日の環境対策特別委員会で、大阪市はヒートアイランド対策について、大阪府が地球温暖化対策の条例を制定し取り組みの制度化を始めるので、大阪府と協力し対策を実施したいと答弁しました。
長谷正子議員の質問に答弁したもので、長谷議員は気候変動枠組み条約第3回締約国会議の地球温暖化防止・京都議定書がようやく発効されたことは、アメリカが離脱するなどの妨害を乗り越え発効にいたったもので温暖化防止を願う国内外の世論の結果だと指摘。が求められるが大阪市のCO2削減への努力を求めました。
街づくり
○ JR阪和線の高架化(2006年5月、上下線とも開通)と高速道路・泉北線の廃止にともなう街路(緑道)整備事業(2004年度90億9000万円)。
JR阪和線の高架化工事は、4.8キロにある12カ所の「開かずの踏切」による踏切事故根絶のために、長年にわたる地域住民の強い願いであり、日本共産党議員団も住民とともにその実現に全力をあげてきました(2003年、上り線の高架化が実現。2006年5月上下線とも開通)。
また、阪和線の高架の上にかける予定であった阪神高速「大阪泉北線」は長年の地域住民運動の取り組みで廃止が決定し、高速道路計画による空き地、高架後の阪和線跡地は、天王寺大和川線「緑の道」にすることとなりました。
江川繁議員は、「この緑の道をつくるにあたって、地域住民の意見を十分取り入れたものとするべきであり、長居公園を真ん中に北は天王寺、南は大和川へ、虫・鳥なども通う、自然との共生が切望されておりますが、その実現に向けての具体的プロセスについて答弁を求めます」と市長に質問しました(2004年3月、代表質問)。
○ 「大阪市日影規制基本方針」が2003年度から施行。
住環境を守るために、建築基準法では用途地域ごとに確保すべき日照時間を決めています。どの地域に法を適用するかは各自治体が定めますが、大阪市は独自の条例を定めず、規制のゆるやかな大阪府条例に準拠してきたため、他の政令市では許可されない高層建築物が大阪市では可能となり、高層マンションによる日照障害トラブルが多発しています。
稲森豊議員は、党議員団を代表して、「大阪市中高層建築物日影規制条例案」を提案しました(2002年3月、本会議)。
その内容は、大阪市独自の条例を定め市民の日照権を守ることを目的とし、大阪府条例で規制の行われていない準工業地域にも日影規制を行うよう区域を定めると同時に、住居系の高度利用地域についても日影規制を強化するというものです。
稲森議員は2003年3月7日の計画消防委員会で、大阪市の規制がきわめて緩く、近隣商業地域や第一種、第二種住居地域の容積率300%が規制対象から除かれていることなどを指摘。最低限、他の政令指定都市並みの水準の規制内容とするよう求めました。
マンション構造計算偽装問題
○ <相談窓口の設置>
建築物の構造上の問題に関する相談窓口の設置されました(2005年12月7日)。マンション・ホテルの構造計算偽装問題が国民に大きな不安を与えています。大阪市でも、1999年度にほぼ100%だった行政による建築確認件数が、2004年度にはわずか4%にまで激減。住宅局の建築指導部の審査業務にかかわる職員も半減し、行政の知識や経験の蓄積が困難になる事態が生まれています。
日本共産党議員団は、2005年12月5日、市長に対し、現行建築基準法の改善を国に求めることなどとあわせ、市民からの相談や建築確認の再検査等の要求に対応できる窓口を設置することを求める「緊急対策」を申し入れました。
○ <再計算費用に予算措置>
建築物の構造計算の再計算費用に2006年度2700万円計上されました。
稲森豊議員は構造計算書の改ざん問題について質問(2005年12月13日、計画消防委員会)。大阪市は建築基準法の精神に立ち返り、1999年以後の建築物について調査し安全性を確認すること、民間機関からの確認報告をチェックできるよう建築指導の審査体制を強化すること、建築基準法の規制緩和によって民間検査機関の報告を受けるだけというチェック機能が果たせない状態を改善するため国に市の権限を強化すべく建築基準法の改善を求めることなどを要求しました。
