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後期高齢者医療制度 広域連合議会議員レポート

大阪府後期高齢者医療広域連合議会議員 北

 

【はじめに】

2008年4月から実施されようとしている「後期高齢者医療制度」は、かつてない、きわめて重大な問題をもっています。

その最大の問題点は、「医療費の抑制を目的に、75歳以上という年齢によって、受けられる医療内容に差別が持ち込まれ、後期高齢者に対する医療が大変劣悪なものに変質させられてしまう」という点にあると思います。そして、「安定的な財源の確保を目的として、すべての後期高齢者が支払わされる保険料を2年ごとに確実に引き上げ、しかもそのほとんどが年金天引きで否応なし。低年金や無年金であることによって年金天引きとならない方が、保険料を滞納すれば保険証を取り上げてしまうなど、きわめて無慈悲な制度になっている」ということであります。さらに、「この制度の実施主体は都道府県単位の広域連合とし、高齢者や住民の声を届きにくくさせ、財政的にも独自の措置をとりにくくし、地域の実態に即した柔軟で創造的な対応を難しくさせている」という点も重大であります。

これらの点から見れば、この制度は、実施そのものを中止し、撤回すべきものであるということを、まず最初に怒りをこめてお訴えするとともに、そのために全力を尽くしていく決意を申し上げておきたいと思います。

その上で、本稿では、日本共産党の後期高齢者医療広域連合議会議員として、大阪府広域連合でのこの間の私たちの取り組みについて、その一端を報告させていただき、全国各地での取り組みに連帯するとともに、制度実施にあたっては、最大限の改善を勝ち取るための運動のいっそうの発展と前進を、心から呼びかけるものであります。

 

【1】全国の中でも異常な大阪府広域連合

(1)議員定数をめぐって

大阪府後期高齢者医療広域連合議会議員は、定数20名で、その最初の議員が2007年6月に確定(その後11月に1名変更)しました。現在、日本共産党からは、大阪市会議員の私と、枚方市会議員の広瀬ひとみ議員の2名が選出されています。公明党が7名と最大で、自民党4名・民主党1名(他に、市議会議長のため「無所属」となっている民主党議員1名)・社民党1名で、他は無所属議員で構成されています。

人口882万の大阪府の議員定数が、人口141万のおとなりの奈良県と同数であり、44万1000人に1人と、対人口比での議員数は神奈川県と並んで全国最低クラスとなっています。大阪府広域連合議会議員20名は、政令指定都市の大阪市(4名)・堺市(2名)が固定で、31の一般市からの12名と10の町村からの2名は、毎年のローテーションで選出自治体(議員)が替わっていくというもので、その多くがその自治体議会の「議長」などのいわゆる「当て職」で選出されています。

そもそも、43市町村・人口882万人の大阪府で、「議員定数20名」ということ自体が間違っています。その議決が全43市町村を拘束する広域連合の議会に、1人の議員も出せない市町村が多数を占めるなどとは、議会制民主主義の体をなしていません。人口だけでなく、財政規模や財政状況など様々な違いをもつ各市町村間の公平性の確保という面でも問題があります。さらに、府民の声がより届きにくい状況で事が決められていくという点でも、到底見過ごすことはできません。そして、議員構成が毎年コロコロ変わることによって、議会での議論の蓄積や発展・継続性が大きく損なわれることも大問題です。

 だからこそ、大阪府市議会議長会は、「大阪府後期高齢者医療広域連合議会の議員定数に関する要望決議」(資料1)をあげるとともに、「会長見解」(資料2)を示し、議員定数の早期の見直しを求めたのであります。

 そんな中で、2007年7月、第一回広域連合議会に先立つ全議員協議会で、我が党の広瀬議員から「改めて議員定数の見直しの作業を行うべきだ」との問題提起をし、私は「議長のもとでの調査・研究・検討のための超党派での協議会の設置」を求めました。これに対し、他党議員からは「発足した当初から見直しの議論とは、性急過ぎる」との意見が出され、これらの提案は実現には至っていません。しかし私たちは、機会あるごとに繰り返し「議員定数の見直し」にむけた問題提起を行っていく必要があると考えていますし、その決意で臨んでいきたいと思っています。

