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「大阪都構想」めぐり激論

 

清水氏「住民守るのが自治体」

橋下知事「福祉は地域バラバラでいい」

 4月のいっせい地方選を前に、大阪の主要5会派の代表が10日夜、毎日放送のラジオ番組に出演し、「大阪維新の会」(代表・橋下徹知事)がかかげる「大阪都構想」を中心に2時間にわたって意見をたたかわせました。日本共産党は清水ただし府国民運動本部長が出演し、橋下知事と激論となる一方、各党は維新の会と方向性に大きな違いがないことも鮮明となりました。

 ラジオ番組で各党討論

 「大阪都構想」について清水氏はきっぱり「反対」を表明。「地方自治体の役割は府・市民の暮らし、福祉を守り、中小企業を応援すること」なのに、「大阪都構想」は大阪市の権限と財源を吸い上げて、かつて失敗を重ねた“呼び込み型”の大型開発を推進することがねらいだと批判。「税収の少ない行政区は十分な住民サービスができなくなり、地域によって格差が生じる」と問題点を浮き彫りにしました。

 各党は「反対」はいうものの、「もともと都制論者。しかしいまは古い。関西州にいくべきだ」(自民党府連会長・谷川秀善参院議員)、「いまの段階では反対。大阪府と大阪市の二つのエンジンを立て直す」(民主党府連幹事長代理・梅村聡参院議員)、「具体的でない。どちらともいえない」(公明党府本部代表・佐藤茂樹衆院議員)と述べるにとどまりました。

 橋下知事は都構想の必要性について「大阪全体の指揮官を一人にして人、モノ、カネを呼び込むのが大阪都」とし、大阪市を解体し、公選制の区長を置くという構想について「此花区では認可保育所建設の願いを市が却下した」「WTCや南港開発の失敗も区が決定権をもっていたらとめられた」と発言。

 これにたいして清水氏は「知事は過半数を議会で取らないと意味がないというが、いまでも『オール与党』で知事や市長の提案にほぼ100%賛成している。共産党だけが無駄な予算に反対してきた」と指摘。住民の要求が実現しないのも、「共産党以外の『オール与党』が反対しだからだ。枠組みの問題ではなく、住民の声を聞かない議員の問題だ」と反論しました。

 医療や介護などの福祉の充実、就職への不安などの新成人の声が紹介されたことをうけ、景気や雇用のテーマで各党は「特区などで世界の成功モデルを大阪にとりいれる」(民主)、「関西州が必要」(公明)、「外に出て行った大学や工場を大阪にもどす」(自民)などと発言。

 清水氏は「失業率をどう下げ、若者の就職や中小企業をどう立て直すかが問題」と述べ、中小企業への官公需の発注率を高め、学校耐震化や住宅リフォーム助成制度、特養ホームの建設などを主張。「関西空港は開港15年になるのに府内の総生産は3兆円落ち込んでいる。雇用を増やすには呼び込み型の開発ではだめ。地元密着が必要」と具体的に示しました。

 橋下知事は「空港、高速道路、鉄道などを都がやり、住民サービスはそれぞれ地域バラバラでいい。住民の責任」との姿勢に終始しました。

(2011年1月12日付しんぶん赤旗)