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シリーズ

崩壊 「都」構想

――ダブル選2年

B赤バスの廃止後の今

同じ大阪市で対応バラバラ

 要求を無視して一方的廃止

 ことし3月末で大阪市の赤バスが廃止され、半年以上が過ぎようとしています。02年から導入され、通院や買い物、行政手続きなどの日常生活に支障のある高齢者や障害者など「交通弱者」に喜ばれてきた赤バス。橋下氏は「赤字」を理由に、「なくさないで」という市民や利用者の声も無視し、一方的に廃止を強行しました。

 橋下氏は廃止後の「事業再構築」を昨年8月に就任した公募区長に丸投げ。その結果、事業は各区でばらばらです。港区では運動の成果で従来とほぼ同じコースを運行していますが、小型バスや乗り含いタクシーの運行。それも多くが1年限りの暫定的で廃止されようとしています(表)。

 代替サービスのない住吉区では、「老人会の役員をしているが、区民ホールなどに荷物を持って行くときや雨のとき困ります。助けて下さい」などの声が出ています。

 市役所と区がたらい回しに

 「赤バスの存続を求める市民連絡会」は8月、市に対し赤バスの機能と役割を持つ福祉バスを公営で運行することなどを求め要望書を提出、各区の実情を訴えました。

 ――車体の色が黒で批判が多い。ゴルフ用の送迎車で、福祉に便う車両ではない。停留所がなく、乗車場所が分かりにくい(東淀川区)

 ――マイクロバスで月・水・金の午前・午後2便ずつで、区役所にも行けない。ノンステップではないので、足の不自由な人は乗降がかなり大変(城東区)

赤バス復活を求める運動が各地で粘り強く展開されています=10月6日、大阪市城東区内

 ――バスサービスの周知がなく、利用者が少ない。乗車料金は3区間まで100円だが、あとは200円になる。敬老パスは使えない(東住吉区)

 要望書では、「福祉バス」を24区分け隔てなく提供するため、全市統一基準を示すよう求めました。10月に届いた回答書で市交通局は「身近な移動サービスは各区で実施」と説明。ところが区側は「各区ごとに検討するものではなく、市として取りまとめる必要がある」(阿倍野区)と答えるなど、まさに“たらい回し”になっています。

“鮮やかな色”になったのか

 橋下・維新の会はダブル選で、大阪市を解体して特別区に分割する「大阪都」構想に市民の怒りや不安が広がる中、「大阪市はバラバラにはしません」と大宣伝。橋下氏は街頭演説などで「区役所ですべてが決められる仕組みにして、市内を24色とりどり、多色豊かな市に生まれ変わらせる」と叫んでいました。

 法定ビラでは、「24区、24色の鮮やかな大阪市に変えます!」と、カラー印刷で「色とりどり」にしたイラストまで褐載。「ばら色の大阪市に発展するかのように描き出しましたが、実際はどうか。

 高齢化社会に逆行する市政

 「できてもいない『大阪都』のため、市民サービスを先につぶし、行政の責任を投げ捨ててきたのが橋下政治の現実」と強調するのは、連絡会の佐伯洋一事務局長。

 「2020年には国民の4人に1人が65歳になると予測される今こそ、高齢化社会に備えることが必要なのに、橋下氏のやり方は逆行しています。誰でも、どこへでも、安全に自由に移動できる交通権を保障することこそ自治体の役割。福祉バスの実現へ、地域から運動を強めたい」と語ります。

(大阪民主新報・2013年11月17日付)