 

(2)議会運営のあり方としても異常

7月26日に開催された第一回臨時議会では、「会議規則」と「傍聴規則」についての議論が行われました。

提案では、「議員の質疑は同一議題で3回まで」となっていました。私は、「質疑には回数制限を設けないようにすべきだ」と修正案を出し、その提案理由として次のような発言をしました。

「議会では、自由闊達な議論と慎重な審議が求められています。広域連合議会は、後期高齢者医療制度に関する『専門的議会』であるがゆえに、一般の地方議会と異なって、本会議と各種委員会に分けて議論されるという形態をとらず、一体で議論されるという特殊性を考慮しておく必要があります。一般の地方議会の場合、各種の委員会でテーマごとに自由に質疑が行われ、議案の内容や問題点がより鮮明にされた上で、本会議で修正案や対案なども示されたりしながら討論を行い、表決を行っていくというふうになっています。つまり、委員会での自由な質疑が保障されているからこそ、本会議での発言への一定の制限も許されているのです。ちなみに大阪市議会の『会議規則』をみてみると、確かに『質疑は同一議題で3回まで』の制限が記されています。しかし、第9章『委員会』の第44条では『委員は、議題について自由に質疑し、又は意見を述べることができる。』と記され、回数制限など一切ありません。つまり、委員会での自由な質疑や討論を保障した上で、本会議での質疑を3回までと制限しているのです。提案されている原案は、一般の地方議会の『本会議での質疑の制限』の部分だけを丸写しにし、『委員会での自由な質疑』の部分を抜かしてしまっているのです。広辞苑によると、『質疑』とは『疑いある所を問いただすこと』と記されています。提出される議案に対して『疑いある所』が3カ所までしかないとは限りません。1度問いただしたからと言って問題が明確にされるとは限りません。同じ問題点であっても、別の角度から問いたださなければならないことも出てきます。本広域連合議会では、それらの質疑も、一般質問や討論も、同じ会議で行われるのですから、議会のチェック機能を十分果たすという点からみて、質疑の回数に制限を設けるというやり方は間違っていると言わざるを得ません」と。

また、提案された「傍聴規則」では、「議会での傍聴定員は一律30人」となっていました。これに対しても修正案を出し、次のような発言をしました。

「どんな会場であっても一律に30人と定めなければならない根拠が、一体どこにあるのでしょうか。一般傍聴を最大限保障するというのは、『府民に開かれた議会』『公開度の高い会議』にしていくうえで、当然のことではないでしょうか。その意味では、直接の傍聴だけでなく、第二会場・第三会場などでのテレビモニター傍聴や、各家庭に向けたテレビでの生中継やインターネット中継などの間接的方法での傍聴も検討すべきであります。会議の公開度を高めていこうという時代の流れの中で、どんな会場であっても『一律30人』と傍聴規則で決めてしまうということは、『時代遅れ』のそしりは免れません。これに関連して、会場の設定についても一言申し上げたいと思います。本広域連合は、大阪府内の全市町村を網羅して形成され、またその議会での審議と決定は大阪府内の全市町村を拘束していくというものであります。その会議会場として、各市町村議会の会議場を使用するという方法も検討してみてはどうかと考えます。中でも、交通の利便性や事務局の設置場所などを鑑みれば、大阪市議会の会議場を使用するという方法は、もっとも効率的だと考えます。ホテル等の使用に比べて、経費の削減、議会会場に必要な設備の整備、会議日程の柔軟な対応などの面に加えて、かなりの多人数の傍聴を保障することにもつながります」と。