情報の公開と市民参加
○ <インターネット録画放映>
予算市会の市長説明、代表質問・市長答弁のインターネット録画放映開始に続き、2006年からは、予算市会での各常任委員会での質疑、決算市会の市長説明と特別委員会での質疑もインターネット録画放映が実現。
○ <委員会の傍聴>
大阪市議会決算特別委員会の傍聴が2005年9月から実現(定員10名、先着順)しました。
委員会の傍聴は、市民に開かれた市議会にするうえで不可欠の課題として、「請願・陳情者が趣旨説明をする場をつくる」「本会議のテレビ放映をおこなう」ことなどとあわせ、日本共産党議員団が長年にわたって与党会派に提案し、求めてきたものです。
なお、従来どおり、決算委員会は市役所内のテレビモニターでの傍聴も実施されます。日本共産党議員団は、モニター傍聴の場所を、1階の東玄関からより広く静かなP1階傍聴者控室に変えるよう求めていましたが、これも実現しました。
○ <情報公開条例の改定>
2005年5月27日の市議会本会議で、情報公開対象に新たに住宅供給公社など地方三公社を加えることなど、大阪市情報公開条例の改定案が全会一致で採決されました。日本共産党議員団は修正案を提案しました。
瀬戸一正議員は議員団を代表して修正案(「市の保有する情報はこれを公開することを原則にする」を条例に明記する、地方三公社以外にも情報公開条例の対象に市長の指定する出資等法人を加えることなど)を提案しました。修正案は、自民、民主、公明の与党の反対で否決されましたが、共産党議員団は、改定案に賛成し全会一致採決となったものです。
議員の特権の見直し
○
与党議員も市営交通の無料議員パスをしぶしぶ返上
交通局は「市営交通について幅広い意見を頂くため」として、市会議員に地下鉄・バス・ニュートラムの全線無料パスを配布してきました。この問題で、自民・公明・民主の与党はパスの返上で合意したと報道(2005年4月27日付「朝日」)されました。
日本共産党議員団は、1994年、議員には議会に出席した際の費用弁償も支給されていると他会派に対して返上することを提案。他会派が同調しなかったため、この無料パスの受け取りを拒否してきました。
また、2005年1月29日、市職員の「厚遇」への市民批判が高まっているもと、市会議員の特権的な優遇策についても抜本的なメスが入れられるべきで、市営交通優待パスの配布は市民の批判にたえられないと、関淳一市長と岡本勉交通局長にたいし、廃止の申し入れをおこないました。
○ 費用弁償の廃止を与党もやっと認める
本会議や常任委員会に出席するたびに、交通費などとして議員一人1万4000円の費用弁償が出されていました。
市会議員には、月額約100万円の議員報酬や会派に対して一人あたり月額60万円の政務調査費が支給されており、議員としての活動は財政的には保障されていることから、日本共産党党議員団は、2002年12月と2004年3月、2004年12月、2005年3月の4回、廃止の条例提案をしました。2002年は関根信次議員が、それ以後の3回は下田敏人議員が、本会議で提案しました。与党はこれを拒否しつづけることができず、2005年4月から1万円に、2006年度からはついに廃止になりました。
○ 海外視察の中止
現在、与党議員は4年の任期中に必ず1回、公費(一人約130万円)による海外視察に参加しています。
日本共産党議員団は、海外視察はどうしても必要な場合に限るとともに、人数も費用もできるだけ簡素なものにすることを主張。その改善がなされないため、1994年以降参加していません。今期(2003年4月〜)について、与党は、すでに2回参加していましたが、2007年3月までの任期中には中止することを決めました(2006年3月)。
職員「厚遇」の見直し
「職員の過剰な福利厚生に公費を浪費するなどもってのほか」という市民の怒りが、2004年秋以降、大阪市に集中しました。職員への福利厚生事業を含む大阪市のさまざまな事業は、市民の税金によってまかなわれており、市民の怒りは当然です。また、深刻な経済のおちこみや国の地方自治体しめつけのもとで、大阪市が国の悪政の防波堤になるとともに、限られた財源を市民サービスに有効に活用することが、ますます重要になっています。
