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大阪市三セク3社の特定調停が成立

市民に巨額の負担 問われる自治体のありかた

 

大阪市の三セク特定調停問題は、12日、大阪市や金融機関が大阪地裁の調停案に合意したことにより成立しました。

大阪市が筆頭株主となり、銀行などと共同出資してつくった三つの第三セクター・ATC(アジア太平洋トレードセンター)、WTC(ワールドトレードセンター)、MDC(湊町開発センター)が多額の借金をかかえて破綻状態におちいり、三社は裁判所に対し、借金の減額を求めて特定調停を申し立てていたものです。

これらの三セク事業は、巨大開発の無謀さと破綻の典型として全国的にもきわだったものです。三つのビルのテナント床面積は甲子園球場の14倍、事業費の総額は3100億円、その事業費の大部分を銀行からの借金でまかなうというもので、最初からテナントがうまらず、赤字だけがどんどんふくらんでいきました。

ところが大阪市は、事業の失敗を反省するどころか、新たな貸付や市関係の入居による支援をおこない、公金投入はすでに1千億円を超えています。それでもどうにもならなくて、今回の事態に至ったものです。

この調停案への同意を求める議案は1月の大阪市議会に出され、日本共産党議員団は、三つのビルが「国際交易促進の拠点」や「関西新空港への窓口」といった公共性をすでに失っていること、支援を続けても二次破綻する危険が大きいことなどを指摘。これ以上の市民負担はとうてい許されず、調停案に同意すべきでないと主張しました。また、党議員団の追及により、家賃などもふくめると大阪市が今後2000億円以上を負担しなければならないこと、その一方、金融機関には会社を法的整理するより特定調停に応じた方がはるかに大きな利益が保障されることも明らかになりました。

党議員団の論戦と市民の批判は与党(自民・民主・公明)を追いつめ、「責任をどう取るのか」「二次破綻しないと言い切れるのか」「これ以上の負担はおこなうべきでない」などと言いだしました。与党も安易に調停案を受け入れることができず、迷走をくりかえし、採決した市議会本会議は夜明けまで続く異例の事態となりました。

今回の問題は、自治体のあるべき姿をするどく問いかけています。巨大開発とその破綻を反省せず、あくまで三セクの「再建」にこだわり、市民に今後巨額の負担をしいる大阪市、それに承認を与えるオール与党は、今後一層きびしい市民批判にさらされることは必至です(2004年2月13日付「しんぶん赤旗」)。