しかし、これらの修正提案に対しても、我が党の2名の議員以外、自民・公明・民主・社民など、いずれの議員も同調せず、原案通り可決となってしまいました。しかも、11月5日の第二回目の全議員協議会では、「申し合わせ」と称して「会議日程ごとの1議員の質疑は15分までに時間制限する」ということまで、多数決で決めてしまいました。全会一致で確認すべき「申し合せ事項」を、一方的にごり押ししたのです。大阪府政では、1979年以来、日本共産党以外の「オール与党体制」が続いてきましたが、広域連合においても「オール与党体制」「大連立体制」の異常さを示したものでもありました。

 

【2】全国で三番目に高い保険料提案と我が党の修正提案

11月22日に開催された第二回定例議会では、主に、大阪府での保険料を決める「後期高齢者医療に関する条例案」と、府民から寄せられた「請願書」について審議されました。

 当局が示した条例案は、主に次のようなものでした。

●一人平均年額保険料・・・101,449円

均等割:47,415円  所得割:54,034円

●軽減後平均保険料・・88,066円  年金208万円保険料・・95,155円

●所得割料率・・・8.68%

●葬祭費給付・・・50,000円

●特定健診・・・・自己負担なしで、広域連合が直接大阪府医師会に委託して実施

保険料の提案については、全国で三番目に高い数字になっていますが、私の当初の見通しよりは低い数字で示されています。これは、制度のスタート時点での保険料をできるだけ低くし、制度導入時の国民の抵抗を小さくするために、本来は2004年度から2006年度までの「3年間の医療給付費の伸び率の実績」にもとづいて、2006年度比7.44%ののび率で「2008年度医療給付費」を計算すべきところを、国が独自に「医療給付費の伸び率」を2年分で4.8%と設定し、この数字をあてはめて計算することを「良し」としたためにそうなったものです。国が「のび率を低く見積もった」のは、この制度の発足で後期高齢者の医療費の伸びを過去の実績よりも低く押さえ込むことを見込んでのことで、それは「粗悪な医療への変質」を前提にしている表れでもあります。

同時に、今回は2年分の医療給付費の推定値を「23ヶ月分」で算定していることと、2009年度の医療給付費の伸び率は2008年度比の1年分で5.6%と推定していることから、2年後の見直しで、2010年度からの保険料が大幅に増加することは必至となることを見落としてはならないと思います。

 また、現行の国保の保険料と比較してみれば、単身者はそのほとんどがこれまでより安い金額でスタートしますが、ご夫婦二人世帯などではこれまでより負担が増える場合がでてきます。

 

以上のような状況を踏まえて、私は保険料を軽減する修正提案(資料3)を行いました。

第一の修正の柱は、「一人当たりの平均保険料を引き下げる」ということであります。

そのために、原案で「保険料に賦課する費用」としている「財政安定化基金拠出金」「保健事業に要する費用」「審査支払手数料の額」、そして主に葬祭費である「その他の費用」の金額を、「保険料に賦課する費用」に加えないで保険料を算定する、というのが一点目であります。

二点目は、原案では「保険料の収納率を99%と見込み、未収となるであろう1%分を上乗せして、さらに保険料にかぶせています」が、この分の上乗せをしないで保険料を算定するというものです。

三点目は、条例にある「被災や急激な所得の減少による保険料減免措置」で、入ってこないであろうと見込んでいる保険料減免金額も、さらに上乗せして全体の保険料にかぶせて計算する、という原案に対して、この分の上乗せをしないで計算するというものです。

そして四点目は、それらの「保険料を低くする算定への修正措置」によって、不足する財源については、大阪府および各市町村からの補助金の繰り入れで賄うというものです。その負担割合は大阪府が50%、市町村が50%とし、市町村負担分はその対象人口比率に応じて負担するというものです。

これらの修正を行えば、一人当たりの平均保険料は、原案の101,449円が92,706円となり、8,743円の引き下げになります。また、低所得層により大きな影響を与える「均等割保険料」は、4,086円安くなり、43,329円となります。さらに所得に掛け合わせる料率は、8.68%から7.94%に下がり、所得割がかかってくる層の負担も軽減できることになります。