こうしたもとで、日本共産党議員団はこうした立場から、職員「厚遇」の見直しに全力をあげてきました。
2004年12月28日には、他の会派にさきがけて、関市長に申し入れ(@「カラ」残業問題の徹底糾明をはかり、不正受給者には返還を求めること。又、このような事態を二度と起こさないために、超過勤務の状況等を管理者の責任において把握する等の体制整備を行うこと。A「ヤミ年金・退職金」など、条例に基づかない公金支出について、全容を公表し、市民の合意、納得を基本に精査、検討して、不要・不当なものは、直ちに廃止すること)をおこないました。
山中智子議員は、2005年3月の代表質問で市長に答弁を求めました。「条例にもせず、市民や議会に隠して、こんなことをしてきた大阪市の責任は重大です。また、こうした問題の背景に、歴代市長とオール与党・市労連、三者の癒着があることは言うまでもありません」と指摘。問題は、二度とこんなことが起きない保障をどうつくるかだとして、「カラ残業をなくすためには、なによりも、職員一人ひとりの残業を、管理者がきちんと記録し、管理する体制をつくる」「職員の勤務条件はもとより、市政にかかわるすべての情報を公開する」「新たに立ち上げた福利厚生等改革委員会は市民や議会各派代表も参加した委員会にする」ことを提案しました。
清潔な市政へ
○ <天下り職員の退職金廃止>
外郭団体への天下り職員の退職金は2003年から廃止され、2004年からは報酬の上限が引き下げられることになりました。
大阪市が20%以上出資する株式会社や財団法人は75あり、職員9000人のうち大阪市OBは約3400人(2004年度)を占めています。その中で、助役、局長などを務めた幹部職員は、三セク社長級で年1300万円という多額の報酬を得たり、いくつもの団体を渡り歩きそのつど退職金をもらうなど、その厚遇は目に余るものがあります。
日本共産党議員団は、決算市会などでこの問題の是正をくりかえし追及するとともに、毎年の予算要望でも「外郭団体の補助金や運営を厳しく見直す。外郭団体役員の大幅な縮減と給与、退職金の公表と適正化を行う」ことを求めてきました。
○ 「天下り」の見直し
大阪市は、2006年度から、職員OBが天下った企業・団体や役職など再就職状況を調査し、実名で公表することを決めました。また、2005年度の退職者から、退職前5年間に担当していた職務に関連した事業の受注に関する業務に退職後2年間は従事しないことにしました。
下田敏人議員は、市長への一般質問(2004年1月13日、本会議)で幹部職員の天下り問題を取り上げました。幹部職員の民間への再就職についての規制が必要で、現在とられている自粛では、極めて実効性がとぼしいと批判。外郭団体への再就職についても、社長や理事長などのポストが65歳まで保証されており根本的な見直しが必要だと強調しました。
わたし考一議員は、2005年10月13日の財政総務委員会で、せめて、退職後2年間は関係企業に再就職しないという国家公務員なみの禁止基準をつくるべきだと求めました。
○
市長など幹部職員の交際費の減額
市長は月額90万円、助役30万円円等、幹部職員の多額の交際費も市民の批判をあびてきました。大阪市は、「特別職・局部長等交際費を整理統合し、執行の一元化を図る」と、年間1億7000万円だった交際費を2003年度から4000万円に減額しました。
江川繁議員は、2002年11月の決算特別委員会でこの問題を追及。「市長みずからの決断ですぐにできること」だと、市長にきびしく指摘しました。また、2004年12月本会議での決算反対討論では、「市長交際費の情報公開は、市政の公開度のバロメーターであります」と指摘。「大阪市長の交際費の情報公開度は、市長がいつ、いくらの費用で、誰と何をしたか、明確にわかる横浜市等と比べて雲泥の差であることが明らかになりました」と改善を求めました。
大型開発
○ 「新人工島」の事業計画縮小
