違憲の市職員政治活動制限 |
7月の臨時市会に提出された条例案 「職員の政治的行為の制限に関する条例案」は、禁止する行為として、▽政党など政治団体の機関紙の編集・配布▽デモ行進の企画・組織・指導など、別項のように10項目をあげています。 これがまかり通れば、「大飯原発再稼働反対」とか、「消費税増税は許されない」なども禁止、それらを文書やビラとして配布したり、DVD化することも、演劇も「政治的目的を有する」とされれば、禁止です。政党や政治団体の表示する旗や腕章を製作、配布しても同様です。 これらは勤務時間外や休日であっても、選挙で投票を依頼する電話、政治的な署名活動、政党・政治団体などへの寄付も含め、市外(区役所勤務は所属区域外)からであっても区域内にむけては禁止しています。 同条例案は、禁止行為を行った職員について、「原則として懲戒処分として免職の処分をする」としています。そこでは、6月に野田内閣が出した地方公務員の政治的行為を制限するための罰則は法律違反とする答弁書の内容を逆手にとって、懲戒処分の「根拠」としています。 このほか、橋下市長は労働組合との交渉内容を狭い労働条件などだけに制限する「大阪市労使関係に関する条例案」も提出しました。 職員の政治活動禁止条例案骨子
「職員の政治的行為の制限に関する条例案」が禁止する政治的行為
懲戒処分
断固葬り去る 党大阪府委員長 <共産党府委員長が談話> 大阪市の橋下徹市長は、6日開会された7月臨時市議会に「職員の政治的行為の制限に関する条例案」などを提出しました。わが党は、これを厳しく批判し、市議会内外での論戦とたたかいで断固葬り去る決意を表明するものです。 この条例案は、一読して、憲法19条(思想良心の自由)、21条(集会・結社・表現の自由)を蹂躙(じゅうりん)することが明白です。 条例案では、大阪市の職員が、勤務時間内外を問わず、集会でみずからの政治的主張をのべることや「政党機関紙の配布」から、「署名」や「ビラ配布」「演劇」「政治的アピールのためのバッヂの制作、配布」などに加わったり、援助することまで、すべて禁ずるとしています。しかも、条例案では、当局が「違反」と認めた場合、「免職の処分」を原則とすることがうたわれています。 こんな条例がまかりとおるなら、市の職員が勤務時間外に、「原発ゼロ」や「消費税増税反対」を主張したり、こうした集会や演劇などに参加することがすべて監視の対象とされ、当局が「条例違反」とすると、すべて免職されるということになります。 こんなことが日本国憲法のもとで到底許されるものではありません。 橋下市長は、この条例案は大阪市において「公務員に求められる政治的中立性を揺るがす事象が生じている」ことを理由にあげています。しかし、あの「思想調査」をおこなった野村修也特別顧問(弁護士)による「調査チーム報告書」においても、「これまでの調査では地公法や公選法において規制される政治活動に明確に該当するような行為があったとは評価できない」とのべているのです。 また橋下市長は、政治活動を理由に罰則を科すことは「地方公務員法違反」と断じた政府答弁書が、その理由として「地方公務員の地位から排除することで足る」と書いたことを逆手にとって、「だったらバンバン排除する」などと「原則免職」をあおります。しかし、これも地公法制定当時、国会答弁で「政治的行為の違反があった場合に、これを懲戒処分によって解職するというようなことは、毛頭規定しておりません」と明確にしているものです。こんなペテンが、通用するものではありません。 そもそも公務員だからといって、勤務時間外の政治活動を制限したり、禁止すること自体、欧米ではありえません。 わが党は、さきに「『市民のための仕事をすすめる』市役所へ――大阪市の『公務員改革』についての提言」を発表しました。橋下市長に対する抜本的対案となるこの「提言」を高く掲げ、心ある多くの市民、市職員と連帯して、「市職員・政治活動制限」条例案を打ち破るために力をつくします。 |