シリーズ 崩壊 「都」構想 ――ダブル選2年 最終回・壮大なペテン明らかに |
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都構想で4千億円の財源≠ヌこに でたらめぶりが浮き彫りに 「府市再編に関する有識者ヒアリング」という会合が11月21日開かれました。「大阪都」構想の「効果」を検証しようというものですが、会場は東京都内。橋下氏は大阪市役所からインターネット中継で参加しました。 有識者といっても、出席したのは内閣官房副長官の堺屋太一氏や慶応大学の上山信一教授ら4人の府市特別顧問。いずれも橋下氏の「身内」といってもいい面々ですが、会合で浮き彫りになったのは、むしろ「大阪都」構想のでたらめさです。 「夢のある『大阪都』構想が、全体に伝わっていない」「必ず実現する筋道をこの1年の間に社会と市民に明らかにする必要がある」と中央大学の佐々木信夫教授。上山氏は「発想を転換して、都市の成長戦略につながるものを設計していく。検討体制も見直した方がいい」。 橋下氏は「議論されていなかったことが論点出しできた」と会合の「成果」を語りましたが、2年前のダブル選では「大阪都構想が実現すれば市民の皆様の生活は良くなります」(法定ビラ)などと大宣伝していたのは何だったのでしょうか。
政治的大号令だったと答弁 橋下氏や松井氏はダブル選に勝利した後、大阪府・大阪市の再編で「二重行政」を解消し、「4千億円の財源を生み出す」と公言していました。 ところが大阪市を解体して特別区を設置する制度設計案(ことし8月公表)では、効果額は最大でも976億円。東京都民を対象にした「都政新聞」(8月23日付)は「この程度の制度設計のために、大阪府知事、大阪市長のダブル選挙まで行い、時には国政すら揺るがしてきたのだろうか」と皮肉っています。 制度設計案を審議する特別区設置協議会(法定協)で、地下鉄・市バス民営化など「府市再編」と無関係のものを除けば9億4千万円に過ぎないことが、日本共産党の試算で明らかに。批判を受けて、橋下氏は「節約効果額に過ぎない」「(4千億円は)政治的大号令」などと、すり替えに終始してきました。 法定協の審議で矛盾が噴出 さらに府(都)と特別区の財政調整制度や事務事業の分担、特別区への分割で普通財産の格差が生まれる問題など、制度設計案の矛盾が噴出。橋下氏は来年秋の住民投票を経て2015年の「大阪都」移行という日程に固執していますが、特別区設置の協定書を取りまとめる協議スケジュールは、大幅に遅れています。 ダブル選までにおわせるが 日本共産党、自民党、民主系が「大阪都」構想に反対する立場で質問してきたことに対し、法定協の浅田均会長(維新の会)は15日の会合で、「大阪都」構想の是非は「半年前、1年前の議論。ここでされるのは協議の対象外」「特別区不要とかの議論は終わっている」などと強弁しました。 その一方で、維新の会が持ち出したのは10年以上前の話でした。関西財界のシンクタンク「関西社会経済研究所(現アジア太平洋研究所)」が02年の調査報告書で「二重行政解消」を求めていたことを示し、「我が会派の問題意識と深く一致」と語るなど、「府市再編」が関西財界発≠セということを逆ににじませました。 橋下氏や松井氏は最近、住民投票を実施できない場合には、再びダブル選などに持ち込む考えすらにおわせています。 そもそも「大阪都」構想の意義は何だったのでしょうか。 「有識者ヒアリング」で堺屋氏が強調したのは、「戦後衰退してきた大阪の、人心を一新する効果が大きい」。この程度でしかないのが、「大阪都」構想なのです。 (おわり) (大阪民主新報・2013年12月1日付) |