大阪市が港湾整備や廃棄物処分を目的に夢洲の沖で埋め立てをおこなっていた「新人工島」(286ヘクタール)を、面積で5割程度減らし、事業費を約1000億円円圧縮することを決めました(2005年11月)。2020年代半ばの完成を計画していた第1期(近畿2府4県の廃棄物処分場を除く109ヘクタール、事業費約2000億円)の内、50ヘクタールの埋め立ては見送り、第2期として予定していた82ヘクタールの埋め立ては中止するとしています。
日本共産党議員団は、「夢洲のスーパー中枢港湾づくりは中止する。また、既存のゴミ処分地の延命をはかり、新人口島計画は凍結する」ことを繰り返し求めてきました(毎年の予算要望など)。
○ この間の新たな大型開発計画は、JRの梅田貨物駅移転と北ヤード開発です。大阪市は、「大阪に残された最後の一等地」として関西財界と一体となって開発に乗り出し始めました。
日本共産党議員団は、2004年予算市会代表質問で江川繁議員が、2005年予算市会では山中智子議員が、2006年予算市会では北山良三議員が、その見直しを迫ったのをはじめ、貨物駅移転に関係する、淀川・東淀川・東住吉・平野・生野各区の住民運動と結び、地域環境を守るためにがんばってきました。
○ 大阪港が国の「スーパー中枢港湾」に指定されたことを口実に、夢洲の大水深埠頭建設を推進していることもムダと浪費の典型です。
日本共産党議員団は、2005年予算市会では山中智子議員が、2006年予算市会では北山良三議員が、スーパー中枢港湾にもとづく開発の中止を求めたのをはじめ、現地調査の実施と議会での追及に全力をあげました。
三セクなどの破綻処理
○ ATC、WTC、MDCの特定調停に反対、与党は承認
2004年1月30日の市議会本会議に、経営が破綻した三セク三社(ATC、WTC、MDC)に関する特定調停への承認を求める議案が提出され、開会が31日午前5時にまでずれこんだ本会議で、自民・民主・公明は附帯決議を付けたうえで採決を強行しました。日本共産党市議団は、議会に必要な情報が公開されておらず、三社の再建計画や不動産の鑑定評価の公表を理事者に求めるべきだと与党に提案。本会議では、鑑定書の提示を求める動議の提出、市長への質問、反対討論をおこないました。
姫野浄議員が、三社の再建計画に対する鑑定書の提示を求める動議をおこないました。姫野議員は、「二次破綻の可能性や追加的な金融支援の検討も求めているといわれている鑑定書の内容の議会での審査を抜きにして、ましてや、その鑑定書自体議員に見せられることもなく議決を行うとなれば、それは議会の重大な怠慢として市民の批判を免れることはできない」と主張しました。
下田敏人議員が市長への質問に立ち、大型テナントが撤退すればただちに経営が行き詰まることになり、三社が二次破綻しないと言いきれるのか、30年・40年にわたる再建計画にいったい責任がもてるのかと迫りました。
瀬戸一正議員が反対討論に立ちました。
○ ATCなど三セク三社の特定調停受諾に反対、与党は容認
2004年3月1日の本会議に、ATCなど三セク三社の特定調停にかかる調停条項の受諾と、追加出資などの議案が上程され、自民・公明・民主の与党によって採択されました。
瀬戸一正議員が日本共産党議員団を代表して反対の討論をおこないました。瀬戸議員は、日本共産党が最初から、ATC・WTC・MDCは公共性の薄い事業であるうえに、三つのビルのテナント床面積が甲子園球場の14倍にもなる過大な施設で、採算見込がない無謀な巨大開発だと批判し、建設の中止を求めてきたこと、こうした批判に耳を傾けずに建設を強行した結果、開業当初から各ビルはテナントが埋まらず、開業2年めには三社とも債務超過になり、運転資金も枯渇するという経営破綻に陥ったこと、大阪市による経営支援のための公金貸付は509億円に達し、入居支援は242億円にも達していること、一方、金融機関がこれまでに回収した元金と利息の合計は1246億円で、貸付金は毎年そっくりそのまま銀行借金返済に回され、まさに三セク三社の事業は、銀行の食い物にされて来たというのが実態であること、などを指摘。
