“橋下カジノ”本格化 誘致へ実動部隊発足 |
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大阪刑法が禁じる賭博場・カジノを合法化する法案が24日召集予定の通常国会で審議入りしかねない状況のなか、大阪府と大阪市は昨年12月24日、カジノ誘致の足場となる新たな行政組織を発足させました。橋下徹市長(日本維新の会共同代表)が主導する大阪カジノ計画がいよいよ本格化しています。(竹腰将弘)
大阪湾ベイエリア開発の象徴として建設され、経営破綻した超巨大ビル「ワールドトレードセンター」。現在は大阪府咲洲(さきしま)庁舎として使われる、がら空きのビルの50階「迎賓会議室」で開かれた「大阪府市IR(カジノを中核とする統合型リゾート)立地準備会」。 松井一郎知事、橋下市長が顔をそろえ、府市の幹部も参加し、「府・市一体となって」(橋下氏)湾岸部の人工島・夢洲(ゆめしま)へのカジノ誘致をすすめる実動部隊です。 大阪でのカジノ計画は、2002年に当時の太田房江知事が構想を表明したのが最初です。失敗した大型開発の始末をカジノでというもので、橋下カジノ構想もその焼き直しにすぎません。 府民の抗議しかし、橋下氏のカジノ構想には、独特なところもあります。橋下氏自身が、カジノを猥雑(わいざつ=みだらで下品なこと)と認め、「猥雑なものはすべて大阪で引き受ける」と豪語していることです。(語録参照) いま各地でカジノ誘致に名乗りを上げる動きが起きています。カジノを「おとなの社交場」(東京都の猪瀬直樹前知事)などと美化するのが通例で、橋下氏のような居直りはほかにみられません。 橋下氏の発言は府民の抗議にさらされました。府庁に寄せられた「血迷ったとしか思えない」「大阪をめちゃくちゃにしたいのか」などの声は、府が公開しています。 大阪母親大会連絡会は10年11月1日、「子どもの頃からギャンブルをとは言語道断」と橋下氏に発言の撤回を求めました。しかし、橋下氏が発言撤回や是正の措置を行ったことはありません。 本紙は、立地準備会後の記者会見で、橋下氏に質問しました。 ―カジノは猥雑だとお考えですか? 橋下氏 ああいう場の発言ですから。 ―子どもたちが世界で勝てるように育つためちっちゃいときにギャンブルから遠ざけるべきでないとお考えですか? 橋下氏 全体の文脈をしっかり把握してから、その言葉だけを引かずに判断してください。全体の場の文脈、雰囲気から発言の意図を解釈するというのは、入試で、国語の問題で、さんざんやっているではないですか。 橋下氏は、「慰安婦」や在日米軍への発言で内外の批判をあびていた昨年5月27日、日本外国特派員協会での会見で「発言の一部が文脈から切り離され断片のみが伝えられることによって本来の私の理念や価値観とは正反対の人物像、政治家像が流布してしまっている」という文書を読み上げました。「文脈」をたてに発言の意味を「正反対」にする人物のいうことなど、だれも信用しません。 税金投入も大阪府は、11、12の両年度にカジノ誘致関連事業に約200万円を支出。13年度は326万円余の予算を計上しています。この予算は、カジノ合法化法案の動向と関連づけられており、今後、さらに多額の税金が投入されかねません。 日本共産党の堀田文一大阪府議は昨年3月5日の府議会本会議で、「賭博が犯罪の温床となり、たくさんの人々を破産、家庭不和、カジノ依存症、自殺など不幸に突き落とす」とのべ、カジノ誘致に強く反対しました。 依存症“負”しか生まないギャンブルオンブズマン事務局 弁護士井上善雄さん
カジノ推進論は根本的に誤っています。賭博は何も富を生み出さない。犯罪組織の生成、青少年への悪影響、客の社会生活の破綻、利権にともなう不正など、社会的に負の生産しかしません。 橋下市長は、思ったことをそのまま投げ出すように口にしてしまう癖がありますが、「猥雑」とは自治体の長として口にすべき言葉ではありません。「それが本音だろう」と受け止められるのも当然です。 人間の弱点につけこむ賭博は、依存症という深刻な問題を引き起こし、いま世界中の人が、それに頭を悩ませています。カナダのケベック州では公的ギャンブル企業にたいして集団訴訟が起こされ、依存症の治療費数兆円の支払いを求める決定が出ました。 これが世界の流れです。カジノ推進派は、これからカジノを作り、大量の依存症患者を生み出して、訴訟を受けて立つ覚悟があるのでしょうか。 弁護士として多重債務問題に取り組むなかで、依存症問題の深刻さに気づき、一昨年ギャンブルオンブズマンを作りました。事実を知らせ、民主主義に貢献するのがオンブズマンの活動です。カジノ問題を知りたい、学びたいという人たちに真実を広げていきたい。 「猥雑なもの全部引き受ける」府民の批判を浴びた橋下徹氏のカジノ語録
「こんな猥雑な街、いやらしい街はない。ここにカジノを持って来て、どんどんバクチ打ちを集めたらいい。風俗街やホテル街、全部引き受ける」(2009年10月26日、大阪市内、企業経営者ら750人への講演) 「(日本は)ギャンブルを遠ざけるがゆえ、坊ちゃん、嬢ちゃんの国になっている。強い国になるためにカジノ法案を通してください」「小さいころから勝負を積み重ねて勝負師になれないと世界に勝てない。猥雑なものやエンターテインメントはすべて大阪が引き受ける」「政治判断もある種のギャンブル。先進国こそギャンブルが必要で、国民全体を勝負師にする必要がある」(2010年10月28日、東京都内、カジノ推進団体の総会でゲストとして発言) (2014年1月3日付しんぶん赤旗) |