なお、その後期高齢者人口の比率に応じて、各市町村が繰り入れるべき補助金額の見込みは、最大で大阪市の約11億1,300万円、最小は田尻町の約330万円であり、大阪府からの繰り入れは約33億3,400万円となります。

 

第二の修正の柱は、国が示している「保険料の軽減措置」に対し、その対象の枠を拡大する修正を加えることと、保険料の支払いによって「生活保護基準」に満たない生活実態に陥ることのないように、広域連合独自にその防止策を講じるということであります。

保険料軽減対象の枠の拡大に向けては、対象となる所得基準を「世帯の総所得金額」から「被保険者本人の所得金額」に修正するということが1点目です。

2点目は、「5割軽減」の対象所得基準額の算定方法について、「基礎控除額(33万円)+22万5000円×被保険者数(被保険者である世帯主を除く)」から(被保険者である世帯主を除く)の文言を取り、「基礎控除額(33万円)+22万5000円×被保険者数」に修正するというものであります。

「生活保護基準」に満たない生活実態に陥ることのないように、防止策を講じるという点では、保険料をさらに軽減することによって生活保護基準を上回るまでの金額を、「均等割」「所得割」両方の保険料を対象にして特別軽減するという提案です。

なお、これらに要する財源の措置については、第一の修正と同様、大阪府50%、市町村50%の補助金の繰り入れで賄うこととし、各市町村の負担分はその対象人口に準じて負担するというものであります。

 

次に、私は、これらの修正措置をはかる意義と現実的根拠について強調しました。

第一には、給付の水準を落とさずに保険料負担を軽減できるということであります。

11月5日に行われた全議員協議会では、お亡くなりになったときに支給される葬祭費について激論が交わされ、公明党議員からは「葬祭費を5万円から2万円に引き下げよ」との意見も出されました。その理由としてあげられたことのひとつが、「保険料を安くできる」というものでした。しかし、「給付水準を下げて保険料を下げる」というのでは、社会保障の理念をないがしろにするものと言わざるを得ません。

第二に、「財政安定化基金拠出金」「審査支払手数料」「収納率を99%と想定し、保険料が未収になる1%分の上乗せ」「災害などによる保険料減免分の上乗せ」など、本来保険料の算定経費に加えるべきでない、筋の通らない算定方式を改めるということであります。

「払えない保険料」や「払わない保険料」を、まったく責任のない「払う人」に上乗せして負担させるという、筋違いもはなはだしいやり方であります。

第三に、この後期高齢者医療制度における大阪府の財政負担はかなり少ないものであり、広域自治体である大阪府にこの程度の補助金の繰り入れを求めることは、決して過重なものとはいえないのであります。また、各市町村の補助金繰り入れ負担にしても、その財政規模から見て決して過重とは言えない程度のものであります。

そして第四に、現に東京都広域連合は、11月20日の議会で、この修正提案に近い措置を講じることを決めているということであります。具体的には、「財政安定化基金拠出金」「審査支払手数料の額」「収納率による上乗せ分」は全額区市町村補助金で賄い、「健診費用は、国庫補助金・自己負担金を除いた額の3分の2」を区市町村が拠出することになりました。さらに広域連合が東京都に対して財政負担を求め、その結果を踏まえて、更なる低所得者対策を検討することまで盛り込まれているのであります。

 

これらの道理を尽くしての修正提案に対して、我が党の2名以外の18名の議員の反応は、冷淡そのものでした。自民党議員の一人だけが反対討論にたち、「今回の制度改正により、高齢者の方々に新たな過大な負担を及ぼすものではない」「軽減措置が設けられており、低所得者に十分な配慮がなされている」「府や市町村からの補助金の独自の繰り入れは、制度創設の趣旨を没却するもの」として、まともな吟味もなされないまま、あっさり否決してしまいました。

 

