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橋下市長、無責任すぎないか

労組攻撃材料の捏造問題 大阪

「組合が脅している」と断言 思想調査の口実にも

 「大阪維新の会」が大阪市議会で「交通局と組合が組織ぐるみで市長選に関与していた」と組合攻撃の材料に使った市長選用のリストが26日、捏造(ねつぞう)されたものだったと判明し、「維新」代表としての橋下徹市長の責任が問われています。(藤原直)


 市交通局によると、問題のリストは市のデータをもとに一人の非常勤職員によって捏造されたもの。交通局職員1867人分の氏名や平松邦夫前市長を支援する「知人・友人紹介カード」の回収状況などが記載されていました。その上、「紹介カードを提出しない等の非協力的な組合員がいた場合は、今後不利益になることを本人に伝え(る)」と記すなど組合側が不当な影響力をあからさまに行使したかのように細工されていました。

(写真)大阪市の教育・職員条例案の撤回を求めて市役所前で集会をする連絡会=27日、大阪市

質問議員擁護

 今回の件で濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)を着せられたのは大阪交通労働組合(大交・連合加盟)。橋下氏はこの問題を市議会で取り上げた「維新」の杉村幸太郎市議について「非常に慎重な言い回しで質問していた」と述べ、「『維新の会』にも杉村議員にもなんの問題もない」(26日)といいはります。

 しかし、事実経過は、とてもそうはいえません。

 もともとリストは2月6日、杉村市議が職員から内部告発を受けたとして公表。新聞各紙は当日の夕刊から「組合が選挙協力強要か」などと大々的に報道しました。

 橋下徹市長も同日のツイッターで「今回のえげつなさは…組合が幹部職員も含めて、従わない場合は不利益を与えると脅していること」と組合攻撃をエスカレートさせていました。

 一方、疑いをかけられた大交が同日中にリストの作成を否定すると、橋下氏は、かつて国会で問題になった「偽メールの様相を呈してきた」ともツイート。いずれにせよ問題だと「徹底調査」を宣言しました。

 このように当初から信ぴょう性が問題になっていたのです。それなのに2月10日には杉村市議が、市議会でも「信ぴょう性は非常に高い」とリストを取り上げ、「交通局と組合が組織ぐるみで市長選に関与していたことを裏付けるものだ」と市側を追及。市役所や組合側の抱える大問題として騒ぎを大きくしたのです。

 橋下氏が「市の職員による違法ないし不適切と思われる政治活動、組合活動などについて、次々に問題が露呈しています」と、憲法で保障された思想・良心の自由を侵す「思想調査」の実施を表明したのは2月9日。捏造されたリストの問題を利用して、「市長の業務命令として」、「正確な回答がなされない場合には処分の対象となりえる」職員「思想調査」へと踏み切ったのです。

批判に逆ギレ

 橋下氏は27日、「維新」の質問に「裏付けが足りなかった」との批判が出ていることについて、「メディアだって裏付けをとらずに報道していたじゃないか」と報道陣に逆ギレ。市の調査によって「僕は、組合の濡れ衣を晴らした」と開き直りました。

 橋下氏が、当初から「(リストは)ちょっと危ないな」と思っていたというのなら、なぜ杉村市議の質問を「問題ない」というのか、無責任にすぎるといわざるを得ません。

(2012年3月28日付しんぶん赤旗)