調停案による大阪市の負担は、追加出資104億円と329億円の貸付金の返済義務の免除、合わせて433億円であり、これにATCとMDCへの350億円の補助金と、3つのビルでの1835億円の家賃を加えれば、結局大阪市の負担は合計2618億円にもなると批判しました。
○ 「フェステバルゲート」の調停に反対、与党は容認
2004年3月26日の市議会本会議に、破たんした土地信託事業の都市型遊園地「フェステバルゲート」(浪速区)をめぐる調停で、負債総額約380億円のうち、大阪市が200億円を負担するという調停案受諾の承認を求める議案が提出されました。日本共産党は反対しましたが、自民・民主・公明は付帯決議を付けたうえで賛成し可決しました。
矢達幸議員が議員団を代表して討論。経営破たんの責任はすべて銀行側にあるにもかかわらず200億円もの負担求めており、市民に巨大な負担を強いる調停案は受け入れられないと強調。この施設は撤去するにも莫大な費用がかかり、返却されでも再生の道はきわめて困難であり、新たな資金投入での再生は絶対に行うべきでないと主張。「この調停案を受け入れることは、大阪市交通局が元々自分の土地を200億円で買い戻すというばかげたムダ遣いの最たるもの」と厳しく批判し、採択に反対しました。
○ 「クリスタ長堀」の特定調停に反対、自民・公明・民主は承認。
2005年5月27日、大阪市議会本会議に、経営が破たんした「クリスタ長堀」にかんする特定調停への承認を求める議案と関連補正予算案が提出され、与党(自民・民主・公明)は付帯決議を付けて多数で採決しました。
下田敏人議員が討論に立ち、15億円の追加出資、約150億円の損失補償、大阪市道路公社への駐車場売却を求めている大阪地裁の調停案は市民不在だと批判。「これ以上の新たな負担は認められない」と、特定調停受け入れと15億円の追加出資を盛り込んだ補正予算案に反対しました。
調停案で、「クリスタ長堀」の駐車場を買い取ることになっている市道路公社の買収資金47億円は、全額公社の借金でまかない25年で返済するとしていることについて、下田氏は「結果として大阪市が借金をかぶることになる」と指摘。また、駐車場を売却し、地下街だけで、調停案で示された30年かけて銀行などの残債務90億円を返済出来るのか疑問だと強調しました。また、90億円を30年で返済し終わっても、大阪市農協などへの劣後債務110億円が残っているとのべ、再建計画と言える代物ではないと批判しました。
同和問題
○ <芦原病院問題の追及>
大阪市は、2002年3月末で国の特別法(地対財特法)の期限が切れ、同和行政の廃止が求められているにもかかわらず、「同和」を「人権」に置き換えて、いまだに温存させています。その弊害の最たるものが、一民間病院にすぎない浪速区・芦原病院への支援です。
日本共産党議員団は、大阪市が同病院へ総額190億円にものぼる補助金以外に、総額130億円を無担保で貸し付けて、まったく返済されていないことを明らかにして、きびしく追及してきました。
北山良三議員は、大阪市が同病院への銀行の融資をめぐり、「市が責任をもって返済させる」との念書を銀行側に提出するなどの優遇措置をとっていたことも明らかにし、責任を追及しました(2005年12月14日、民生保健委員会)。
また、北山議員は、2006年3月24日の民生保健委員会で、芦原病院への備品整備補助金の使途について独自の調査をもとに質疑。定価の3倍で購入したことになっていたり、納入された形跡がないなど、事実なら重大な犯罪行為であり、大阪市がただちに実態を調査するべきだと、関市長に対し管理責任をきびしく追及しました。
わたし考一議員は、2006年3月27日の財政総務委員会で、建物補修のための施設整備補助金についても、2004年度は9700万円の補助金で建物補修を行ったとしているが、建物帳簿残高が2003年度と2004年度はまったく同額になっており、考えられないことだとのべ、補助金詐取の疑いがあると追及しました。