【3】運動を広げ、「後期高齢者府民も加わる運営協議会の設置」など改善も実現

以上のように、全体としては、「大連立体制」の多数による横暴なやり方で府民の意見や願いに反する経過をたどりつつあります。しかし、私たちも運動の大きな広がりをつくり、いくつかの大きな変化や改善を実現させています。

 

まず、広域連合議員である私と広瀬議員は、7月26日の第一回臨時議会やそれに先立つ全議員協議会(非公開・議事録なし)でのひどい実態をふまえ、広範な府民や各種の団体に、この制度の問題点や大阪府広域連合議会のデタラメぶりを知らせていく活動の先頭にたちました。また、党府委員会は、対策会議や市町村議員団長会議を開催したり、全市町村議員団や全地区委員会からも参加を求めた府委員会主催の学習会を開くなどの取り組みを進めました。

さらに、大阪社保協・大阪府保険医協会・大阪民医連などのみなさんといっしょになって「後期高齢者医療制度対策協議会」をつくり、私も毎回欠かさず出席し、情報交換と運動の具体化をはかってきました。その中で、わかりやすいパンフレットづくりとその普及、ビラや資料の作成と各種団体への送付、「講師養成学習会」や各地域・各団体ごとの学習会への講師派遣、広域連合議員への申し入れ活動や広域連合事務局との交渉、高齢者がたくさん来られる「四天王寺お大師さん」の毎月の大宣伝行動など、幅広い運動に取り組んできました。年金者組合や生活と健康を守る会・民商など、府レベルで独自の学習会や決起集会・宣伝行動に取り組む団体もどんどん増え、大阪府保険医協会がつくった「はよ死ね言うんか!」と大書きしたポスターは大きな反響を呼び、関西テレビで取り上げられ、ポスターに記載された「制度の問題点」の解説も放映されました。

 

そんな運動の広がりと強まりが、多くの変化や改善を生み出しています。

広域連合議会議長は、「私が議長であるかぎりは、議長の裁量であなた方の質疑回数や質疑時間の延長を認める」と私に言わざるを得なくなりました。そして、11月22日の第二回定例議会では、実態として、異常な「質疑3回・15分までの制限」や「30人の傍聴」を打ち破ることができました。会議場は大阪府庁別館を使用し、直接傍聴席は30人分でしたが、90人分の席を設けた第二会場を設置し、モニター傍聴を実現させることができました。それでも当日の傍聴人は150名近くにもなり、会議場は大混乱で議会開会が30分も遅れる状況でした。

そして、連合長が提案した「条例案」の審議だけでなく、府民から提出され、いずれも私と広瀬議員が紹介議員となった6件の「請願書」も主要議題として審議されました。大阪社保協や保険医協会などから請願書が提出されたのはもちろんですが、府内各市町村議会の多数の無所属議員からも請願書が提出されました。提出者は3名でしたが、賛同人として署名した方は、合計11市町16名に及び、提出者によると、請願書に賛同した無所属議員は50名を超えるとのことで、これらの方々も傍聴人として多数来られていました。

請願書は多項目にわたっていましたが、私と広瀬議員で分担して、「医療内容に格差を持ち込まないよう国に求めてほしい」「保険料の年金天引きを強制しないようにしてほしい」「短期保険証や資格証明書は発行しないでほしい」「後期高齢者も委員として加わる運営協議会を設置してほしい」「議員定数を見直し最低全市町村から議員を出せるようにしてほしい」「窓口負担の減免制度の創設・拡充をしてほしい」「障害者の撤回届けに関する仕組みの周知の徹底等、制度に関する広報の徹底と情報公開の徹底をはかってほしい」という点について質疑しました。他党議員からはだれも質疑・発言がありませんでした。

