2月22日、関淳一市長の「改革」マニフェストにもとづく、 2006年度大阪市予算案が発表 |
2月22日、関淳一市長の「改革」マニフェストにもとづく、2006年度大阪市予算案が発表されました。同マニフェストは、規制緩和や「官から民へ」という小泉内閣の「構造改革」路線を全面的に受け入れ、財政危機などを克服するため、「人口と税収に応じた“身の丈”サイズに、事業・組織・予算・人員をスリム化」するというもので、予算案も、こうした方向を具体化するものになっています。 <粗大ゴミ収集を有料化、新婚世帯家賃補助の減額、介護保険料は大幅アップ> マニフェストで見直し項目にあげていた、粗大ゴミ収集の有料化(1個200〜1000円。品目ごとに4区分)、新婚世帯家賃補助の減額(1〜3年目・月2万円を1万5000円に。4〜6年目・2万5000円を2万円に)、生活保護世帯の市営交通・上下水道料金減免の廃止、火葬料の値上げ(市内居住大人6000円を1万円に)などを予算化しました。 「ぜひ存続してほしい」と多くの市民から願いがよせられていた児童館(10館)、勤労青少年ホーム(25館)については廃止。それらの施設を活用して新しく「子育て活動支援事業」(8億3000万円)等を実施するとしています。 また、介護保険料については、1号被保険者の月額基準額を3580円から4780円に引き上げます。国民健康保険料の算定方式を4月から変更することも大問題です。これまで「所得割」がかかってこなかった住民税非課税世帯にも、「所得比例方式」に変えることで、世帯の総所得が33万円を超えると、新たに「所得割」をかけます。この結果、保険料がいまの4倍になる世帯が出るなど、大きな負担を強います(図表@)。 <身近な公共事業費は圧縮し、大型開発を優先> 市営住宅の建替や改善は、159億円に圧縮(前年度245億円)。安くて住み良い公営住宅をという市民の願いにそむくものです。身近な公園の整備費も、70億円から61億円に前年度より9億円へらします。 一方、凍結されていた高速道路・淀川左岸線2期建設事業(此花区から北区・新御堂筋まで。総事業費1260億円)を再開するとし、用地買収費などに15億円を計上しました。また、「スーパー中枢港湾」がらみで、夢洲の水深16メートルの埠頭建設に12億円、夢洲トンネル(北港テクノポート線含む)には108億円の予算を組みました。新人工島に87億円、関西空港の「全体構想の推進」に7億円など、ムダと浪費の大型開発を優先させています(図表A)。 <市の借金は市民一人あたり210万円> 一般会計予算は、5年連続のマイナスで1兆6531億3400万円(前年比マイナス4.4%)、特別会計(2兆4713億8900万円)とあわせ、総額で4兆1245億2300万円(前年比マイナス6.4%)となっています。市税収入は、個人・法人市民税の増収が見込まれるものの、固定資産税・都市計画税が大幅に減収し、前年比プラス0.7%の6194億4900万円にとどまります。 国の地方交付税は550億円を予定(前年度は620億円)。地方への大幅な財政支出削減をねらう小泉内閣の「三位一体改革」による国庫負担補助金削減の大阪市への影響は30億円です。 また、臨海部などの大型開発を起債により推進してきたため、市債残高が年々ふえ、市財政を大きく圧迫してきました。2006年度末見込みは、前年度より減少するものの、一般会計で2兆9444億円、全会計で5兆5187億円。市民一人当たり210万円と巨額です。 <敬老パスは無料で継続、市民運動が力に> マニフェストの市民サービス見直しで、第一の標的にされていた「敬老優待乗車証」(敬老パス)は、87億円(前年度は83億円)を予算化しました。本人確認をおこない郵便局で手渡すなど、交付方法は変更しますが、無料制度は2006年度も継続されました。13万人の署名が寄せられるなどの市民の大きな運動と日本共産党の議会での奮闘が実ったものです。健康福祉局長マニフェストで「廃止について検討する」とされていた重度障害者給付金・難病見舞金は継続されました。 特別養護老人ホームの新設5カ所(定員430人)、介護老人保健施設の新設2カ所(定員200人)、高等学校普通教室への空調設備(対象398教室)、地下鉄駅のエレベーター整備(10駅で13基)なども予算化されました。
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図表@ 主な市民負担の増 介護保険料(第1号被保険者)月額基準額 3,580円 → 4,780円 粗大ゴミ収集の有料化 1個200円〜1,000円(4区分) 新婚世帯家賃補助の減額 1〜3年目 月額20,000 → 15,000円 4〜6年目 月額25,000 → 20,000円 市内居住者の火葬料・大人6,000円 → 10,000円 小人3,600円 → 6,000円 上下水道料金福祉措置(生活保護世帯)の減免措置の廃止 市営交通料金福祉措置(生活保護世帯)の減免措置の廃止
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図表A ムダと浪費の大型開発予算 夢洲トンネル建設 107億8000万円 新人工島の整備 87億3000万円 高速道路・淀川左岸線2期事業 15億円 夢洲コンテナ埠頭建設 12億4000万円 夢洲の土地造成 7億9000万円 関西空港全体構想推進への支出 7億4000万円
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