日本共産党議員団は、2006年3月30日の本会議では、「芦原病院への補助金・貸付金等にかかわる調査特別委員会(百条委員会)」の設置を提案。渡司考一議員が代表して説明しました。自民・公明・民主の与党はこれを否決しました。
○ <同和の未利用地問題の追及>
大阪市開発公社が、淀川区で経営する市有地の駐車場の管理を、解同飛鳥支部長が理事長を務める「飛鳥会」に委託している問題で、契約を2006年3月末でうちきることを決めました。
下田敏人議員は、2006年2月27日の建設港湾委員会でこの問題を取り上げました。この駐車場は、JR新大阪駅南側の西中島駐車場(約3700平方メートル、収容台数約90台)で、下田議員は、「この駐車場の事業委託は、長期にわたって飛鳥会を儲けさせる目的でおこなったものだ」と指摘。「党市議団として再三にわたって是正を求めたのに、見直してこなかったことについて、深刻な反省が必要だ」と迫りました。市の担当者は、「同駐車場事業から撤退することとし、本年3月末をもって契約しない旨の文書を送付した」と答弁しました。
○
人権文化センターなど過剰な人員配置の是正
市内12ヵ所の人権文化センター(旧解放会館)には市職員134人を含め計222人が配置されています。それに対し、区民センターなどは31施設で市職員14人を含む138人(2005年度)。青少年会館も同様です。大阪市は、これを見直さざるをえなくなっています。
日本共産党議員団は、「保育所、学校等への不公正な同和加配を直ちに改める」「人権文化センターや青少年会館などのおびただしい数の職員配置を是正する」ことを、議会でも予算要望でも、繰り返し徹底して求めてきました。
○ 旧同和住宅付設駐車場問題の見直し
一般の市営住宅の駐車場に比べ、旧同和住宅付設の駐車場の利用料が非常に安いことは、同和温存のあらわれのひとつです。大阪市も「今後3年かけて一般並みにしていく」などと言わざるをえなくなっています。
石川かんじ議員は、2006年12月13日の計画消防委員会で、旧同和住宅に付設されている駐車場の料金は7000円〜1万円と、一般住宅の駐車場の1万2600円より安くなっていると指摘し、早急に是正すべきだと追及。理事者も是正すると答弁しました。
わたし考一議員は、2006年1月26日の財政総務委員会で、市営住宅の附設の駐車場にくらべ、人権協会に管理委託している駐車場の市への納付金が異常に少ないことを紹介。1台の利用料が安いうえに、各地区人権協会への委託管理費が多いからだと指摘。聖域扱いをただちにやめるよう強く求めました。
○ 人権文化センターからの解同事務所の撤去
解同の12支部の内10支部が人権文化センターに賃料の減免を受けて入居していた問題で、浪速支部が2006年1月に移転し、矢田支部も夏には移転することが明らかになりました。
この件も、日本共産党議員団が繰り返し追及してきた問題です。
瀬戸一正議員は、2006年2月27日の財政総務委員会で、人権文化センターの中に、解同の支部事務所が置かれている問題について、公的施設の中に運動団体の事務所が置かれているのは異常であり、ただちに退去させるべきだと迫りました。理事者は、解同支部事務所が1館でこの1月末に撤去し、あと1館で夏頃をめどに撤去する予定だと答弁しました。
○ 「同建協」会員のみの指名を2006年から廃止することを大阪市が公表。
※「入札制度の改善」の項を参照してください。
○ 「旧同和地区の学力調査は実施しない」との答弁を引き出す。
○ 「同和関係本の配布はしない」との答弁を引き出す。
※ 以上2つは「教育」の項を参照してください。
文化
○ 2003年度から、地域図書館の開館時間の延長
平日午前10時30分〜午後5時だったのが、10時〜7時に延長。第2・第4火曜日も開館。
日本共産党大阪市会議員団は、他の政令市の例も示し、「開館時間の延長、蔵書の増加」など、改善を求めてきました。
○ 消防音楽隊の存続を市長に求める。
大阪市は、歳出の削減のためとして、年200回ペースで演奏し、市民から親しまれてきた消防音楽隊を、2006年度廃止することを決めました。