質疑に対する答弁の中で、「短期保険証は6ヶ月間の有効期間にする」「資格証明書は機械的に発行せず、悪質な滞納者と判断した場合に発行する」「窓口負担の減免制度は広域連合規則において規定する」「制度周知の広報活動としては、点字版や外国語版を含め130万部のパンフレット、3万5000枚のポスターを作成した。年明けの1月には被保険者となる高齢者全員に個別通知を郵送し、3月の保険証交付時には制度解説小冊子を送付する等、できるだけの努力をする」などの答弁が行われました。そして、採決の結果、「後期高齢者などを構成メンバーに含む、運営協議会の設置」「制度周知のための情報提供・広報の強化・個人情報保護の徹底」の請願事項が、全会一致で採択されるという成果が得られました。

 

これらの経過を通じて、傍聴にこられた方々をはじめとする幅広い府民や団体の中で、日本共産党に対する信頼が大きく高まったということも大切なことだと思います。

傍聴にこられたある年金者組合の方は、「あの議会の状況を見たら、わしら高齢者の味方になってくれるのは共産党だけだとはっきりわかった。共産党の議員をもっと増やすためにがんばる」と、全身に力をこめておられました。請願書を提出された無所属の市会議員さんは、「国政レベルでは『自公与党と対決』といっているが、民主・社民もふがいない。共産党はまじめできちっとしている」と、握手を求めてきました。

また、マスコミの取材も私たちに集中しています。11月の広域連合議会の様子を取材した関西テレビの担当者からは、私にインタビューをしたいとの申し入れがありました。そのインタビューの内容が、議会での「保険料引き下げ修正案否決」の場面や四天王寺お大師さんでの宣伝行動などとあわせて、12月6日に15分近く放映されました。ある月刊雑誌の記事を書いているフリージャーナリストの方が、12月19日、わざわざ東京から取材に来られ、2時間近くも話を聞いてくれ、「資料もほしい」と熱心な取材を受けました。「なぜ私のところに取材に来たのか」と尋ねると、「大阪の広域連合議会であなた方が修正案を出したと聞いた」「他の議員にも取材をしようと連絡をしたが、ほとんど制度の内容すらご存じない様子で、共産党の議員が一番詳しいから」とのことでした。ただし、「共産党やあなたの名前は出せない記事になるかも」とのことでしたが・・・。

 

【4】いっそうの運動の前進を

冒頭で述べたように、後期高齢者医療制度は中止・撤回すべきものであり、改めて国民的大運動に発展させていく必要があります。私の地元の大阪市西淀川区では、我が党も加わる社保協が中心となって署名運動に取り組んでいます。その中で、社保協の申し入れに応えて区医師会が署名運動に協力すると理事会で確認し、全医師会員に署名用紙が届けられ積極的に取り組まれています。さらにいっそう広げて生きたいと考えています。

同時に、大阪府広域連合や大阪府と各市町村、およびその議会・議員などに対して、府民の被害を最小限にさせていく運動も強めていかなければなりません。2月には、2008年度予算を中心議題にして広域連合の第三回定例議会が開催されます。また、2〜3月は、府議会や市町村議会も定例予算議会が開催される時期でもあります。法律上は、府や市町村が独自に広域連合に補助金を繰り入れ、保険料を安くすることができます。また、府や市町村が独自の施策をつくり、高い保険料の軽減措置を講じることもできます。これらを生かして、府や市町村単位での府民の負担軽減策を具体化させていく取り組みにも、全力をあげて生きたいと思います。

最後に、5中総は「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」を提起しています。後期高齢者医療制度創設の背景に、高齢化の進展に伴う「医療費亡国論」がはびこっています。さらに、社会保障の財源づくりとして「消費税増税必至論」が広く存在しています。これらを打ち破り、「軍事費をはじめとした税金のムダ使い」「大企業特別優遇・特別減税」等を改めることによる「医療や社会保障の財源づくり」の展望を、国民の大きな世論にし、日本共産党の存在価値を国民各層に幅広く認識していただく「大運動」と結びつけての取り組みを、いっそう強めていく決意を述べ、本稿を終えることにいたします。