〔前編〕 これまでの自動車公書対策の経過と総括

第1部 前「大阪市自動車公害防止計画」の概要
・ 空素酸化物(NOx)対策については、平成12年度末までに、大部分の沿道における二酸化窒素の環境保全目標を達成するため、自動車からの排出量を5,000トン/年まで削減する。
・ 道路交通騒音については、要請限度を下回ることを当面の目標とし、さらに、環境基準達成に向け努力する。
・ このため、発生源対策、交通対策、道路構造・沿道対策、啓発を4本の柱とし、施策を推進する。

第2部 これまでの自動車公害対策の評価
・ 大阪市域の大気環境は、二酸化空素(N02)及び浮遊粒子状物質(SPM)について、依然として厳しい状況である。
・ 平成10年度における自動車からのNOx排出量は6,960トン/年であり、平成12年度中に目標の5,000トン/年まで削減することは困難な状況となっている。
・ 普通貨物車の走行量が増加していること、車齢の高齢化や車両の大型化により普通貨物車の排出ガス規制効果が減殺されていること、また、低公害車の普及が進んでいないことが、計画の目標を達成できなかった大きな要因である。
・ 道絡交通騒音対策については、単体規制の遅れや低騒音舗装の推進等が課題である。

〔後編〕 これからの自動車公書対策
第1部 計画の基本的事項
・ 大阪市城において、自動車公害を早急に改善するとともに、快適で良好な都市環境を実現し、市民の健康な生活を確保することを目的とする。
・ 平成13年度から平成22年度までの10年間を計画の期間とする。
・ 二酸化窒素については、平成17年度までのできる限り早期に自動車からのNOx排出量を5,000トン/年まで削減し、平成22年度末には幹線道路沿道で二酸化窒素に係る環境保全目標の達成を図る。
・ 浮遊粒子状物質にっいては、当面、平成17年度末までに自動車からの粒子状物質排出皇を580トン/年まで削減する。
・ 騒音については、平成22年度までに幹練道路沿道での環境保全目標達成をめざすとともに、平成17年度までに要請限度を下回ることを目標とする。
・ 振動については、大部分の地域住民が日常生活に支障がない程度とする。

第2部 自動車排出ガス対策
・ 以下の重点施策を強力に推進するとともに、市民・事業者と協働して自動車排出ガス問題の解決に取り組む。

(1)低公害車・低排出ガス車の大量普及
・ 低公害車等の普及促進は、市民・事業者の環境改善に対する意識の高まりにもつながることから、中心的施策として推進する。
・ 従来の助成制度を見直し、国等の補助制度を最大限活用して、より利用しやすい助成制度を創設・'実施するとともに、低公害車等の利用コスト軽減に向けた勧きかけを進める。
・ 事業者に対し、低公善車等の導入計画の策定・報告等を指導することにより、計画的な普及を図る。
・ エコステーションの建設支援を行うとともに、広域的な整備が進むよう努める。
・ 低公害車等を用いて物品等の配送を行うグリーン配送を推進する。また、中小事業者に対する支援措置として、低公害車等の共同利用や、従来車価格で利用できるリース制度などを創設し、その取り組みを促す。
・ 公用車について、原則、全車を低公害車とすることを目標とし、率先導入に努める。

(り 大型ディーゼル車対策
・ 普通貨物車等の大型ディーゼル車について重点的に対策を推進することは、大気環境
の改善を図る上で大きな効果が得られ、また、近年ではディーゼル排気微粒子の健康影
響が懸念されていることから、早急に対策を進める。
・助成・融資の集中的な実施等により、低公害革等への代替を促進するとともに、ほ公
害車等が開発されていない車種については、最新規制道合車への早期代替を図る。
・後処理装置については、汎用性が高くNOx・PMを同時に削減できる装置の開発を
国やメーカーに働きかけ、実用化された場合はその普及を推進する。
・ その他、自動車NOx・PM法に係る特定地域外からの流入事について、京阪神六府
県市自動車排出ガス対策協議会において広域的な対策を検討するとともに、低硫黄軽油
の普及や固定発生源を含めた総合的な粒子状物質対策の推進を図る。

