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2008年度大阪市予算案が発表

(2008年2月21日)

 

2008年度大阪市予算案

 

2008年度の大阪市予算案が、2月21日発表されました。同予算案は、2月29日から始まる「2・3月予算市会」で審議されます。

 

<平松市長の公約はどうなったか>

 

自民・公明・民主のオール与党が長年支えた市民不在の市政が市民にきびしく拒否され、民間出身の平松市長が誕生したもとでの始めての予算案です。「福祉セーフティネットの拡充で安心を実感できる総合的な福祉施策を推進します」などの平松氏の選挙公約がどう反映されたかが注目されます。

大阪市の子どもの医療費助成は、市民の大きな運動と日本共産党議員団が拡充求める条例提案を過去19回もおこなうなか、通院では小学校就学前まで、入院で小学校3年生までに拡充されてきましたが、今回、さらに、入院で小学校卒業までに拡充する予算が盛り込まれました。

全国で74.4%の中学校が完全給食に踏み出しており、大阪市の立ち遅れが重大で、市民要求も大きいなか、「中学校給食実施」を平松市長は公約しました。ところが、選挙直後の議会答弁では、家庭からの弁当と業者弁当との「選択方式」を検討すると大きく後退。これまで実施してきた12の旧同和校での給食もいったん廃止するとしました。この1月末の議会では、共産党・山中智子議員の質問に、弁当販売は給食実施への「通過点」とやや前向きの答弁をしています。予算案には、給食の検討として100万円が計上されています。

 

<国保料の値上げに見られる大阪市の逆立ちした姿>

 

格差と貧困が進み、市民生活が不安と危機にみまわれているなか、100万人を超える市民が加入している国民健康保険の軽減は。とりわけ切実な市民要求です。ところが大阪市は、2007年度も国保料を値上。そのため、昨年6・7月には、市民税の増税問題とあわせ、20万を超える市民から怒りと苦情の声が区役所に殺到しました。昨年11月の市長選挙でも、姫野浄候補の国保料「一人1万円の引き下げ」公約が大きな期待を集めました。

今回の予算案は、また、保険料の値上げ(1.2%アップ)を盛り込みました。一人平均9万4681円から9万5818円に引き上げ、最高限度額も56万円を59万円に、3万円引き上げます。この値上げによる増収は9億5000万円にすぎません。その一方、一般会計から国保会計への繰り入れを2007年度の481億円から437億円へ、44億円も減らします。つまり、前年度並みの繰り入れをすれば、保険料をむしろ値下げすることができるのです。これでは、まったくの逆立ちです。

2月16日に開かれた大阪市国民健康保険運営協議会では、共産党・北山良三議員が大阪市の案をきびしく批判。これを受け、協議会会長は「1.2%の引き上げに反対が多数意見だ」とまとめをおこないました。共産党市議団は、値上げの撤回を求めるとともに、保険料の減額へ、全力をあげてたたかいます。

 

<敬老パスの無料化は継続>

 

地下鉄・市バスの「敬老パス」は引き続き無料で継続です。予算案には、「市営交通料金の福祉措置」として、88億1900万円が計上されました、対象は、70歳以上の大阪市民、30万9600人です。

敬老パス問題は、2004年、その有料化の動きを共産党市議団が市民に知らせると、13万以上の署名に見られるように「無料で継続」を求める声と運動が大きく広がり、2005年、6年、7年と有料化を阻止してきました。共産党議員団は、高齢者の生きがいを支えるこの制度を守るためにこれからもがんばります。

また、視覚障害者をはじめ、多くの市民がくりかえし求め、共産党議員団も幾度となく追求してきた地下鉄駅の可動式ホーム柵の設置に、3億9600万円の予算がつきました。2010年度末までに、長堀鶴見緑地線の全駅で設置させるとしています。また、「可動式ホーム柵の設置拡充に向けた検討」として1億300万円の予算がつきました。

 

<大型開発優先は変わらず>

 

635億円もの巨費を投じて建設した「夢舞大橋」があるにもかかわらず、人工島・夢洲へのアクセスをさらに増やすための海底トンネル(名称・夢咲トンネル。自動車道路と地下鉄併用)の建設79億円(地下鉄・北港テクノポート線の整備含む)、夢洲のさらに先の大阪湾を埋めたてる新人工島の整備に72億円、大型コンテナ船が増えるあてもないのに建設を強行する夢洲の「スーパー中枢港湾」づくり(大水深埠頭の建設)に61億円、必要がなく、環境破壊にもつながる高速道路・淀川左岸線2期事業に24億円など、むだと浪費の大型開発には税金投入を惜しみません。

また、正規労働者の増加につながらない大企業よびこみの「都市再生重点産業立地促進助成」の「大型特例」(助成額の上限30億円)も継続させます。

 

<同和事業は一定の見直しだけ>

 

この間、芦原病院問題と飛鳥会事件に象徴される大阪市のあまりにもひどい同和行政に批判が集中するなか、大阪市は2007年度、85の同和事業(79億5000万円)の内、青少年会館や老人福祉センターなど28事業の廃止などで予算額を約40億円に半減させたとしており、2008年度はそこからさらに6億5000万円削減するというものです。

したがって、大阪市の発表でも、33億5000万円の同和事業が継続されることになります。共産党市議団の調査では、90億円近いのが実態です。部落解放同盟と一体の人権協会への事業委託は抜本的に見直さず、旧同和校への教員の加配にも手をつけないなど、同和行政の完全終結を求める世論に背を向けるものです。

 

<市の借金は市民一人当たり199万円超>

 

歳出は、一般会計が1兆5925億円で前年比337億円のマイナス。特別会計を含めた総額では3兆8560億円で、同じく1864億円のマイナスです。市税収入は、個人市民税が1383億円で前年より17億円増加です。法人市民税が1695億円で2億円マイナス。固定資産税・都市計画税は3277億円で52億円増となっています。

大型開発を起債により推進してきたため、市債残高は、全会計で、前年度より1059億円減少したものの、5兆2646億円(2008年度末見込み)と市民一人当たり199万円。依然として高額です。