石川かんじ議員は、2006年3月17日の計画消防委員会でこの問題をとりあげ、子供たちから高齢者まで、多くの市民に愛され親しまれ、火災予防、啓発活動に取組み、消防の看板になっていることを紹介。廃止の撤回を関市長に迫りました。
スポーツ
○ テニス場の売却撤回を求める
2006年1月27日の建設港湾委員会協議会で、マニフェストにあげられている大正区のマリンテニスパーク・北村の用地売却問題が質疑されました。大阪市は、「この土地は大正区の区画整理事業で整備されたが、最終の収支不足額は約47億円となる。財源確保のために売却したい」としています。
下田敏人議員が質問に立ち、このテニス施設の利用者は年間12万人にものぼり、市内全域から利用があること、公式テニスクラブも組織され、夏には全校高校インターハイも予定されていること、区内の有志が一人5万円を拠出しあい桜を記念植樹し桜の名所になっていることなどを指摘。「財政を理由にするなら建設局所有のムダになっている他の土地を処分するべきだ」と主張しました。
平和
○ 自衛艦・米艦の大阪港入港に反対する申し入れ
この間、2003年5月、2004年3月、2004年4月、2006年4月の4回にわたって自衛艦や米艦が大阪港に入港しました。
日本共産党議員団は、市民の抗議運動にともに参加するとともに、そのつど入港の拒否を市長に申し入れました。
下田敏人議員は、2006年3月27日の建設港湾委員会で、4月3日に入港する米イージス艦はトマホークなどの武器を搭載し核弾頭も搭載可能であること。平時は北朝鮮の監視にあたり、イラク戦争ではキテイホークの護衛艦として出動したこと等を指摘。こうした軍艦の入港は平和利用を目的にする大阪港にふさわしくないと入港拒否を市長に迫りました。
○ 「大阪市非核・無防備平和都市条例」に賛成、与党は否決
市民団体が、「大阪市非核・無防備平和都市条例」の制定を求める直接請求運動をおこし、条例案が2004年7月20日の市議会本会議に上程されました。
直接請求代表者の4人がそれぞれ意見陳述を行ったあと、日本共産党議員団を代表して渡司考一議員が市長への質問に立ち、「平和憲法、とりわけ戦争放棄を謳った第9条の今日的意義について市長はどう考えるのか」とただしました。
23日の閉会本会議では、稲森豊議員が、市民の平和と安全を確保することは大阪市の責務だと賛成討論をおこないました。自民、民主、公明など与党は討論にたたず、否決しました。
憲法・教育基本法
○ 市会本会議場への「日の丸」掲揚に反対
2003年6月、市会本会議場への「日の丸」掲揚を自民党が提案。公明・民主が同調し、与党で強行しました。
日本共産党議員団は、市民団体にこの事態を知らせるとともに、「有事法制やイラクへの派兵など憲法を否定する動きに呼応し、260万市民に開かれた市議会に特定の主張を押し付けようとするもの」だと、反対をしました。
○ 卒業式・入学式での「日の丸・君が代」押し付け反対
日本共産党議員団は、例年2月に教育委員会に対し、「日の丸・君が代」の押し付けに反対の申し入れを行っています。
○ 与党が提案した教育基本法改悪求める意見書に対し、対案を提出
2004年12月、自民・公明・民主の与党が共同で「教育基本法に関して国民的論議を求める意見書」を提案。これに対して、日本共産党は「教育基本法の改悪に反対する意見書」を提出。山中智子議員が採択を求めて討論をおこないました。
山中議員は、2004年3月、中央教育審議会が「教育基本法を改正する必要がある」という答申を文部科学大臣に提出し、文部科学省は「改正」の法案づくりをすすめることを了承。国会提出をめざし準備がすすめられているなか、与党提出の意見書案は、表題こそ「国民的議論を求める」としているものの、その主旨は、社会の倫理観や教育における道徳心の低下などに対処するために、教育基本法に道徳教育の充実、家庭の意義、家庭教育の重要性などを規定するべきだなどと、中央教育審議会の答申とまったく同じものであり、教育基本法の改悪を求めるものにほかならないと指摘しました。
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