(3)人流対策。物流対策・交通流対策
・ 自動車利用の効率化により交通量を抑制するため、従来からの対策をよリー層推進する。
・ 人流対策としては、自動車から公共交通機関への更なる転換を図るため、乗り継ぎの利便性向上などによるネットワークの有機的な増強や、ITSを活用した運行状況等の情報発信などを行うとともに、通勤交通対策や徒歩・自転車利用への転換を推進する。
・ 物流対策については、事業者への指導に関し指導対象を拡大するほか、大阪市独自の新たな指導の展開を図る。また、物流の効率化を図るため、情報技術を活用し貨物自動車の効率的な運行が確保されるよう努めるとともに、運送事業者や荷主企業への要請活動を行う。
・ 交通流対策については、ETCを活用した弾力的な料金体系のよリー層の検討、具体化に向けて取り組むとともに、交通管制システムの更なる高度化、ITSを活用した渋滞情報の発信などにより、良好な交通流が確保されるよう努める。また、路上駐車対策が強力に推進されるよう努めるとともに、局地汚染対策として、高濃度となる要因の把握とハード・ソフト両面からの総合的な対策を推進する。

(4) 交通需要マネジメント(TDM)の推進
・ 今後、道路等のインフラ整備を進めつつ、あわせて自動車交通の需要を調整する交通需要マネジメントの推進等を積極的に図ることにより、総合的な自動車交通施策を推進する。

第3部 自動車騒音・振動対策
・ 自動車騒音についてt最新規制適合車や低公善章の普及促進による発生源対策、低騒音舗装や防音壁の設置等による道路構造対策、沿道土地利用の道正化。パソファビルの誘導や沿道住宅の防音化等による道路沿道対策を実施していく。また、振動については、道路面の良好な維持管理や振動に配慮した運転の励行を要請することによる道路交通振動対策を推進に努める。加えて、他の道路管理者等に要望していく。
・ 騒音に係る環境基準の達成状況を把握する評価システムを構築し、道路交通騒音対策の進行管理、優先的に対策を講ずるべき道路区間の抽出、市民・事業者への情報提供に活用していく。

第4部 市民・事業者との協働
・ 自動車公善問題は、市民・事業者の活動が密接に関わっており、行政はもちろんのこと、市民・事業者も、自動車を利用する立場からそれぞれの役割を担う。
・ 市民・事業者の環境に対する意識の高まりを喚起するため、ほ公善革等の性能や購入時の助成制度、自動車排出ガスの影響、大気環境や騒音・振動の状況などに関する情報について、低公善車フェアの開催やホームページによる広報、高濃度予報制度の構築など'こより、積極的に発信する。
・ 社会全体として、自動車利用のあり方等についてコンセンサスを得ていくため、市民・事業者や各種団体と行政から構成される協議会等を設立して議論を重ねるとともに、市民・事業者の取り組みを促し、社会実験等を含めた具体的な対策を進める。

第5部 計画の推進
・ 大阪市として、環境部局だけでなく、全庁的な対策の推進体制を構築するとともに、大阪府や他の様々な行政機関による総合的な施策を実施するため、それぞれの役割と費任を明らかにし、より連携を深めて対策の効果的な推進を図っていく。
・ 様々な施策を推進していくとともに、設定した施策別の数値目標の達成に向け、毎年、各施策の進捗状況の管理とその効果の評価を行い、施策の見直し・強化や新たな施策の検討などを行う。
, 計画の進行管理の結果、施策の実効が上がらないと予測される場合には、規制的手法等の導入についても考慮する必要があることから、今後、経済的な措置や自動車の流入抑制方策等について、関係機関からなる研究会を発足させるなど、施策の新たな推進手法の検討を進めていく。
・ 京阪神G府県市による低排出ガス車指定制度の運用やディーゼル車対策など、広城的な連携を一層密にし、取り組んでいく。
・ 対策の推進にあたり、新たな技術や手法を開発し効果的に活用していくとともに、今後必要になると考えられる施策などに関する情報の収集に努め、調査・研究を進める。
大阪市自動車公害防止計画」(素案) 概要